アナログ→MP3 ダイレクト録音/編集法

  カセットテープやラジオなどのアナログデバイスから直接MP3で録音し、事後に編集する手順の解説です。
作製:でこん / 2000/09/04


 カセットテープやラジオなどのアナログデバイスからの録音の場合、一旦Waveで録音後、MP3に変換するという手順が一般的です。

[録音] アナログ音源をサウンドカード経由でWaveファイルに録音
 ↓
[編集] Waveファイルの不要部分のカット、音量の適正化
 ↓
[変換] MP3に変換
 しかし、この場合、一旦無圧縮のWaveファイルにする必要があるので、例えば60分あたり600MBもの大きさになってしまいます。最近の大容量HDDが使える環境なら問題ないのかもしれませんが、それでも600MBのWaveファイルを編集するとなると、気が遠くなるに違いありません。
 また、結構手間がかかって面倒です。(詳しくはカセットテープ→MP3保管計画のページをご覧ください。)


 そこで、直接MP3で録音し、MP3のまま編集する方式を試してみます。
 手順は、
[録音] アナログ音源からの録音、音量の適正化、MP3への変換
 ↓
[編集] MP3ファイルの不要部分のカットや分割
 こんな感じ。
 ポイントは、録音時、リアルタイムにコンプレッサ適用・MP3エンコードを行う点です。その結果、録音にかかる手間と時間は大幅に減少します。
 CPUパワーを使う処理ではありますが、午後のこ〜だのおかげで、K6-233MHzでも十分実用的でした。

1.使用するソフトウェア


・録音に使うツール
ロック音ミレニアム フリーウェア


ハードディスク録音ツールです。
午後のこ〜だコンソール版と組み合わせると、リアルタイムMP3録音ができる優れもの。
付属のフィルタツール「WAVEFLT」を使うと、音量の適正化やノイズカットなどのフィルタを組み合わせることができます。
午後のこ〜だ コンソール版 フリーウェア
ご存じ超高速エンコーダのコンソール版。ロック音と組み合わせるには、GUI版やDLLではなく、コンソール版を使います。
・編集に使うツール
AudioEditor フリーウェア


MP3ファイルをMP3ファイルのまま編集するツールです。
不要部分の削除、複数ファイルへの分割、1つのファイルへの結合ができます。
MP3のまま編集するので、非常にスピーディ、かつ、再圧縮などが無いので音質劣化などもありません。


2.ダイレクトMP3録音

録音の概要

ロック音ミレニアムと午後のこ〜だを利用し、リアルタイムにMP3エンコードをしながら録音します。
更に、ロック音ミレニアム付属のフィルタツール「Waveflt」を使用して、リアルタイムにコンプレッサを動作させ、音量の適正化も同時に行います。

コンプレッサを使うので、元波形からはかなり異なったものになる可能性がありますが、横着するには良い方法です。
もちろん、コンプレッサを動作させないことも可能。
Waveflt自体は、コンプレッサ以外にも様々なフィルタを内蔵しているので、設定次第で色々できるでしょう。(今回はコンプレッサ以外は使いません。)

事後編集でMP3ファイルを直接切り張りするので、だら〜っと長々と録音してしまいます。前後に余裕を持って録音するのも良いでしょう。
また、ロック音ミレニアムにはタイマー録音機能があるので、FMラジオなどを留守録するのもアリです。

録音の準備

・機器の準備
まず、アナログ機器とサウンドボードのセットアップをします。詳しくは、カセットテープ→MP3保管計画の「Step1 接続」「Step2 録音準備」を見てください。
・ロック音ミレニアムの設定
ロック音ミレニアムをダウンロードしたら、適当なフォルダに解凍します。
午後のこ〜だコンソール版(GOGO.EXE)も同じフォルダに入れます。

ロック音ミレニアムを起動します。
「Setup」ボタンを押します。
レートを44kHzにし、録音モードを「PIPE」にセットします。
PIPE部分の「Max」ボタンを押すなどして、最大データサイズを大きな値に変更します。
※ 最大データサイズ
録音ファイルサイズが、Waveファイル換算でこの大きさになると、自動で録音が停止します。
実際のファイルサイズは、MP3圧縮されるのでこれより小さくなります。よって、空きHDD容量の10倍近くの値を指定しても大丈夫。
また、「サイズ自動計算」を使うと、録音時間を設定することができます。

次に、「PIPE」の横の「設定」を押します。
適当な所に「waveflt -f "mp3-comp.txt" stdin "%d%p%f%e"」と書き、横のオプションボタンをONにします。
ちなみに、ここで「gogo.exe」を選択すると、フィルタを通さずに直接入力音声がMP3に変換されます。

ロック音ミレニアム本体の設定はこれで終わりです。
ついで、ロック音ミレニアムの付属ツールである、waveflt用の設定ファイルを作ります。

ロック音ミレニアムと同じフォルダに、「mp3-comp.txt」という名前でテキストファイルを作ります。
そして、次のように書いて保存します。
## 設定開始 MP3エンコード、コンプレッサ
-nv
-autoofs
# コンプレッサ
-dyn 0.5 0.8 0.9
# パイプ設定
-pipeout "gogo.exe -b 128 -nopsy stdin %^%d%p%f%e%^"
# 8hz-mp3 の場合は -pipeout "8hz-mp3.exe - %^%d%p%f%e%^"
## 終了
		
ビットレートを変えたい場合は「128」を「192」などに変更、心理聴覚演算を行いたい場合は「-nopsy」を外します。
午後のこ〜だとWAVEFLTの詳しいオプションはマニュアルを読んでください。特に、WAVEFLTは様々なフィルタ操作ができるようです。

録音レベルの調整

ロック音を起動し、アナログ音源を再生します。

「Test」を押します。レベルメーターが表示されるはずです。もし、メーターが全然振れない場合は、接続が正しいか、ボリュームが適正か、ミキサーがミュートになっていないかを調べます。
ここで、メーターが大体中央付近で動く程度に録音ボリュームを調整してください。メーターが赤くなる場合は大きすぎます。
今回はWAVEFLTのコンプレッサ機能を使っているので、このあたりに調整します。もし、コンプレッサを使わずに直接MP3にする場合は、レベルがオーバーしない程度に大きくとるのが良いでしょう。FM放送などの場合は、放送段階で初めからコンプレッサがかかっています。

準備が完了したら、もう一度「Test」ボタンを押してレベルメーターを消します。

録音の開始

「File」を押して、録音ファイル名を指定します。拡張子は「.mp3」にします。
尚、設定で「チェーン録音」をONにすると、ファイル名が自動で連番になり、複数録音をするときに便利です。

」ボタンを押すと録音が開始されます。
あとから編集できるので、少し余裕を持って早めに録音開始しましょう。

すると、コマンドプロンプトのウインドウが開き、WAVEFLTと午後のこ〜だが動き出します。
録音に関してはこれで終わりです。もし編集する必要が無いなら、これで完了です。
準備がすこし面倒ですが、一度設定すればmp3へのリアルタイム録音が非常に簡単に行えるようになります。


3.ダイレクトMP3編集

編集の概要

通常、MP3ファイルを編集しようとすると、一旦Waveファイルにデコードしてから波形編集ソフトを使って編集し、その後再度エンコードするという手順を踏むことになります。
しかし、この場合手間がかかる上に、不可逆圧縮を2度行うことになり、音質が劣化してしまいます。

そこで、音量変更やエフェクトなどを行わない、単純な編集にはMP3ファイルをMP3のまま切り張りする方法を用いることにします。大抵の編集作業は単純な分割や部分削除なので、これで十分でしょう。

編集の準備

・AudioEditorのセットアップ
ダウンロードしたら、適当なフォルダに解凍し、起動します。

「Option」を押し、設定画面を開きます。
もしあなたが日本語に堪能なら、「Language」を「Japanese」に設定します。

「音声プレイヤーのパス」に、あなたが使いたいプレイヤーを指定します。
デフォルトでは「C:\Program Files\Windows Media Player\Mplayer2.exe」になっていますが、ファイルの存在確認はされていないので、「参照」を利用して改めて指定した方が良いでしょう。
尚、Windows Media Player 7 をインストールすると、上述のパスに「wmplayer.exe」が見つかりますが、これは巨大で重たいので、「mplayer2.exe」を使うことをお勧めします。

また、今回は、「選択したところだけを試聴」にチェックを入れてください。その方が動作が理解しやすくなると思います。ここにチェックを入れていることを前提に話を進めます。

それから、これは好みの問題ですが、「試聴時間」を短くすると編集がスピーディに進みます。

以上で、基本設定は終わりです。

編集 - 前後の不要部分の削除

アナログ録音の編集で最も多いのが、前後の不要部分の削除だと思います。

例えば、最初から1.3秒目までと、3分30.4秒以降をカットしたい場合、AudioEditorでは次のように操作します。
表記方法に注意してください。例えば10分59秒24の場合、「1059.24」と記述します。
また、2行一組で、指示した区間が削除されます。
ファイルの終わりは、「99999999」のように記述できます。実際の演奏時間より長い値は自動的にファイルの終端とされるためです。

また、指示する値は、すべてファイルの先頭からの経過時間になります。

次に、実際にファイルを加工する前に、出来映えを試聴することができます。
左側に並んでいる「01,02...」という所で試聴したい部分を選択します。そして「試聴」ボタンを押すと、オプションで設定したプレイヤーで、試聴用のMP3が再生されます。

この場合の再生内容は、
01を選択した時 : 1.3秒の所から6秒間
02を選択した時 : 3分30.4秒の6秒前から、3分30.4秒の所まで
となります。つまり、残される部分が再生されるわけです。

編集点を微調整して、満足するものになったら、「編集開始」を押せばOKです。



編集点は3つ以上にもでき、その場合は中間を抜くことができます。ラジオのエアチェックからCMを抜く、などに威力を発揮するでしょう。
この場合、12.5秒から15.7秒の区間が削除されます。
この時の試聴内容は、
(12.5 - 6)秒 から 12.5秒まで、続いて 15.7秒から6秒間
が再生されます。削除された部位の前後が繋がったものが再生されるわけです。



ところで、現時点では試聴に一部制限があります。
プレーヤで再生中に「試聴」ボタンを押すと、ファイルの共有違反エラーが生じます。これは、使用中(再生中)のファイルに書き込もうとしているからです。
また、Windows2000において、mplayer2.exeを使った場合、再生を停止しただけでは駄目で、mplayer2自体を終了させなければエラーが出てしまいます。
これらのエラーは、将来のバージョンで解決すると思われるので、しばらく辛抱して使いましょう。

編集 - ファイルの分割

だらだら〜っと録音したファイルを、1曲ごとに分割したい時などに威力を発揮します。
但し、ぶつ切りになるので、分割した後に「前後の不要部分の削除」をする必要があるかもしれません。



冒頭〜10分00秒までを“第1部.mp3”、10分00秒〜26分34秒を“第2部.mp3”、...として分割しています。
記述法は、1行目に分割後のファイル名、2行目に分割点を書きます。
また、ファイル名の拡張子“.mp3”は省略可能です。

試聴した場合、選択された分割ファイルの「冒頭部分」と「末尾部分」が6秒ずつ再生されます。

編集 - ファイルの結合

複数のMP3ファイルを結合することもできます。
やりかたは至極簡単です。AudioEditorの説明書が親切なので、そちらを参照してください。
(今回のテーマにはあまり関係ないと思うし。)


4.まとめ

どうでしょうか。説明がくどいので難しそうに見えるかもしれませんが、やってみると意外に簡単です。
古いカセットテープのMP3化はいつかはやらねば、とは思っていても、手間が面倒で思わず腰が引けてしまいます。しかしこれぐらい楽なら、気軽に処理できるかな、と思います。

これも、驚異の速度を誇る午後のこ〜だと、多彩な機能を持ったロック音ミレニアムと、圧縮のまま切り張りできるAudioEditorという最強ツールたち(しかも全部フリーウェア!)のおかげです。作者の方々に感謝です。

最低実用環境は、K6-233MHz程度かな、という気がします。午後のこ〜だに「-nopsy」オプションをつけたとき、ギリギリ限界かな、という感じでした。「-nopsy」無しでは音飛びが生じてしまいます。
また、もっと非力な環境で実現するには、サンプリングレートを22KHzまで下げるとか、コンプレッサのフィルタを外す(直接gogoを指定する)とかして負荷を下げると良いでしょう。無駄なソフトを終了させておくのも良いかもしれません。また、ロック音の設定での「高度な設定」でバッファのサイズを大きくとるのも有効かもしれません。
逆に、K6-2の場合は3D Now!が有効になるので、かなりCPUパワーに余裕が生じると思います。色々フィルタを試してみる余地があるかもしれません。

記事中、不明な点や間違いがありましたら、遠慮なく質問/突っ込みをお願いします。

・ 余録
ロック音ミレニアムですが、実は“スキン”機能があったりします。背景画像を入れ替えてあそびましょう。パネルや本体の透明度も設定できたりして、楽しい(^-^)
しかし、午後のこ〜だはホントに速いですね。私が2〜3年前に使っていたエンコーダ(ISOベースのやつ)は、午後の10倍以上遅かったのです(^^; CD1枚分で8時間@K6-233MHzとかかかってた。素晴らしいハッカー達に乾杯です。

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