SOLTEK SL-75DRVの改造

初出 2002.10.14

このところ、Athlonマザーの改造に勢いづいているおのです。今回は、SOLTEKのSL-75DRVです。このマザーは・・・。このマザーはどうして私の手元にあるんでしょう?手に入れた時の記憶がないのです。中古で手に入れたのですが、いったいどこで買ってきたものやら。たぶんどこかのパーツ屋で格安で売っていたものを衝動買いしたんだろうと思います。パーツ屋で突然記憶をなくすというのはよくあることですよね。

一応、KT266チップセットを搭載したDDR266マザーでAthlonXPにも対応しているようです。ただし、Palominoコアまでで、現在のBIOSではThoroughbredコアには対応していないようです。

まずはいつものように、温度測定回路の確認です。

下の写真は温度測定チップと温度測定に対応した部品の写真です。

SL-75DRVのIT8705F IT8705F上部の部品 IT8705F上部の部品番号
CPUソケットの中のサーミスタRT1 後付サーミスタ用端子RT2

このマザーのスーパーI/OチップはITEのIT8705Fです。(写真上段左)このチップにはthermal diodeに対応した温度センサ機能が内蔵されています。
以前にCHAINTECH CT-9BJDの紹介記事で同じメーカのIT8712Fというチップを紹介していますが、このIT8705Fも温度測定部分はIT8712Fとまったく同じになっています。ちなみに、IT8702Fというチップもあるのですが、こちらは温度測定機能が完全に省略されているチップです。

IT8705Fの温度測定部分のピン配置は、IT8712Fとまったく同じになっていますので、ピン配置についてはCHAINTECH CT-9BJDをご覧頂きたいのですが、90番端子が基準電圧のVREF、89〜87番端子が温度センサー1〜3になっています。

写真でわかるように、このマザーはチップの端子番号をシルク印刷で10番毎に印刷してくれています。おかげで回路を調べる際に本当に助かりました。ありがたいことです。

上段右の写真はIT8705F上部にある抵抗、コンデンサ群です。このうち、R265、R270、R271、C148、C154が温度測定に使用されています。この近辺にチップサーミスタはないようです。上段の写真の右側にチップの部品番号を書いておきましたので参考にしてください。

下段左の写真はCPUソケットの中に配置されているサーミスタRT1(青い部品)と、それに並列になっているコンデンサC48(サーミスタの左の部品)です。このサーミスタは以前に使用したABIT KG7にも同じものが使われていました。

下段右は後付サーミスタを取り付けるための端子RT2とそれに並列になっているC166(写真下部中央)です。このマザーは後付サーミスタが標準添付になっていました。RT2はマザー基盤の右端に位置しています。

例によって拡大鏡とテスターでパターンを追っかけた結果、温度測定回路はこのようになっていました。

SL-75DRVの温度測定回路
K7T266Pro2と違ってコンデンサもちゃんと使用されています。R270、R265、R271は全部10kΩでした。やはりセンサ1〜3の全部がサーミスタ回路になっています。

センサー1がCPUソケット中心にあるサーミスタRT1で、センサー2は後付けサーミスタを取り付けるための端子RT2になっています。
センサー3がどこにつながっているのかを探すのは苦労しました。結局判ったことは、どこへもつながっていない、つまりオープンになっているということでした。なんのためにR271、C148が使われているんでしょうね。

まずは改造する前のMBM5の画像です。本来ならRT2にサーミスタを接続すべきなのですが、面倒だったので開放のままにしてあります。もちろんセンサー1〜3はサーミスタモードです。

SL-75DRV 標準状態でのMBM5画像

センサー2と3は両方とも52度になっています。どうやらIT8705Fの温度センサーは開放にすると52度を表示するようです。

改造はセンサー3の回路を利用しようかとも考えたのですが、CPUへの配線は基盤裏側でする必要があるのに、センサー3は基盤表面にしか配線がありません。
かなり面倒になりそうなので、この方法はあきらめてセンサー2を使用することにしました。こちらは端子が基盤裏面まで貫通していますので、いつも通りの改造が可能です。

改造方法は、1.R265を10kΩから30kΩに交換。2.RT2端子裏面からCPUソケットのS7(アノード)とU7(カソード)へ配線。ということになります。
今回は、コンデンサC166がすでに取り付けられているので、コンデンサは追加の必要がありません。楽です。

CPUソケットのS7とU7の位置は、ASUS A7M266 改造の失敗を参考にしてくださいね。(手抜きだ。)

改造箇所の写真です。R265の交換部分のみ掲載します。CPUへのシールドケーブルの配線はいつもと同じですので省略です。(手抜きだ。)
右の画像は改造後のMBM5の画像です。

R265を30kΩに交換 SL-75DRV 改造後のMBM5画像

この改造も本当に手慣れてきて、ちょいちょいとできるようになってきました。作業に要する時間で一番長くかかるのが、はんだごてを暖める時間です。(笑)

MBM5はセンサー2をthermal diodeモードに設定した状態です。
温度表示を見てみると、センサー2は34度になっています。センサー1はCPUソケット中心にあるサーミスタ(RT1)の温度で36度です。センサー3はMBM5の設定でNone(使用しない)にしておきましたので、0度表示です。

やはりセンサー2の温度は正確ではないようで、K7T266Pro2の時と同じように15度程度低い表示が出ているようです。このあたりは、IT8705FもW83627HFと同じになっているようですね。補正をしてやる必要があります。

そこで、前回と同じように補正値を決めるため、周波数と電圧を変えてセンサー1、2の読みを記録しておきました。
その上で、今度はマザーを秋月温度計仕様に改造(もちろん、RT2端子に接続していたシールド線を秋月温度計につなぎ変えただけです)、その他はまったく同じ条件で双方の読みを比較してみることにしました。センサー2はthermal diode仕様、補正なしの値です。

秋月温度計センサー1センサー2
38.63524
43.13828
45.94034
50.24238
56.24642
60.04946
測定条件ですが、発熱ソフトにheat0601を使用し、10分間連続動作後の温度としました。
まず、秋月温度計とセンサー2の比較から、温度補正はほぼ14度に設定してやればいいようです。
前回のK7T266Pro2でのW83627HFの時が16度でしたので2度ほど違います。IT8705FとW83627HFとの違いなのか、ただ単に測定誤差なのか、それとも他に何か原因があるのか。

そして、センサー1なんですが、今回はかなり大きな誤差が出ているようです。あまりCPU温度として信用できる値ではありませんね。

ここでABIT KG7にも同じサーミスタが装着されていることを思い出しましたので、ついでに同じ測定方法で秋月温度計と比較してみました。(KG7の温度測定チップはthermal diodeに対応していないサウスチップのVT82C686Bですので、改造してもマザーではダイ温度測定はできません。)
KG7のサーミスタ
秋月温度計KG7サーミスタ
28.930
37.335
44.740
53.245
59.451
やはり誤差が大きいですね。こうしてみるとK7T266Pro2のサーミスタがほぼ正確なCPU温度を表示したことが奇跡的に思えてきます。

ということで、今回も改造は成功です。問題は補正値をどうやって決めるのかと言うことですね。改造するごとに秋月温度計と比較するなんて言うのは現実的ではありませんものねぇ。そんなことをするくらいなら最初から秋月温度計を取り付けた方が手っ取り早いですから。
そんなに正確でなくてもいいと割り切って、大まかに15度の補正をしておけばそんなに大きな狂いはないような気もするんですが、あんまり自信がありません。

やっぱりCPUの温度を測定したいのであれば、校正した秋月温度計に勝るものはないようです。

そうそう、改造を実行する場合は自己責任でお願いしますね。

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