ヒートシンクふたたび

初出 2002.4.29  

このところ新しいCPUや新しいチップセットが次々に発表されて、何かとてもせわしない気になっているのは私だけでしょうか。その意味ではBXマザーはよかったですね。とにかく長い寿命でした。いや、まだ寿命はきていないのかもしれません。Tualatin対応下駄などというものも販売されていてまだまだ現役で使えますものね。

とは言いながら時代の流れには逆らいようもなく、私もそろそろBXマザーを卒業することを決意し、AthlonXP 1600+(実クロック1.4GHz)とAMD761チップのマザーA7M266でメインマシンをAthlon環境に移行することにしたのです。
どうしてPentium4にしなかったのかって?Athlonの方が圧倒的に安いじゃないですか。貧乏人としては当然安い方を選びますとも。

それに、AthlonもPalominoコア以降のものにはthermal diodeが搭載されていてダイ温度の測定ができるようになっていますしね。ただ、対応マザーはまだ見つかっていないので、秋月温度計による測定になりますけど。

で、メインマシンに組み込む前にいろいろと実験をしておこうと、例の「根性試し用まな板」の上に乗っけることとした次第です。
まずは、とにかく熱いと言われているAthlonで、どのヒートシンクを使えばいいのだろうかということから始めました。そう、今回のお題は、Athlonマシンを使ったヒートシンクの性能比較です。

前回の性能比較ではBXマザーとCoppermine Celeronを使った測定でした。CoppermineコアのCPUはAthlonに比べると発熱がかなり小さいCPUです。従って今回の測定では前回よりも高温での測定ができるはずです。

ただし、今回の測定は前回のように16個ものヒートシンクを比較したわけではありません。第一面倒ですし、それに下手なヒートシンクではAthlonの発熱を吸収しきれないおそれがあると思ったからです。
そこで、今回の測定では、前回の上位5位の次のヒートシンクを測定することにしました。

Firebird R7 Alpha PEP66U CPU Radiator 禅 HedgeHog-294M CPU Radiator KR-1

まずは測定条件を書いておきましょう。
マザーASUS A7M266 倍率可変改造実施、Turbo PLL、秋月温度計装着
CPUAMD AthlonXP 1600+ L1クローズ済み
メモリノーブランド128MB PC2100 CL2.5 DDR
HDD10GB ATA33 5200rpm
FDD CD-ROMなし
ビデオカードMatrox G400 SH 32MB
サウンドカードなし
筐体玄人指向 根性試し用まな板
倍率可変改造、turbo PLLの取り付けについては完全にs5さんのページからパクらせていただきました。お礼申し上げます。

測定方法は前回のヒートシンク性能比較と全く同じです。

CPUのコア電圧と動作周波数を変化させて、CPU温度と室温との差を測定していきます。
発熱ソフトはいつものようにheat0601を使用します。CPU温度と室温との差が変化しなくなるまでheatを動作させその時の温度差を記録します。 測定ポイントは次のように決めました。
  600MHz700MHz800MHz900MHz1000MHz1100MHz1200MHz1300MHz1400MHz1500MHz1600MHz1700MHz
1.44V 1244.2 1451.5 1658.9         
1.54V   1897.3 2134.4 2371.6 2608.8      
1.63V      2922.6 3188.3 3454.0 3719.7   
1.72V        3845.9 4141.8 4437.6  
1.81V         4586.5 4914.2 5241.8 5569.4
これも前回と同じです。上の表で数字の入っている箇所を測定することにしました。表の中の数字は、電圧の2乗×周波数を計算したものです。もちろん、グラフにしたときに点ががほぼ等間隔で並ぶように測定ポイントを決めたわけです。

電圧が半端な数字になっているのはマザーのせいです。電圧は、マザーに装着されているモニタチップAS99127Fとマザーに標準添付されているモニタソフトASUS Plobeを使用して測定し、少数以下4桁目を四捨五入して有効桁数3桁としています。設定電圧よりも測定電圧の方が高い現象はBXマザーと同じですが、電圧が高くなるに従って設定電圧に近づいています。なお、この電圧はCPU高負荷時のものでCPUに負荷がかかっていない場合はもっと高い電圧がかかっているようです。

もちろん周波数はturbo PLLのおかげでMHz単位まで正確に決めることができます。その上、マザーの倍率可変改造とCPUのL1クローズをしていますので、設定の方法に迷うくらいでした。もちろんWCPUCLKを使用して動作周波数を確認しながら測定しました。

測定時の室温はあまり一定はしていなかったのですが、23度プラスマイナス2度以内に収まっています。CPUの絶対温度ではなく、室温との相対温度を測定しましたので、これくらいの変動は大丈夫と判断しています。室温の測定には熱帯魚用の水槽で使用するデジタル温度計を使用しました。一応、棒状水銀温度計で誤差が0.5度以内であることを確認しています。
秋月温度計はこの温度計を基準温度計にして校正してしてあります。基準温度計からの誤差はプラスマイナス1度以内だと思います。

測定結果です。5個のヒートシンクの測定結果を一つのグラフに書いています。

ヒートシンク性能比較その2
まず最初に言えることは、Arhlonでもその発熱は周波数と動作電圧の二乗に比例するということです。

ヒートシンクの性能は、禅をのぞけば前回とほぼ同じ傾向がでています。禅は前回見せたあの不思議なグラフの折れ曲がりがみられませんでした。いったいどういうことなのでしょうか?謎です。感覚としては今回の測定結果が正しいようにも思えますけど。ただし、前回にも説明した温度が上昇していく途中で突然に0.5℃から1℃くらいストーンと落ちてまたじりじり上がっていくというおもしろい特性はそのままでした。
測定値は温度の最高値をとっていますが、この妙な特性があるために定常状態での温度の平均値はコンマ数℃低いと考えてもいいです。ということは、性能的にはHedgeHogとほぼ同じと言っていいのではないでしょうか。

やはりKR-1が最高です。高い金を出して買った甲斐があったというものです。
KR-1も30℃を超えたあたりから禅と同じように温度が上昇していく途中で突然に温度が下がるという特性をわずかながらですが示しました。最大でコンマ5℃程度でしたけど。

さて、この結果を受けてAthlon用としてどのヒートシンクを選ぶかですが・・・。

KR-1の性能はすばらしいのですが、難点は価格です。もちろん購入する余裕のある方には絶対におすすめします。

HedgeHogと禅の騒音はすさまじいものがあります。騒音に我慢できるのであればHedgeHogは悪い選択ではありません。価格もそれほどでもありませんから。ただ、問題はその重さです。AMDが推奨しているヒートシンクの重量を遙かにオーバーしています。これを気にするかどうかが分かれ道ですね。

禅の性能も悪くはないのですが、HedgeHogの2倍以上の価格を考えるとどうでしょうね。でも見た目がなかなか変わっていますから、人とは違うものがいいんじゃぁという方にはおすすめでしょうか。あとHedgeHogの重量が気になる方とか。

PEP66UはHedgeHogや禅ほどの騒音はありませんので、少し静かな方がという方にはこれです。もちろんあくまで少し静かなだけですけどね。

FireBird R7はそこそこ冷えて静かなシンクが欲しい方に。あの大きさで薄型のファンであそこまで冷えるというのはなかなかすごいです。それにこのシンクは他のものに比べて取り付け、取り外しが本当に簡単です。その上に非常に軽いです。これらのことも選択肢の一つでしょうね。

最後に、私はどのシンクを使うかといえば・・・、結構CPUをとっかえひっかえすることが多いですから、根性試し用まな板の上に乗っかっている間はFireBird R7を使います。最終的にこのマザーを常用機としてメインマシンを組む時にはKR-1を使おうかと考えています。

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