
(…朝だ。)
ブラジル、――ジャングルの奥地。
(今日は、…晴れるか。)
生い茂る広葉樹より漏れる、灼熱の陽。
(ふああ…、腹が減ったな。)
朝陽に合図を受けたように、樹上のそれは蠢く。
(…狩りの時間だ!)
ざんっ。
一匹の獣が、無数の緑葉を舞わせ、勢い良く樹上より飛び出した。
「グアァアァァァァァァゴ!」
ずしゃあっ。
獣が、けたたましい目覚めの咆哮を伴い、地に降り立つ。
鋭い牙。
刃の如き兇光を放つ双眼。
限界を超えて、異常なまでに発達した筋肉。
木々を思わせる、深緑の体皮。
しかし、二本の脚で安定して直立するその姿は、まさしく人のそれであった――。
「ブランカだ!ブランカが出たぞォ!」
原住民の男が叫ぶと、村人たちは挙って各々の住まいへと逃げ急いだ。
住人を収めた家屋から、扉や窓が硬く閉ざされてゆく。
まるで、嵐が来るのを恐れるかの様相だ。
「おい、あんた!あんたも早く何処かへ逃げた方が良い…食われてしまうぞ!」
先ほど叫んだ村人が、まだ広場で立ち尽くしている男へと忠告した。
「…一体、何が出るって言うんだい?」
その男は、周囲の慌ただしい空気とは正対した、悠然とした態度で質問する。
「あんた、旅行者か?悪い事は言わん、早くここから立ち去った方が良い。あの化け物に食われる前に!」
「化け物?」
その言葉に、流石の男も少々の反応を見せた。
「ああ、ここから西に半日森を進んだ所に棲む魔獣だ。今日は天気が良いから、エサを追って遠くまで出て来たに違いない!」
「そいつが、ブランカ…」
ピィィィィィィィィィィィィィィィ…!
何処かからか響き渡る、細く澄んだ音。
「…笛?」
「あれは、呼び戻しの笛…まさか、森の中に誰か!」
村人は錯乱気味に頭を抱え込む。
「ああ、畜生、なんでこんな日に限って…おい、あんた!良いな、俺は男たちを集めて森に入るが、大人しくどこかへ隠れているんだぞ!」
警告とも脅しとも取れる調子で一言言うと、原住民の男は慌ただしく走り去り、そうして、広場には旅行者の男が残された。
見渡して見るも、既に人の影は無い。
「ブランカ…化け物か。」
男は西の森をゆっくりと眺め、呟いた。
「グアアアァァァァァアアアアゴ!」
ありったけの殺意を含ませた咆哮にも臆せず、獲物は颯爽とジャングルを逃げる。
(ぬう、今日の獲物はやけに逃げ上手い。)
ブランカは次々と樹の枝を飛び移り、獲物を追いたてる。
この先は人里だ。
それまでにはけりをつけなければ。
「グァア、グァア、…グァアアアアアゴ!」
ブランカは獲物を威嚇すべく、再び吼えた。
しかし、獲物も必死である。
まるで疲れなど知らぬように、相変わらずすばしっこく木々の合間を逃げ惑う。
(本腰を、入れるか。)
少し開けた所へ出ると、ブランカは軽快に地上へと降り、姿勢を低く構えた。
獲物はそんな事など知らず、なおも奥へと駆ける。
ブランカはその様を、静かにじっと覗う。
そして獲物が、幹の太い熱帯植物を避け、再び密林へ飛び込もうとした、…その時。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアゴ!」
轟雷の如き叫びと共に、ブランカは地を蹴った。
飛翔ではない、膝を抱え身体を丸く縮込めた体勢で、激しい縦回転と共に、彼は獲物へ向かい銃弾の如く飛び出したのである。
「ぎゃいんっ!」
その人知を超えた体当たりは見事に命中し、獲物は短い断末魔と共に大きく弾き飛んだ。
そのまま木に衝突し地に落ちた獲物は、恐らく即死だったのだろう、ぴくりとも動かなかった。
(ふう。)
ブランカは獲物を捉えた反動でくるくると宙を舞いながら、満足気な溜息をついた。
「おうい、おうい!」
森の奥、遠くから数人の男の声が聞こえる。
「おい、あんた。早く村へ帰りなさい、ブランカが来やがった」
先程の村の住人らしき男たちが、足早に帰路を急いでいる。
「狩りをしていたら笛が聞こえたんだ。そうしたら、あいつの恐ろしい声が奥から聞こえて来やがって…」
「どっちだ。」
「ああ、ここから暫く獣道を行った所…おい、あんた!何処へ行く!そっちはブランカが…!」
「済まない、あんたたちは村へ帰っていてくれ。」
そう言うと、男は森の奥へと消えて行った。
仕留めた獲物を脇に抱え、ブランカは棲み家へ帰ろうとしていた。
帰路はやや遠くなってしまったが、思ったよりも大きく肥えた獲物に、気分も揚々だ。
がさっ。
…気配が!
ブランカは即座に動きを止め、身を屈めた。
(このジャングルの生き物の気配じゃない。…これは、…人?)
しまった。
ブランカは思った。
狩りに夢中になって、思ったより人里に近付いてしまったらしい。
奴等を蹴散らすのは簡単だ。
だが、奴等は厄介だ。
以前この辺りに棲んでいた頃、村の連中が雇ったハンターに追い立てられて、えらい目に遭ったのだ。
弓矢や簡単な猟銃でも、数と賢しい作戦さえ伴えば十分に脅威だ。
これは、連中を刺激する前に逃げた方が良さそうだ…
そう思い、機を覗い、退散しようとした、その時。
しゅっ。
(何だ?)
何かが撃ち出され、迫り来る…
(いかん!)
本能的に危機を感じ、ブランカは飛び退いた。
そして一瞬後。
ずざん!
先程までブランカが屈んでいた地面に、激しい土煙と鈍い重音が響いた。
(…何だこれは。)
投石器?
いや、それにしては、…気配でしか判らなかったが、発射から着弾までが早過ぎた。
しかし、臭いから火薬の類を使用した武器では無い事だけは分かる。
(一体、これは…?)
「ブランカぁっ!」
その時、森に響き渡る声。
「そこに居るんだろう!姿を、見せろッ!」
腹の底にも届かん程の、気合に満ちた声。
姿の見えぬ自分に向けられた闘気。
ブランカは少しだけ怯んだ。
あれは…獣?
人の姿をした、…そう、俺と同じ、獣。
――そうか。
俺のことを、狩りに来たのだな。
狩場を求めるうちに、このジャングルに獣を見つけたのだな。
このジャングルの王たる、俺を。
…知らずブランカの野性は滾っていた。
野性、殺意、…闘争本能。
向けられた挑発に、彼の中の獣は牙を剥き、昂っていた。
「ブランカぁっ!姿を、見せろ!」
気合を込めた怒号を上げて、化け物と呼ばれるものを挑発する。
並の動物ならば、この声に恐れて逃げ出すだろう。
しかし、相手は並ではない。
ジャングルに身を置く闘士、そう感じる。
自分と同じ、闘士。
闘いに全てを見、感じる生物。
さあ、出て来い。
お前の餓える、望むものを見せてやろう。
――俺と、闘え!
ずざんっ。
突然、ブランカは飛び出した。
「ガアッ」
樹の枝に掴まり、くるくると回転しながら、男から少し離れた地面へと着地する。
ブランカは男を睨む。
紅い衣を纏い、鍛え上げられた筋肉を備えた、燃えるような眼をした男。
何より、その体躯より発せられる殺気に驚いた。
このジャングルに棲む、どの獣より激しい。
(面白い。)
ブランカは内心、笑む。
「…貴様のような人間が、この俺に何の用だ。」
ブランカは、静かに、しかし強い殺意を含ませて言った。
「俺に食らって欲しくなかったら、止めはせん、おとなしく立ち去るが良い。」
「はっはは…」
すると、男はゆっくりと笑った。
「何が可笑しい。」
「良かった、村の人たちはお前のことを『化け物』と言っていたが、どうして、見れば普通の人間じゃないか。」
その言葉に、ブランカは少々面食らった。
「この俺を見て普通と言うか。」
「普通さ、少なくとも闘士としては。」
「…言うものだ。ならば貴様は、十分に獣に見えるわ。」
「獣か、悪くないな。」
何気ない会話。
しかし、その穏やかな語調とは裏腹に、二人の男からは常に牽制の殺気が放ち続けられている。
最早周囲に動物たちの気配は無かった。
「はっは…感じるぜ、お前の闘志。どうやら俺は、お前のお眼鏡に適ったらしい。」
知らず、ブランカの呼吸は激しさを持っていた。
まるで、絶好の獲物を前にした時のように。
「さあ、始めようぜ、FIGHTER!」
「グアアアアアアアアアァァァァァァァアアアアアアアアアゴ!」
ブランカは吼えた。
彼が今まで発した事の無い、最高の咆哮だった。
「ガウァ!」
ブランカが素早い跳躍から紅の男へ襲い掛かる。
「…高い!」
ばしいっ!
そこから繰り出される両足による重い蹴りに、男は防御を余儀なくされる。
ぱあんっ!
そして着地の屈勢から伸びる、激しいストレート。
その体躯全体で繰り出される怒涛の連撃に、堪らず男はバランスが崩れる。
「ゥガア!」
その隙を逃さずブランカは一足に間合いを詰め、そして。
「うわあぁぁああ!!」
ブランカは男に飛び付き、その鋭い牙で肩口へと噛み付いた。
男の肩から紅い血が舞う。
「畜生っ!」
男はブランカを引き剥がそうと掴むが、そのまま後ろへと倒される。
…いや、自ら倒れたのか。
「せいぃやあっ!」
そのまま、ブランカも諸共に後方へと回転する。
一回転、ニ回転…
「グアゥ…!」
不測の行動に、堪らずブランカの牙が外れる。
すると、男はその回転の遠心力をそのまま乗せ、巴投げを放ちブランカを遠くへと投げ飛ばした。
流石のブランカも平衡感覚が狂い、受身もままならずに、その巨体を強かに地面へと打ち据える。
「いっ痛ぅ…、噛み付きなんて反則だぜ。」
男は肩のダメージを別段気にした風も無く、ゆっくりと起き上がった。
見ると、ブランカも既に立ち上がっている。
「大抵の連中には結構効く投げなんだがな、やっぱお前には大して効かないか。」
「グウゥゥ…」
「じゃあ、今度は俺から行くぜ。」
そう言うや男は走り出し、間合いを詰める。
「グアッ!」
ブランカはそれを鋭利に発達した爪で薙ぎ払う。
しかし、男はそれを読んで一瞬減速し、かわす。
「グアォ!グァオ!」
ブランカは更に腕を振り回し、爪による攻撃を続ける。
びゅんっ!びゅんっ!
重く空を切る音。
「げげ、近付けねえ…」
男はそれらを巧みにかわしながら、困ったように苦笑を浮かべた。
「グァオオォ!」
「だが、足元がお留守だぜ!」
男は攻撃のタイミングを図り、素早く屈み込んでブランカの足を払う。
「グア…!」
ブランカはバランスを崩し、ややよろける。
そして男は両掌を併せ後方へ構え…
「波動拳!」
そのまま体の伸びと同時に前へと突き出した。
掌が光り、光弾がブランカへ射出される。
ばあんっ!
「グアアァ!」
防御もままならず光弾の直撃を食らったブランカは、そのまま激しく後方へと吹き飛ぶ。
(これが、さっきの…)
ブランカは、先程土煙を上げたものを思い出した。
(何物だ、この男…?)
ブランカは起き上がり、やや困惑の表情で男を睨みつけた。
「波動拳も然程効かないのか、面白い。」
男は再び両掌を束ね、波動を練る。
「波動拳!」
再び射出される光弾。
(二度も食らうか)
しかしブランカは素早く横へ弾み飛び光弾をやり過ごす。
(…今だ!)
そして機を見逃さず、深く屈みこみ…
「グアアアァァァァァアアアアアアゴ!」
地を蹴り、激しい縦回転で飛び掛かった。
先程獲物に止めを刺した、あの技である。
離れた距離が、瞬時に詰まる。
「なっ!?」
波動拳を撃ち出した姿勢のまま、男は驚きの声を上げる。
どしゅうっ!
「ぐあゥッ!」
その体当たりは鈍い音と共に的確に男を捉え、その体を離れた茂みまで大きく跳ね飛ばした。
ずしゃっ。
着地したブランカは、男が吹き飛んだ茂みを覗う。
…如何な巨獣であれ、一撃で即死させる技だ。
…人間が食らえば一たまりも無かろう。
そう思うも、彼は何故か嫌な予感がし、じッと警戒し、神経を研ぎ澄ました。
ざわざわざわ…。
風が通過する。
動物の鳴き声も聞こえない、不自然なジャングルの静けさが周囲を支配する。
男の気配は、無い。
(死んだか。)
生きている事など有り得ないとは思ったが、それでも感じる嫌な予感が、彼を警戒させた。
が、暫く何の気配も無い事が分かると、ブランカはゆっくりと、男の屍を確認すべく、歩き出した。
がささっ。
―気配!
「波動!」
その時、茂みが弾けた。
無数の草花を撒き散らし、突如あの光弾が現れる。
「グァオォォ!」
回避が間に合わない事を悟り、ブランカは身を屈め防御の姿勢を取る。
ずざぁん!
衝突の瞬間、ブランカの眼前で無数の光の粒子が弾け、信じられぬ衝撃が彼を襲った。
(まるで巨岩だ…!)
辛くも防御はしたものの、かなりの余剰ダメージがあった。
「波動!」
ばしゅんっ。
間隙無く撃たれる二発目の波動。
が、先程の不意打ちと違い、今度は横に跳ねて難なくかわす。
どぉん!
背後で樹に波動が直撃し、けたたましい轟音が響く。
「波動!」
三発目。
…何だ。
…何故光弾しか撃たない。
…さっき破られたばかりの、この技を。
連続で射出される光弾を避けながら、ブランカは怪訝に思った。
…まさか。
どうん!
…誘っているのか、あの技を。
どぅうん!
…面白い!
「波動!」
何発目だろうか、また波動が撃ち出された。
ブランカは横に飛び退く。
そして。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアゴ!」
同時に吼え、瞬時に強く地を蹴り、自らの巨体を激しい回転と共に男へと撃ち出した。
必殺の念を以て放たれた、渾身の体当たりである。
「来やがったな!」
銃弾の如き速度で迫る巨体を前に、男は歓喜の叫びを上げる。
その無防備な男の姿勢に、巨弾は容赦無く襲い掛かる。
「ァアアアアアアアアアアアアアアアアォ!」
「行くぜ!」
そして、衝突の刹那。
「昇龍!」
男が叫ぶ。
ざん!
男の拳が一閃の軌跡を描き、空高く舞い上がる。
「ギャアァウッ!!」
ブランカは、その一閃に大きく弾かれ、意識を失った。
「…グァウ…」
強い陽光が眠りを妨げる。
(今日も、晴れるな。)
ブランカはそう思い、瞼を開いた。
「目が覚めたかい。」
目覚めと同時に聞こえたのは、今は余り聞きたくなかった声だった。
(そうか、俺は…)
軋む身体の違和感に、ブランカは先刻の戦闘を思い出した。
美味そうな匂いがすると思いその方向を見やると、ブランカが獲ったばかりの獲物が、紅の男によって火にあぶられていた。
「貴様、それは俺の獲物…」
「食うかい?」
そう言うと、男は骨付きの肉を差し出した。
見れば、男の足元にはかなりの骨が転がっている。
もう少し目覚めるのが遅かったら、あの巨大な獲物が全て屠られていたのではないか。
ブランカはそう思い、男の底無しの食欲に肝を冷やした。
起き上がってみると、軽い手当てを受けている事に気付く。
「俺の奥義を叩き込んだってのに、何でお前は打撲で済んでるんだよ…全く。」
そう言う男は、少し脇の下辺りを気にしている。
どうやら肋骨が数本やられているようだ。
「…俺の体は、象に踏まれても大丈夫だ。」
「…ブラジルに象なんて居たか?」
そう言って、男は再び食事を始めた。
「…人間のお前が何でこんな境遇で生きているのかなんて、俺には興味は無いが。」
肉を頬張りながら、男は言う。
「お前の体には、この広大なジャングルは狭過ぎるんじゃないか。」
「…。」
ブランカには、この男が何を言おうとしているのか、いや、何を考えているのか解らなかった。
「俺の知っている男は、世界中の獣を相手に、闘い続けている。」
男は黙々と語った。
「闘い以外何も知らないような、そんな野郎だ。世界中の強い獣を求めて、闘い歩いている…まあ、俺も似たようなもんだが。」
「…。」
「なあ、ブランカ。このジャングルで、腹は膨れるかい?」
可笑しな事を言う。
こうしている今だって、満足な食事にありついているではないか。
「俺たちの狩場には、まだまだ美味そうな獲物がわんさか居るぜ。」
…なるほど。
「…俺には、夢が有る。」
今度はブランカが口を開いた。
「生き別れた母親に会う、それだけを夢見て生き抜いてきた。」
「へえ。」
男は自分の話はするだけしておいて、ブランカの話には興味が有るのか無いのか、肉にかぶり付きながら適当な返事を返す。
「…どうやら、その狩場には母親の匂いがするようだ。」
「ふんふん。」
気の無い返事をして、男は次の肉へと手を伸ばす。
と、その腕をブランカの大きな手が掴んだ。
「貴様。ここまで来たのだ、勿論、俺をその狩場まで案内してくれるのだろうな。」
ブランカは、その爛々とした双眼で男を睨める。
男は臆することなく、ブランカの眼を見返す。
と、男はふいに微笑し、
「お前が望むのなら、招待してやろう。」
そう言い、腕を掴むブランカの手に、強く拳を当てた。
「魔獣共がひしめく、最高の狩場へな。」
(…朝だ。)
相変わらずの朝の陽光に、ブランカ眠りは覚まされる。
…寒い。
いくら夏と言えど、赤道から遠く離れたこの地の気温は、ジャングル育ちのブランカに少々の肌寒さを感じさせた。
「目が覚めたかね。」
起き掛けに聞こえたのは、大型の獣のように野太い声だった。
「お前がブランカか、…なるほど、良い体をしている。最近この辺りのストリートを荒らしているらしいな。」
見ると、熊のような男が、この地に似合わぬ暑苦しい笑顔でこちらを見つめている。
(この俺の肉体に驚きもせんとは。)
少しだけブランカは、美味そうな獲物の匂いを感じた。
「…貴様は、獣か。」
ブランカは問い掛けた。
すると男は、
「わははは、そうだ、俺はお前と同じ、獣だ。」
と、笑って応えた。
「そうか。」
それだけ言うとブランカは飛び上がるように起き上がり、
「グァァァアアアアアアアアアアアアゴ!」
いつものように大きく吼えた。
知らず、笑みがこぼれる。
(全く、世界と言うのは、化け物ばかりが棲む狩場だ。)
そう思いながら、ブランカは獣に向かい飛び掛かった。
(…狩りの時間だ!)
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