ベンチャー革命2006528

                           山本尚利

タイトル: 裏切り者ジャップ:キッシンジャー語録

 

1.キッシンジャーの怒り

 2006528日付け、ジャパンタイムズに看過できない記事が載りました。1972年、当時の米国ニクソン大統領政権の国家安全保障担当補佐官、キッシンジャー氏が、” Of all the treacherous sons of bitches, the Japs take the cake! ”(ふしだら女の産んだ裏切り者の息子のうち、よりによって、あのジャップめが、ぬけがけしてケーキを食らった!)と叫んで、怒りをあらわにしたことが、米国の国家安全保障公文書館(アーカイブ)によって、2006526日に公表されたそうです。キッシンジャーがなぜ怒ったか、そのワケは、19728月にハワイで行われた、田中角栄首相とニクソン大統領の日米首脳会談の直後、同年9月、田中首相は北京で周恩来首相と日中共同声明を発表したからです。米国は、日本が抜け駆けして、中国と国交回復しないように釘を刺したのに、田中首相は見事に裏切ったのです。米国覇権主義者からみて、田中首相は小泉首相と180度、異なった日本国首相でした。ところで余談ですが、20014月、反田中派であった福田派出身、小泉首相(福田赳夫首相の自宅の書生出身)の誕生の恩人が、田中首相の長女、田中真紀子氏であったのは、なんと言う皮肉でしょうか。その意味で、田中真紀子氏にとって、首相就任後、親米主義をあらわにした小泉首相は『裏切り者』です。逆に小泉首相は、キッシンジャーの仇をとった。そこで、田中真紀子氏は今、小泉氏の宿敵、小沢一郎氏を担いで、復讐にでている、という構図が描けます。

 

2.キッシンジャー語録に垣間見る米国覇権主義者の対日観

 上記、キッシンジャー語録ほど、米国覇権主義者の対日観(本音)を見事に証明するものはありません。筆者の16年半におよぶ、米国シンクタンクSRIインターナショナルでの経験 知で、キッシンジャーに代表される米国覇権主義者の対日観が手に取るようにわかります。日本国の産官学を支配する親米主義者(有事には米軍が命がけで日本国民を守ってくれると信じ込んでいるノーテンキ日本人エリートを含む)は、このような米国覇権主義者の本質がどこまで認識できているのか大変、疑問です。この認識がキッチリできていないと、日本国の針路を誤らせる危険が極めて高くなります。

 ところで米国覇権主義者の対日観の根幹は、” Remember Pearl Harbor! “、すなわち『目には目を!』です。そのとおり、19762月、田中角栄氏は、米国サイドからロッキード収賄証拠を意図的にリークされ、前代未聞にも、首相の身分で、犯罪人の屈辱を受け、ライブドア創業者、堀江貴文氏(ホリエモン)と同じく東京拘置所に入れられたのです。田中角栄氏は、田中派政治家であった野中広務氏の名発言『毒まんじゅう』ならぬ『毒ケーキ』を食らったのです。ちなみに上記、田中角栄氏の失脚に乗じて、1987年、自民党最大派閥であった田中派をのっとったのが、竹下登氏(田中首相からみて裏切り者)でした。その秘書であった青木幹雄氏が、2003年自民党総裁選で、再び、寝返って、あろうことか、田中派の仇敵、小泉支持に回って、自民党内の反小泉派の巨頭であった野中氏から『毒まんじゅう』を食らったと批判されたのです。なんという因縁でしょうか。さて日本では、ポスト小泉の白熱戦が熱気を帯び始めている昨今、米国覇権主義者が、タイミングよく30年以上も前のキッシンジャー語録を公表するのは、なんらかの政治的意図があるはずです。

 

3.シナリオ発想が欠落していた哀れな田中角栄氏

 独裁者的資質をもった田中角栄氏が、東アジアにおいて工業大国日本のさらなる発展を実現するには、米国に従属するよりも、中国と国交回復したほうがよいと愛国主義的に判断したことに、筆者個人は賛同できないこともありません。その意味で田中氏は、決して思想的な親中国派ではなく、その本質はナイーブな愛国主義者(郷土愛主義者)であったと思います。ただし、田中氏を評価できるのは、米国という存在を忘れることができれば、という但し書きの範囲内での話しです。もし日中国交回復後も、彼の権力が維持されていれば、日米貿易で得た米ドル(貿易黒字分)を売って得た潤沢なる円資金で中国に大々的に投資して、今頃は、東アジアで円経済圏(日本が東アジアでの経済的覇権国となる)が確立されていたはずです。日本は大変に繁栄し、アジア各国では日本語ブームが起きて、日本人が多数、日本語圏となった広域アジア経済圏に移住していたはずです。もし、そうなっていれば、戦後日本の膨張エネルギーは健全に発散されて、地方の衰退も、ニート問題も起きなかったでしょう。ところが、対岸のキッシンジャー氏にとって、田中角栄氏の描いたバラ色のシナリオこそ、許しがたい『裏切り』であったのです。つまり、田中角栄氏は、狭視野にも日本繁栄のシナリオだけを夢見て、周恩来と歴史的握手をしたのです。キッシンジャーに代表される『ルシファーの眼』(注1)の存在を甘く見た。さらに言えば、中国共産党が日本をどのようにみているかを、田中角栄氏は正しく認識できなかった。

その結果、どうなったか。田中氏は、ケネディに次ぐ悲惨な最期を遂げたのです。キッシンジャー氏に代表される米国覇権主義者を裏切るとどのような仕打ちが待っているか、田中角栄氏は、その恐怖のシナリオが描けなかったのです。この点が、国際的視野の狭い田中氏の、政治家としての限界だったのでしょう(注2)。残酷ですが、このような人物を首相に選んだ自民党員、さらに、土建中心の田中利権体制を支えてきた日本国民の自業自得でした。

さて、米国ではJFK(ケネディ大統領)、日本では田中角栄氏の悲惨な最期を目の当たりにした日米の政治指導者は、その後、大きく変化したのです。ブッシュ・ジュニアと小泉首相は、その象徴的指導者(実権のない単なるピエロ)です。

 以上の分析から、現時点におけるキッシンジャー語録の公表は、ポスト小泉の総理候補者に対する、米国覇権主義者の強いメッセージであると解釈することができます。

 ところで、狭視野の田中氏と違って、小泉氏は『ルシファーの眼』を十分意識しています。誰がなんと言おうが、モルモットのように、せっせと靖国詣でを繰り返す小泉首相のやつれた背中にそれが伺えます。上記、キッシンジャー語録を知れば、これまでの、不可解な小泉氏の一挙手、一投足が手に取るようによくみえてくるでしょう。

 

4.完全に疎外されている小泉首相

 200548日、ローマ法王、パウロ2世の葬儀がバチカンで行われ、米国からブッシュ大統領とクリントン元大統領が出席したのに、日本からは、川口外務大臣が日本代表で出席したにとどまったことは記憶に新しいでしょう。これは、日本政府が失礼したのではなく、ルシファーの判断によるものだったのではないでしょうか。要は、日本国の天皇も小泉首相も参列を認められなかったのでしょう。この事実から、彼らが内心、日本をどのようにランキングしているかが伺えます。あれだけ、米国に尽くしても、小泉首相は彼らのインナーサークルに入れてもらえないということです。このことを日本の親米主義者はわかっているのでしょうか。カトリック信者ではない米国大統領をわざわざ、パウロ2(アウシュビッツのあったポーランド出身)の葬儀に参列させたということは、パウロ2世がルシファーからどのように位置づけられているかを物語っています。さらに48日に予定されていたチャールズ皇太子の再婚式(キリスト教色のない異例の結婚式)の日程を9日に変更させたことも意味があります。パウロ2世の葬儀日程よりチャールズ皇太子の再婚式日程の方が先に決まっていたはずですから・・・。要するに、パウロ2世の方が、英国王室より偉いということを示唆しています。

 イエス・キリストを冒涜していると、バチカンを怒らせたソニー映画『ダヴィンチコード』(注3)の世界同時封切り直後、パウロ2世の後継のローマ法王、ベネディクト16世が2006525日より、ポーランドを訪問し、2006528日、アウシュビッツを訪ねるそうです。これらの動きは、ルシファーの何らかの強い意志を感じさせます。米国大統領より偉く、英国王室より偉いローマ法王がかしずくのは、あのアウシュビッツ強制収容所(世界遺産に登録)なのです。

 

注1:ルシファーの眼とは、FRB米国連邦準備銀行(米国の日銀に相当)の発行する1ドル札の裏に描かれたピラミッドの頂点に光る眼を指す。

注2:己の国際性のなさを十分、自覚していた田中角栄氏は、後継ぎの真紀子氏を米国に留学させている。ちなみに、第一次小泉内閣の外務大臣であった田中真紀子氏とコーリン・パウエル氏(非ネオコン)が非常に、親しそうだったのが印象的である。

注3:ベンチャー革命No.194『ソニー映画『ダヴィンチコード』のインパクト』2006521

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr194.htm

 

山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

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