dmesgを吟味する

 6月20日の配達まで、ユーザーに開示される技術情報は限られています。そんな中で、公式サイトにある「dmesgでごあいさつ」はPS2 Linuxを理解するうえで重要な情報がいろいろと提供されている貴重なものです。ここでは、β版ではありますがそのdmesgについて私なりの吟味をしてみます。


Loading R5900 MMU routines.
CPU revision is: 00002e14
Primary instruction cache 16kb, linesize 64 bytes
Primary data cache 8kb, linesize 64 bytes
 Branch Prediction : on
 Double Issue : on

CPU情報か。Emotion EngineのコアであるR5900の名前で表示されている。

Linux version 2.2.1 (master@linux) (gcc version 2.95.2 19991024 (release)) #94 Thu Apr 19 12:13:01 JST 2001

リリース発表の一週間前のビルド。ビルドした人の名前は伏せられている。

no initrd found

initのRAMディスクはない。但しコードの削除もされてないようなので、HDDなしでの起動も不可能ではないかも。

Console: colour dummy device 80x25

コンソールドライバ。当然ながらPS2にキャラクタ画面などはないので、仮想のコンソールが定義される。起動時は左上にペンギンの絵が表示される。

Calibrating delay loop... 392.40 BogoMIPS
Estimated CPU clock: 294.240 MHz

これが速いのかどうかは不明。PS2のゲーム機としての性能は周辺グラフィックチップに拠るところが大きいと思われるので、純粋なCPU性能がこれでわかるはず。ちなみに、i486SL/25MHzでは12.44BogoMIPSとのこと。
(2001/5/23追記)このBogoMIPS値が正しいとすれば、「BogoMIPS mini HOWTO」によるとEE(R5900)自体のパフォーマンスはPentiumII/400MHzくらいあることになるらしい。

Memory: 30724k/32760k available (1216k kernel code, 752k data)

メモリが少ないのがネックか。但しRDRAMなのでアクセスは速いはず。あとはスワップディスクの性能頼み…。

Checking for 'wait' instruction... unavailable.

不明。x86では'hlt'をチェックする場面である。

POSIX conformance testing by UNIFIX

x86版にもあるPOSIXの適合証明。

PlayStation 2 SIF BIOS: 0200

DVD-ROMから読み出されるというBIOSか?

Linux NET4.0 for Linux 2.2
Based upon Swansea University Computer Society NET3.039
NET4: Unix domain sockets 1.0 for Linux NET4.0.
NET4: Linux TCP/IP 1.0 for NET4.0
IP Protocols: ICMP, UDP, TCP, IGMP

ネットワークドライバ。IPv4レベルの実装らしい。

Linux IP multicast router 0.06 plus PIM-SM

IPマルチキャストルータ。PIM-SM(プロトコル独立マルチキャスト-疎モード)プロトコルが採用されている。

Starting kswapd v 1.5

Linuxのスワップドライバ。

PlayStation 2 device support: GIF, VIF, GS, VU, IPU, SPR
Graphics Synthesizer revision: 00005508
Console: switching to colour PlayStation 2 Graphics Synthesizer 80x28
pty: 256 Unix98 ptys configured

画面関係のドライバらしい。Linuxとして使用する分にはキャラクタコンソールかXのグラフィック画面くらいの使い道しかないが、プログラム次第ではPS2本来のパフォーマンスを発揮できるはず。

Real Time Clock Driver v1.09
rtc: Digital UNIX epoch (1952) detected

ゲーム機にリアルタイムクロックなんてあったのか。と思ったら起動画面が時計だったっけ。

usb.c: registered new driver usbdevfs
usb.c: registered new driver hub
usb.c: registered new driver usb_mouse
usb.c: registered new driver keyboard
usb-ohci.c: USB OHCI at membase 0x1f801600, IRQ 42
usb-ohci.c: GrowLocalMem 64K bytes
usb.c: new USB bus registered, assigned bus number 1
usb.c: USB new device connect, assigned device number 1
hub.c: USB hub found
hub.c: 2 ports detected

USBドライバ。同時にUSB Hubのドライバもロードされている。usbdevfsは接続されているデバイスの情報を得ることのできるデバイス。

RAM disk driver initialized: 1 RAM disks of 10240K size

メモリが多くないのにRAMディスクを確保しているらしい。それが確かなら、10MBはちょっと多すぎか。

loop: registered device at major 7

標準で持っているループデバイス。

PlayStation 2 IDE DMA driver
hda: ST340823A, ATA DISK drive
ide0 at 0xb4000040-0xb4000047,0xb400005c on irq 41
hda: ST340823A, 38166MB w/1024kB Cache, CHS=4865/255/63, (U)DMA

HDD。IRQ41というのが、x86系とは違うCPUであることを思い出させる。Seagate製40GB(実質38GB?)でUDMA対応のようだが、DMAをどこまで使えるのか不明。メモリが少ない分スワップの性能がネックになると思われるのだが…。

LVM version 0.8i by Heinz Mauelshagen (02/10/1999)
lvm -- Driver successfully initialized

論理ボリューム管理ドライバ。Linuxでは標準的。

scsi : 0 hosts.
scsi : detected total.

SCSIが何を意味しているのかは不明。IEEE1394で接続されるHDDはSCSI経由扱いでアクセスされるが、現状ではIEEE1394ドライバは未整備のため別のI/Fによるものと考えるのが妥当か。

Partition check:
hda: hda1 hda2 < hda5 hda6 >

パーティション構成だけでその容量比は不明。'/'と'/usr'とスワップとあとひとつは?

VFS: Mounted root (ext2 filesystem) readonly.
Freeing unused kernel memory: 48k freed

どのLinuxにもある一連の起動メッセージのひとつ。

usb.c: USB new device connect, assigned device number 2
hub.c: USB hub found
hub.c: 2 ports detected
usb.c: USB new device connect, assigned device number 3
keybdev.c: Adding keyboard: input0
input0: USB HIDBP keyboard
usb.c: USB new device connect, assigned device number 4
input1: USB HIDBP mouse

USBのPnPステージか。ここでは標準添付のキーボードとマウスが認識されている。キーボードにはHubが内蔵されていて、それが最初に認識されている。認識の順番からして、キーボード本体はその内蔵Hubに接続されているのだろう。

PlayStation 2 Sound driver

ドライバのメッセージのみで詳しい仕様は不明。

Adding Swap: 136516k swap-space (priority -1)

128MBのスワップスペースがある。

eth0: MAC address 00:04:1f:ff:fa:bc
eth0: Auto-negotiation complete. 100Mbps Full duplex mode.
PlayStation 2 SMAP(Ethernet) device driver is loaded.

PCカード内蔵の100BASE-TX Ethernetアダプタの認識部分。このMACアドレスはSCEIのもの。SMAPとは何の省略か?PCカードドライバのメッセージなしでここまで来ているので、いわゆるポイントイネーブラによって動いているのかもしれない。

 PCカードドライバが見当たらないのでカードの交換の可能性は少ないですが、HDDとネットワークカードを取り替えたりはずしたりする用途はあまり考えられませんのでこれでいいのかもしれません。それより、USBがLinuxとしては一般的な実装のようなので、有志によって開発されたいろいろなデバイスが接続できる可能性が高くなったと思われます。IEEE1394のドライバが実装されれば単なるワークステーションとしてもひじょうに使い勝手のあるマシンになるだろうと期待されます。


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