裂け谷

・エルロンド(「旅の仲間下」第一章「数々の出会い」より)

 エルフたちの住処である裂け谷は、いまや中つ国で最も安全な憩いの場所です。裂け谷の主人であるエルロンドの館にて、フロドはナズグルに負わせられた傷を癒し、ガンダルフとビルボに再開します。さらにエルロンドの宴会では、昔ビルボとともにドラゴンの洞窟まで旅をした十三人のドワーフのうちの一人グローインや、エルロンドの娘アルウェンの姿も見かけます。エルフの夕星とも称えられるアルウェン姫は、長いこと母の里であるロスロリアンで暮らしていたのですが、その地で馳夫ことアラゴルンと婚約もしていたのです。エルロンドはエルフの三つの指輪の一つ、ヴィルヤの持ち主でもありました。

・エルロンドの御前会議(第二章「エルロンドの会議」より)

 はなれ山に棲むグローインが、サウロンの使者の到来を語ります。使者はビルボのことを尋ね、彼から一つの指輪を取り戻してくれるなら、モリアをドワーフに返そう、と持ちかけたそうです。
 指輪とは何かとのグローインの疑問に答えて、エルロンドが指輪の歴史を語ります。かつてエルフのギル=ガラドと人間の王エレンディルはサウロンに力をあわせて対抗し、滅びの山オロドルインにて三者はともに倒れました。そのとき、エレンディルの息子イシルドゥアは、二つに折れた父の名剣ナルシルを使って、サウロンの手から指輪を切り取り我がものとします。ところでエレンディルは北方王国アルノールの王であり、息子のイシルドゥアは弟とともに南方王国ゴンドールを治めていました。エレンディルの死により、イシルドゥアはゴンドールを弟の一族に任せて、自身はアルノールへと向かいます。が、その途上指輪に裏切られて死に到ります。
 やがてアルノールは滅び、ゴンドールも王位継承者が途絶えて執政の一族が実権を握るようになりました。ここで南方王国ゴンドールの執政の息子であるボロミアが口を挟みます。モルドールと隣接するゴンドールは、いまや復活したサウロンの猛攻に晒されていました。頼れるのは隣国ローハンのみ。ボロミアは弟ファラミアの見る夢のお告げに従い、裂け谷に「折れたる剣」を求めてきたのです。その話を聞いてアラゴルンが立ち上がりました。彼は「折れたる剣」ナルシルを取り出し、自分はイシルドゥアの子孫、滅びた北方王国アルノールの王家の後裔だと名乗ります。彼は剣を鍛えなおし、ゴンドールの都ミナス・ティリスに行くことを約束します。もっとも、
 指輪所持者であったビルボとフロドの話の後に、ガンダルフが前の指輪所持者ゴクリの話をすると、闇の森のエルフの使者レゴラスが口を開きます。ゴクリは彼らのもとに預けられていたのですが、サウロンの助けもあって逃げ出してしまったのです。渋面のガンダルフは、さらに悪い報せをもたらします。ガンダルフら賢人会議の長である白の賢者サルマンの裏切りでした。サルマンは長年指輪について研究するうちにその魔力に囚われ、居所のアイゼンガルドにオークや狼からなる軍隊を作っていたのです。ガンダルフもサルマンの居所アイゼンガルドに幽閉されましたが、大鷲の風早彦グワイヒアにより助け出されたのです。

・旅の仲間(第三章「指輪、南へいく」より)

 指輪の魔力は使用するものを堕落させ、第二のサウロンを作るだけ。かと言ってサウロンの手に指輪が戻れば、中つ国は簡単に支配されてしまうでしょう。こうして、指輪を葬ることが決定されます。しかしそのためにはモルドールの火の山まで指輪を運ばなければなりません。
 この困難な課題を達成するために、ホビットたちに加えて五人の旅の仲間が選ばれます。エルフの名剣グラムドリングと魔法使いの杖を持つガンダルフをリーダーに、折れたる剣ナルシルを鍛えなおしてアンドゥリルと名づけたアラゴルン、そのアラゴルンとともにゴンドールの都ミナス・ティリスに戻りサウロンの軍勢と対抗するボロミア、ドワーフを代表してグローインの息子ギムリ、エルフからは闇の森のレゴラスが旅の仲間に加わります。最後の日に、ビルボは昔自分が冒険で使ったという名剣つらぬき丸と、ミスリルの鎖かたびらをフロドに手渡しました。 一つの指輪を見つけたその冒険で、ビルボはガンダルフやギムリの父親グローインとともに闇の森に侵入し、レゴラスの父親に捕まったりもしたのです。
 ナズグルに対抗して九人となった旅の仲間は、裂け谷を後にして東南の柊郷に向かいます。しかしここには褐色人の国から来た大鴉クリバインが偵察をしていました。さらに霧降り山脈を赤角山カラズラスから越えようとしますが、吹雪がひどく越えることができません。エルロンドからもらった強壮飲料ミルヴォールで元気を取り戻した一行ですが、雪崩と落石によってとうとうカラズラス越えを諦めます。

戻る