「会わせるような父親じゃないから。」
そういって拓也くんはおとうさんに会わせてくれなかった。

12月、年の瀬も迫った頃お義母さんとわたしの娘たちとで買い物にでかけた。
「お正月に着る服を買ってあげるから」と、駅前の百貨店に連れて行ってくれた
のだけど、駐車場から出て駅前ロータリーで荷物を乗せているときに事故は起こった。

前に駐車して駅に迎えにきた人たちを乗せていた車が発進した瞬間
真後ろのわたしの車のほうにバックしてきた。
どうやらドライブとバックを間違えたらしい。

購入1年のわたしの愛車はボンネットがばっこんとへこんでしまった。
とにかく被害届を出して現場検証をしなければいけない。
でももう夕方5時。
義母はお義父さんとおじいちゃんの食事の支度をしなければいけないので帰らなくてはいけない。
先に汽車で(徳島は電車じゃありません)帰ってもらうことにする。
子供たちも連れて帰って、お義母さんの所においておくことになった。

まだ、会ったこともない拓也の恋人の子供が
急に家に来たらどれほどビックリするだろうと思うとちょっと腹立たしかった。
「(だからさっさと会わせておいてっていったのに!こんな土壇場になってこんなことになる!)」
と、イライラした。
イライラして、事故をした相手に当たりまくってしまった。

派出所をでてから義母の家までの道のりをタバコふかしながら考えた。
何て挨拶しよう。
今更なんていおう。
悔しかった。
わたしが会いたくなかったわけじゃないのにこんなギリギリの身勝手な事態になってから
お義父さんのところに子供を転がりこませてしまわなければいけないことが、悔しかった。
ため息をついて、深呼吸をしてから家のチャイムを鳴らした。

子供たちは無邪気なもんで打ち解けすぎなくらい騒いでいた。
「お騒がせしてすみません。ご挨拶に伺おうと思いながらもこんな事態になってから・・・」
もう、涙でいっぱいになってしまった。
悔しいのと、やっと会えたって、涙がでてきた。
お義父さんは
「息子がお世話になっています。こちらこそ、すみません」そう言った。


家に帰って、私はまた拓也くんを責めた。
もっとはやくに会わせていてくれたらこんなことにならなかったのに!と。
「お義父さん、普通の人じゃない。」とわたしがいうと、
「めんどくさい事もいわなければ、何もしないだけだよ。急にキレルのをお前は知らないからね」
と、またいつもの調子だった。

「遅くなると食事の用意に困るだろうから」とお寿司をわざわざ買いに行ってくれていたらしい
お義父さん。
そのお寿司を食べながら父親の悪口をいう拓也くんの神経がわからなかった。
わざわざ男の人が自分の行き付けに行ってお寿司を買ってきてくれてる。
子供にも食べさせておいてくれたというのに。
「アンタのほうが、よっぽど最悪だよ!」と、心に思ったけど口には出さなかった。
最悪で、最高の1日だった。






           義父と、対面












































































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