温度上昇はコア電圧の2乗と周波数に比例する

初出 1999.11.28

1 はじめに

このページは、BX6 Rev2で測定したCPU温度の結果です。
コア電圧、動作周波数を変数として、CPUの温度上昇を測定しました。

実は半年くらい前にも、SEPP Celeron300Aで同じ測定をしたことがあるのですが、その時は思うような結果が得られませんでした。一番の原因は、十分な数の測定点が得られなかったことにあります。
当時使用していたCPUは、今となっては「はずれ」の部類で、動作周波数は463MHzが限界でした。このため、測定できるFSBは、66、75、100、103の4種類だけだったのです。
(83MHzは?… ご存じですよね。83MHzはPCIクロックが上がりすぎて特にHDDによくないことを。一度HDDのデータをとばして以来、83MHzは決して使用しないことにしているのです。)

また、コア電圧も0.1V間隔で1.9Vから2.3Vまでの5種類だけでした。つまり、FSB4種類×コア電圧5種類で20個の測定点しかなかったため、グラフにしてみてもはっきりとした結果が得られなかったのです。

2 思うような結果って何?

私がCPU温度を測定したいと思ったきっかけは、もちろんOver Clockのためです。CPUを定格で動作させるのであれば、別にCPU温度を気にする必要はなかったでしょう。
Over Clockは当然CPUに無理をさせるわけですが、極端な無理をさせてはCPUがお亡くなりになる確率が高くなります。どの程度まで無理をさせていいかの判断材料の一つがCPUの温度であることは、みなさんも認めることでしょう。
では、どの程度の無理をさせれば、どの程度の温度上昇となって現れるのでしょう。

普通に考えて、CPUの温度上昇は、(1)動作周波数に比例する (2)コア電圧の2乗に比例するはずです。理論的にはそうなるはずです。でも「本当にそうかい?」と誰かに聞かれたら…。「うん、ちゃんと計ってみたもん」と言う方が、「理論的にはそうだよ」と言うより説得力があります。

3 測定に使ったCPUと測定方法

測定に使ったCPUは、PPGA Celeron300A 99年26週MALAY産です。
今年(1999年)の夏に、当時噂の20週以降ものをゲットしようと秋葉原のDOS/Vパラダイスで購入したものです。
このCPUは大当たりで、コア電圧2.0Vで580MHzが、2.1Vにすれば600MHzが安定動作します。その上、450MHzであれば1.6Vでも動作してくれます。(冷却はブリザードS7による空冷)
今回は、コア電圧を最高2.5Vまでかけてみました。
測定ポイントは次のようになります。
  FSB  66.8、68.5、75、100、103、112、117、124、129、133の10種類
  Vcore 1.6〜2.5V 0.1Vステップ10種類
コア電圧の低いところでは高い周波数が動作しないので、10×10=100個の測定点とはなりませんが、85個の測定ができました。

次に測定方法です。
  1 パソコンの電源をONにしてから、筐体内温度が一定するまで放置する。
  2 発熱ソフトはheat0601を使用。
  3 heatを3分間動作させ、その間のCPU最高温度と筐体内温度を測定。
  4 筐体内温度は、BX6 Rev2付属のサーミスタを使用し筐体中心付近で測定。
  5 温度測定ソフトは、MBM4 Ver4.10を使用。
  6 コア電圧は、MBM4の測定値による。
  7 動作周波数は、WCPUIDにより測定。
  8 コア電圧はBIOSのCPU SOFT MENUにて変更。
  9 FSBはSoftFSBにて変更。
 10 同じ測定を5回繰り返し、その平均をとる。

4 ちょっと愚痴

疲れました。本っ当に疲れました。
1個の測定に最低3分でしょ。それが85個。で、それを5回繰り返して平均をとる。
3分×85個×5回=1275分 だいたい20時間ちょっとかかる計算になります。実際はもっと時間がかかっています。
これでまた「思うような結果」が出なかったらどうしましょう。

5 結果 その1 動作周波数と温度上昇
動作周波数と温度上昇グラフ

動作周波数と温度上昇のグラフです。「温度上昇」というのはCPU温度と筐体内温度との差です。
温度上昇は、動作周波数に比例するはずです。このグラフ直線に見えますか。
私のマザーはコア電圧がBIOSでの設定値より0.02V位上になっているようです。

6 結果 その2 コア電圧と温度上昇
コア電圧と温度上昇グラフ

コア電圧と温度上昇のグラフです。
温度上昇は、コア電圧の2乗に比例するはずです。このグラフ放物線に見えますか。
見えないこともないけど、直線にも見えますね。困った。

7 結果 その3 コア電圧の2乗×動作周波数と温度上昇

上の2つのグラフでは、まだ確信を持って、「温度上昇は、コア電圧の2乗と動作周波数に比例する。」と言い切れません。
そこで、思いついてこのグラフを作ってみました。

コア電圧の2乗×周波数と温度上昇グラフ

縦軸は、他のグラフと同じ温度上昇です。
横軸にはコア電圧の2乗×周波数をとってみました。数字が大きくなったので、100分の1してあります。
どうです。計った本人もびっくりです。きれいな直線になっているじゃないですか。
これで間違いなく、CPUの温度上昇はコア電圧の2乗と動作周波数に比例することが分かりました。

8 Celeron 333

あんまりきれいに結果が出たので、もう少しこの測定を続けようと思います。
現在私の手元には、Celeron 333が2個あります。
PPGA Celeron333 99年29週 MALAY製(便宜上、以下333 No1と呼びます)とPPGA Celeron 333 99年8週 MALAY製(同じく333 No2と呼びます)です。

333 No1は上の測定で使用した300Aと同時に購入したもので、コア電圧2.0Vで560MHz(FSB 112MHz)が、コア電圧2.1Vで585MHz(FSB 117MHz)が安定動作します。
一般的には「あたり」の石なのですが、何せ300Aが600MHzで動作するものですから、ありがたみも今ひとつです。とりあえず予備の石として確保している物です。

333 No2は今年(1999年)の春に購入したリテール物で、残念ながら500MHzが限界の石です。当時としては一応あたりの石だったのですが、現在はパーツ箱の片隅に眠っています。今回の測定で、コア電圧に2.6Vをかけると515MHzが動作することが判明しましたが、今一不安定です。

測定方法は、300Aの時と同様にしましたが、さすがに測定に疲れてきたので、コア電圧は0.2V単位で変化させることにし、1.8Vから2.6Vまでの5点にしました。

さて、測定結果です。

Celeron300Aと333

これを見る限りCeleron300AとCeleron333は熱特性としては同じ物じゃないかと思えます。ほとんど同じ直線上にデータが並びました。
オーバークロック耐性の低い333 No2の方が測定温度が低いというのが気になりますが、まあ誤差の範囲でしょう。たぶん。

9 リテールファンだ!

実は私はヒートシンクをほとんど持っていません。その時に手に入る最高の(という評判が立っている)ヒートシンクを使うことにしているからです。PPGA Celeronを購入したときに最高と言われていたヒートシンクがブリザードS7であったために今もそれを使い続けています。今(99年11月)だったらアルファにしたと思います。

そのために、手元にあるPPGA用のヒートシンクは、ブリザードS7とリテールファンしかありません。
そこで、この2つを比べてみることにしました。

測定に使用したのは最初に使用したCeleron300Aです。測定方法は、今までと同様です。そうそう、リテールファンに最初付いていた熱伝導シール(のようなもの)は取り外してあります。当然。

ブリザードとリテールファン

結構怖かったです。グラフでも分かるように、温度上昇の最高は、36度くらいになりました(コア電圧2.4V、601MHz)。筐体内温度は25度程度でしたから、この時のCPU温度は60度を越えていました。虎の子のCPUがお亡くなりになっては大変なので、コア電圧2.6Vの測定は実行しませんでした。

グラフは予想通りの結果ですね。

どのグラフを見ても、7度程度のところで、縦軸と交わっていますが、これはどういうことなのでしょうか。Celeronには7度の「基礎体温」があるのでしょうか。それとも...。

グラフの温度上昇は、CPUダイ温度と筐体内温度の差です。筐体内温度は測定する位置で大きく変わります。今回は、ヒートシンクに吹き付けるファンにできる限り近い場所で測定しました。
この時に、BX6 Rev2のもう一つの温度センサであるマザーボード上温度は、筐体内温度よりも常に5度程度高くなっていました。
つまり、こうした温度測定では、基準温度をどこで測定するかによってグラフの縦軸で交わる点は変化することになります。一番いい測定方法は、マザーをケースから出して室温を基準として測定することでしょう。ですから、この「基礎体温」については、あまり気にしないことにします。

10 おわりに

これで測定は終わりです。
ここでの測定は、すべて私の環境のみで言えることかもしれません。ぜひみなさんの追試をお願いしたいところです。

私の方は、もう二度とこんな面倒なことはしたくありません。
やりません。絶対にやるもんですか。

でも、CPUを提供していただけるとか、ヒートシンクを提供していただけるということであれば、やらないことも...。そんな人いないだろうな。

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