ベンチャー革命2006109

                           山本尚利

タイトル: 北朝鮮地下核実験強行の意味とは

 

1.北朝鮮核実験強行に落ち着き払う安倍総理

 2006109日、昼のTVニュースによれば、北朝鮮が地下核実験を実施したと緊急報道されています。現段階では、まだ、核実験したことの最終確認は取れていません。北朝鮮の北部を震源とするマグニチュード4前後の人工地震波を観測したとの米韓の報道もあります。このニュースが正しいければ、北の核実験強行に至る経緯は次のようになります。まず、2006926日、安部総理が誕生して、間髪入れず中韓訪問を発表したとたん、103日、突然、北朝鮮は地下核実験を実施すると発表しました。そして、1089日、安倍総理の中韓訪問中の9日に北は核実験を実施したことになります。なんだかクサーイ、ドキュメンタリー・ドラマを観させられているようで実に嫌な気分です。すべてがあまりにできすぎています。なぜなら、核実験には相当の準備期間と巨額の建設コストを要しますから、9.11事件のように、あらかじめ誰かによって用意周到で緻密なシナリオが描かれてない限りできないビッグサプライズだからです。あの貧乏なはずの北朝鮮で、誰がそのお金を出しているのでしょうか。 

さて、北の核実験に先立つ、200675日、北は日本海で突然、ミサイル発射実験(6、注7)を強行しています。このとき、小泉内閣の官房長官であった安倍総理の、事前に予想していたかのような乾いたコメントが思い出されます。次に104日の北の核実験宣言直後にも、安倍総理から、同じく乾いたコメントが発せられました。両者、共通点があります。それは、あまりに落ち着き払った紋切り型の安倍コメントです。それに比して106日、衆院予算委員会での田中真紀子氏の質問の場面で、答弁に立つ安倍総理は別人のように、顔が青白く引きつっていました。つまり安倍首相は、北朝鮮拉致問題当初から、こと北に関するサプライズ・ニュースに限って不思議なくらい落ち着き払っています。その証拠に、109日、ソウル訪問中の安倍総理は報道陣から、北の核実験強行ニュースへのコメントを求められていましたが、田中氏との論戦対決時の不安そうな表情と打って変わって、なんと生き生きとしていることか。やはり育ちのよいナイーブな首相です。すべて表情に出てしまう、この人は・・・。田中真紀子氏は自民党権力構造のウラのウラまで熟知していますから、事前の約束を破って、予算委員会でどのような爆弾が炸裂するか、さぞかしヒヤヒヤだったのでしょう。それに比して、北のミサイル発射・炸裂も、核の爆弾実験も、すべて闇権力のシナリオどおりで、それを密かに知る立場にいる安倍首相はまったく、動じていない。109日のTVニュースから判明したことは、安倍首相にとっては、北のミサイルや爆弾より、田中真紀子氏の口撃爆弾の方が、はるかに怖いとお見受けしました(笑い)。  

ところで最近のTVニュースは国際事件の本質を視聴者にまったく解説できていませんが、その代わり、皮肉なことに権力者の表情をリアルタイムで正直に映し出すことができます。デジタル技術のおかげで、映像解像度も向上し、高精細動画の即時送配信も可能ですから・・・。

 

2.双頭の鷲の極東戦略とは?

 筆者は、北の発する一連のサプライズから、極東における双頭の鷲の寡頭勢力(注3)の縄張り争いが表面化しつつあると分析します。ここで、双頭の鷲とは、軍事・エネルギー系寡頭勢力と国際金融系寡頭勢力を指します。小泉政権時代において、極東における兄弟ケンカ(注2)を扇動したのは前者、軍事・エネルギー覇権の極東隠密です。一方、小泉政権下で活躍した竹中氏やオリックス宮内氏を闇応援してきたのは、後者、国際金融覇権の支配下にある国際金融企業ではないかと筆者は推論します。(注3)

 小泉亜流政権である安倍政権に代わっても、軍事・エネルギー覇権と、国際金融覇権の綱引きが、依然、水面下で戦われていると推論できます。なお、安倍政権を誕生させたのは、軍事・エネルギー覇権の戦略的誘導であると思います。一方、国際金融覇権はポスト小泉で、竹中政権の誕生を期待していたはずです。(9)

 現実には、軍事・エネルギー覇権の闇誘導で、竹中氏、宮内氏、あるいはライブドア堀江氏のような竹中チルドレンが失脚させられ、安倍政権が実現しました。(注3)

 しかしながら、筆者は1年前からポスト小泉として竹中総理誕生(注9)を予想していました。その意味で、今後、安倍政権の存続は、依然、極めて流動的であり、まったく予断を許しません。双頭の鷲の抗争次第では、近未来、安倍政権が失脚させられ、その後、幻となった竹中総理誕生シナリオに替わる、小沢総理誕生のシナリオも決して、消えてはいません。(10)

 このように、極東を含む広域アジア市場争奪をめぐる軍事・エネルギー覇権と国際金融覇権の抗争の勝敗の行方は、複雑怪奇な中東情勢の変化と呼応・連動して、現在、極めて流動的で不透明です。

 

3.安倍政権の意外なしたたかさ

 さて安倍新政権は、軍事・エネルギー覇権のおかげで、誕生したにもかかわらず、狡賢くも、誕生したとたんに、二足のわらじを履こうとしているように見えます。小泉首相が、軍事・エネルギー覇権におもねって、日本の国益を損ねるとわかった上で、確信犯的に対中韓の外交をせっかく破壊した(注2、注11)のに、安倍政権は、その恩を仇で返すように、国際金融覇権の意向に沿って、対中韓外交建て直しを最優先しているように見えるからです。ところで双頭の鷲の対日戦略の究極ミッションとは、日本の保有する3~4兆ドル相当の巨額債権を何が何でも帳消しすることです。ズバリ言いましょう。彼らにとって、理想的には、アジアでの真の潜在的脅威である日本が国家破綻・全滅することです。そうなれば、日本のもつ巨額の対米債権は自然消滅するからです。日本を長期的戦略にて全滅させるシナリオは、二つあって、軍事的国家崩壊と、金融的国家破産のどちらかです。筆者としては、どうせ滅ぼされるなら、血をみなくてよい金融破産のほうがましと考えています。日本を滅ぼす(長期戦略)ための第一ステップ(短期戦術)として、軍事・エネルギー覇権は、極東戦争準備のための兵器の対日輸出と石油・ガスや基本食糧の対日供給支配によって、そのミッション実現に一歩近づけようとしています。一方、国際金融覇権は、日本国民の保有する金融資産を合法的にのっとって、中国・インドに投資して大もうけすることによって、そのミッション実現に一歩近づけようとしています。

 さて、2006108日の日中首脳会談を眺めると、小泉政権を目の仇にしていた中国政府は、一転、安倍政権に対して、極めて寛容になったように見えます。なぜ、中国政府は君子豹変したのか。その鍵は、20066月、中国通のヘンリー・ポールセン(ゴールドマン・サックス元会長)の財務長官としてのブッシュ政権入り(12)にあると筆者は思います。中国政府は、ブッシュ政権中枢部の変化(軍事・エネルギー覇権から国際金融覇権への主導権シフト)を敏感に読み取っているのです。安倍政権も負けずに、この変化に敏感となっているということです。おたがい、靖国問題を肴にして、ばかげた兄弟ケンカ(注2)している必要はもうなくなったのです。

 2006108日、日中急接近という絶好のタイミングにおいて、北朝鮮の核実験サプライズの起きた理由は、表向きいろんな解説がマスコミで流されていますが、要は、北は軍事・エネルギー覇権と水面下で繋がって(注1)おり、現ブッシュ政権あるいはポスト・ブッシュ政権における国際金融覇権の台頭を利用しようとする中国の胡錦濤政権と日本の安倍政権の急接近に対する、軍事・エネルギー覇権(ネオコンも含む)サイドの嫌がらせの結果に他なりません。

 そこで安倍政権は狡賢く、当面、両にらみの複眼作戦で行くしかありません。まず、軍事・エネルギー覇権を喜ばすため、北朝鮮脅威を理由に、米国の軍事企業からミサイル防衛システムを大量に購入する。さらに、極東戦争絶対回避を祈願して、こっそり、単独に核武装の準備も進める。他方、国際金融覇権を喜ばすために、国民の金融資産(郵貯、生保、損保、年金、銀行預金など)を国際金融企業に思い切って開放し、中国・インドに存分に投資させ、しこたま儲けさせてあげる。日本はそのおこぼれに預かる。その代わり、日本国家の生命線である日本発グローバル企業の国際市場における営業を陰謀によって妨害しないよう、双頭の鷲に強く要求する。ちなみに、あのトヨタといえども、双頭の鷲に睨まれると怖い。ひとひねりで簡単に潰されるでしょう。双頭の鷲の存在に脅えるトヨタが経団連主導のシンクタンクを設立して、双頭の鷲の傀儡(ウラを返せば彼らに対する貢献者)であった小泉首相を顧問に据えるというニュース(2006108日報道)は、トヨタが双頭の鷲に対する日本の発言力の構築を目論んでいる証拠ではないでしょうか。

 

北朝鮮関係の拙稿リスト:

注1:ベンチャー革命No.83『日米対北朝鮮:八百長の敵対関係』200465

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr083.htm

注2:ベンチャー革命No.132アジア兄弟げんかの顛末記20041219

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr132.htm

3:ベンチャー革命No.150双頭の鷲:北朝鮮経済制裁とライブドアの関連性200565

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr150.htm

4:ベンチャー革命No.157現実化する日本の孤立シナリオ2005410

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr157.htm

注5:ベンチャー革命No.169軍事・防衛技術の日本型MOT2005717

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr169.htm

6:ベンチャー革命No.200北朝鮮ミサイル:日本国民をもてあそぶ玩具200675

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr200.htm

7:ベンチャー革命No.201北朝鮮脅威:国民の不安と苛立ち募る200679

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr201.htm

8:ベンチャー革命No.208『北朝鮮核実験宣言:日本の安全保障はどうなる?』2006104

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr208.htm

9:ベンチャー革命No.179竹中総理大臣の誕生か?2005101

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr179.htm

10:ベンチャー革命No.190小沢民主党新代表のミッションとは2006411

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr190.htm

11:ベンチャー革命No.159対中挑発:中国の発展を阻害すること2005423

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr159.htm

12:ベンチャー革命No.199福井日銀総裁バッシングとポスト小泉シナリオ2006621

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr199.htm

 

山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm