秋月温度計の超簡易校正法

初出 2005.4.18

ご注意
このページをご覧になるときは、次の記事もあわせてご覧下さい。
秋月電子温度計を作ろう

いとうさんのサイトである鉄人に続け秋月温度計の簡易校正秋月温度計 簡易校正の検証
秋月電子温度計を作成してから5年がたちました。この間、秋月温度計はCPUのダイ温度測定ツールとしてずっと最強のものでした。
もちろん、最近のPentium4マザーはほとんどがthermal diodeによる温度測定に対応していますし、Athlon64マザーでもthermal dioeに対応したマザーが出始めています。
でも、これらのマザーの温度測定値には一抹の不安が残ります。なぜなら、CPUのthermal diodeはCPUコアが違うとその温度特性が違うからです。たとえば、socket478のPentium4にはWillamette、Northwood、Prescottの3種のコアがありますが、この3種のコア全てで正確に温度を表示するようなマザーを作ることは、不可能ではないもののかなり面倒であることは確かです。その上に、同じコアのCPUであってもthermal diodeの特性には多少のばらつきがあることを考えると、マザーの温度測定値はあまりあてになるものとも思えません。せいぜい「目安」として見るべきものでしょう。
そういう意味で、CPU個別に校正できる秋月温度計が最強と言いうるのです。キットで販売されていて手に入りやすいですしね。
もちろん、秋月温度計が完全に正確であるとは言えません。校正に使用した基準温度計に誤差があれば、当然その誤差が秋月温度計にも反映されますし、測定温度範囲の全てで直線的な正確さを要求するのはどだい無理な話です。

でも、秋月温度計には大きな問題点があります。校正しなければ使えないことなのです。それも、CPUを取り替えるたびに校正をやり直す必要が出てきます。
とにかく、この校正がとても面倒で、面倒で・・・。性格的にズボラな私などは校正をすることを考えただけでCPU交換をあきらめたことが何度もあるほどです。

秋月温度計の校正については、鉄人に続けのいとうさんが簡易校正法を考えてくれましたので、最初の頃に比べればずいぶんと楽になっています。いとうさんには常々感謝をしているのですが、ズボラな性格ゆえに、「もっと楽にならないものか」とも長く思っていたのです。
そして先日、MSI K8T Neo-FSRの温度表示の信頼性を確認するために秋月温度計をAthlon64で校正していたときに、突然ひらめいたのです。いとうさんの校正法を上回る超簡易校正法が。とにかく疲れて、頭がぼぉ〜っとしていた時のことでした。

秋月温度計の校正はゼロ点校正VR(Zero adiust)と増幅率校正VR(Scale factor adiust)で校正するようになっています。
秋月温度計の校正(理想)
上のグラフは実際の温度と秋月温度計の表示の関係をグラフにしたものです。
校正された秋月温度計のグラフは、赤い直線のように(0,0)の点を通り、傾きが1の直線になります。一方校正前の秋月温度計は1のグラフのように、切片が0でもなく、傾きが1でもない状態になっています。
これを赤い直線に持っていくことが校正の目的です。

まず、温度0℃で、ゼロ点校正VRで秋月温度計の表示を0にします。次に適当な高温を作り、その温度で、増幅率校正VRで温度をあわせてやれば、秋月温度計の校正は完了します。
この方法の最大の問題は、温度0を作り出すことが結構面倒であることです。氷を使えば簡単に実現できそうに思えますが、正確な0℃というのは結構難しいものです。別に正確な0℃でなくてもいいとは思いますけどね。氷を使う場合のもう一つの大きな問題は、防水です。下手なことをしていると水没CPUができあがる危険があります。

低温側を0℃ではなく適当な温度(たとえば室温)で校正しようとすると、こんなことになります。
秋月温度計の校正(理想)
まず、1の状態から、低温側(室温)で、ゼロ点校正VRを使って秋月温度計の表示を基準温度計にあわせます(2の状態)。その後適当な高温を作り増幅率校正VRで高温側の表示をあわせると、3の状態になります。見てのとおり、1の状態よりは少しましになっているものの、校正ができたとはとても言えないことがわかります。
秋月温度計の取扱説明書では、この方法を何回か繰り返せば校正できると書いてありますが・・・。私が1度やってみたところでは15回以上繰り返してやっと何とか校正できるというとても面倒な校正法でした。全くおすすめできません。

いとうさんの簡易校正法は低温側と高温側での基準温度計と秋月温度計の読みから、計算式によってゼロ点校正値を求め、ゼロ点校正の後で増幅率をあわせるという方法で、一度でかなり正確な校正ができるとても優れた方法でした。でもね、「計算式によって」というところがズボラな私には面倒で・・・(笑)。

そして、今回私が思いついたのがこの方法です。
秋月温度計の校正(理想)
まず、1の状態から、低温側(たとえば室温、TLとします。)で、ゼロ点校正VRを使って秋月温度計の表示を0にします。実際よりもTL低い温度にあわせるわけです。
このときに、試しに増幅率校正用VRを回してみて下さい。どちらの方向でも、いくら回しても表示は0のままのはずです。0をいくら増幅しても0ですものね。
つぎに、適当な高温(THとします。)を作り増幅率校正VRで秋月温度計の表示をTH−TLにあわせます。ここでも実際よりもTL低い温度にあわせるわけです。この状態で3のグラフのように実際の温度よりも常にTL低い表示が出るようになります。
そして最後に、どの温度でもいいですから、ゼロ点校正用VRを使って表示をTLだけ上げてやれば、めでたく赤い直線の状態になるわけです。

念のため1〜3の手順を2〜3回繰り返して、最後に4を実行すればより正確な温度計ができます。

ねっ、簡単でしょ。秋月温度計を作ってから5年も経って思いついたのですが、もっと早く思いついていれば苦労も少なかったのにと思うと・・・。

前のページへ