デジタル証券によるコンテンツ流通システム


システム構成要素

1.デジタル証券発行

 まず初めにコンテンツ提供者はデジタル証券サーバーからデジタル証券を適当な数発行してもらう。これにより証券コードIDと証券IDが生成される。証券コードIDは実際の株コードのように1001からの連番などでも良いが、MD5ハッシュのような適当な長さのIDでも良い。

 また、デジタル証券発行の費用はタダでも良いが、それだと好き勝手にデジタル証券が発行されてしまうので、最低限の手数料を要求しても良いかと(この場合、証券サーバー管理側の銀行口座に適当な額が振り込まれたらデジタル証券を発行)。もしサーバー管理側で課金できるとしたらたぶんここだけである。

 これにより、コンテンツ提供者は自分名義のデジタル証券を保有する。

 なお、普通の株のようにコンテンツに直接ではなくクリエーター集団などの組織に対する証券発行というのもあり(たぶん)

 デジタル証券追加発行や廃棄などの、デジタル証券総数を後から変えるというのも多分あり(この辺は株システムを参考に)


2.コンテンツ供給者によるコンテンツ供給

 コンテンツの流通は完全にコピーフリーであり流通経路は何でも良い。WEBでの公開やP2Pなどで。

 中身を変えない限りコンテンツ提供者の了承無しでの自由なコピーの作成や他への転載を認める。ただしコンテンツ供給はコンテンツのデジタル証券IDを明示的に示すこととする。たとえばデジタル証券IDをコンテンツ提供Webサイト上で示したりコンテンツ側で直接参照できるように埋め込めるなどである。

 もしユーザーがあるコンテンツの製作者に対して支援・投資したり、コンテンツに対して何らかの影響力を及ぼしたければデジタル証券を購入するという形で自らの資金をそのコンテンツに投入する。

 ここで、デジタル証券保有者に対して、コンテンツ提供者が管理するご意見サイトへ優先的にその意見を伝える権利などを持たせるのもあり(これは株で言う配当や経営権に当たるかと)

 これは株の配当同様、人を集めるためにいろいろなサービスが考えられるでしょう。


3.コンテンツ供給者とユーザーとのデジタル証券交換

 あるデジタルコンテンツに対して資金を投入したいと思った人は、オンライントレードサーバーにアクセスしてデジタル証券をトレードする。

 ここでデジタル証券は必ず「交換」となるためデジタル証券のトータルの数は変わらない。これは初期に証券サーバーから発行してもらったコンテンツ提供者のデジタル証券を含めてである。よって一番初めはコンテンツ提供者から直接適当な額でデジタル証券を売ってもらうという形でユーザはそのデジタル証券を受け取ることになる。

 しかし他のユーザーから見れば、コンテンツ提供者も証券交換者の一人である。証券の初期額面はコンテンツ供給者が始めに適当に決めた額でかまわない。よって証券発行時には証券には額面が無いことになる。

 コンテンツ供給者がもしユーザーからの振込みを確認したら、コンテンツ供給者は自らが保有しているデジタル証券の名義を相手に書き換える。ここで、各利用者は、利用の前に自分の銀行口座情報をサーバーに登録しているものとする(おそらく口座登録だけならタダにすべき)

 この初期に行われるデジタル証券の売買によりコンテンツ提供者は最低限の利益を確保できる。

 また、コンテンツ供給者は発行されたすべてのデジタル証券をユーザーに売り渡してはいけない。これは後でそのコンテンツに対する評価額が上がった際の対価を受け取れるようにするためである。


4.ユーザー間でのデジタル証券の交換

 その後、ユーザーの間でデジタル証券を適当な額で売り買いすることができる。やりとりは全てサーバーを介して行われる。その交換額面はお互いに納得した額で行われる。額面決定はサーバー上でオークション方式で行われ現在のインターネットオークションのような形で交換額面を決める(詳細は実際の株のシステムを参考に)

 ここで、デジタル証券はそのトータル数(株数)が決まっているため、コンテンツの評価が上がれば交換時の額面も高くなっていく。

 なお、ユーザー間のお金のやり取りはサーバーから入金口座と振り込み額が示されることで行われるが、お金のやり取りはユーザー間で直接行われるため、サーバーはお金のやり取りに関しては関与しない。売った方は自分の口座に入金が確認されたらサーバーに申告してデジタル証券の名義を相手に書き換える。

 もし不正が問題になるようだったら証券会社のように別に証券口座を作ってその間でだけやり取りをするというのもあり。


5.コンテンツ供給者の利益確保

 自分が発行したデジタル証券の額面が高値をつけた時点で保留しておいたデジタル証券を売りに出すことでコンテンツ供給者はより多くの利益を受け取ることができる。最終的にコンテンツ提供者がどの程度の利益を得られるかはコンテンツの人気と証券の売買タイミング依存である。最悪の場合だれもデジタル証券を買ってはくれないが、これはそのコンテンツに魅力や将来性が無いか、宣伝不足である。

 もしそのコンテンツがバージョンアップ可能であれば、後からコンテンツ提供者がコンテンツの魅力を向上させて証券の交換額面を吊り上げるという可能性もあり。この提供者側の利益確保はコンテンツのタイプによっていろいろなパターンがありえる。例えばコンテンツ売り逃げで続編を二度と出さないとか、地道なバージョンアップで信頼を得るとか。


この方式の特徴

 初めにコンテンツ提供者に対してお金を振り込むというところだけ見れば、コンテンツ提供者に対する一種のカンパであり、現行のシェアウェア課金と基本的に変わらない。違うのは、資金を出すことをそのコンテンツの一部保有と見なすことである。もしコンテンツ全体の価値が上がれば、購入者の投入した資金も見かけ上増えることになる。

 ここでこのモデルの場合、コンテンツの評価は常にコンテンツを実際に確認してからの評価になるので、現状の基本的にコンテンツ試用不可能なパッケージモデルよりは健全である。このモデルの場合、お金を振り込むことはコンテンツの将来性に対する資金投入だからである。

 また、この考え方の従来のシェアウェアとの本質的な違いは、そのコンテンツの保有権利を適当な額で他に売り渡すことができるということである。これにより投資的側面が生まれより資金投入が行われやすくなる。

 もし初期にそのコンテンツの価値を見抜いて安値で確保しておいて、後でそのデジタル証券を適当な時期に高値で他に売ることができれば、初期に資金投入した者は自らが投資した額以上の見返りを受けることができる。そのため、現在のシェアウェアシステムなどと違い、より積極的な資金投入が期待できる。

 ここで、コンテンツ提供側はストックオプション的利権やインサイダー取り引き的権利(=適当なバージョンアップなど)を利用することでシェアウェアシステム以上の利益を得ることができる(ただしコンテンツに人気が出れば)

 つまり、コンテンツ自体がコピー可能で無限に増殖・配信されることはそれがデジタルコンテンツである以上本質的に防ぎようが無いどうしようもないことなのであるが、その保有と保守サービス権利数を初めから制限することで、各々のコンテンツの価値が下がって見えること(デジタルコンテンツ価値のデフレスパイラル化)を防ぐことができるわけである。

 なお、最低限必要となのはデジタル証券の所有者を約定したりトレードするためのサーバーだけであり、これは株システムで言えば証券取引場に相当する。将来的には株システムで言うところの証券会社や証券振り替え機構に相当する、運用資金やデジタル証券の取り引き代行機構ができれば、より積極的な資金のやり取りが期待できるであろう。また、株の証券取り引き場が一つでないのと同じで、証券サーバーがたくさんあっても問題ない。この場合証券取り引き価格がサーバーによって変わるであろう。そしてもっとも人が多く信頼のあるデジタル証券サービスが集中的に利用されるようになるはずである。

 なおこのモデルは株のシステムがベースになっているが、現在の中古コンテンツ市場モデルとも関連があると思われ。ある意味、中古ゲーム市場などはすでにこれをやっているとも言える。あとネットオークションでも似たことをすでにやっていると思われ。


上のページへ戻る