モリア

・唱えよ、友、そして入れ(「旅の仲間下」第四章「暗闇の旅」より)

 魔狼ワーグの群れに襲われつつ、一行はかつてドワーフが築いたモリアの坑道を試してみることにしました。しかしガンダルフの案内でたどり着いたのは、二本の柊の木に挟まれた岩壁でした。これはドワーフだけが知る秘密の入り口で、呪文によってその姿を現すのです。現れた扉にはエルフ文字で「モリアの領主、ドゥリンの扉、唱えよ、友、そして入れ」と書かれていました。しかし唱えるべき合言葉を誰も知らなかったので、一行はしばらく立ち往生してしまいます。

・水中の監視者(第四章「暗闇の旅」より)

 なんとか謎をといたガンダルフによって開いた扉でしたが、入ろうとしたとき突然、後方の湖から一本の触手が伸びてきてフロドの足を捕まえます。サムが短剣で切りつけると、すぐさま続けて二十本ばかりの腕が小波をたてて現れました。ガンダルフに急かされて一行が扉の中に駆け込むと、すぐさま触手は扉を閉めてしまいました。こうして背後の道は閉ざされ、モリアの暗闇を進むしかなくなってしまったのです。

・井戸に落とした石(第四章「暗闇の旅」より)

 魔法使いの杖の光を頼りに進む一行でしたが、やがてガンダルフの記憶にない部屋に出てしまい、そこで休息をとる事にしました。ピピンはその部屋の真ん中にある大きな井戸にひきつけられ、石を拾って落としてしまいます。石の音に呼応するようにハンマーの槌音が聞こえ、やがて静かになりました。怒られたピピンは罰として不寝番を命ぜられますが、一時間ほどでガンダルフが交代します。彼はパイプ草に火をつけて考えをまとめたかったのです。

・罠だ!(第五章「カザド=ドゥムの橋」より)

 ようやく一行は坑道の上層部にたどり着きました。再び休むことにしたこの大広間には外光を取り入れる採光筒があり、朝になると東と北から光が差しこんできました。北からのかすかな光はマザルブルの間に続き、そこにはバーリンの墓がありました。バーリンもまたビルボとともに旅をした十三人のドワーフの一人で、かつてドワーフが築き上げたモリアことカザド=ドゥムの王国を復興させようと三十年前にここに来たのです。マザルブルの書によってバーリンの死の記録と出口までの道とを見出した一行ですが、そのとき太鼓の大音響が響いてきました。罠にかかったのです!

・オークの襲撃(第五章「カザド=ドゥムの橋」より)

 オークの軍勢、そして岩穴トロルが一匹、マザルブルの間に迫ってきました。フロドもつらぬき丸を奮って戦いますが、オークの首領の槍によって壁に釘づけになってしまいます。誰もがフロドの死を覚悟しましたが、ビルボからもらったミスリルの鎖かたびらのおかげで打身しか負いませんでした。このミスリルこそ、かつてドワーフの王ドゥリンが、ここモリアで捜し求めていた希少金属だったのです。旅の仲間の活躍によってオークたちを撃退すると、一行は出口に向かって駆け出しました。

・逃げろ、ばか者ども!(第五章「カザド=ドゥムの橋」より)

 やがて一行は奈落に掛け渡された橋に出ました。昔のドワーフたちが防御のために考え出したものです。一列になって橋を渡らんとしたそのとき、オークたちの後ろから燃えさかる黒い姿が現れました。バルログです。これこそ、かつてドワーフたちが誤って目覚めさせてしまった太古の悪魔、ドゥリンの王国を滅ぼした禍だったのです。一人後に残ったガンダルフは、橋を崩してバルログを奈落の底に帰すことに成功しますが、その代償に自らも落ちていってしまいます。

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