ビデオカードを選ぶポイントを紹介します。

i)ボードの規格
拡張カードのサイズに関しては業界団体で定められた規格がある。
ビデオカード用の拡張スロットにはPCI-ExpressスロットとAGPスロット、PCIスロットがある。
よってビデオカードの交換・増設を考える際には、どのスロットがあるのか?(PCI-Express, AGP, PCI)
ケースに取り付けられるボードのサイズはどの程度か?を確認しなければならない。

<カードのサイズ>
拡張カードのサイズは以下のように定められている。
PCI (AGP)
 幅 106.7mm、奥行き 173.1mm(ショートサイズ)/312mm(フルサイズ)
Lowprofile PCI (AGP)
 幅 64.4mm、奥行き 119.9mm(MD1)/167.6mm(MD2)
 
低価格カードの奥行きは、一般的にショートサイズかMD2に収まっている。
フルサイズと言うとATXで許される最大長、つまりタワーケースの奥行きと同じだけある。
そこまで巨大なカードはあまりないが、高性能カードになるほど奥行きがあるので注意が必要。
MD1はミニPCIと呼ばれる規格で、自作PC市場で見ることはまずない。
幅に関しては2種類のみであり、製品表示でも明示されることが多いので問題ないだろう。
 
カードのサイズが小さいことのメリットは、コンパクトなケースに取り付けることができ、
ケース内のケーブルの取り回しが容易になり、ケース内のエアフローも良くなることである。
逆に大きいことの利点は、カード上の配線に余裕ができ、コンデンサなどの部品を多く積め、
メモリバス幅も確保しやすいので、高性能に仕上げられるということである。
自分のケースに合ったサイズのビデオカードを選びたい。

<スロット>
ビデオカードをマザーボードに取り付けるスロットには以下の3種類がある。。
PCI(Peripheral Components Interconnect)は一般的な拡張スロットの規格であるが、今となってはやや帯域が狭い。
AGP(Accelerated Graphics Port)はグラフィック専用の高速スロットで、数年前まで一般的な規格だった。
PCI-ExpressはPCIを高速化した規格で、PCIとは全くの別物。
現在ビデオカードの主流はこの規格の一つ「PCI-Express 16x」である。
 
マザーボードにAGPまたはPCI-Expressのスロットがあるなら、それ用のビデオカードを買えばよい。
メーカ製PCなどのコンパクトなマザーボードでPCIスロットしか無い場合はPCIのビデオカードを使うことになる。
またマルチディスプレイを実現するためにPCIやPCI-Express 1xを利用する場合もある。(参照)
PCIには作動電圧が3.3V/5V等の違いがある他、類似のPCI-X規格(転送バス幅64bit、動作クロック33MHz/66MHz)が存在する。
PCI-Xは主にサーバのストレージ用でビデオカードにはあまり使用されない。
参照:PCIカードの種別
 
AGPの中にもAGP 1.0、AGP 2.0AGP 3.0と3つの規格がある。
http://review.ascii24.com/db/review/hard/videocard/2003/01/11/640375-000.html
ビデオカード マニヤ〜〜ッ
これらは最大転送速度と駆動電圧が異なっている。
駆動電圧が異なるため、組み合わせを間違えると故障してしまう。
 
ただし、1.0と2.0ではコネクタの切り欠きで区別されているし、3.0は2.0と混在しても故障しないようになっている。
またマザーボードやビデオカードの側で複数のAGP規格に対応している場合も多い。
くせ者なのはAGP 1.0規格のものだが、今となっては旧態化しているので、新たに買うメリットは無い。
手持ちのAGP 2Xビデオカードを使い回したい場合などには、 よく説明書を読んで使用可能なマザーボードを使うこと。
 
実際の商品を選ぶ際には、4X対応のマザーボードと8X対応のビデオカード、
もしくはその逆の組み合わせであれば特に気にする必要は無い
転送速度に関してはAGP 2Xの転送速度があれば十分とも言われている。
 
ii)出力端子
ビデオカードをディスプレイにつなぐための端子。
主な物にアナログ端子デジタル端子、TV端子がある。
ワークステーション用カードやメーカー製PCにはこれ以外の端子を採用している場合もある。
 
TV端子はテレビに画像を映すもので主にS端子、またはコンポジット端子(黄色い端子)である。
S端子付きの物にはコンポジット端子に変換するケーブルが付属する。
動画などをTVで再生するとPC用のディスプレイで見るより美しいと言われている。
しかし、解像度は低いのでPC用の画面をTVに表示するのは無謀。
 
アナログ端子とデジタル端子について説明する前に、液晶とCRTのディスプレイの特徴について。
液晶ディスプレイのメリットは、省スペース(特に奥行き)で消費電力が低く、
電源を入れるとすぐに画面が出ること。
CRTディスプレイは解像度やリフレッシュレートが高く、反応速度が速く、しかも安価。
液晶ディスプレイにはアナログ端子またはデジタル端子が付いており、
CRTディスプレイにはアナログ端子が付いている。
 
アナログ端子は青い台形の端子で、mini D-sub 15pinなどとも呼ばれる。
デジタル端子は白い長方形の端子で、デジタル専用のDVI-D端子と、変換アダプタを介して
D-sub 15pinに変換できるDVD-I端子の2種類がある。
デジタル出力はビデオチップが生成した画像をそのまま出力するため、
安定した高画質が得られる。
アナログ出力ではビデオチップのデジタル/アナログコンバータや基盤の設計によって
大きく画質が変わってくる
参考@IT ケーブル&コネクタ図鑑
  ワニでもわかる「コネクタ図鑑」
 
iii)ビデオチップ
画像を処理する中枢。
描画速度や画質を決定する部分であり、対応するメモリなどスペックもこれで決まる。
メーカーの特徴としては、一般〜ゲーマー向けの「NVIDIA」「ATi」、2D重視の「MATROX」、
安価な「SiS」「S3」といえる。
もう少し前からのチップ一覧はこちら
 
PCI-E 低価格ハイエンドクラス(15K↓)
・7600GS(DDR3 OC版含む)
・7300GT DDR3モデル
 
PCI-E 低価格ローエンド〜ミドルレンジ(〜12k)
・7300GT
・7300GS (低消費電力向け)
 
AGP 低価格ハイエンドクラス(15K↓)
・7300GT
 
AGP 低価格ローエンド(8k↓)
・6200A
・RADEON 9600 Pro (低消費電力向け)
・RADEON 9550 (低消費電力向け)
 
RADEON大好き(現在のラインナップは消費電力等の面でやや不利)
・X1300、X1300Pro、X1600Pro
 
分かる人だけ買ってね
・7300GS、LE(存在そのものが地雷)
・投売りX800、X700シリーズ(SM3.0とかHDRとか再生支援とかイラネ)
 
*7300GTは1.2ns、1.4ns等のDDR3を積んだモデルが複数種あるので、目的に応じて各人で調べてください

iv)搭載メモリ
ビデオカードの性能はしばしばメモリ帯域がボトルネックとなる。
そのためメモリを見ればある程度ビデオカードの性能はわかってしまう。
市場にはユーザーの無知につけ込んで、メモリ帯域を狭くしてローコスト化しているものもある。
これがスレ上で「地雷」と呼ばれるもので、購入時にはメモリをよく確認し、これを回避せねばならない。
なお地雷は往々にしてコアクロックも下げられているが、これはクロックツールで元に戻せる。
 
『メモリ帯域 = メモリバス幅 x メモリ周波数』
メモリバス幅は一度に転送できるデータ量で、周波数は1秒間に転送できる回数である。
 
<メモリバス幅>
ここ数年、エントリー〜ミドルレンジのメモリバス幅の標準は128bitである。
ハイエンドモデルには256bit転送バスが採用されている。
廉価品はコストダウンのため64bitバス幅のことがある。(=地雷。
9800Proなど256bitバス幅を持つはずの製品では128bit品を地雷と呼ぶ。)
64bitバス幅の製品のメモリ帯域は、単純に128bit製品の半分であり性能が劣る。
現在注意すべきはGeForce FX5200、GeForce 6600TC、RADEON 9600/9550、RADEON X300SEなど。
 
メモリバス幅半減地雷の見分け方
メモリに空きパターンがあったら定格バス幅の半分。たいがいは64bit。(pic. 1, pic. 2)
(RADEON9700/9800やMillenium Pシリーズは定格バス幅が256bitだから128bitの地雷)
片面に2枚しかメモリが無い場合64bit。(pic. 3)
片面にメモリが4枚で、パターンが全て埋まっている場合(pic. 4)は
裏にも4枚あって合計8枚なら(pic. 5)128bit、裏にメモリなんか無いなら64bit。
(ただし「ELSA GLADIAC 628LP」と「XIAi XIA9100PRO-DV64」他はLowprofile、メモリ4枚だが高価なメモリで128bit DDR)
片面に8枚あれば128bit。(pic. 6)
 
FX5200に関しては商品ごとに情報が集められている。 GeForceFX5200 まとめ
現行のRADEONの地雷に関しては RADEONのテンプレサイトATi Wikiが詳しい。
 
<メモリ周波数>
メモリの周波数は速ければ速いほど帯域幅を広げることができる。
現在一般に用いられるDDR SDRAMメモリではベースクロックの2倍が周波数である。
昔のカードや安価なカードではSDR SDRAM(ベースクロックがそのまま駆動周波数)が使われていた。
どの規格かは多くの場合パッケージに記述があるし、無くてもメモリの型番を調べれば良い。
 
メモリのベースクロックについてはメモリの型番から比較的簡単に分かる
メモリの型番を見てハイフンの後ろの数字がレイテンシ(ns)を表している。
レイテンシというのは1クロックに要する時間である。
例えば「46V32M8-5B」なら5ns、「HY5DU283222 AF-28」なら2.8ns。
この値から、1000/レイテンシ(ns)=メモリのベースクロック(MHz)、が求まる。
DDRならこれを2倍することで駆動周波数が分かる。
例外はRADEON 9700proなどに載る「SAMSUNG K4026323RA-GC2A」で2.8ns。
 
2.8ns 350MHz(DDR700MHz)
3.0ns 333MHz(DDR667MHz)
3.3ns 300MHz(DDR600MHz)
3.6ns 275MHz(DDR550MHz)
4.0ns 250MHz(DDR500MHz)
4.5ns 222MHz(DDR450MHz)
5.0ns 200MHz(DDR400MHz)
6.0ns 166MHz(DDR333MHz)
 
<メモリの容量>
2Dの画面に必要なメモリは多めに見積もって8MB、動画はオーバーレイがあるので16MB。
3DではDirectX 7で32MB、DirectX 8で64MB、DirectX 9で128MBあれば大丈夫。
(実際の使用量はソフトウェアで確認できる。 VRAMチェッカー Instant Memory 2)
テクスチャを大量に使って足りなくなった場合、メインメモリに行くだけなので致命的な結果にはならない。
どのビデオカードもその役割、世代に応じた必要な量のメモリは積んでいるので
メモリ容量というのはビデオカードを選択する上では、そんなに優先度の高いものではない
低価格帯の商品ではメモリ容量と引き替えにメモリ周波数を落としてあるケースも多い。
 
とはいえ、メモリ速度が同じなら容量が大きいほど性能が上がるのは事実。
ただし上昇は数%に過ぎないことが多いので、値段差が大きいようだと割に合わない。
また256MBのメモリを積む場合、必然的にバス幅は128bitか256bitになるので、64bit地雷は踏まずにすむ。
RADEON 9800XTのような上級カードの256MB版では高速メモリを使っており、128MB版よりも高速・低発熱である
 
v)その他
<ファン>
ビデオカードや場合によってはメモリを冷却するファン。
冷却という観点からすれば基本的にはあった方がいいものだが、
ビデオカードのファンというのは小型高回転であり耳障りな騒音を発生することが少なくない。
低発熱な製品ではファンレス構造の場合も多く、騒音源を減らすことができる。
ファンレス製品を使う場合、ケース内のエアフローが悪いとシステム温度の上昇や
ビデオカードの熱暴走を招くので注意が必要である。
後付けのファンやシンク(Zalman社の製品が代表的)を取り付けて静穏化を行うこともできる。
なお通常のラインナップにファン付きとファンレスが存在する場合、
ファンレスの製品はクロックが落とされていることもあるので注意。
 
<ロープロファイル>
小型のケースに増設カードを追加するための規格に乗っ取ったボード幅の製品。
このタイプしか付かないのであれば、かなり選択肢は狭まる。
メモリバスが減らされているなど性能に問題がある場合も多いので、購入時には注意が必要。
必要が無いなら、通常のサイズのカードを買ったほうがよい
もちろん性能が通常のものと変わらなければ、ケース内のエアフローは良くなるのだが、、
 
<ビデオカードの画質>
アナログ出力やデジタル出力の画質はビデオチップでほぼ決まる。
デジタル出力はどこも大きな違いは無いのだが、アナログ出力はチップによって大きく異なる。
ATiは赤みがかっており、NVIDIAはややぼけた感じ、MATROXはコントラストのはっきりした絵、
だったらしいが、最近はどこもナチュラルな発色を心がけているようだ
 
カードを製造するメーカーによる違いというのもあるが、これは主にTV出力である。
ボードによってTV出力用のエンコーダが異なるためである。
Philips製はあまり良くないとの噂も。
 
RADEON9000などに見られる、D-sub 15pinとカードをフラットケーブルでつないだ製品は
アナログ出力が汚いと言われている。
 
<メーカーによる品質の違い>
同じビデオチップを搭載している商品でも、基盤に組み付け流通するメーカーによってできあがる商品は異なる。
もっとも決定的なのはビデオチップやビデオメモリの速度が異なる場合である。
それぞれクロックを下げてあったり、メモリバス幅を削減してあったりする場合もあり、性能が大きく変わってしまう。
 
上に書いたように、TVエンコーダの違いによるTV出力の違い、基盤設計によるアナログ画質の違いもあると言われる。
また独自ドライバによる画質向上が図られている場合もあった。(Canopus社製品など)
ただし現在ではチップベンダの提供するドライバを使う場合がほとんどなので、ドライバの差は無くなっている。
 
冷却系(ヒートシンクやファン)の違いもある。
ヒートシンクは冷却性能や見た目の美しさの他に、大きすぎるとケース内部と干渉する場合もある。
ファンに関しては各社工夫している場合もあり、ヒートシンクの構造とあわせて、騒音の大きさが変わってくる。
また、粗悪なメーカーのファンは、しばらく使用しているとファンの軸がずれて騒音が酷くなるケースも有る他、
ファンが停止してビデオチップがオーバーヒート、最悪の場合焼損する場合もあるので注意が必要である。
 
付属品もメーカーによって異なる。
バルク製品のようにドライバCDしか付属しないものもあるし、多数のゲームやユーティリティが付属している場合もある。
好みで選べば良いだろう。
 
<DirectXについて>
最近のゲームは基本的にMicrosoftが提唱するDirectXという一連のプログラムインターフェイス上で動作する。
ビデオカードはDirectXの一つDirect 3Dを高速に動作できるように開発されている。
DirectXには世代があり、数字が大きいほど新しい規格である。
 
DirectXは下位互換があるので、新しいDirectXに対応したビデオカードの方が3Dゲームを美しく表示する上で有利である。
ビデオカードがDirectXをサポートすることで、高速で高品位な描画を行うことができる。
ビデオカードが対応するDirectXが古い場合、ゲームの描画速度やエフェクトが不十分になってしまう。
 
ただし旧世代のビデオカードはその当時のDirectXに最適化されているため、たとえばDirectX7世代のGeForce 2GTSは
3D Mark 2000(DirectX7の性能を測定する)のスコアで、DirectX9世代のGeForce FX5600を上回ったりする。
よってDirectX9対応のゲームが少ない現状では、DirectX8.1対応のビデオカードも十分に選択肢となり得る。
またゲームをしないのであればそもそもDirectX対応は不要であり、あえて安価な旧世代の製品を買うのも選択肢となる。
なおMicrosoftから提供されるDirectXは、DirectSoundやDirectShowなど3D以外の機能も含んでおり、
ビデオカードが対応していなくても新しいものを入れてしまって構わない。