W83782Dの温度測定モード

初出 2000.06.12

W83782Dについては、モニタチップのピン配置と回路例ダイ温度に対応したマザーのところで、ある程度の説明をしています。でも、肝心なことを忘れていました。W83782Dの温度測定モードです。
W83782Dは温度測定に2つのモードを持っています。サーミスタモードとダイオードモードです。そして、ダイオードで温度を測定するためには、測定ソフトをダイオードモードで動作させることが必要なのです。

W83782Dのデータシートには次のように書かれています。

2.1 Monitoring Items
 3 thermal inputs from remote thermistors or 2N3904 NPN-type transistors or Pentium II(Deschutes) thermal diode output


私のつたない英語力で日本語に訳すと

2.1 モニタリングアイテム
 リモートサーミスタまたは、2N3904 NPNタイプのトランジスタまたは、Pentium II(Deschutes)のサーマルダイオード出力からの3個の温度入力


となります。

これらの温度入力は、W83782Dの38〜40番の端子が対応しています。
データシートでは、Pin Discription, continuedの所に38番端子から40番端子の説明として次のように書かれています。

Thermistor 3 terminal input.(Default) /Pentium II diode 3 input.
This multi-functional pin is programmable.
(これは38番端子の説明。39番端子と40番端子は上の「3」のところがそれぞれ「2」、「1」になっています。)
訳:サーミスタ 3 終端入力(デフォルト)/Pentium II ダイオード 3 入力。
  この多機能ピンはプログラム可能である。
つまり、W83782Dの温度測定用端子は、サーミスタ入力とダイオード入力の2つの機能を備えていて、デフォルトはサーミスタモードであり、ソフトでその機能を切り替えるようになっているということです。

モニタソフト紹介を見てください。
lm78monでは、setting−General Itemの中にTemperature Sensor X-On-Die Thermal Diode というチェック項目があります。MBM4ではセンサーの選択の際にWinbond X -P2 thermal diodeのように設定する必要があります。MBProbeでもPropertiesのTemperture設定でCPU thermal diodeの対応するセンサにチェックを入れるようになっています。

もしこの設定を忘れると、モニタソフトは正常な温度を示さなくなって、72度前後の温度を表示するようになってしまいます。

どうしてこのようなことになるのかについても、一応説明しておきます。

W83782Dの温度測定回路

モニタチップのピン配置と回路例の所にもありますが、これがW83782Dの温度測定部分の回路です。

サーミスタの時は、サーミスタと10kΩの抵抗を直列にし、両端に基準電圧VREFをかけ、サーミスタの両端の電圧を測る。
ダイオードの時は、ダイオードと30kΩの抵抗を直列にし、両端に基準電圧VREFをかけ、ダイオードの両端の電圧を測る。
という回路になっています。サーミスタは温度20度で10kΩのものが使われています。したがって、サーミスタ回路の場合、20度の時のサーミスタの両端の電圧は、基準電圧(W83782Dでは約3.6V)の1/2で1.8Vとなっているはずです。
サーミスタは温度が上がると抵抗が下がりますので、温度が上がるとこの電圧は低くなります。
逆に言うとサーミスタモードでは1.8Vの時に20度となって、これより電圧が下がると高い温度、電圧が上がると低い温度を表示するようにプログラムされているわけです。

一方、ダイオード回路の場合、thermal diodeの温度特性の結果によれば、動作電流100μAで20度の時、ダイオードの両端電圧は約690mV=0.69Vです。もし、この状態でW83782Dをサーミスタモードで動作させたとすると、W83782Dはこの0.69Vをサーミスタの両端電圧であると判断し、電圧が低い→温度が高いと認識することになります。

その結果、モニタソフトの表示は72度近辺という極端に高い表示なってしまうのです。

もちろん、W83782Dの廉価版であるW83783Sでも全く同じことになります。

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