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マイヤーのサバゲー戦記

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狙撃手
原書房
ISBN4-562-03362-2
定価1800円

私の知る限り唯一狙撃手について記述された書籍。イギリス人の著者らしく、始めは血湧き肉踊る文章ではない。

第1章 孤独な戦士たち
スナイパーとなる者の資質について充分な説明が行なわれる。ここで読書にスナイパーになる者の条件、心理状態を納得させる。 スナイパーの精神を読者に注入すると、だんだんと実戦のストーリーが紹介される。相手から見た狙撃兵。狙撃兵の相手に対する影響、戦果については、スナイパーの意義を理解することができる。 本書の中で敵兵1名を倒すのに必要な弾薬数が記載されている。歩兵は2万発で1名。狙撃兵は13発で10名。統計として表された事実の前には狙撃兵の有効性を立証している。 また随所に事例引用として挿入された逸話が圧倒的な説得力を持つ。ほんの数行のインタビューが如何なる反論も許さない。その言葉は戦場を闘った男達の言葉なのだ。

第2章 暗殺者への道
スナイパーの輝かしい戦歴を学んだ後には、現代戦でのスナイパー養成講座である。ここで実戦テクニックについての解説が行なわれる。ライフル射撃のテクニック、フィールド・クラフト(偽装全般)は、個々の戦例より充分に読みとる事ができる。過去のただ射撃がうまい歩兵ではなく現代戦での狙撃兵の職務には幅広い能力が要求される。各国の狙撃兵に求める能力、索敵/偵察能力と運用の違いもその違いがわかるまで解説している。

第3章 こちら了解
次に警察での狙撃についての解説である。軍と警察の目的の違いからその要求される能力を記述している。警察の狙撃手には1発で確実に犯人の行動を止めるより高度な要望とその方法である。

第4章 過去の偉大な狙撃手たち
多くの狙撃兵の話しが記述されている。例として映画スターリングラードの元の実話については9ページに渡って記述されている。

第5章 狙撃手の歴史
何時の時代からスナイパーは存在し、どの様な戦闘を行なったか、スナイパーの輝かしい歴史書とも言える。

本書は、狙撃についての歴史、実戦での戦果を元に狙撃について論理的研究がされている。 狙撃学の教科書と言えるであろう。学校出の新米仕官が部下の狙撃兵を知る場合の教本にもなろう。

ガンマニアならば、歴代の狙撃銃の図入り解説の方に興味を持つかもしれない。PSG−1が理由つきで警察用と明言されているのはショックだが。ドラグノフSVDも欠陥銃扱いされている。L85にいたってはボロクソ。文章に沿って多くの実戦の各時代、各国の狙撃兵の写真が掲載され、その装備も確認できる。

現代、歩兵の小銃は小口径化しつつある。小口径論は一般の交戦距離400mあれば充分の考え方だが、逆に第2次大戦時の標準口径のライフル弾の優位性が大きくなりつつある。 この時代の弾薬は歩兵の扱える最大薬量の弾薬であるから単純に飛距離、射程距離が大きい。5.56mm化したアメリカ軍が再び7mm口径(.308)での狙撃銃を真っ先に採用した事実は.223口径では能力不足で7.62*51のNATO弾の必要性を証明している。
P163には5.56mm(.233)と7.62mm(.308ウィンチェスター)の運動エネルギーの表が掲載されている。
逆に.223口径は威力不足として採用しなかったヨーロッパ諸国は狙撃銃としてG3、SIG,FALで充分に代用できている。アメリカは自国の7.62*51の火器として民間の狩猟用ボルトアクションライフル、レミントンを採用しなければならなかったとも言える。

さて、この本を読んでサバゲーに如何に応用できるか?一発必殺のスナイパー信者が一人増えても、実際にサバゲーには使えない。 なんせ500m以上の遠距離を標的にしている実際のスナイパーに比べ、せいぜい20m、30mの飛距離のエアガンではそのスケールが違う。一人倒すのに3日かけているのが実戦だが、サバゲーは長くて30分。 実銃でボルトアクションを使う明解な理由を紹介されている事に比べ、30mでは手動コッキングも電動も誤差に大差無い。実戦では音より先に弾が届くからサイレンサーなんか使っていない。500名以上を倒したスナイパーはスコープを使っていなかった事実も耳に痛い。

で何の役に立つと言えば気分である。 サバゲーでスナイパーになりきるにはその精神的バックボーンがかかせない。この本はそのバイブルとなろう。架空の人物ボブ・リー・スワガーでもいいけれど、実在するスナイパーの行動の方がよりリアルよ。アメリカ海兵隊ジューゼフ・T・ワード(公式記録63名)が北ベトナム軍1個歩兵大隊を壊滅した時の作戦行動。アメリカ海兵隊一等軍曹カルロス・ハスコック(公式記録93名)が>敵将校を3日間追跡した時の作戦行動。本書を読まなければ知る事のできない事例ばかりである。

マイヤーから一言
サバゲーではスナイパー=(イコール)ボルトアクションの例が多いが、実戦では銃は目的を達成する手段の一つに過ぎない。G3/SG−1のスナイパーの同志諸君も本書を読んでスナイパー道を究めよう。