ASUS A7V333

初出 2003.3.9

前回A7S333の謎で次にA7V333を紹介すると書いてから早くも3ヶ月が経ってしまいました。本当にお待たせしました。(待っていなかったなどということはないですよね。)

前回も書きましたように、A7S333の温度測定とC.O.Pの回路を調べた後、ASUSの他のマザーも温度関係の回路は同じだろうと思っていたのです。ところが、パーツショップでA7V333を見た時に、A7S333にあった温度測定チップW83L785Rが見あたらないことに気がつきました。その上、スーパーI/OチップがIT8705Fではなく、IT8703Fという聞いたこともないチップになっています。
一体、W83L785Rを使わずに、どうやってC.O.Pを可能にしているのか、またしても好奇心が・・・。そこで多少の出費にはなってしまいますが、A7V333を購入して調べてみることにしたのです。

最初に結論を書いておきます。A7V333はかなりの測定誤差があるものの、改造なしでダイ温度測定が可能なマザーでした。改造なしで対応しているというのはAthlonマザーでは初めてです。もちろんこれはC.O.P機能の副産物でしょうけど。

それではA7V333の温度測定回路の話から始めましょう。

A7S333のIT8703F まず、これまでのマザーの例からして、少なくともサーミスタを使用した温度測定回路はスーパーI/Oチップが担当しているだろうと、IT8703Fというチップのdata sheetを探しにITEのページへ行ったのです。ところが・・・、IT8703Fのdata sheetが見つかりません。それどころか、IT8703Fという製品があるということ自体どこにも書かれていないのです。
首をひねりながらも、まあいいや、どうせ温度測定回路はIT8705F/IT8712Fと同じだろうとチップの周りの抵抗・コンデンサ群を調べると・・・。あれれっ?抵抗・コンデンサ群がずいぶん少ないぞ?

IT8705F/IT8712Fで温度測定に使用されていた87〜90番の端子が全部空き端子になっています。どこにも温度測定回路が見つかりません。これは困った。

この写真ではIT8703Fが逆さになっていますが、間違えて逆さにした訳ではありません。マザーにこの方向で取り付けられているられているんです。場所はマザーの一番下、PCIスロット5番の右側になります。

いやぁ参りましたね。またしても拡大鏡とテスターでマザーを探し回らなきゃいけないのかと思い、ちょっとげんなりです。あれって結構疲れるんてすよ。やれやれどうしようかとマザーをぼんやり眺めていたところ、妙なチップが目に付いたのです。ASUS ASB100と書いてあります。初めて見るチップです。見た瞬間「怪しいな」という直感が働きました。そこで、CPUのS7端子(thermal diode anode)との導通を確認してみました。25番端子がS7に接続されています。ビンゴ!!。

さらに25番端子に近い端子の接続を調べてみたところ周辺に温度測定回路が固まっていることが確認できました。これがA7V333の温度測定チップとその抵抗・コンデンサ群、そして測定回路です。

A7S333のASB-100 ASB100上部の部品番号 ASB100右の部品 ASB100右の部品番号


A7V333の温度測定回路1 A7V333の温度測定回路2
CPUソケット内のサーミスタTR2 測定回路でわかるように、A7V333は4系統の温度測定回路が存在します。このうち、thermal diodeが接続されている、25番端子がC.O.Pの機能を受け持っているんでしょう。
TR1JTPWRはASB100の右側、マザー右端にあります。測定用の抵抗・コンデンサ群の一部もその近くに配置されています。TR1はチップサーミスタで、JTPWRは後付けサーミスタ用の端子です。
TR2はCPUソケットの中にあるチップサーミスタです。右の写真です。

JTPWR端子と並列になっているR285Aは何のためのものでしょう。サーミスタの誤差を補正するためでしょうか、それともサーミスタを接続せずに解放にした場合に、妙な温度が表示されるのを防止するためでしょうか。
TR1TR2の回路はごく普通の測定回路です。

このASB100というチップは基準電圧端子を2つ持っているようで、サーミスタに電圧供給している端子(24番)とthermal diodeに供給している端子(22番)が別になっています。何か理由があるんでしょうか。それから、27番端子は一体どうなっているんでしょう?thermal diodeの測定回路の直列抵抗は100kΩ(104)となっていて、一般的な30kΩではありません。

不思議なことが多いですが、ASB100のdata sheetが見つかりませんでしたので、詳しいことは闇の中です。以前にもASUS AS99127Fのdata sheetを探し回ったことがありますが、ASUSが自社マザーのためだけに開発したLSIなんでしょうから、外部へdata sheetを公開していなくても仕方ないことなのでしょう。
それにしても、自社でLSIを開発してマザーに搭載するなどということができるということは、ASUSって私が思っているより大会社なんですね。

さて、温度測定回路が判ったところで、いつものようにMBMを走らせてみました。その設定画面でちょっとした驚きがあったのです。センサー選択でASUS1〜ASUS4までの4個が選択できます。その昔のP3B-FではASUS3まででしたし、他のメーカのマザーでも4つのセンサが選択できるというのはありませんでした。

A7V333でのMBM5の設定

下が測定画面です。

A7V333でのMBM5の設定

センサー1がTR1、センサー2がTR2、センサー3はJTPWR、センサー4がthermal diodeになっているようです。試しに発熱ソフトでCPUに負荷をかけてみると、センサー4がまず上昇し、センサー2がそれにつられて徐々に上昇していきます。

ほほほぅ。こいつはthermal diode対応マザーだったのか。と感動の一瞬でした。(なにを大げさな。)

でも、センサー4もthermal diodeでコア内部温度を測定しているにしては低すぎる温度が表示されています。どうやら、K7T266Pro2やSL-75DRVを改造したときと同じように10度ほど低い温度になっているような気がします。

そこで、一体どの程度の誤差が出ているのかMBM5の読みと秋月温度計での測定結果を比較してみることにしました。そのお話はまた次回のお楽しみです。

そうそう、ASUS純正のモニタソフトであるASUS PC Plobeではこんなふうに温度が表示されました。

A7V333でのASUS PC Plobeの画面

下側のMB温度はどうやらTR1の温度のようですが、問題は上側のCPU温度です。何をしても40℃のままでした。どんな発熱ソフトを走らせても、室温がどんなに変化しても。

MBM5の表示と比べても見ましたが、MBM5のセンサ1、2、4の値が時間と共に変化する中で、ASUS PC PlobeのCPU温度は常に40℃を保ったままでした。
結局、何を表示しているのかはわかりませんが、信頼できる値ではないことだけは確実です。そういえば、A7S333でもPC PlobeのCPU温度は40℃一定だったですね。
ASUSさん、せっかくthermal diode温度が測定できるマザーを作っておきながら、標準でついてくるモニタソフトがこの有様では。「仏作って魂入れず」とはまさにこのことでしょうか。

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