ベンチャー革命200966

                           山本尚利

タイトル: 国民資産700兆円の対米債権:戦争屋より銀行屋に奪われたい!

 

1.鳩山総務大臣 vs 西川日本郵政社長の確執

 20096月末に任期切れを迎える西川善文日本郵政社長の続投の是非をめぐって麻生内閣、自公与党内にて大混乱が発生しています。今年1月、かんぽの宿のオリックスへの一括譲渡に関して、日本郵政の監督官庁である総務省の鳩山邦夫大臣が待ったをかけたことが発端となって、小泉・竹中政権の主導した郵政民営化が関係者により利権化されていることが発覚しました。ところが、その後、東京地検特捜部により民主党小沢氏秘書の国策逮捕事件が仕掛けられ、かんぽの宿疑惑が国民の目から巧妙に隠されてしまいました。それでもその疑惑を忘れていない国民の多くは、当然、西川氏は責任を取って辞任すると予想していましたが、518日、日本郵政取締役会の指名委員会にて続投支持が決まりました。現在、日本郵政は株式会社となっているものの、まだ株式は100%、日本政府所有で、経営人事に関して鳩山邦夫総務大臣の許認可事項となっているようです。6月末、株主総会を控えて、鳩山大臣は予想通り、西川社長続投を承認しないと宣言しました。ところが、これまで西川辞任を容認していたと思われる麻生首相は、一転、続投を認める考えを示しています。誰もが想像するに、小泉前首相の圧力に麻生氏が屈したのではないかということです。もし、西川続投を拒否したら、自民党分裂の危機があることを麻生氏は悟ったのでしょう。一方、小泉一派は、今、西川氏が、鳩山大臣推薦の後継者に交代させられたら、2001年以来、小泉氏が政治生命を賭けてここまで推進してきた郵政完全民営化に画竜点睛を欠くことになるのは明らかです。逆に、鳩山氏は、まさに土壇場で小泉氏の描いたシナリオをひっくり返すことを狙っているものと解釈できます。

現時点、麻生氏の意向から判断して、近未来シナリオとして、鳩山大臣更迭、西川続投が想定されます。もしこうなったら、小泉一派の対米売国性がいよいよ、全国民の眼前に晒されるでしょう。かんぽの宿の疑惑が国民に知られている以上、国民から見て西川続投の正当性はまったくないと思います。

 

2.西川氏が続投した場合の波紋

 今回の騒動でもっとも解せないのは、99%、辞任するとみられていた西川社長の続投を日本郵政の社外取締役があえて支持した点にあります。失点を負った西川氏は本音では辞めたくても辞められないのではないかという観測もあります。彼らは、この続投支持によってどのような事態が起こるかを織り込み済みであったのは間違いありません。つまり鳩山大臣と日本郵政のバトルが国民の前に曝け出されることを覚悟の上での反逆行為です。日本郵政の人事権を有する大臣に逆らう決定をぬけぬけとやるとは、これまでの日本の文化になかった珍現象です。

 それだけ小泉一派は追い詰められているということです。しかしながら、よほど鈍い人を除き、多くの国民には、郵政民営化が国民のためではなかったことがすでにばれています。小泉一派の唯一の救いは、大手マスコミがそろって、依然、西川続投を支持している点です。彼らは小泉政権時代、郵政民営化を応援しており、今更、豹変できないのでしょう。大手マスコミは徐々に国民から浮き上がり始めています。昨今の、この大手マスコミの異様さに気付かない人はよほど鈍感ということです。

 

3.副島隆彦氏の西川論について

 副島隆彦氏は近著『日米「振り込め詐欺」大恐慌』(注1)にて、西川氏を「真の愛国者」であると評価しています。その理由を、郵貯・簡保の国民資産を外資に丸投げしないで守っているからとしています。郵政民営化の実質的推進者だった竹中平蔵氏が「郵貯・簡保は全額、米国債に投資すべきだ」と主張していたのは確かですが、それを無視してきたのが西川氏であるとのことです。一般的な常識では、西川氏は竹中氏と同じ穴の狢(ムジナ)であって、彼が愛国者であるとは到底、信じられません。そこで、一部のブロガーから、副島氏はジェイ・ロックフェラーの隠れサポーターではないかと疑われています。なぜなら、西川氏の出身母体、三井住友銀行は、ゴールドマンサックス(GS)に対して従属関係にあるのは確かであり、さらにジェイはGSを実質的に支配していると副島氏が述べているからです。もうひとつ、副島氏は、ジェイとコネをもつ小沢氏をやたらに持ち上げることからも、上記の疑いがもたれるわけです。いずれにしても、筆者の推測では、日本郵政の資金運用の主導権を握っているGSの現在の対日ポジションを考慮すれば、郵政民営化法案が国会通過した直後の200511月、日本郵政の初代社長に西川氏が指名されたのは、小泉・竹中政権自体の意思ではなく、同政権が、GSの要請あるいはその意思を受けたブッシュ政権の要請に従った結果ではないかと思われます。その意味で西川氏は竹中氏に対して面従腹背となる可能性は十分あります。

 ちなみに20066月、ブッシュ政権にGS出身のヘンリー・ポールソン氏が財務長官として中途入閣しています。この事実から、2005年段階で、GSのブッシュ政権に対する発言力は相当強かったはずです。確かブッシュ政権への企業献金ランキングもGSがトップであったと記憶しています。

ところで筆者は郵政民営化を仕掛けたのは米国覇権主義者の戦争屋(デビッド・ロックフェラーがボスで共和党系、戦後のジャパンハンドラーの主体)であり、それにライバル銀行屋(ジェイ・ロックフェラーがボスで民主党系、ジャパンハンドリングのノウハウは弱い)が悪乗りした共同作戦だったのではないかと考えています(注2)

 さらに2008年9月のリーマンショックで表面化した米国金融危機はジェイ(銀行屋)がデビッド(戦争屋)の追い落としのために仕掛けたある程度、計画的なシナリオとみなしています。この金融危機によるデビット系金融機関のシティバンクやメリルリンチは被害絶大ですが、ジェイの関与するGSの被害はそれほど大きくなさそうです。なお、GSは元々、ロスチャイルド系であり、ジェイはロスチャイルド財閥の闇支援を受けながら、デビッド攻略を仕掛けているのではないかと筆者は思います。副島氏はジェイとデビッドの暗闘に精通しているのではないでしょうか。それならば、上記の副島氏の西川論は理解できなくもありません。

 

4.どうせ国民資産700兆円を奪われるなら、戦争屋より銀行屋に奪われたい!

 副島氏は、日本の保有する対米債権が累積ですでに700兆円規模に達していて、それは戻ってこないと述べています(注1、p38)。その前提で彼の本音を推察するに、奪われる700兆円の一部が戦争屋の手に渡り、中東や極東での戦争や、地球人口削減のための生物兵器の開発に流用されるのだけは何としても避けたいというものではないでしょうか。上記、西川氏が、郵貯・簡保の対米流出を最小限に食い止めているのが事実なら、それは郵貯・簡保資金が戦争屋に渡るのを防いでいるという意味でしょう。筆者の見方では、西川氏は国益の観点からそういう行動を取っているのではなく、GSあるいはその背後勢力の要請に従っているに過ぎなくて、結果的に、ジェイの敵、戦争屋に日本マネーが行かないということでしょう。一方、竹中氏の主張していたように、日本郵政が郵貯・簡保資金で米国債を買ったら、GSのポールソンが入閣していたとはいえ、チェイニーなど戦争屋が主導していたブッシュ政権に渡るところだったのです。それは、竹中氏が小泉政権下で経済財政政策大臣だった頃、急増した円売りドル買いオペ(30兆円から40兆円規模)により、ドルが米国に還流してイラク戦争に流用された疑惑を連想させます(注3)。副島氏は平和主義者ですから、このような円の対米流出(戦争への流用)を毛嫌いしていると想像されます。

 それに比べて、日本郵政経由で郵貯・簡保資金がGSの手に渡れば、それは戦争ではなく、中国を含むアジア投資に回される可能性が高いわけです。ポールソンが中国共産党政府首脳と強いコネを持っていることは周知の事実です。日本から奪われた資産がアジアに投資されれば、その投資収益はGSに渡っても、長期的にアジア経済の発展が見込め、結局、日本経済を潤すことになるわけです。

 

5.鳩山・西川バトルの背景:ウラのウラ読み

 以上の事情を考慮した上で、再度、鳩山・西川バトルの背景をみてみます。鳩山大臣は元々、田中角栄秘書ですから、アンチ清和会、アンチ小泉一派であることは容易に想像がつきます。副島氏は、鳩山氏の西川追放作戦の背後に、郵政利権を奪還したい旧郵政官僚が控えていると読んでいます。しかし、副島氏は、正義漢の鳩山氏のやらされている西川追放作戦は、彼ら郵政官僚が米国覇権主義者に篭絡された結果ではないかと述べています(注1)。

 その説に従えば、小泉一派を含む清和会を捨て、旧郵政官僚を抱きこんだ米国覇権主義者は銀行屋ではなく戦争屋ということになります。しかし、それならば、ここで矛盾が生じます。小泉一派の現ボス、中川秀直氏は街頭演説で西川続投を支持し、鳩山辞任を訴えています。戦争屋に支持されているはずの小泉一派が、依然、西川続投を支持しているということは、中川氏は知らぬ間にはしごをはずされてトンチンカンなことをやっていることになります。つまり清和会、小泉一派、そしてそれを応援する大手マスコミすべて、すでに戦争屋から見捨てられているということです。

このような副島氏のウラ読みは一理ありますが、すでに戦争屋のパワーも落ちていることから、老獪な旧郵政官僚が、そう簡単に戦争屋のいうことを聴くとも思えません。また旧郵政官僚と犬猿の仲であった財務官僚の立ち位置がいまひとつ読めません。いずれにしても、郵政官僚、財務官僚ともに面従腹背の親米派に加えて、密かに非親米の愛国派が存在していると信じたい。それこそが日本の最後の救いです。

 

注1:副島隆彦[2009] 『日米「振り込め詐欺」大恐慌』徳間書店、p241

注2ベンチャー革命No.263『北朝鮮拉致被害者帰国劇:郵政民営化可決の仕掛けだった?』2008628

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr263.htm

注3:山本尚利[2008]『情報と技術を管理され続ける日本』ビジネス社、p32

 

山本尚利 (ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp

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