
ベンチャー革命2009年4月5日
山本尚利
タイトル: 北朝鮮テポドン発射の対日挑発:米国覇権二極化の災い
1.北朝鮮テポドン2号発射成功
2009年4月5日日曜、午前11時30分、北朝鮮は日本東北部に向けてテポドン2号改良型ロケットを発射、1段目ブースター残骸が秋田沖に落下、2段目残骸が日本のはるか東方、太平洋上に落下しました。北朝鮮は1998年8月、テポドン1号の発射実験に成功しており、このときも今回同様、テポドンロケットは日本の上空を飛来し、太平洋上に落下しています。北朝鮮による極東脅威こそ戦後日本の最大の国家課題(難題)であり、そのことについては拙著『情報と技術を管理され続ける日本』(2008、光文社)にてまとめて自説を発表しております。今回の北朝鮮テポドン2号発射事件を筆者なりに分析するため、下記に北朝鮮関連投稿の拙稿を時系列にリストアップ(注1~注7)しました。過去ログ(過去のエビデンス)を時系列で振り返ると、現在の情勢分析がきわめて容易になり、しかも全体がみえてきます。ちなみに、この手法は筆者の専門、MOT(技術経営)方法論のひとつ、Evidential Reasoningの応用です。
さて今回、北朝鮮はテポドン2号を人工衛星打ち上げ用のロケットと発表し、その打ち上げ計画を、関連する国際機関(国際海事機関や国際民間航空機関)に事前通告しています。しかしながら日本政府はテポドン2号が真に人工衛星用ロケットか軍事ミサイルかについて識別できておらず、公式には飛翔体と呼んでいます。このロケットはほぼ計算どおりの軌道で飛翔したのか、幸い、日本本土への被害はないようです(2009年4月5日午後1時現在)。
しかしながら、一般的にロケットには緊急自爆装置がついているとはいえ、機器の故障で遠隔制御不能となれば軌道を逸れたロケット本体が日本本土に墜落する危険に満ちており、日本政府が北朝鮮に抗議して済む問題ではありません。最悪、軍事的反撃を避けられない深刻な国家脅威であると認識すべきです。現実に1996年、中国が内陸部で行ったロケット発射の失敗で、大災害(近隣住民死者500人)を起こしているようです。
2.北朝鮮のテポドン2号発射はなぜ国連安保理違反なのか
日本政府によれば、北朝鮮のロケット発射は平和目的であろうが、軍事目的であろうが、国連安保理決議に違反するとのことです。ここで注記しておきたいことは、米国のスペースシャトル打ち上げロケット発射や日本のH-2Aロケット(人工衛星打ち上げ用)の発射は国連安保理決議違反ではなく、北朝鮮が公式通告した人工衛星打ち上げロケットが国連安保理決議に違反するというロジックはなぜ成り立つのか、ということです。これは素朴な疑問であり、とりわけ北朝鮮国民には納得いかないでしょう。本件について上記拙著にも書いていますが、北朝鮮が国際的に民主主義国と認知されていないからです。かつてブッシュ政権が北朝鮮をイラン、イラクとならんで「悪の枢軸」とみなしたのは、これらの国は国際的に信用されない危険な非民主主義国家であるという意味であり、これらの国は、たとえ国連に加盟していても、その行動で軍事関連と疑われるものは国連安保理で違反扱いにされる可能性が常にあるわけです。戦前、欧米列強(民主主義国を自認する国)は自分たちのアジア植民地支配は合法とみなし、日本によるアジア植民地支配を認めなかったロジックと同じです。戦前日本は現在の北朝鮮と同じく、天皇独裁国家(非民主主義国)とみなされていたからです。当時の日本政府は彼ら欧米国家のロジックが理解できず、ついに戦争を始めてしまった歴史があります。現在の北朝鮮は戦前日本と同じレベルですから、自分たちのロケット発射は日本のH-2Aロケット発射と同じであると理解し、日本政府がいくら国連安保理決議違反だと非難しても北はまったく聞く耳もたないのです。現代の北朝鮮は、まさに欧米列強の帝国主義を真似た戦前日本と同じです。ということは、戦前の日本が満州、中国、東南アジアに軍事的に進出していったと同じ行動を現代の北が取る可能性を否定できません。その意味で北がいつ日本に一方的に攻めてきてもおかしくありません。彼らが近未来、対日軍事侵略を行った場合、その正当化ロジックは、戦前日本の対朝鮮半島への軍事進出への仕返しであるということになります。金正日政権下、軍人はもちろん、北朝鮮国民にもこのような反日教育(軍事プロパガンダ洗脳教育)がされている可能性があります。戦前日本の鬼畜米英教育と同じです。
3.北朝鮮はなぜ、今、対日テポドン挑発を強行するのか
このところ連日、TVマスコミは北朝鮮テポドン関連の話題を取り上げ、キャスターはかならず「北朝鮮はなぜ今、日本に向けてテポドンを発射するのか」と専門家と称する人たちに問いかけています。彼らの答えはおよそ次のようになります。(1)オバマ政権誕生をにらんで対米威嚇外交(テポドンを交渉カードに利用)、(2)さし迫った国内事情である近未来のポスト金正日体制構築に向けて威信確保(金正日の引退祝砲効果)、(3)イランやパキスタンなど非民主主義国家へのミサイル輸出ビジネスのデモンストレーション(マーケティング活動)、などです。公の場で発言する専門家は北朝鮮の対日挑発の側面についてあまり言及しません。拉致問題を抱える日本の国民が北に対して、過剰に憎悪や恐怖心を抱かないように配慮しているかのようです。
これら専門家の説明では、北のロケットの発射方向が日本本土に向けられるのは、人工衛星ロケットが地球の自転方向に向けられるため、結果的に日本本土に向けられると示唆するものとなっています。しかしながら、標的を向けられるわれわれ日本人は「はい、そうですか」と、そのしたり顔の説明を素直に受け入れる気には到底なれません。
このようにTVマスコミの呼ぶ専門家の北朝鮮行動に関する解説は、いつも半信半疑で釈然としないのが一般的国民の本音ではないでしょうか。
4.米国の覇権二極化を理解せずして、北朝鮮の対日挑発は読めない!
2009年1月、米民主党オバマ政権の誕生により、米国覇権が完全に交代しています。単刀直入にいえば、ブッシュ政権時代の軍事覇権代表、デビッド・ロックフェラー系覇権(戦争屋)から、その甥、ジェイ・ロックフェラー民主党上院議員(ゴールドマンサックス系覇権の銀行屋)に覇権シフトしています。CIAなどを活用し、戦後日本の自民党の親米化、マスコミの親米化を推進してきたのは主に戦争屋です。戦争屋は日本の政権のみならず、北朝鮮の金正日政権もCIAの闇組織(極東の宗教団体を含む)経由でコントロール(アメとムチ)しています。金正日は戦争屋にとって“いけす”に飼われた魚も同然、いつでも料理できるようにスタンバイされています。金正日本人もそのことを百も承知です。ところが、現在のオバマ政権下の米国では、戦争屋のパワーが凋落しています。オバマ政権でもっとも干上がる勢力は米国(イスラエル右翼含む)の軍産複合体と、それを操る戦争屋です。オバマ政権は中短期軍事戦略として、戦争屋系ブッシュ政権の注力した中東から軍事撤退する可能性が高く、中長期的にロシアとの冷戦緊張関係の再構築をたくらんでいます。オバマ政権実現で干上がるであろう戦争屋にとっては、そのつなぎの戦争が何としても欲しいのです。一方、対立する銀行屋にとっても、金融危機脱出の特効劇薬として戦争ビジネスが一定程度、効果的であることは百も承知です。オバマの影武者、ズビグネフ・ブレジンスキー(根っからの反共主義者でイラク戦争反対論者)はロシアとの冷戦緊張関係を志向しているものの、現実に戦争を起こす気はないでしょう。もし起こしたら核戦争に発展しますから・・・。ブレジンスキー戦略では戦争屋は必ずしももうかりません。そこで彼ら双頭の鷲の矛先は中東の次に、つねに極東を向くのです。極東は戦争屋にとってまさの戦争ビジネスの有望市場そのものです。ところで彼らの最優先市場は言うまでもなく中東です。そして彼らのセカンド・チョイス市場機会こそが北朝鮮なのです。戦争屋、銀行屋を問わず、リスク挑戦を生きがいにする米国覇権主義者の国家戦略はつねにシナリオ発想に基づいて立案されます。たとえば近未来、中東での戦争シナリオ実現に向けて先行技術投資(兵器の開発と生産)する際、リスクヘッジとして極東での戦争市場機会の創出を仕込んで置くのが彼らの常道です。なぜなら、戦争屋がある地域でいくら戦争勃発を望んでも、地球上の一般人は100%、戦争反対ですから・・・。謀略のプロである戦争屋にとっても、思惑通り戦争を起こすことは至難なのです。しかも米国は形式的に民主主義国家ですから、戦争屋は常に表立って行動できないシャドウ・セクターです。その意味で、ならず者、北朝鮮ほど戦争屋にとって貴重なペットはいないのです。なお、もうひとつの重要ペットであったサダム・フセインのカードはすでに切っていますから・・・。
5.戦争屋系米国覇権主義者の常套手段にだまされるな
上記のように戦争屋の置かれた世界の戦争ビジネス市場環境をMOT(技術経営)的に分析すれば、今回の北朝鮮のミサイル発射事件の謎が解けてきます。われわれ日本国民は戦争屋のプロパガンダ技術によってどのようにマインドコントロールされようが、冷静に情勢判断するインテリジェンスを身につけないと、否応なしに、戦争に巻き込まれてしまうということです。ここで非常に厄介なのは、日本の権力支配層、既得権益者、大手マスコミ(国営、民営問わず)の多くが戦争屋の巧妙なマインドコントロールに見事に乗せられているという事実です。彼ら戦争屋系米国覇権主義者がどれほど凋落しても、なお怖いところは、平気で二枚舌を使うことです。2003年、彼らは核兵器の開発を中止していたイラクには、世界に大嘘をついて平気で先制攻撃を仕掛けたのに、2006年、核兵器の開発に成功したと自慢する北朝鮮には決して先制攻撃をしません。なんという見え透いたダブルスタンダードでしょうか。日本国民は決して彼らにだまされないようもっと(MOT)勉強しましょう。上記日本の悲惨な現実に政治的意識の高いネットの知的ブロガー(一部)は明確に気付いています。現在の日本国民は大手マスコミの発する偏向報道からは、まったく情勢分析できないどころか、誤った認識が刷り込まれる危険が非常に増しています。日本の大手マスコミは、日本国民にとって日米関係の真の理解にはむしろ有害な機能を果たしています。
さらに戦争屋に毒された現在の親米自民党は大手マスコミ以上に大変病んでいます。最近の例を挙げれば、ミエミエの自民党員である森田健作氏が、完全無所属とタスキに書いて、千葉県知事選挙に大勝した事例が挙げられます。かつては競って自民党の公認を取ろうと躍起になった保守系候補者が圧倒的多数であったにもかかわらず、今回の千葉県知事選挙はなんという病的ネジレ現象でしょうか。世も末とはこのことです。かつて戦争屋の傀儡となった従米隷属の小泉フィーバーで、日本国民全体が国家詐欺に遭ったにもかかわらず、こりもせず何度もコロリとだまされる日本人がいかに多いことか、振り込め詐欺が後を絶たないのも、うなずけます。上記千葉県知事選挙のショッキングな事実に千葉県民である筆者は非常に落胆しています。一事が万事、こんなに簡単にだまされては戦争屋のジャパンハンドラーのみならず北朝鮮の金正日すらも笑いが止まらないでしょう。それでも森田千葉県知事候補のダマシはまだ可愛いものですが、戦争屋のダマシは恐ろしい。彼ら謀略のプロ、戦争屋の対日マインドコントロール(あるいは国家ハラスメント)に引っかかると、日本国民の生命そのものの安全保障にかかわってきます。日米太平洋戦争の愚を絶対に繰り返してはなりません。なぜ、戦前日本は太平洋戦争の引き金を引かされたか、みんなもう一度、じっくり反省しましょう。
6.もう一度、大政奉還に学ぼう
ところでNHKは「プロジェクトジャパン」という大型企画を始めるようですが、われわれ日本国民にとって真の勉強になるでしょうか(笑)。なにしろNHKはわれわれ国民からの強制寄付で運営されていますから・・・。
現代の日本と北朝鮮の関係は、幕末時代、幕府と薩長土肥連合の全面戦争回避という歴史的事実から学ぶところが多いのではないでしょうか。当時の幕府にはフランス海軍が接近、一方、薩長には英国資本の香港ジャーディン・マセソン商会が接近、その両者の背後にロスチャイルド欧州財閥が控えていました。彼らの対日植民地支配手法は、幕府と薩長両者に兵器を売り付け、両者を戦わせて消耗させてそのスキに日本を乗っ取ることだったのです。彼らの手口は大昔からなんら変わりません。この謀略にいち早く気付いたのが、坂本龍馬や西郷隆盛や勝海舟など歴史的英雄だったのではないでしょうか。彼らは徳川慶喜に大政奉還を勧めて、幕府と薩長の全面戦争を回避、寸前のところで日本の植民地化が回避されたのです。もっとも、あの時、ロスチャイルドに嵌められていたなら、今頃、東京は香港、上海にならぶ英語圏の国際都市となっていたかもしれませんが・・・。幕末時代は敵対両者、同じ日本人だったから全面戦争の歴史的回避に成功しましたが、現代の日朝も同じ東アジア人国家です。幕末の賢人(インテリジェンスをもった日本人)を模範に、戦争屋の前では敵対する振りをして、彼らの仕掛ける日朝戦争を巧妙に回避するワザが求められます。さもないと極東が火の海にされる危険が非常に高まっています。現に、北朝鮮のピョンヤン国営放送は超過激な対日挑発コメントを平気で日本に流していますが、これは決して冗談ではありません。
北朝鮮脅威に関する過去の主要拙稿リスト:
注1:ベンチャー革命No.150『双頭の鷲:北朝鮮経済制裁とライブドアの関連性』2005年2月19日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr150.htm
注2:ベンチャー革命No.200『北朝鮮ミサイル:日本国民をもてあそぶ玩具』2006年7月5日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr200.htm
注3:ベンチャー革命No.201『北朝鮮脅威:国民の不安と苛立ち募る』2006年7月9日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr201.htm
注4:ベンチャー革命No.208『北朝鮮核実験宣言:日本の安全保障はどうなる』2006年10月4日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr208.htm
注5:ベンチャー革命No.209『北朝鮮地下核実験の意味とは』2006年10月9日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr209.htm
注6:ベンチャー革命No.209『北朝鮮拉致被害者帰国劇:郵政民営化可決の仕掛けだった?』2008年6月28日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr263.htm
注7:ベンチャー革命No.271『情報と技術を管理され続ける日本』2008年9月14日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr271.htm
山本尚利(ヤマモトヒサトシ)
hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp
ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm