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「短期攻略!めざせ合格・簿記3級」 合格テキスト 第7章 


 7章 その他の勘定の処理


・次章「決算の処理」の前にこの章では、その他の勘定科目の処理として、"資本金""収益と費用の勘定""税金"を取り上げ、以下の3節で解説します。

 -1.出資金と引出金
 -2.収益勘定と費用勘定
 -2.税金




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7-1.出資金と引出金


「 □□□□□□□□□ / 資 本 金 (資本+)  」
 引 出 金 (資本−)  / □□□□□□□□□ 」


・商店あるいは個人事業("個人企業"といいます)の場合、"資本金"とは、事業を始めるための元手になるものです。
 開業する場合、商店主あるいは個人事業主は、自らの資金を提供する形で、まず[資本金・純資産の勘定]へ計上します。これを"元入れ"といいます。なお、その後の出資は"追加出資"といいます。
 この元入れや追加出資は、現金ばかりでなく、土地や建物でもおこなわれることがあります。

・この"元入れ"とは逆に、個人企業の企業主が私用のために、家計からではなく、店の商品や現金を持ち出す場合があります。つまり、資本金から持ち出している訳で、このことを"資本の引出し"といいます。
 この場合の仕訳は、基本的に[資本金・純資産の勘定]を直接減少させますが、引出しが頻繁(ひんぱん)におこなわれる場合は、資本金勘定とは別に[引出金・純資産(資本金)のマイナス勘定]を設けて記帳します。
 
 引出金勘定は、いわば純資産(資本金)のマイナス勘定で、仮勘定として記帳しておき、決算時に残高を資本金勘定に振替え、相殺します。

 決算時の処理のところは、「9章の4.その他の決算整理」であらためて説明します。 


 資本の引出し:(引出金勘定を用いない場合)
    (借方)出資金    ××× /(貸方)現金など ×××  
 決算時の相殺:(仕訳なし)

 資本の引出し:(引出金勘定を用いる場合)
    (借方)引出金    ××× /(貸方)現金など ×××  
 決算時の相殺:
    (借方)出資金    ××× /(貸方)引出金 ×××  




◆例題 1.
 店主が、現金100万円、備品50万円を元入れして開業した。 



    (借方)現 金   100万円 /(貸方)資本金   150万円 
    (借方)備 品   50万円 /



*解説
 現金と備品を元入れし開業したもの。よって、[現金・資産の勘定]、[備品・資産の勘定]のになり、同時に[資本金・純資産の勘定]も増加させます。




◆例題 2.
 (1) 店主が現金 10万円を家計費として引き出した。
 (2) 決算時、上記の引出金勘定 10万円を資本金勘定に振替えた。 



 (1)  (借方)引出金   10万円 /(貸方)現 金   10万円 
 (2)  (借方)資本金   10万円 /(貸方)引出金   10万円 



*解説
 (2)の設問も参考にして、(1)は引出金勘定を用いて仕訳します。




◆例題3.
 店主の生命保険料 5万円と建物の火災保険料 10万円を小切手を振出して支払った。 ただし、火災保険料のうち 50%は店主個人用住居部分に対してである。



    (借方)引出金   10万円 / (貸方)当座預金  15万円 
    (借方)支払保険料  5万円 / 



*解説
 店主個人が負担すべき私用の支出は、引出金勘定を用いて処理します。
 引出金は、店主の生命保険料 5万円 + 店主の居住部分火災保険料 5万円 = 10万円
 店の火災保険料となる5万円は、[支払保険料・費用の勘定]で処理します。  



   (借方)引出金   ××× /(貸方)仕 入 ×××  



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7-2.収益勘定と費用勘定


「 □□□□□□□□ / 収  益 (+)  」
「 □□□□□□□□ / 
雑  益 (+)  」

 費  用 (+)  / □□□□□□□□ 」
 雑  損 (+)  / □□□□□□□□ 」
 消耗品費 (+)  / □□□□□□□□ 」
 租税公課 (+)  / □□□□□□□□ 」



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7-2(1).収益勘定と費用勘定


・すでに学習してきたとおり、経営活動の結果として得た収入が"収益"で、具体的には商品売買にともなう売上や、受取手数料、受取利息などがあります。そして、利益を得るために費やされたものが"費用"で、具体的には商品の仕入、支払手数料、支払利息などがあります。

 そして、"収益"より"費用"を差し引くことで利益を求めることができます。
 費用と収益のすべての勘定は、損益勘定に集めて利益を計算しますが、この辺のところは、あらためて「10章の1.損益振替手続き」で説明します。


       費用の勘定            収益の勘定  
┌────────┬──────── ────────┬───────┐ 
│  残 高   │       │ │       │  残 高  │
│        │ 損益勘定へ │ │ 損益勘定へ │       │
└────────┘─┬─────┘ │       │       │
           │       │       │       │
           │       └───┬───└───────┘ 
           │           │ 
           ↓  損 益 勘 定  ↓ 
          ┌───────┬───────┐  
          │ 費 用   │ 収 益   │  
          │       │       │ 
          └───────┤       │ 
          │       │       │ 
          │ 純利益   │       │ 
          └───────└───────┘ 

 !損益勘定での残高(貸借差額)が、"純利益"あるいは"純損失"になります。 



・収益の勘定科目には、これまで学習してきました、「売上」や受取利息、受取配当金、有価証券利息、有価証券売却益、固定資産売却益のほかに、支払地代、支払家賃、受取手数料、雑益(または雑収入)などがあります。

     ・「 現 金 ( + ) /  収益 ( + )」


・費用の勘定科目には、これまで学習してきました、「仕入」や支払利息、支払運賃、発送費、支払保険料、有価証券売却損、固定資産売却損、減価償却費、あるいは通信費、旅費交通費、雑費などのほかに、給与や受取地代、受取家賃、受取手数料など、あるいは消耗品費、租税公課、雑損(または雑損失)などがあります。

     ・「 費 用 ( + ) /  現 金 ( − )」




◆例題4.
 B商店へ貸し付けていた200万円について半年分の利息(年利5%)を受取った(当座振込み)。



◇解答
   (借方)当座預金   5万 /(貸方)受取利息    5万 

*解説
 利息は月割りで計算します。2,000,000 × 0.05 × 6か月/12か月 = 50,000 




◆例題5.
 B商店より賃借している駐車場の地代1年分の12万円を小切手を振出して支払った。



◇解答
   (借方)支払地代   12万/(貸方)現 金  12万  

*解説
 土地や家屋の賃借料を支払った場合は、[支払地代][支払家賃]の勘定で処理します。





・収益、費用の繰り延べと見越し計上について

 収益や費用の受け払いがあった時、その都度、収益や費用を計上しますが、これらは必ずしも当期に計上すべき収益または費用とは限りません。
 つまり、期日が決算月と一致しない場合は、決算をはさんで収益を前受けしていたり、費用を前払いしていたりすることがあります。そこで、決算に際して、正しい期間損益の計算のために収益または費用の"繰延べ"や"見越し"という修正をおこないます。。


      ┌───────────┬───────────┐
      │  当期 会計期間  │ 次期 会計期間   │
  ────┴───────・───┴───────・───┴─
              │   │――――──―↑
              └───────────┘
             地代1年分  ・・ 決算で、次期以降の費用を"繰延べ"します。  

 この辺は、あらためて決算処理の章の「9章の1.費用と収益の修正」で解説いたします。




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7-2(2).雑益と雑損


・"雑益""雑損"は、古新聞などの売却代金などのように、本業の営業活動に直接関係のない取引で、金額も少ない収入や支出あるいは損失のことをいいます。 

 重要度が低ければ、独立した科目も設定する必要がなく、収入については[雑益・収益の勘定]または[雑収入・収益の勘定]で処理し、支出や損失については[雑損・費用の勘定]または[雑損失・費用の勘定]で処理します。



◆例題6.
 不用になった新聞を 500円で売却し、代金は月末に受取ることにした。



◇解答
   (借方)未収金    500 / (貸方)雑 益    500 




・現金勘定が不一致の場合にも"雑益""雑損"を使用します。
 現金の帳簿残高と実際有高が不一致の場合に一時的に[現金過不足勘定]で処理していたものが、決算でも原因が判明しないとき、この雑損勘定または雑益勘定に振り替えます。

 この辺は、あらためて決算処理の章の「9章の4.-2.現金過不足の整理」で解説いたします。



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7-2(3).消耗品費


・ボールペンやコピー用紙などの事務用品や電球・蛍光灯など比較的金額が少なく、短期間に消費される物を"消耗品"と言います。

・小額とはいえ、本来は資産として計上し、消費した分をそのつど、費用の勘定に振り替えるべきですが、短期間に消費され重要度も低いため、消耗品を購入したとき、ただちに[消耗品費・費用の勘定]で処理し、決算時に、未使用の消耗品を[消耗品・資産の勘定]に振り替えます。


  購入時:
     (借方)消耗品費   ××× /(貸方)現金など ×××  
  決算時:(未使用分を資産の勘定へ振替えます)
     (借方)消耗品    ××× /(貸方)消耗品費 ×××  



◆例題7.
 事務用の消耗品 5万円を購入し、代金は小切手を振り出し支払った。

 →    (借方)消耗品費    5万円 / (貸方)当座預金    5万円 


・あるいは、購入時に[消耗品・資産の勘定]で処理し、決算で消費額を[消耗品費・費用の勘定]に振替える方法もあります。

 この辺は、あらためて決算処理の章の「9章の4.-3.消耗品の整理」で解説いたします。



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7-2(4).その他の費用の勘定


租税公課について
 個人企業(商店あるいは個人事業)の場合でも、さまざまな"税金"を支払わなければなりません。 
 このうち事業税、固定資産税、登録免許税や印紙税は、"租税公課"といい、費用として処理します。

 次節「7章の3.税金」の中で、解説します。



販売費および一般管理費について

・簿記2級で学習する、"報告式"の「損益計算書」で表示される項目。 
 企業の主たる営業活動によって発生した費用で売上原価以外のもの。販売手数料、運送費などのほか給料・賃金や交通費・消耗品費・租税公課などの勘定科目を統括します。
 
 損益計算書で、売上総利益よりこの"販売費および一般管理費"を差し引き、営業利益を計算します。
 (!簿記2級の範囲のため、詳細説明を省略します。)




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7-3.税 金


 租税公課 (費用+)  / □□□□□□□□ 」
 固定資産税(費用+)  / □□□□□□□□ 」
 印紙税  (費用+)  / □□□□□□□□ 」

「 □□□□□□□□ / 
資本金 (純資産+)  」
 引出金 (純資産−)  / □□□□□□□□ 」

個人企業(商店あるいは個人事業)の場合でも、さまざまな"税金"が課せられ、これを支払わなければなりません。

 国が課す税金(国税)として、所得税、法人税、印紙税があり、地方公共団体が課す税金(地方税)に住民税、事業税、固定資産税がありますが、簿記の観点からは、費用(経費)としての性格をもつものかどうかで処理が異なります。



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7-3(1).租税公課


・経費あるいは費用としての性格をもつ税金には事業税、固定資産税、登録免許税や印紙税などがあります。
 納付する(税金を支払う)時に、[租税公課・費用の勘定]でまとめて処理します。

 あるいは、[固定資産税・費用の勘定]や[印紙税・費用の勘定]など独立した勘定を設けて処理することもあります。

・"固定資産税"とは、所有している土地・建物などの固定資産に課される税金で、通常、年4回に分けて納付し、そのつど租税公課または固定資産税に計上しますが、納税通知書を受け取ったときに全額を計上し、残額を未払い分として把握して処理をするということもあります。
 

◆例題8.
 固定資産の納税通知書40万円を受取ったので、小切手を振出し支払った。



◇解答
   (借方)租税公課   40万円 /(貸方)当座預金  40万円

 または、
   (借方)固定資産税  40万円 /(貸方)当座預金  40万円



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7-3(2).所得税


・費用とならない税金には、所得税、住民税(都道府県民税・市町村税)があります。  これらは、費用としての支払いではなく、事業の純利益が含まれている"資本金"から支払うことになります。

・"所得税"は、一般的には個人の所得に対して課される税金ですが、個人企業を営む店主あるいは個人事業主に対しても、1年間に事業で得た利益について、これを事業主個人の所得とみなして"所得税"が課せられます。(なお、株式会社などの法人に対しては、法人税が課せられます。)

 納付する税額は、前年度の所得を基にした課税所得に一定の税率を乗じて計算し、2期(7月と11月)に分けて納付します。そして、翌年に所得が確定したときに差額を計算して3期分として納付します(いわゆる"確定申告")。
 税金を納付したときに、[資本金・純資産の勘定]を減少させるか、または一時的に仮勘定の[引出金・純資産のマイナス勘定]を用いて処理します。


◆例題9.
 前年度の事業所得に対する所得税額を計算したところ、50万円であることが明らかとなったため、第1期と第2期の納税額30万円を差引いた税額を現金で納付した。
 なお当店では、期中の資本(純資産)引出しのために引出金勘定を設けている。



◇解答
   (借方)引出金   20万円 / (貸方)現 金   20万円  

*解説
 予定納付をした税額との差額について、確定申告で納付した際の処理になります。

 引出金勘定は、いわば純資産のマイナス勘定で、仮勘定として記帳しておき、決算時に残高を資本金勘定に振替え、相殺することになります。(この処理は、「7章の1.資本金と引出金」の"資本の引き出し"と同じです。)

  資本の引出し:(引出金勘定を用いる場合)
     (借方)引出金    ××× /(貸方)現金など ×××  
  決算時の相殺:
     (借方)出資金    ××× /(貸方)引出金 ×××  

  資本の引出し:(引出金勘定を用いない場合)
     (借方)出資金    ××× /(貸方)現金など ×××  
  決算時の相殺:(仕訳なし)











*7章はここまで。

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