グランドマイスターインタビュー(完結編)

Q3.“ベルター(史料1)”から“鋼鉄の虹”に至る経緯
夜桜時代の「次期ネットゲームコンペ(※5)」に発表された“ベルター”や大学時代に書き溜められていた話というのを参考までに聞かせていただけませんか。これも個人的な趣味ですが

「お楽しみ(笑)」
「大した事は無いんだけどね。高校から大学にかけての頃、僕は非常にテーブルトークRPGが好きで、指輪物語みたいな話をやりたいなと思ってた。D&Dの英文訳してね。日本語版まだ無かったから。」
「その頃か。なんかすごいいいなそういう話」
「僕はシミュレーションはTACTICSもまだ無くて、ホビージャパンのオレンジ色のページから見てた人だから。TACTICSの3号(※6)で紹介されていたD&D買いに走って、みんなでいーっ所懸命訳してね、やってたんですよ。そしてその頃から世界作るのって好きでね、考えたのがアイヒマンみたいな博士というか鍛冶屋さんがいて、その人が剣を作るんです。意志を持ってて人間の姿にもなれるそれが世界に何本かあって、というね。その話で年代記みたいな物ができないと思ってた、と言うのがまず一つと、筋肉のあるロボットって言うの考えたんですよ。イェーガーハンドブックにも少し書いてあるけど。当時、バイオテクノロジーとか流行っていたから、それをネタにして。骨格の上に伝導で収縮する筋肉かぶせて、それに装甲かぶせるロボットね。」
「生物的な物ですか。流体パルスみたいな工学的な物でなくて」
「うん。筋肉ってのは断面積に比例して力が増えるけど、自重ってのは三乗で増えていくから。自重をどうしても軽くしないと動けない。まあ、鋼鉄と内容は違うけど、名前なんかは流用しましたって事ね。後、『ベルター』か。あれはね、名前が格好悪いんでやめたんだ。

(爆笑)
「さっきも少し言ったけど、宇宙空間の話って突き詰めちゃうとあまり面白くないんですよ。そりゃやろうと思えば面白くはできるけど、知識もいるし、ネットゲームでは難しいね。谷甲州の『航空宇宙軍シリーズ』位やって欲しいけど。それは無理だから舞台を地上にしちゃた訳。『ベルター』自体はね、スペオペ伝奇調の、小惑星帯を一つのストーンサークルに見立てて、太陽の中に謎を追って行く話を考えてたんですよ」
「すごいな。太陽の中で話し進むのはないよな(今は『サンダイバー』が早川から出ている)」
「で、誰がそれを作ったのかを解き明かすことと、そこにタイムマシンを絡ませて、時間を超えた存在を出すつもりだった。それでGM試験の最後に小説一本書いたのかな。」
「その内容は?
「22世紀に米中の二大パワーが地球圏を独占開発していて、他の国はその二つの属国になってしまっているんだ。そこで我が日本とドイツが、これはもう小惑星まで行くしかないってんで、外惑星開発に乗り出す。そして米中と肩を並べる力を得るんだけれど、今度はその小惑星の軌道がどんどんズレ始めて、日独の植民地が衝突してしまうんですよ。これを両国がお互い相手の陰謀だとして戦争になってしまうという。で、そのずれの理由というのが、さっきのシステムだったと言う話。」
「結構面白そうやねぇ。異星人が出てくる?」
「BEMを出したくてねぇ。最近の日本の若い人向けのSFモノに無いし。近頃は人間と違う存在が出てこないでしょう。例えば「ソラリス」とかの様な。あれは異様だよね。ああいうのをやってみたくて。それがどういう進化をして、どういう風に生きているのか。昔流行った、珪素生命の文化とかね。人類と異質の知性体をネットゲームに出してみたかった。」
「それものすごくマニア受けですね。」
「マニア受けだね(笑)。でも宇宙人とかがさ、日本人と同じ考え方するのは嫌じゃない。」

「そういうのは、最後に両種族は同一起源だったって事になるんですよね」

「それでBEMと仲良くするべきだって人の態度を見てみたい。対BEM和平派、対BEM戦争派。差を見てみたいわ。鋼鉄との(でもそう言えば那由他で食人異世界人・セミ人間相手ですら和平派が勝った。)」

「全く異質な文化の対立みたいなね、何もかも違う、それでも思考停止型の仲良くしましょう路線でいけるのか本当にとか。一度やってみたかったけどネットゲームじゃ無理だよね」
「もしかすると鋼鉄の虹世界の未来がベルター世界で、太陽系ストーンサークルってのがフェルネラントの誕生に絡んでるとか(笑)。でも、ファンタジーではないんですか?人間と全く違う思考の種族っの物語っていうの。ドラゴンなんかもずいぶん異質そうだけど。」
「ファンタジーでは無いなぁ。でもドラゴンで固体進化みたいな事やった人がいて、これはやられたって思ったね。ちゃんと生物学勉強してる奴もいるんだなって。」
「ドラゴンってのはすごく頭良いから、人間にわざわざ合わせてくれてるんだって設定が多いよ」
「あと、エルフと人間の違いね、不死の種族の文化ってのはどうなるのかって、今RPGに出てくるようなのでは無いだろうと考えてるんだけど。これは、そのうち使ってなんか書きたいから、ここまでにしとこうか」
「じゃ、いつの日か発表されるのを楽しみに待ってます」
「でもファンタジーもすっかり手垢が付いちゃったけどね」
「それと、もう一つ、フェルネラントの事でなんですが。集合無意識がフェルネラント作っているわけですよね。コンピュータに意識はありうると思いますか。進化の果てに」
「わかんない。意識ってのもまだ何なのか解ってないじゃない」
「もし、コンピュータに意識持たせられれば、彼等の集合無意識でフェルネラント再生させられるんじゃないか。現代舞台にした鋼鉄の続編(※7)って話し出た時に考えたネタなんですが」
「形としては悪くないけどね。SF的ではない、ファンタジー的な発想ではあるけれど」
「SF的発想で鋼鉄の虹の続編は無理でしょう」
「ディックとか読んでみたら」
「それと、Nr.28グレンデルは後に日本に引き渡されて鉄人28号になった。ブラックオックスとかもみんな元はウービルトであると言うのは?(笑)」
「(笑。ケホケホ)烏龍茶ないかな
「じゃあ終わりますか。時間もないし。とりあえず、テープ切りますね」

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エピローグしまったあああああああああ。」(使ってたテープの一つが、実は布袋寅泰であった事に後から気が付いた侠の叫び※8)

※5 この後の飲み屋での話。「実は、コンペの一番はめておの(『日曜の朝はスクランブルエッグ!』史料2)だったんだけど、彼、締め切りまでに企画書出せなかったんで繰り上げ当選になったんだ」そうだ。流石めてお。

※6 ホビージャパンから出ていた「ぎゃざ」の前身。82年5/6月号で、日本で始めてRPGの紹介&リプレイを掲載。記事の著者は高梨俊一。付録は国産初のミニRPGシステム「ドンキーコマンド」だった。

※7 二度チャレンジして挫折。と言うか自分には小説書く才能がそもそも無いことがよく分かった。設定だけならそのうちアップするかも。

※8 ダビングだったし、CDで買い直しました。

【史料1】

L『武装強甲べルター』 水無神知宏

「その時、宇宙は息をのんだ・…」

人類が生活の場を地球以外の場所に求めてから、早一世紀を経ようとする現在。他国に先んじて地球圏外に植民の手を伸ばした日本とドイツは、優れた字宙技術と緩済力により小惑星帯をその版図に加えていた。
フロンティアあるところ、常に開拓者の姿が在る。彼らが拠うのは全高十mに及ぷ人型作業艇、正式には空間作業授助型生命維持装置。真空のアステロイト・ペルトにおいて、それは彼らの服となり、身体となり、カとなった。だが、その正式名称はとうに忘れ上られ、人々は専敬と長怖ど、そして僅かな揶揄を込めてそれを呼ぷ。『ベルター』。小惑星の住人、と。

そして今、両国資源採掘帯の軌道が交差するAs(宇宙歴)九五年を前にして、両国家間の緊張は高まる。小惑星の資源こそは宇宙進出の理由であり、それを支える生命線なのだから。
アステロイド・ベルトで、コロニーで、虚無の空間で。開拓者達の繰り広げる、壮大な宇宙叙事詩。
発動、NG94『武装強甲ベルター』
太陽風を背に受けて、嵐と共にただ今推参!

「説明」
小惑星軌道にコロニーを持つ日本とドイツは、宇宙開発にしのぎを削っていました。
ブレイヤーは宇宙開発のスタッフとして『ベルター』を駆り、様々な任務を果たしていく事になります。採掘、経済活動、輸送、軍事行動等々。もちろん日常生活も。プレイヤーは各々、公団内部の部局に所属し(所属は毎月変更する事もできます)その一員として行動することになります(フリーアクション除く)。もちろん功績を挙げれば地位は上がり、取れる行動の幅も広がります。
プレイヤーの選んだ定番により、社会情勢や経済等はダイナミックに変動します。もちろん軍事面でも。戦況を決定するのは参加プレイヤーなのです。

さあ、あなたも動乱の宇宙に身を投じてみませんか?

【史料2】

H日曜の朝はスクランブルエッグ! 星空めてお

(これから冗談を書きます・・・)
「オコジョ年カビパラ月イタチ曜日 天王星発 フジツボ通信社。
ハァイ!ボクは黄身子。太陽系を回る特ダネ記者。ある朝ボクは卵を産んでいた。なに笑ってるのかな?君だってもう、一つ持ってるんだから。不可能を可能にしてくれる不思議な卵を・・・
さてさてボクの世界は愉快な人で一杯。時は石器時代で超未来。岡っ引きハッカーと恐竜使いのアイドルがサイボーグ宣教師で侍は錬金術師が傭兵でハイランダーなわけ。それぞれの星の様子は、
★水星 学問の都・ハイテク都市
★金星 恐竜と原始人のジャングル
★火星 戦場と荒野のウェスタン
★小惑星帯 危険なゴールドバレー
★木星 剣と魔法の城塞都市
★土星 火事と喧嘩の八百八町
★天王星 モダンで大人な芸術の国
★海王星 潮風とラム酒の港町
★冥王星 極寒のシベリヤ囚人都市
ざっとこんな所だよ。え、地球?地球はずっと大昔にブラックホールになっちゃった。詳しいことは偉い賢者様しか知らないんだ。今でも月は神聖な巡礼地になってるんだよ。
ゲームはアイテムカード3つと新遊演札を持ってスタート。ちなみにボクのはカメラとリボルバーとトランジスタラジオ!他にも魔剣とか天使の羽とかパンの耳とか色々。物々交換もオッケー。旧遊演を持っている人は最初に一個アイテムが買えちゃうおまけ付き。修行の旅ならぬ宇宙の旅では目的地が選択可能。旅先では貴重な情報が手に入ったり、重要人物と出会ったり、いきなり戦いに巻き込まれちゃうかも。さあ、君の卵からは一体何が生まれるのかな?それじゃ合い言葉は、『日曜の朝はスクランブルエッグ!!』」
(冗談、終わり)