| 「短期攻略!めざせ合格・簿記3級」合格テキスト 第1章 |
| 1章 簿記の基本 |
・ここでは、簿記学習のための基本的な事柄と基本的な流れを説明します。以下の4節からなります。
-1.簿記とは
-2.貸借対照表
-3.損益計算書
-4.簿記の流れ
・簿記とは、本来は、"帳簿づけ"のことです。
しかし、一定のルールに従って取引を会計帳簿に記録し計算することで、財政の状態や経営成績を明らかにすることができます。
「会社の手持ち財産はいくらあるのか。」「当期の儲け(利益)は前期に比べてどうか。」「得意先に対する売上債権はいくらあるのか。」「銀行からの借金の残高はいくらあるのか。」 などは帳簿をつけていないと知ることができません。 これらを計算する技術が"簿記"なのです。
・商店はもちろん会社の利益計算は、会計年度(または営業年度、事業年度とも言います)ごとに行われます。 日々の取引を記録して、最終的に会計年度の期末に1年間の営業活動の成果を「損益計算書」に示し、また、期末の財産の状態を「貸借対照表」によって示します。
まず、「損益計算書」と「貸借対照表」について説明します。
*2006年5月の新会社法の施行により、簿記検定の内容も大幅に変更されています。
今回の新会社法施行は、企業会計が国際化、多様化する中での対応ということで、「株式会社の会計」を出題範囲とする簿記2級では、会社の設立や増資・減資、剰余金の取扱いなど 大幅な変更を迫られますが、幸いなことに「簿記3級」は個人商店あるいは個人事業主(個人企業といいます)向けの簿記ですので「簿記2級」ほど大きな変更点はありません。
「貸借対照表」の表示区分も改定されました(各級共通)。従来の資産・負債・資本という区分から、資産・負債・純資産という区分に変更されています。しかし、簿記3級の出題範囲では、単に名称の変更がおこなわれた。という認識で対応可能と思います。
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1-1(2).貸借対照表 (Balance Sheet ; B/S)
・貸借対照表とは、商店あいるは企業の期末における財政状態(資産・負債・純資産の状態)を示す計算書で、英訳すればBalanceSheet で、略して"B/S"または"BS"ともいいます。
貸 借 対 照 表
平成×年12月31日
━━━━━━━┯━━━━━━┳━━━━━━━┯━━━━━━
資 産 │ 金 額 ┃負債及び純資産│ 金 額
───────┼──────╂───────┼──────
現 金 │ 100┃ 買 掛 金 │ 200
当座 預金 │ 150┃ 借 入 金 │ 150
商 品 │ 50┃ 資 本 金 │ 100
売 掛 金 │ 100┃ 当期純利益 │ 50
備 品 │ 100┃/ │
───────┼──────╂───────┼──────
│ 500┃ │ 500
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・2006年5月の新会社法の施行により、従来の資産・負債・資本という区分から、資産・負債・純資産という区分に変更されています。
資産・負債・純資産の状態の表
- "資産"とは、所有する現金・商品・土地建物などの有形のものや売掛金、貸付金などの無形の"債権"をいいます。
- "負債"とは、将来支払わなければならない買掛金、借入金などの"債務"をいいます。
- "純資産"とは、資産の総額から負債の総額を差引いた差額をいいます。個人商店、個人事業の場合は、純資産の内訳はほとんどが資本金(出資額)になります。
「純資産」を"自己資本"というのに対して、「負債」を"他人資本"と言うこともあります。
・資産・負債・純資産の状態は、以下の計算式で表現できます。(計算式1) 資産 − 負債 = 純資産 [純資産(資本)等式といいます]
(計算式2) 資産 = 負債 + 純資産 [貸借対照表等式といいます]
┌───────┰───────┐
│ ┃ │
│ (資 産) ┃ (負 債) │
│ ┃ │
│ ┠───────┤
│ ┃ │
│ ┃ (純資産) │
│ ┃ │
└───────┸───────┘
上の図のように、貸借対照表の右側と左側の総額は常に等しくなります。このことを"貸借平均の原則"あるいは、"貸借一致"といいます。
◆例題1. A商店のある時点の資産・負債は次のとおりである。
現 金 6万円、商 品 25万円、売掛金 10万円、買掛金 5万円、
借入金 14万円、備 品 8万円
資産・負債・純資産の額を求めなさい。
→ 資産の総額 49万円
負債の総額 19万円
純資産の額 30万円
*解説
資産は、現金・商品・備品などの有形のものと、売掛金・貸付金などの債権からなります。
よって、現金(6万円)+商品(25万円)+備品(8万円)+売掛金(10万円) = 49万円 となります。
負債は、買掛金・借入金などの債務です。よって、買掛金(5万円)+借入金(14万円) = 19万円 となります。
純資産は、純資産等式により、[純資産=資産−負債]の計算式で求めます。
よって、49万円 −19万円 = 30万円となります。
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1-1(3).損益計算書 (Profit and Loss Statement / PL)
・損益計算書とは、商店あいるは企業の一会計期間における経営成績を示す計算書で、英訳すればProfit and Loss Statement で、略して"PL" もいいます。
損 益 計 算 書
平成×年10月1日から平成×年9月30日
━━━━━━━━┯━━━━━┳━━━━━━━━┯━━━━━━
費 用 │ 金 額┃収 益 │ 金 額
────────┼─────╂────────┼──────
売 上 原 価 │ 300┃売 上 高 │ 450
給 料 │ 150┃受 取 利 息 │ 50
当 期 純利益 │ 50┃/ │
────────┼─────╂────────┼──────
│ 500┃ │ 500
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- "収益"とは、企業の経営活動の結果として得た収入で、資本が増加する原因となるもの。商品売買益、受取手数料、受取利息などをいいます。
- "費用"とは、企業の経営活動の結果として収入を得るために費やされたもの。給料、支払家賃、支払手数料、支払利息などをいいます。
資産・負債・資本の状態は、以下の計算式で表現できます。(計算式1) 収益 − 費用 = 当期純利益
(計算式2) 費用 + 当期純利益 = 収益┌───────┰───────┐
│ ┃ │
│(費 用) ┃ (収 益) │
│ ┃ │
├───────┨ │
│(当期純利益)┃ │
│ ┃ │
└───────┸───────┘
損益計算書もまた、右側と左側の総額は常に等しいという原則です。
("貸借平均の原則"といいます。)◆例題2.
A商店のある期間の収益・費用は次のとおりである。この期間の収益・費用・純利益の額を求めなさい。
商品売買益 140万円、受取手数料 6万円、受取利息 4万円、
給 料 41万円、支払家賃 20万円、広告宣伝費 34万円、
消耗品費 16万円、水道光熱費 12万円、旅費交通費 5万円
→ 収益総額 150万円
費用総額 128万円
当期純利益 22万円
*解説
収益は、商品売買益+受取手数料+受取利息で求めます。
140万円+ 6万円+ 4万円 = 150万円
費用は、支払給料+支払家賃+広告宣伝費+消耗品費+水道光熱費+旅費交通費で求めます。
41万円+ 20万円+ 34万円+ 16万円+ 12万円+ 5万円 = 128万円
当期純利益は、[収益−費用=当期純利益]の計算式で求めます。
よって、150万円− 128万円 = 22万円 になります。
*2007年4月から、費用の科目名称について変更がありました。
"広告料"は、"広告宣伝費"に、"交通費"は、"旅費交通費" に変更されます。
・簿記の手続きは、大きく「期中の取引き」と「決算の手続き」に分かれ、それぞれの手続きは以下のとおりです。
!ここでは、大まかな流れを解説します。
詳細は、次章からになりますので、読み飛ばしていただいても結構です。
期中の取引き
・"期中の取引"とは、会計期間の期中の取引きということで、日々の取引きの記録ということになります。
日々の取引きが発生するつど「仕訳帳」に記録し、その後「総勘定元帳」へ転記をします。そして、必要に応じて「仕入先元帳」や「得意先元帳」などの補助簿へも記録します。
「総勘定元帳」では、勘定科目ごとに集計がされますが、この残高を「試算表」へ記入し、間違いなく転記されたかどうか貸借の一致を確認します。
(期中の取引と記帳の流れ図)
┌──────────────────┐
│ 主要簿 │
│ ┌────┐ ┌─────┐ │ ┌─────┐
取引 ───→│仕訳帳 ├──→│総勘定元帳├──→│ 試算表 │
│ └────┘ └─────┘ │ └─────┘
└───┼─────────┼────┘
┌───↓─────────↓────┐
│ 補助簿 │
│ │
│ 「仕入先元帳」 │
│ 「得意先元帳」 など │
└──────────────────┘
決算の手続き
・日々の取引きを記録して、最終的に会計期間の期末、つまり決算で「損益計算書」と「貸借対照表」を作成します。この手続きを"決算手続"といいます。
詳細は、 8章.決算整理・その1、 9章.決算整理・その2、 10章.決算本手続と財務諸表の作成 で解説しますが、大まかな流れは以下のものになります。
(決算の手続の流れ図)
┌── ──┐ ┌──────────────────────────┐
│期中の手続│─→ 決算手続 │
│ │ │ ┌──────┐ ┌─────┐ ┌────┐ │
│ │ │ │決算予備手続├→│決算本手続├→│財務諸表│ │
│ │ │ └──────┘ └─────┘ └────┘ │
│ │ └──┼────────┼───────┼──────┘
│ │ ┌──↓────────↓───────↓──────┐
│ │ │ ・試算表 ・決算振替仕訳 ・損益計算書 │
│ │ │ ・棚卸表 ・帳簿の締切り ・貸借対照表 │
│ │ │ ・精算表 ・繰越試算表 │
│ │ │ ・決算整理仕訳 │
└── ──┘ └──────────────────────────┘
・"決算予備手続き"は"決算整理"ともいい、決算の本手続きの前に、帳簿記録に修正を加える作業です。
商品など現物があるものについては、"実地棚卸し"をします。また、諸帳簿、預金通帳、証拠書類などで資産や負債の増減を照合します。また、正しい期間損益を計上するために収益、費用の未経過分、未計上分などを調べます。
・"決算本手続"とは、"決算整理"で正しい期間損益を計算するための修正を終えてから、最後の「財務諸表」を作成する処理になります。
決算の仕訳をおこない純損益を確定し、諸帳簿を締め切ります。そして、財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の作成をおこないます。
詳しい内容の解説は、次章からになります。