GIGABYTE GA-7VT600-L

初出 2004.3.26

今回紹介するのは、GIGABYTEのDDR400対応、KT600チップ、AthlonマザーのGA-7VT600-Lです。
Athlonマザーを買うならnForce2チップマザーだということは分かっているのですが、びっくりするほどの特価販売をしていたもので、予備/実験用マザーにでもしようと購入したものです。

前回のASUS A7V600の紹介記事の最後に書きましたように、このマザーにはAttansicのOver Temperature Protection ControllerであるATTP1というLSIが搭載されています。当然、このLSIと、CPUのthermal diodeを使用して、CPU過熱保護機能が搭載されているはずです。そこで、例のごとく温度測定回路とCPU過熱保護回路がどうなっているのかを確認してみることにしたのです。

まず、回路を調べる前に、このマザーでPCを組み上げてハードウェアモニタソフトを走らせてみました。
いつものようにMBM5です。

MBM5画像

電圧や、ファンスピードなどはどうでもいいとして、一番上の温度センサーを見てみると、センサー1〜3まで、一応それらしい温度が表示されています。これを見ただけではごく普通の表示なのですが、驚いたことに、センサー3は測定モードをダイオードモードにした状態でこの表示になるのです。
試しに発熱ソフトを走らせてみると、センサー3の表示は間をおかずに上昇していきます。間違いなくthermal diode温度を表示しているようなのです。
これには結構驚きました。だって、therml diodeはATTP1が使っているものとばかり思っていたのですから。

ちなみに、こちらはマザー付属のCDに入っているeasy tuneというソフトの表示です。

easy tune画像

少し見にくいですが、Temperature表示のSYSTEMがセンサー1、CPU Aというのがセンサー3に対応しているようです。

とにかく、回路を調べてみないことには何がどうなっているのか分かりません。
このマザーのスーパーI/OチップはITEのIT8705Fでした。

GA-7VT600-LのIT8705F IT8705F周辺の抵抗、コンデンサ


最初に気づいたことは、30kΩの抵抗がどこを探しても見つからないことです。IT8705Fのthermal diode対応回路には30kΩの抵抗が使われているはずなのですが。謎は深まるばかりです。

首をひねりながらも回路を調べてみました。それにしても、青いマザーというのは配線を確認するには最悪です。とにかくラインがよく見えないのです。

GA-7VT600-Lの温度測定回路

ぱっと見にごく標準的な回路のように見えますが・・・、ダイオードに直列の対抗が10kΩやんけ!?、
ダイオードに直列の抵抗は30kΩでなければならないはずです。IT8705Fのdata sheetの回路例でも30kΩになっています。ダイオードに直列の抵抗が10kΩになっているというのは、何かの間違いなのか、それとも何か考えがあってのことなのか?謎はさらに深まるばかりです。

なお、センサー1(89番端子)は、IT8705Fの少し上にあるRSというサーミスタに、センサー2(88番端子)は、CPUソケットの中にあるRTというサーミスタにつながっていました。

この時点で、thermal diodeはIT8705Fで温度測定に使用されていることが分かりました。するとATTP1は一体何を使っているのでしょう。調べてみました。

まずこれがATTP1の写真とその周辺の抵抗、コンデンサです。ATTP1は、CPUソケットのちょうど中心に取り付けられています。

GA-7VT600-LのATTP1 ATTP1周辺の抵抗、コンデンサ


そして、回路はこうなっていました。

ATTP1の回路 Attp1のピン配置


なんと、ATTP1からもthermal diodeに接続されているのです。あれまぁ!?

その他に、ATTP1の4番ピンは、U1というLSI用らしき空きパターンとQ112というトランジスタ用らしき空きパターンにも接続されています。こちらは、thermal diode以外での動作をさせることを考えての回路のようです。

結局、thermal diode部分の回路を書いてみると、こういうふうになっているわけです。

thermal diode周りの回路

こんな事していいんでしょうか?

thermal diodeの両端電圧をIT8795FとATTP3の両方で使用していることは問題ないと思いますが、thermal diodeに対して、IT8705FとATTP1の両方のVREFから電流を供給しています。私だったらこんな回路は絶対に書きません。IT8705FとATTP3のVREFに電位差があった場合は、電位の低い方へ向かって電流が逆流してしまう事もあり得ると思うのですが?この回路であればダイオードがあるために電流の逆流は起こりません。ダイオードの両端電圧は600〜700mV程度になりますので、どちらのLSIのVREFよりも低い値です。しかし、ダイオードがない場合、つまりthermal diodeを内蔵していないThunderbird/SpitfireコアのAthlon/Duronを使用した場合にどうなるかは・・・。でもこのマザーにSpitfireコアのDuron800MHzを載せてみましたが、別になんの不都合もありませんでした。取り越し苦労だったのかも知れません。

GIGABYTEの設計者がどういう考えでこの回路を書いたのかは分かりませんが、thermal diodeへの電流供給はどちらか一方からだけでいいと思うんですがねぇ。

この回路でIT8705Fの温度モニタ出力がそれらしいCPU温度を表示しているというのも驚きです。でも、とても正確な温度とは思えません。そもそも、IT8705FのVREFからの抵抗が10kΩである上に、ATTP1のVREFからも電流を供給しているのですから、thermal diodeの動作電流は通常に比べて多くなっているはずです。その結果、電流が多い→ダイオードの両端電圧は高い→温度は低く表示される ということになりそうです。

ただ、Thoroughbred/Barton/Thorton/ApplebredコアのAthlon XP/Duronのthermal diodeは、IT8705Fが標準にしているDeschutes/Katmai/Mendochino/CoppermineコアのPentiumII/PentiumIII/Celeronのthermal diodeに比べて両端電圧が20mVほど低いようですから、その分は相殺されているような気もします。

それと、この回路でATTP1のOver Temperature Protection機能が期待する温度で動作するんでしょうね。心配です。

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