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このページでは、DVIに関するトピックを少し掘り下げて説明します。

  1. VGAと伝送歪み
  2. 液晶モニターとVGA
  3. DVIによるディジタル伝送
  4. ピクセルクロックとサンプリング
  5. RAMDACと色
  6. DVIの構造
  7. DVIの伝送速度
  8. DVIと色深度
  9. DVIのコネクタ
  10. DVIとVGAの互換性
  11. DVIとDFP、P&Dの互換性
  12. DVIとPnP
  13. DVIと省電力

VGAと伝送歪み

VGAはもともと80年代後半に現れたIBMのPS/2アーキテクチャー用のビデオカードの名前です。640x480のグラフィックス画面のほか、テキストモードを持っていました。IBMはこのVGA以前にはEGAというビデオカードを生産していましたが、VGAカードを設計する際、ビデオ出力コネクタの仕様を変更しました。それまでEGAは画像をディジタル伝送していました。RGBを6ビットであらわす方式で、これで画面上で64色を表現できます。VGAでは256色といった広い色空間を使う上に、パレットを使用してより広大な色空間を使うことまで考慮したインターフェースが必要になりました。そこで、IBMはVGAコネクタをアナログ伝送線として設計しました。つまり、色に合わせた電圧をケーブルで送る方式です。この方式はケーブルの太さを押さえるのに有効で、大成功しました。

時代が下って、モニターに対する要求はだんだん厳しくなってきました。GUIの普及につれて大画面のモニターが開発され、VESA SVGA規格によって大画面ビデオカードのソフトウェアインターフェースが規格化され、SVGA、XGAといった画面が普通になりました。さらに、全面が明るくなるGUIは、ちらつきが目立つので「フリッカーフリー」と呼ばれるリフレッシュレートの高いモニターがもてはやされるようになります。

ここにきて、VGA規格の限界が見え始めました。リフレッシュレートを高くしたり、より広い画面を表示するには、高速でデータを送らなければなりません。しかしアナログ伝送線であるVGAでは高速信号伝送時に起きる波形の乱れが、そのまま画質の劣化として現れてしまいます。信号波形の乱れには二つの原因があります。

ひとつは周波数特性に関する乱れです。理想的な画像信号は、階段のように直角の角をもった信号になります。このような信号波形だと、画面の表示もかみそりでそいだようなきりっとした画像になります。しかし、階段のような角を持った信号は、非常に高い周波数成分をもっており、実際の回路ではすべて通すことは出来ません。また、電磁波による妨害を押さえる規制のために、ビデオ出力にはフィルターが入っていますが、これも、高い周波数成分を切り取るフィルターです。この結果、モニターが受け取る波形は角がなまっていたり、エッジの前後で信号が暴れていたりします。前者はドットがボケたように表示され、後者はドットの縁がぎらついたように表示されます。いずれもきれいな表示とはいえません。

もうひとつの波形の乱れはケーブル端の反射によるものです。高周波伝送では、インピーダンス整合と呼ばれる処理が非常に重要になります。これを怠ると信号のうちのいくらかの電力が、不整合点で跳ね返されてしまいます。特に重要なのはケーブルとコネクタの部分のインピーダンス整合で、これがひどいと、信号波形がケーブルの中を何往復かすることになります。以前はこれは問題ではなかったのですが、信号伝送速度が上がるにつれ、問題になってきました。具体的な問題としては、画面にテレビのゴーストのような乱れが生じます。ぱっと見て分からない場合でも、画面上でマウスを動かすと、マウスの右側に1,2センチの淡い陰があるのが見えることがあります。これが反射による波形の乱れです。

現在の製品ではXGA、75Hz程度であれば極端に粗悪な製品でない限り、上のような問題は無視できます。しかし、SXGAとなると、ある程度ケーブルやカード、モニターに気を使わなければなりません。

液晶モニターとVGA

液晶モニターはここ数年で長足の進歩を遂げました。ちょっと前からすると夢のような話ですが、今では薄いXGA液晶モニターが職場や過程にどんどん普及しています。液晶モニターはドットが矩形の電極としてガラス面に印刷されているため、見たときに一つ一つのドットがきれいに分離されて表示されます。そのため、ノートPCなどで見て分かるように非常にきれいな画面になります。しかし、デスクトップ用の液晶モニターは大きな問題をはらんでいます。

現行の液晶モニターはインターフェースにVGAコネクタを持つものがほとんどです。これらは信号をアナログ伝送し、内部でディジタル信号に変更して扱っています。そのため、「VGAと伝送歪み」で述べたような伝送ひずみが画面上にも現れてしまい、せっかくの液晶モニターの高画質が生かされません。下の図で、なぜこのようなことになっているか説明しましょう。

アナログ映像伝送

上の図で、青はディジタル信号、赤はアナログ信号です。ビデオコントローラは内部でディジタル的に生成した画面を、ビデオDACによってアナログに変換し、VGAケーブルに送り出します。液晶モニターはVGAケーブルからのアナログ信号をいったんビデオADCでディジタル形式に変換し、液晶コントローラーでデータを液晶向きに加工したあと、再度DACにかけて液晶ドライバ(この図には書いていません)に送り出します。液晶ドライバが扱うアナログ信号はVGAとは似ても似つかぬ信号ですので、VGAから直結するわけには行きません。

重要なのは、ビデオ信号という一番伝送が難しい高周波が伝送系に用いられているためです。このため、ひずみもビデオADCで正直に読み取られて液晶コントローラに送られるのです。このような問題がデスクトップ用の液晶モニターの表示品質を悪化させています。

DVIによるディジタル伝送

DVIを使うと先に説明した液晶モニター用の信号伝送は次のようになります。

ディジタル映像伝送

同じく青はディジタル信号で、赤はアナログ信号です。モニターへの信号伝送はディジタル伝送ですので、ここではよほどのことがない限り情報は劣化しません(ディジタル系は信号波形が劣化しても情報が劣化しないのが強みです)。これによって、DVIを使ったシステムの表示品質は非常に良いものになります。ついでながら、ビデオDACやビデオADCは製造がやや難しいアナログICであるのに対して、T.M.D.S.送信機や受信機は、ラインインターフェースを除くとすべてディジタル回路なので製造がやさしく、コストダウンが可能です。

蛇足ですが、上の液晶コントローラをCRTコントローラに変えればCRTモニターでもDVIが使えることは容易に分かります。そうして、その画面はVGAケーブルによる劣化を受けない高い品質の画面になります。

ピクセルクロックとサンプリング

店頭でVGAインターフェースを持った液晶モニターを見ているとき、縦方向にボケた帯が出来ているのを見たことはありませんか?このぼけは自然画像ではほとんど気づきませんが、文字を表示しているときにはすごく気になります。これはモニターがピクセルクロックの再生に失敗しているためです。

ピクセルは日本語では画素といい、画面上のひとつのフルカラーを表すデータ、あるいは点です。VGAケーブル上では、ピクセルデータは三本の線(RGBをあらわします)によって一定間隔で送り出されます。この間隔はピクセルクロックと呼ばれる信号で決まりますが、ピクセルクロックはVGAインターフェースでは送り出されません。

深く入り込みすぎてしまいますが、CRTモニターの表示は、ピクセルクロックのほかに水平同期信号、垂直同期信号が関係します。CRTモニターでは、画面に正確に表示するために水平同期信号、垂直同期信号が非常に大事です。そのため、モニターは与えられた同期信号に合わせて内部で信号を生成し、それによってCRTの中の電子ビームを振り回します。CRTの場合、電子ビームさえ正確に振れば、ピクセルクロックは無視してもかまいません。なぜなら、CRTのRGB蛍光体はビーム径より十分小さく、連続に色を再現できると考えていいので、ピクセルが正確にどこにあるかを考えなくていいのです。

ところが、LCDの場合話が違ってきます。XGAの場合、横方向に1024ピクセルが正確にLCD上に配置されており、これらのピクセルに正確にデータを送らなければなりません。したがって、色データの中から、正しく任意の位置の色を取り出さなければなりません。うまく取り出さなければ、間違った位置に色が表示されます。正しく取り出すにはピクセルクロックを再生しなければなりません。

ピクセルクロックとサンプリング

VGA信号のピクセルクロックは一筋縄では取り出せません。上の絵はピクセルクロックと色データの関係を表したものです。上のピクセルクロックはデータを作った側のクロックです。これを見ると、色データの超度真中に矢印があります。この下向き矢印の位置で色を取り出せれば、正しい色信号をとりだせます。もし、ちょっとでも再生クロックが早すぎると、上の絵の上向きの赤い矢印のように二つの色データをごちゃ混ぜに取り出してしまう位置が発生します。

色信号は横方向のデータを送り、それを画面の上から下に並べますので、毎回同じ位置でデータの取り出しミスが起きると画面上の同じ位置に色のにごった、あるいはボケた縦の領域が発生します。VGA信号は、クロック抽出を考えていない信号ですのでこのようなことがおきます。最近はチップメーカーの努力でだいぶ減ったとはいえ、完全に大丈夫かというと不安がのこります。

DVIでは、ピクセルクロックを送る専用線を用意していますので、この問題はおきません。

RAMDACと色

ビデオカード好きの人の中には、RAMDACにこだわる人が沢山います。RAMDACとはカラーパレット付のビデオDACで、カードで作ったディジタル信号をアナログ回路に変更し、長いVGAケーブルを駆動できるよう増幅する回路までついたチップです。現在ではグラフィックアクセラレータに内蔵されていますが、なかなかお気に入りの発色特性をもつカードは見つかりにくいらしく、「以前のxxx社のRAMDACは良かった」というぼやきを良く聞きます。

DVIをはじめとするディジタルビデオ伝送規格はこの問題を一掃します。すでに図示したようにDVIでは伝送は完全にディジタルで行いますので、色を決めるDACはLCDドライバの中に存在するだけです。したがって、気に入った発色のLCDさえ購入すれば、グラフィックアクセラレータが発色を悪化させることはありません。モニター側は表示品質に、アクセラレータ側は表示速度に専念することで、高速、高品質、低価格のシステムを組みやすくなります。

当然、このご利益はDVI CRTモニターでも享受できます。

DVIの構造

DVIでは、複数のデータチャンネルを使ってデータを転送します。下に簡単な模式図を示します。

TMDSの構造

DVIインターフェースはT.M.D.S.を2リンク持ちます.このうちリンク#0は必須リンクで、リンク#1はオプションです。各リンクは3チャンネルを持ち1リンクが24ビットのデータ(1画素)および6ビットの制御信号を伝送します.都合30ビットのデータは符号化されたあと直列化されて3チャンネルのT.M.D.S.伝送線で送信されます.受信側は受信データを並列化したあとに復号し、24ビットのデータと6ビットの制御信号を取り出します。

2つのリンクはクロックラインを共用します。したがって、どのような構成でもT.M.D.S.クロックは1系統だけしかありません。

コントロール関連信号は、活線挿抜およびPnPに関する制御に使います.

アナログ部は、VGAインターフェースと電気的に互換なアナログ信号を伝送します。アナログ系はオプションです。

リンクを一本だけ使う場合をシングルリンク、二本使う場合はデュアルリンクと呼びます。

DVIの伝送速度

DVI規格1.0では伝送速度の上限をT.M.D.S.1リンクあたり165MPixel/Sとしています。実際にはこれでは液晶モニターには使えても、CRTをディジタル化する場合には速度が足りません。また、UXGAを越える液晶画面にも対応できません。これが、DVIでT.M.D.S.を2リンク持つよう規格が定められている理由です。

実際のDVIの伝送線でどのくらいの画面とリフレッシュレートに対応しているかを下の図に示します。この図は、DVI規格1.0に掲載されているチャートから読み取った数値を元に、各モニターの伝送速度を概算したものです。目安程度の精度であることに注意してください。青い点線はシングルリンクでの伝送速度限界、赤い点線は同じくデュアルリンクのものです。

リフレッシュレートとリンク数の関係

図を見て分かるとおり、SXGA(1280x1024)程度であれば、シングルリンクで十分です。このことから、最近発表され始めた17インチ液晶モニター程度なら1リンクで間に合います。一方、19インチCRTモニターのようにUXGA(1600x1200)品質の画面では60Hzしか出せません。これはCRTではちらつきが激しくて使えませんが、LCDだと十分快適に使えます。したがって、DDWGではUXGAおよびHDTV(1920x1080)まではシングルリンクで大丈夫としています。

DVIと色深度

DVIで使用しているT.M.D.S.は、1ワードが8データビット、2コントロールビットとなっており、1ワードで1Pelを伝送します。そのため、必然的に1ピクセルは3ワード、24データビットとなり、1600万色を取り扱えます。管理人などはこれだけあれば十分ですが、実際には業務用途などで色のダイナミックレンジが不足するようです。特にCRT用に32ビットカラーが必要とされます。そこで、DVI規格では、2リンクで1Pixelを構成することにより、十分な色深度を実現できます。もちろん、この方法では先に示したようにSXGA程度のモニターまでしか対応できません。そのため、規格では将来の拡張の可能性もあると匂わせています。

DVIのコネクタ

日本語でコネクタと呼ぶものは、厳密に言うと「レセプタクル」と「プラグ」に分かれます。大雑把な話、レセプタクルは機器に張り付いている「受け手」であり、プラグはケーブルの端につながっている「繋ぎ手」です。このサイト全体を通して両者の区別はいいかげんですが、この項だけは厳密に行います。

DVIには二種類のプラグ、レセプタクルがあります。ひとつは下に示すディジタル伝送用で、左がレセプタクル、右がプラグです。両者とも接合面から見た図です。レセプタクル側はいわゆる「メス」で、手前に盛り上がった樹脂に四角い穴が24個と、細い穴が1個あいています。四角い穴がディジタル伝送用で、細い穴はご操作防止用のキーです。これと噛み合うプラグが右のもので、いわゆるオスです。この種類は、当サイトではDVI24ピンと呼んでいます。DVI-D ( D は Digital )と呼ぶ向きもあるようですが、どうも商品名じゃないかと思われます。

DVI24ピンディジタル用コネクタ

下はディジタル・アナログ両用型で、同じく左がレセプタクル、右がプラグタです。レセプタクルはディジタル伝送部の横に米印の穴があいています。四角い穴4つと十字の穴が1つあり、計5つあります。右がコネクタで、十字の縦棒がない点を除くと別に変わった形ではありません。この型を、当サイトではDVI29ピンと呼んでいます。DVI-I ( I は Integrated )と呼ぶ向きもありますが、どうも商品名のようです。

DVI29ピンディジタル・アナログコネクタ

さて、すぐに分かるようにDVI29ピンのレセプタクルにDVI24ピンのプラグをさすことが出来ます。これは、DVI規格が最低でもT.M.D.S.リンク1本のシステムを要求していることから、合理的なことだとわかります。反対にアナログ伝送系を持つプラグをDVI24ピンのレセプタクルに挿すことは出来ません。これは機器にアナログ対応機能があると思ってシステムをくみ上げたところ、実際にはないといった場合に慌てないようなご操作防止と思われます。しかし、買ってきたケーブルが使えないこともありますので、注意が必要です。

さて、へったくそなイラストで分かりにくかったと思いますので、日本モレックスの商品説明で、プラグとレセプタクルの形のイメージを読み取ってください。

これまで「コネクタ」と「レセプタクル」と書いていましたが、正しくは「プラグ」と「レセプタクル」であるとご指摘をいただきました。これまでの誤記をお詫びするとともに、ご指摘を下さった日本モレックスの星野様にお礼申し上げます。

なお、上記二つはT.M.D.S.2リンク用です。T.M.D.S.1リンク用のものは、一部のピンがありません。詳しくはMolexのサイトをご覧ください。

DVIとVGAの互換性

DVI29ピンのレセプタクルはアナログ伝送ラインを持っています。ここに流れる信号は、VESAの諸標準にそっており、要するに今までのVGAケーブルに流れていた信号とまったく同じです。したがって、変換ケーブルさえ使えば、DVI29ピンを持つ機器をアナログ機器と接続できます。これはモニター、PCのどちらがアナログであっても同じです。

DVI29ピンが制定されたのは、過去との互換性とコスト抑制を両立させるためです。機器メーカーはDVI29ピンのレセプタクルをひとつ用意すれば、相手がディジタル機器でもアナログ機器でもケーブルの変更だけで対応できます。今のところ、この企画制定者の目論みは外れていますが、これは、メーカー側がユーザーの混乱やケーブル入手性の悪さを恐れてのことと思います。ケーブルの価格もあるでしょう。今後DVIがある程度普及して市民権を得れば、DVI29ピンしか持っていないカードが増えてくるでしょう。

DDWGのシナリオどおりなら、過渡期が終わればDVI24ピンのカードばかりの時代がくるかもしれません。

変換コネクタはMolexのサイトに見ることが出来ます。

DVIとDFP、P&Dの互換性

DFPやP&DはDVIより前に発表されたディジタル・ディスプレイ・インターフェース規格です。DVIはこれらの規格と同じく、T.M.D.S.を元に構築されています。そのため、簡単な変換コネクタだけでDVI機器とDFPあるいはP&D機器を接続できます。

この場合、1リンクしか使えませんし、P&Dに入るかもしれないIEEE1394信号なども当然対応されません。しかし、1リンクあれば、XGA液晶の表示には不自由しないと思われますので、あまり問題ではないでしょう。

DVI規格は、DVI装置をP&Dモニターに接続する場合、安全のためにモニター側に活線挿抜機構があることを求めています。必要な動作は規格に記述してあります。

これら規格の変換コネクタはMolexのサイトに見ることが出来ます。

DVIとPnP

DVI規格では、制御専用線を用意し、これをもちいて完全な活線挿抜を実現しています。すなわち、運用中のコネクタ取り外し、あるいは取り付け( Hot Plugging / Unplugging )と、自動設定(Plug and Play)です。現行のVGAケーブルに基づくインターフェースは運用中のコネクタの挿抜を検出しないので、モニターを付け替えたときに画面サイズやリフレッシュレートがモニターとあわず、どうしてもおかしなことがおきます。しかし、DVIでは挿抜検出がありますので、この問題はなくなります。

PnPのための信号やプロトコルは、VESA DCCおよび一連のプロトコルにのっとっているため、アナログモードでも正しく動作します。

DVIと省電力

DVIはVESA DPMSに基づくアナログモードでの省電力管理のほか、T.M.D.S.の動作状況を絡めたディジタルモードでのDMPM(Digital Monitor Power Management)による省電力制御を提供しています。