ベンチャー革命20061112

                           山本尚利

タイトル: 米国中間選挙:戦争屋から銀行屋へバトンタッチ

 

1.インターネットの勝利

 2006117日、米国で中間選挙が行われ、予想以上の民主党圧勝に終わりました。選挙の争点はイラク戦争持続か、撤退かというシンプルなもので、米国民の裁断は、イラク戦争撤退という結果でした。イラク問題に関して小泉路線を引き継いだ安倍政権は米国から、今後、はしごをはずされる可能性が大でしょう。小泉首相は、間違った戦争に日本を引きずり込んだ張本人です。筆者は、当初からイラク戦争の欺瞞性を見抜いていました(注1)。お人好しの一般米国民も、2年前からうすうす、イラク戦争の欺瞞性に気づいていたのです。そのため、ブッシュ政権2期目の選挙のときから、イラク戦争の是非が大統領選の争点でしたが、このときは、米国世論はまだ真っ二つに割れていました。当時まだ、米国民の間には、テロ恐怖が残っており、ブッシュサイドは、オサマ・ビンラディンの応援(注2)を得て、国民にテロ恐怖心を煽ることに成功していました。当時の大統領選挙では、民主党サイドに当て馬候補としてケリー上院議員が送り込まれ、さらに、大規模な不正選挙が行われてかろうじてブッシュが再選されています。今回の中間選挙に関して、仮に、ブッシュ政権の不信任結果がでても、大統領が交代する必要はないので、ブッシュ政権を支配する寡頭勢力(戦争屋)はあまり小細工をしなかったようです。彼らの誤算は、インターネットの力でしょう。多くの米国民は、米国の大手マスコミがことごとく寡頭勢力に牛耳られていることを知り、インターネットに依存する度合いが飛躍的に高まっています。この点は2年前の大統領選挙のときからのもっとも大きな違いでしょう。現在の米国では、下手な世論操作が効かなくなりつつあります。寡頭勢力は、20003月頃には、インターネット発祥のシリコンバレーに電力危機を仕掛けて、ネットバブル崩壊に成功しましたが、200611月現在、彼らは、ベトナム戦争以来、アンチ戦争屋であるシリコンバレー発のネットパワーに圧倒された格好になっています。

 

2.米国共和党と民主党:双頭の鷲の勢力争い

ところで、米国を実質支配する寡頭勢力は大きく二つの勢力に分かれます。それは軍事・エネルギー覇権(戦争屋)と金融覇権(銀行屋)の双頭の鷲の構造(注3)となっていると筆者は分析しています。現ブッシュ共和党政権はどちらかといえば、2001年政権誕生以来、前者、戦争屋に牛耳られてきました。そして、前クリントン民主党政権はどちらかといえば、後者、銀行屋に支配されてきたといえます。今回の中間選挙結果の意味するところは、今後、しばらく、ブッシュ共和党政権は戦争屋が仕切り、連邦議会の議決権が、共和党から民主党に移ったため、米国政治の大勢は、戦争屋から銀行屋に、ダイナミックにパワーシフトするということです。このままいけば、ポスト・ブッシュ政権は、ほぼ間違いなく銀行屋の手に落ちるでしょう。このパワーシフトは、20066月のビルダーバーグ・オタワ会議の決定事項(注4、注5)だったのではないでしょうか。その意味で、今回の中間選挙結果は、近未来、米国覇権が、戦争屋から銀行屋にパワーシフトすることを、決定付ける役割を果たしたということです。米国世論もその方向で誘導されたのでしょう。米国経済のマクロ潮流を観察すると、上記のように、銀行屋と戦争屋が交互に覇権をとるのですが、銀行屋はもっぱら、お金儲けを行い、次に戦争屋がたまったお金を戦争で使い果たす、というサイクルで経済を回しているということです。

 

3.ブッシュは残る任期を全うできるか

 中間選挙での共和党敗北で、ブッシュ大統領はレームダックになったと言われていますが、もうひとつの見方は、中間選挙でわざと負けたのではないかというものです。イラク戦争を決着させないで、中間選挙に臨めば、ブッシュ政権が窮地に追い込まれることは、事前にわかっていましたが、ブッシュ政権はなんら、打開策を打たなかったのは確かです。その見方に立てば、世界的寡頭勢力が、米国の戦争屋を一時、引っ込ませるために、ブッシュ政権を身動きできなくさせて、シナリオどおり、民主党を勝たせたということです。ところでブッシュ政権は二重構造となっています。WASP(White Anglo-Saxon Protestant)に支持される伝統的共和党のオモテの顔と、ネオコン支配というウラの顔です。中間選挙の共和党敗北の責任をとって、ネオコンの先手、ラムズフェルド国防長官が辞任しましたので、ネオコンにハイジャックされていた国防総省のWASP幹部は、何はともあれ、ほっとしているでしょう。ブッシュ政権は、ネオコン主導から、WASP共和党(主流)主導に化粧直しして、とりあえず、再出発です。

 筆者の予想するシナリオ(期待を込めた)は、近々、チェイニー副大統領がパウエル元国務長官(彼が同意すれば)にチェンジされ、パウエルが新たに副大統領に就任する。そしてブッシュが病気になるか、あるいは事故によって辞任し、副大統領パウエルが今後2年間、臨時の大統領となるのではないかと読んでいます。イラク戦争は、WASP国防省のサポートを受けてパウエルの手によって、決着されるでしょう。その後、2年後の大統領選挙にて、民主党から、銀行屋の支配する大統領が誕生する。それはヒラリー・クリントンかもしれませんし、新人候補かもしれません。

 

4.戦争屋はおとなしく引き下がるか

 ところで中間選挙前まで、ブッシュ政権を牛耳っていた戦争屋とネオコンが、このままおとなしく引き下がるでしょうか。世界的寡頭勢力から、イラン攻撃を厳禁された戦争屋とネオコンは、イラン戦争のために準備した兵器の在庫を一掃しなければ大損します。何としてでも、世界のどこかで戦争したいわけです。最近の北朝鮮の挑発的な動き(注5、注6、注7)は、おそらく、キム・ジョンイルが米国の戦争屋とネオコンに脅かされての悪あがきでしょう。このことを、もっとも警戒しているのが、今の中国共産党政権です。

 戦争屋とネオコンが、イラン戦争の代替ターゲットとして極東戦争を狙っているのです。

中国は、靖国問題で日本と兄弟喧嘩していては、まんまと戦争屋とネオコンに嵌められることに気づいたのです。だから、20069月、安倍政権誕生と同時に、早々と安倍首相の中国訪問が実現したと筆者は理解しています。ブッシュ政権がこれを認めたということは、この時点で、ブッシュ政権内部に覇権交代が起きているとみることができます。中国政府も2008年、北京オリンピックを控えて、極東で戦争に巻き込まれるのは真っ平御免でしょう。今のところ、中国政府は、北の押さえ込みに成功しています。ただし、戦争屋とネオコンは、偽装テロ計画を含めて、あの手、この手で、いろんな仕掛けを極東でやらかす可能性が残っています。中国政府が期待しているのは、ビルダーバーグ会議の決定に基づき、20066月にブッシュ政権の財務長官に就任したヘンリー・ポールソン(ゴールドマンサックス出身の中国通)でしょう。ポールソンは、世界的寡頭勢力および、銀行屋系寡頭勢力の要求によって、ブッシュ政権に入った人物です。彼がブッシュ政権閣僚として、戦争屋とネオコンを牽制できるかどうかが、極東戦争の行方を決定します。

 日本政府は、日本海での極東戦争を何としても回避するため、心を鬼にして、イラン向け兵器在庫は、アフガニスタン方面で一掃するよう仕掛けていく必要があります。

 安倍政権は、ポスト小泉に竹中平蔵を推した銀行屋覇権ではなく、戦争屋覇権の闇サポートで誕生したのですが、今や、米国の国家権力は銀行屋覇権に移りつつあります。その意味で、安倍政権は誕生まもなく、早くも時代遅れの頓珍漢政権になってしまいました。このまま行くと、アジアで日本は孤立させられるでしょう。安倍内閣を成立させた多くのノー天気の日本国民には、残念ながら、上記のような、日本に多大な影響を及ぼす世界覇権構造がまったく見えていないし、世界情勢の変化にもついていけてないようです。

 

注1:ベンチャー革命No.048『世界まれなる人道支援の武装軍隊』20031228

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr048.htm

注2:ベンチャー革命No.126『ビンラディンの応援演説』20041031

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr126.htm

注3:ベンチャー革命No.150双頭の鷲:北朝鮮経済制裁とライブドアの関連性2005219

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr150.htm

注4:ベンチャー革命No.199福井日銀総裁バッシングとポスト小泉シナリオ2006621

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr199.htm

注5:ベンチャー革命No.200北朝鮮ミサイル:日本国民をもてあそぶ玩具200675

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr200.htm

注6:ベンチャー革命No.208『朝鮮核実験宣言:日本の安全保障はどうなる?』2006104

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr208.htm

注7:ベンチャー革命No.209『北朝鮮地下核実験強行の意味とは』2006109

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr209.htm

 

山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm