クロノトリガー
SQUARE / SFC  

 
 時空を駆ける大活劇

 最も優れたRPGを一本挙げよと言われたら、 「クロノトリガー」を挙げるでしょう。 ストーリー、キャラクター、システム、サウンド、 あらゆる点で、究極的とも呼べるほど素晴らしい傑作です。

 「ドラクエ」で有名な堀井雄二氏と、「FF」で有名なスクウェアが コンビを組み、そこに鳥山明の絵が加わるという、豪華なスタッフでこのソフトは開発されました。 それぞれの才能の長所が見事な相乗効果を生み、 最高級のRPGに仕上がっています。

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 この作品の題材はタイムトラベルです。 原始から古代、中世、現代、未来まで、主人公たちは時空を旅して、 破滅から世界を救おうと飛び回ります。 それぞれの年代には仲間となるキャラクターがいるのですが、 皆、時代を反映しつつ個性的で、生き生きと躍動しています。

 同時に、現実がそうであるように、大抵そんな人々には、辛い過去や束縛がある。 後に色んな形でそれを見ることが出来るのですが、 皆どこかで苦しく悲しい出来事があり、それを乗り越えようと、 懸命に今を生きている。 「クロノトリガー」の背景には、そういう人生の真実の姿があって、だから 物語に膨らみがあるんです。

 中でも、一番心に残ったのが、勇者サイラスの話でした。 軍隊を率い、人々の尊敬を集め、聖人然としたサイラスは、 ある日突然人々の前から姿を消します。 ストーリーは、彼の行方を想像させる形で進行し、 その予想を越えた事実が用意されています。

 やがて時を経て、亡霊となったサイラスが親友と会話を交わす。 死者からの語りかけが、異様な説得力をもって伝わってきます。 これは、日本のお能によく見られる光景ですが、 何よりそこに至るストーリーがよく描かれているだけに、 大変ドラマティックで、 全身に鳥肌が立つほどでした。

 無論これは、数十もあろうエピソードのうちの一つに過ぎません。 ゲームは中盤以降、かなり自由度の高い設定になっていますので、 プレイヤーは様々な物語を追って、世界と時代を行き来しながら、 それぞれのエンディングに向かうことになります。

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 ストーリーだけでなく、このゲームはシステム面も革新的です。完成度も高い。 中でも嬉しかったのが、戦闘シーンでした。 ドラクエなどの場合、何も見えないのに突然敵が現れたりして、 時に不自然さやストレスを感じさせますが、 このゲームではそれを見事に解消しています。

 たとえば森を歩いていると、木々の後ろや草むらがガサコソ音を立てて揺れ、 近づくと敵キャラが飛び出てくる。 怪しいと思ったら近づかなければ良い。 戦闘も、移動画面そのままで、活きのいいアクションを交えて行われるというあんばい。 流れがスムーズで気持ちいい程です。

 そしてBGMも外せません。「風の憧憬」「時の最果て」 など、魅力的な音楽が、時と場面に合わせて流されます。 明るい曲、元気な曲、悲しい曲、幻想的なもの、切ないメロディ。 豪華に描き込まれたグラフィックと共に、これら多彩なBGMが雰囲気を高めてくれます。

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 「クロノトリガー」は、1990年代中頃、スクウェアの黄金時代の傑作です。 彼らの革新的な発想や技術力の上に、堀井雄二氏の王道的なシナリオとキャラクター性、 鳥山明のコミカルでドラマティックな世界観、それらが見事に融合して、 完全無欠の名作へと結実しました。

 後にリメイクされたプレイステーション版では、アニメムービーが付加されていました。 「ドラゴンボール」のような雰囲気の、取って付けたような軽々しい、 想像していた世界観をぶち壊すようなアニメで、 スクウェアという企業は、本当にゲームを愛しているのか、なぜこんな 浅慮な演出を加えてしまうのかと、 憤りよりも、残念な気持ちを抱いたことを覚えています。

 
 
(C)1995スクウェア, (C)1995バードスタジオ/集英社
●プロデューサー:
 青木和彦(スクウェア)
●イメージ/キャラクター
 イラスト:鳥山明
●スーパーバイザー:
 坂口博信(スクウェア)
 堀井雄二
●開発:スクウェア

(C)1995スクウェア, (C)1995バードスタジオ/集英社

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(C)1995スクウェア, (C)1995バードスタジオ/集英社
 ©1995スクウェア
 ©1995バードスタジオ/集英社

*この文章は記憶をもとに書かれており、勘違いや美化も含まれている可能性があります。
画像は他WebSiteから転載させて頂いたものです。


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