ゲームの紹介

 「ロード・オブ・ザ・リング 〜指輪物語〜」は一風変わったボードゲームです。
 通常、ボードゲームは多人数のプレイヤーによる競争が前提となっています。「モノポリー」しかり、「人生ゲーム」しかり、「カタン」だって例外ではありません。
 しかしこのゲームは違います。プレイヤーの間に競争はなく、お互いに協力しあってゲームを進めていくのです。全プレイヤーの勝利か、全プレイヤーの敗北しか結果はありません(正確にはテレビゲームのように得点がつくので、毎回微妙に異なる結果が得られますが、基本的には勝ちか負けのみです)。

 プレイヤー全員が仲間になる、というとテーブルトーク・ロールプレイングゲームのことを思い浮かべた人もいるでしょう。その想像はあながち間違いでもありません。何といっても、TRPGの元祖と言われるダンジョンズ・アンド・ドラゴンズは、このゲームの原作である「指輪物語」をモチーフにして作られたからです。
 それでは両者をつなぐ「指輪物語」とはいったいなんでしょう。映画「ロード・オブ・ザ・リング」をご覧になった方はよくご存知のように、ホビットと呼ばれる小人族の主人公が中つ国という架空の世界を延々と旅をするというお話ですね。
 詳しいあらすじはゲームストーリーのページを見ていただくとして、このとき主人公のフロドは1人で旅をするわけではなく、他のホビットや人間、あるいはエルフとかドワーフといった種族の助けを借りるのです。これが、仲間(パーティ)を組んで旅をする、というRPGの思想の源流となっていることは疑いもありません。「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」だって必ず仲間を連れているでしょう。また原作は三部作となっていますが、第一部のタイトルが「旅の仲間」となっていることからもパーティの重要性がわかります。

 このボードゲームでは2〜5人のプレイヤーはみんなホビット族の若者になります。もちろんストーリーにのっとり、主人公のフロドを初め原作でお馴染みの登場人物です。ゲームの目的は冥王サウロンの力の指輪を破壊すること。とは言え、指輪は最初からフロドのもとにあるので、後はそれを唯一滅ぼすことができるモルドールの火山に持っていくだけです。
 ところが、問題はこのモルドールというのがまさにサウロンの支配する国だということ、そして指輪の魔力は持ち主を堕落させサウロンのしもべに変えてしまうことです。指輪を持つプレイヤーは、サウロンの力に抗いながらモルドール目指して進まなければなりません。もちろんゲームは終盤モルドールに近づくにつれてますます危険度を増してゆきます。あなたは無事に指輪を捨てることができるでしょうか? もし指輪の魔力に屈してサウロンのしもべになったら、指輪はサウロンの手に戻り、プレイヤーは全員死を迎えることになるでしょう。

 ここまで読んで、じゃあ指輪を持つフロドだけが特別なの? という疑問を持たれた人もいるでしょう。そうではありません。ゲームを通じて、指輪はその所持者を何度か変えることになります。それがどのホビットであれ、指輪所持者がサウロンの力に囚われた時点でゲームは終了となります。では、指輪所持者以外のホビットがサウロンに捕まった場合はどうなるのか? その場合は申し訳ありませんが、そのプレイヤーだけが死んで、残ったメンバーでゲームを続けることになります。旅は非情なのです。
 しかし、ゲームに参加し続けたいからといって利己的な行動ばかりとっていると、指輪の破壊というゲームの勝利を得ることはできないでしょう。時には自分が犠牲になって指輪所持者を助ける、そのくらいの勇気がなければ旅を完遂することができません。このゲームのバランスはとてもシビアに作られているのです。

 さて、ゲームのシステムについて説明しましょう。まず各プレイヤーはそれぞれのキャラクターカードを受け取ります。ああ、そこそこ、勝手にガンダルフとかアラゴルンとかを選んじゃだめです。プレイヤーはあくまでもホビットにしかなれません。フロド、サム、ピピン、メリー、ボルジャーの5名から選んでください。5人未満の場合は前方から順番に選択します。どの場合でもフロドとサムの2人は必ず入るということですね。フロド・プレイヤーは、指輪も同時に受け取ることになります。各ホビットにはそれぞれ独自の特殊能力があるので、どのホビットになるかでゲームの戦略が違ってくることになるでしょう。
 ゲームボードは、メインボードと各シナリオボードの2つからなります。メインボードには、フロドの家<袋小路屋敷>から始まって、<裂け谷>、<モリア>、<ロスロリアン>といったストーリーの重要なポイントがマス目となって描かれています。プレイヤーは各自のコマをメインボードに置き、ゲームの進行途中で各シナリオが発生するごとにシナリオボードの方にいったん飛ぶことになります。各シナリオが終了すると、再びメインボードに戻ります。

 各自のコマといっても、プレイヤー同士は旅の仲間なので分裂することはありません。実は、中つ国の地図上の移動を示すマーカーはプレイヤー全員で1つしかありません。スタートの<袋小路屋敷>に置かれているのはこのマーカーです。各プレイヤーを表すホビットコマは、同じメインボードでも下部の誘惑ラインと呼ばれるところにおきます。これはいわゆるライフポイント(ヒットポイント)を示すもので、これが0になったプレイヤーはサウロンの誘惑に屈したことになりゲームから退場することになります。
 ここでよくできているのは、誘惑ラインの右端、ホビットコマとちょうど正反対の位置にサウロンコマがあることです。実はこのサウロンコマはゲーム中、サウロンの力が増すたびに左に向かって進むことになります。つまりプレイヤー全員の体力が1減るわけです。各プレイヤー個々にダメージが加えられたときには、そのホビットコマが右に向かって進むことになります。サウロンコマとホビットコマが出会ったとき、ホビットはサウロンに捕まったことになります。

 ではゲームを始めましょう。まずスタートのマスをよく見ると、何か書いてあります。指輪所持者がみんなに読んで聞かせるといいでしょう。えーと、「ガンダルフ 全プレイヤー:ホビットカードを6枚ずつ受け取る。」 これはガンダルフが袋小路屋敷に出現して(映画の冒頭にもありましたね)、まあ、ホビット達に助言をしたと、そういう意味ですね。で、ここで配られるホビットカードというのがいわゆる手札となります。各プレイヤーはこの手札を他のプレイヤーに見せてはいけません。ゲームの途中、このホビットカードを使って戦ったり、危機を避けたりすることになります。このホビットカードには、特殊カードとして他の仲間たち、レゴラスやギムリなどが入っていることもあります。
 スタートマスには後2つイベントがあるので、それを順番にこなしてください。すべてのイベント終了後、次のマス<裂け谷>にマーカーを移動させます。あ、サイコロを振ってはいけません。そういうゲームではないので。
 こうして旅を進めていくと、やがてシナリオマスに到達します。最初のシナリオマスは<モリア>です。各プレイヤーはここでシナリオボードに目を転じることになります。あ、マーカーやホビットコマを移動する必要はありません。シナリオ終了後は、再びメインボードに戻って続きをプレイすることになりますので。

 シナリオボードにはメイン行動ラインというものがあります。このメイン行動ラインにも別のマーカーが置かれていますので、このマーカーを進めてメイン行動ラインを終了するとシナリオボードをクリアすることができます。行動ラインは他にもあり、アイテムなどを手に入れることができますが、他の行動ラインを終了してもシナリオを終えることはできません。あくまでもメイン行動ラインのみがシナリオを進める手段です。
 シナリオボードでは、各プレイヤーはホビットカードを使って順番にプレイをしていくことになります。最初のプレイヤーはその時点での指輪所持者で、以後左回りに進めることになります。

 自分のターンが来たら、まずプレイヤーはイベントタイルというものを1枚めくります。このタイルに行動シンボルが描かれていたら、そのシンボルにあてはまる行動ライン上のマーカーを1つ進めます。運がよければメイン行動ラインを進めることができるでしょう。進んだ先のマスの指示に従ってサイコロを振ったりアイテムを手に入れたりします。サイコロの代わりにタイルを使ったすごろくと考えてください。
 しかしタイルには行動シンボルだけではなく、日時計が描かれていることもあります。これが出たら、シナリオボードのイベントボックス上のマーカーが1つ進み、そこに書かれているマスの指示に従わねばなりません。このイベントというのが、実に大変なものばかりなのです。油断していると、あなたのホビットはあっというまにサウロンの虜になってしまうでしょう。
 基本的に、行動ラインの指示は良いもので、イベントボックスの指示は悪いものだと考えてください。このイベントによってホビットが誘惑ラインを右に進んだり、サウロンが左に進んだりするのですが、これを避けるためにホビットカードを使うことができます。重要なのは、ここでカードを使うのは手番以外のプレイヤーでもかまわない、ということです。誰かが危機に陥ったら、迷うことなくカードを使いましょう。何といっても、仲間なのですから。

 とは言え、一度使ったカードは捨てなくてはいけません。また、ホビットカードは行動ラインを進めるために使うこともできます。どこで使って、どこで手を抜くか、そのジレンマがゲームの特徴です。
 またゲームの途中、サイコロを振るように指示される場面が何度かあります。このサイコロの結果によっては、ホビットコマが誘惑ラインを3歩も進むことになり、転がす手にも力がこもります。斬新なアイデアを取り入れながらも、ゲーム本来の魅力を失っていない「ロード・オブ・ザ・リング 〜指輪物語〜」。映画を見た後は、ボードゲームでストーリーを追体験してみてはいかがでしょう?

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