加奈〜いもうと〜


(WINDOWS:D.O./1999)






俺には妹がいない


 なんとこれで3kg痩せました。
 もう発売されて10年以上経っているのにこの破壊力。
 私こんなにナイーブでしたか?いい齢したおっさんが深夜モニターの前でしくしく泣いているのはかなりアレです。ええ、きもいです。しかも2回同じテキスト見てもやっぱり泣いてるってどういうことですか。

ゲームについて

ストーリーは意外とシンプル


 ゲームは、主人公と2つ離れた病弱な妹、加奈の小学生から高校生まで(主人公は大学生まで)の関係(ぶっちゃけ禁断の愛)がメインです。それに脇役数名がからんで展開していきます。
 タイトルが潔いです。つまり加奈です。そして妹です。妹の加奈がゲームのほぼ全て。実際そうです。購入時に間違うことはありません。妹ラヴ用ゲームです。
 ただしさんざん妹萌えさせてほとんどの場合死ぬので人によっては心理的ダメージがすごいことになります。

〜ネタバレを含むため以下注意されたし〜


起動するとファンが唸りノートンが怒る(ダウンロード版)

 ゲーム性はあんまりありません。プレイできる小説感覚です。
 ストーリーの進行途中に選択肢があって、これによって以降の展開が変わり、妹の加奈が死んだり死んだり死んだり死んだりします。うがががが。
 エンディングは6つありますが、加奈が生存するエンディングはたった1つだけです。それまでは、ただただ何度も泣かされます。テキストの心理描写が秀逸なので、めちゃくちゃ泣かされます。多少くさい表現もありますが、私にはすんなり感情移入できました。
 幼少時のクラスメイト等の反応とかすごくリアリティがあります。実際あの場に居合わせたらいたたまれないだろうなあ…。下手すると登校拒否ものです。
 夕美ちゃん人形を見たときの「☆予想される結末1〜3」が笑えます。「やべーよトゥルーラブだよ」(参考:「トゥルー・ラブ・ストーリー」発売1998年11月、「加奈〜いもうと〜」発売1999年6月)



知らなかったのか?鹿島夕美からは逃げられない…


キャラクター雑感

・藤堂隆道
 地味に変態。病弱な妹に性的な目を地道に注ぐ変態。加奈の下着でフォォォォするのは間違いなく変態。血のついた指をなめられて興奮するのも結構変態。加奈の血の跡を見て興奮するのも変態。
 妹俺に気がありそう→オールグリーン、ゴー!とはならない理性はあるみたいですが、だからこそ歪んで変態チックになるのかも知れません。
 主人公補正のせいか高スペック。加奈にかかりきりで帰宅部だった割には(弁護士を目指す夕美の大学と交流あるからそれなりにレベル高そうな)大学にさくっと入学し、陸上の記録保持者の勇太に殴り勝てるだけの腕力があるとは。家できっちり勉強・鍛錬しているんでしょうか。謎です。
 加奈に対する囲い込みがすごい(選択肢によっては)。紫式部(紫の上のことですか)とか勇太に言ってますが、それはお前のことだろ。結構卑怯な奴だと思います。

・藤堂加奈
 病弱です。絵にかいたような内気でお兄ちゃんラヴの正統派妹です。ベタなんですが、腕をからめて上目づかいに「…だめ?」とか「せっかくくっついたのに簡単に離れちゃわないでよ…」とか反則です。保護欲をぐりぐり刺激する言動を連発します。でも後半は結構積極的ですねえ。

・鹿島夕美
 ビッチに見えて一途。いいじゃないですか、なあ?
ただ、自分でホテルに連れ込んでおいて「何で抱いたの?」はないと思います。あの状況ならフリーの男はたいがいやっちゃうのでは。
 さりげなく隆道と加奈の写真を倒すくだりとか、ちょっと可愛いです。加奈死亡エンド(ノーマル2,3知的ルート3)での役割は光るものがありますが、ベストエンド時の扱いが可哀そうです。最後の超重要フラグになってるのに…。

・伊藤勇太
 いろいろシナリオ上端折られたんでしょうか。同じライバルキャラなのに夕美と比べて扱いがかなりひどいです。当て馬(あるいは噛ませ、もしくは空気)以外の存在意義全くなし。全てのエンディングに1度も登場せず。可哀そうな役回りです。ほんとに1回くらい加奈とデートする展開があってもよかったような…。

・霧原須磨子
 この人の死のシーンもかなり精神的にきついものがあります。この人が出てしまうと、知的ルート入りなので加奈は助からないんですよね。

・霧原香奈
 健気で可愛いです。脇役なのでそんなにキャラ的には掘り下げられてませんが、こんなものでしょう。中学生CGがあってもよかったと思います。

・近藤美樹
 脱がないから。勘違いしないように。

・長瀬智樹、船津育郎、下田雅俊
 あんまり本筋にからまなかったなあ。高校卒とともに完全消滅。分子生物学つながりで智樹と加奈がからむかと思いきや、何もなし。端折られた感があります。  

非アクティブ時も動作するといいなあ(独り言)


エンディング雑感(順不同)

・知的ルート第1エンド「雪」
 夢で加奈と最後の会話をし、死後病室に置いてあった思い出のウメバチソウが咲く、という内容です。私の最初プレイのエンディングがこれでした。正直、「え、これで終わり?」でした。あっさりしててなんというか…。これは選択がいまいちだったとのお言葉ですか?理性で耐えちゃだめなんですか?

・知的ルート第2エンド「おもいで」
 加奈の肝臓を香奈に移植。(実際は脳死状態じゃないと難しいのではないかと思いますが)加奈が残した日記を読むエンディングです。この日記がきつい、実に精神にきます。涙ダラダラです。
 日記を書き始めた時期と抜粋している1日分の分量を見る限り、文庫本数冊分もなさそうな気もしますが…。

・知的ルート第3エンド「今を生きる」
 第1と第2を足してさらに夕美との関係の回復。残された人間としてはベストなエンドです。
 日記で一番ぐっとくるのは「今日、海を見た。もう恐くない。」これに尽きますね。
(でもこれ、いつ書いたんでしょうかね。隆道とやって寝る直前?)
 次にくるのが「願わくば、明日のわたしが、今日のわたしより優れた人間でありますように。」
 これはそんなに目新しい表現ではないと思いますが、死期を悟った上でなおこれを言えるのが泣けてきて加奈ぁぁっ!

・ノーマルエンド「追憶」
 隆道の腎臓移植も空しく加奈は死亡。隆道も加奈の死から少し立ち直りつつある半年後の墓参りから始まります。夕美との関係も友達以上恋人未満でなんとなく続いている状態に復活。
 もっとも普通なエンディングです。それでもこの破壊力。BGM切って「愛しています」は反則だ!あざとくて反則だ!だが泣いてしまう。ずるい、ずるいぞ!

・夕美エンド「迷路から」
 隆道の腎臓移植も空しく加奈は昏睡状態が続き、隆道の精神がだんだん崩壊していきます。退院した加奈の幻を見るようになり(ここのくだり、よく読むと加奈が存在していないことが分かって結構恐いです。)さらに加奈の死に目に立ち会えず、告白もできなかった負い目から完全に壊れて鬱状態になります。最後は夕美の献身的な介護と一芝居により我に返るのですが…。隆道のトラウマがリアルにプレイヤーの方にまでがっつりダメージを与えに来ます。
 夕美が加奈のふりをして、「大切に思ってくれてるって、知ってるから」と言うシーンが好きです。隆道になりきってると違和感があるんですよね。加奈の言い方じゃない、と。
 あと、夕美が隆道をいさめながら(加奈を)「ううん、今でもそんなに好きじゃない!」どこまでも正直で好きです。
 バッドエンド扱いの評価もありますが、私は嫌いじゃないです。加奈が本当に大切だったから自分を失い、取り戻すまで長い時間がかかった。でもそれは決して無駄なことではないと思います。
 錯乱して夕美を殺して自殺、とかだったら激鬱ですが。

・ベストエンド「はじまりのさよなら」
 唯一の加奈生存エンド。奇跡が2回くらい重なって加奈が完全退院。2人は結ばれるけれど、依存しあう関係では幸せになれない、と考えた加奈は高校卒業後就職して一人暮らしを始める…。

 ええと、まず、血縁のない兄妹は結婚できますよね?ね?

民法第734条 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。

 だからここでの「禁断」はあくまで世間体の問題ですね。(確かに幼少から暮らしている兄妹がそのまま関係を持ってたら世間的にはよろしくないでしょう。)
 シナリオ編集の時間的な差からか、エンディング前に既にキスしてお互い気持ちも告げているのにまた逆戻りしてるかのような表現があったり、していない「一度だけの約束」が出てきたりしますが、許容範囲です。
 何かすべてとんとん拍子で現実味がちょっと薄いですが、生存エンドが1つはないとあまりにも救いがないし、会社がテロされかねない(かねなかった)ので、いいと思います。ほっとします。
 ところで、お互いに手術痕があった方が燃えると思うけどなあ!なあ!(実際は腎臓移植の痕はそんなに目立たないようです。)
 あと空気の勇太君はきっとこの後玉砕するんだろうけど、真実を知った彼に隆道君刺されませんか?

絵の性能の差が戦力の決定的な違いではない


 絵についてはいろいろ言われているようですが、有名な幼少期のリンゴ剥きと海のおんぶ以外は気になりませんでした。(よく見ると背景画とCGで調度の配置や色に食い違いがあったりしますが)加奈の病弱ではかなげな雰囲気もよく出ていると思います。
 CG書き直し&声のあるリニューアル版もありますが、個人的には声はいらない(声優さんごめんなさい。)やっぱり読んでるときに想像する声と話す速さのイメージがあるので…。


啓皇って声に出したら国立っぽくないよー


 このゲームのテーマは、もちろん親しい者の「死」であるわけですが、もう一つのテーマは、残された者がどう生きるか、なんですよね。
 どのエンディングでも残された者に救いがあるところがいいと思いました。
 死は、悲しいけれど絶対の不幸ということではない。知的ルート3でも似たようなこと言ってますね。そういうということなのかな、と。
 加奈生存したけどNT…いや、なんでもないです。

システム


 巻き戻し機能があります。セーブ領域も30個と充分。ただ、結構序盤でルートが決まるので、やり直し回数はそれなりに多くなって加奈あああ!

音楽


 自己主張少な目ですが、それぞれのシチュエーションに合わせてすっと心に入ってくる良い音楽だと思います。曲のタイトルも好きです。

実用性(?)は低い


 絵が悪いということではなく、ストーリーが重すぎて、主人公みたいに欲情できません。18禁ですが、Hシーンは自然でそんなにいやらしく感じませんでした。

その他


・私はWindows7版でプレイしたのですが、ちゃんと藤堂家のアンテナは地デジになっていました。
・お茶(あるいはコーラ)ブーッのSEはやけに力が入っているような気がします。
・腎臓移植するならもっと早く着手すればよかったと思います。
・幼少期の国語の教科書は三浦哲郎の「盆土産」ですね。光村図書で今も採用しているようですが、中学2年の教科書のようです。(そういえば私の教科書もこれでした。)
・加奈と街に出るところで、VOWで名高い「ちかんはエッチだ気をつけよう」の看板があります。(エッチじゃない痴漢という命題は成立するのでしょうか?)
・ダウンロードサイトのジャンルで「病院」とか「ナース」とかいうのは微妙に違うと思った。美樹さんは脱ぎませんよ?院内プレイもないですよ?
・校正は大事だと思った…。私はあまり気にしないけど…いくつか誤字あります…。

おかえり!!


 ついでに「加奈…おかえり!!」もやりました。ええ、やりましたとも。
 テキストに微修正が入っていますが、シナリオに変更点はありません。

○良い変更点
・声優さんみんな頑張ってます。違和感ありませんでした。これならあってもいいと思います。一人ひとり声とテキストが選べるのもポイント高いです。
・セーブポイントがこれでもか、のなんと50箇所。シチュエーションのタイトルに加えてSS付きなのでより思い出しやすくなっています。
・ミュージックとCG鑑賞が同時にできるようになっているのは結構うれしいです。
・ボーカル2曲追加…「潮騒のメロディ」はちょっと明るすぎる気もしますが曲が増えているのは素直にうれしいです。
○残念な変更点
・絵…書き直した割にはイマイチです。美樹さんのいやいやツイストがただの癇癪にしか見えないです。藤堂家台所の冷蔵庫を開けると多分絵にぶつかります。(姑みたいな突っ込みだ)夕美、誰だよお前。違いすぎ。もっとも許せないのは近所の商店街の「写真館」が簡体字になっていること。中国外注出してもいいけど、ちゃんと最終確認してほしいです。
・アニメーション…何とあのシーンにアニメーションが追加!!っていらねええええええええええ。テキストが長い部分だと延々と同じ動作を繰り返すことになって…笑えてしまう…。


総合評価
難易度★★★☆☆フラグとポイントを勘違いするといつまでもエンディングがコンプリートできない
操作性★★★★☆普通です
とっつきやすさ★★★★☆問題ありません
持続度★★☆☆☆攻略チャート見たらすぐ終わります。ただし、このゲームの価値はそこじゃない。
泣きすぎ度★★★★★誰にもプレイしている姿は見せられません。
思い入れ度★★★★★10年しか経っていないのに?





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