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本当は汎宇宙的に恐ろしいおとぎ話

 

ふたつめのおはなし  「白雪姫に墓はいらない」

はじめのおはなし   「赤ずきん」

「白雪姫に墓はいらない」

「白雪姫に墓はいらない」




隣国の王子、無人の門をくぐる。いぶかしげに顔をゆがめる。

王子 誰か!誰かおらぬか!隣国の王子、王妃に謁見に参った!

声はホールに響く。しかし答えはコダマだけ。

暗い玉座より声。

王妃 ここにおります・・・

王子 王妃!これはいったい?

王妃 みな、逃げてしまいおったわ。

王子 なぜ?

王妃 音におびえて。

王子 音?

王妃 神は情け深い方。懺悔を聞く耳を使わした。

王子 罪と?

王妃 嫉妬ゆえの罪。カインをとらえた古き罪。


    もう十日になります。あの歌声がするようになってから。

    低い歌声が聞こえるのです。森の方角から・・・。

    地を這う嫌らしい虫たちが好みの餌にまとわりつくように、

    この城を歌声が包み込むのです。

    そして城の中にねずみの物音が頻繁にするようになりました。

    召使たちはおかしなうわさをするのです。

    ネズミではないなどと。そしてそれはまことでありました。


    私もこの目で見ました。それは手、切断された手が動いている!

    あの指、覚えがありますとも!あの白い指は白雪姫。


    あの子に呪われた森のおぞましい小人どもが力を貸している。

    死んでいるというのに、

    わたしがメスとノコギリでバラバラにしてしまったというのに。


    私はあの継子、白雪姫に嫉妬しておりました。

    ああ、美しい子。人の目を輝かせるその愛らしい笑みも、私の心を曇らせるばかり。

    老いさらばえていくこの身に比して、若さのなんとまぶしく見えること。

    私はあの子を殺めてしまうことに決めたのです。

    体を7つに切り離して森に埋めました。

    あの森!深い暗黒の立ち込める呪われた場所に!


王子 なんとおぞましい!この人殺しの悪魔め!地獄の釜もお前には生ぬるい!


王妃 バラバラにしたものをあの森、

    呪いの森と羊飼いたちが呼んでいるあの恐ろしい森。

    低木の下や木蔦の根のしたなど、別々の場所に埋めたというのに・・・

    城のものはみなにげだしました。

    私は必要な儀式をとりおこなって、あの子の悪魔祓いをしようとした・・・

    私はその方面には詳しいのですよ。

    もっとも古く、もっとも恐ろしい呪文も試してみた。

    しかし、あの子はまた帰ってきている。


    白雪姫は・・・というよりも白雪姫の一部は・・・毎晩戻ってくまいります・・・

    あの子の足、腕、太股が、

    言いようもないやり方で階段をのぼり、私の心を苦しめる・・・

    神よ、あの子の血まみれの細い胴が私を待ち伏せしているとは。

    恐ろしいこと。私は気が狂ってしまうでしょう。

    あの子は私を狂わせたり、狂うまで苦しめたがっている。

    だからこんなバラバラの状態で私の前にやってくるのです。


王子 おのれの身の罪にふさわしい罰を受けるのだな!

     この不浄の場にはこれ以上いたくない!

王子、ひるがえって歩き出す。

ホールを出て門に向かい歩く王子。はたと立ち止まる。

王子 はて?空耳か。不可思議な歌声が聞こえるような・・・

とたんに王妃の悲痛な叫びが響く。

王妃 ああっ!くるなっ!くるでない!

王子、悲鳴に振り向き走り出す。

暗がりの玉座に王妃がぐったりともたれかかっている。

王子 いったい何が!王妃!

王子駆け寄る。王妃、すでにこときれている。その前に小さな影。

王子 おお・・・白雪姫?

    これは美しい・・・


そうして王子様は白雪姫に口づけをしました。






「赤頭巾」

「赤ずきん」


赤頭巾は聞きました。

「どうしておばあさまの手はピンク色で甲殻生物の様に節くれ立っているの?」

「どうしておばあさまの髪の毛は短い触手に覆われた楕円状の渦巻体なの?」

「どうしておばあさまの背中にはバカでかい背ビレのような羽が生えているの?」


「それはねェ・・・」

そういうとそのモノはおばあさんの服を脱ぎ捨てました。


その瞬間赤頭巾は、人間の顔にこれまで見たこと無いような、純然たる恐慌状態の激しくすさまじき痙攣状態でもって、その場に崩れ落ちました。


きわめて異質のぶんぶんうなるような声で、そのモノは言います。


「おまえのむき出しの、かさばらない脳をとりだして!」

「ユゴスで産出する金属の筒に生きたまま封じ込め!」

「円筒にそなわった電極の作用でもっておまえの感覚を保ったまま!」

「時空連続体をよぎってさらにその向こうの旅の各段階を通り!!」

「太古に著されたある種の禁断の書物で!」

「<ユゴス>と謎めかしてほめのかされているものにほかならない!」

「海王星の彼方に位置する太陽から9番目の惑星に!」

「いぁ!はすたぁ!つれていくためさァ!!」