平成10年度 ○○県職員自主研究グループ
GISソリューショングループ
・・・・・全庁型GISへの模索・・・・・

この報告は、試験的に公開しているため部分的に非表示としております。
禁無断転載!


研究目的    コメント
   当グループでは、全庁型GISの仕組み及びGISの整備手法等を研究し、高度情報化時代における行政情報の蓄積、検索、交換、共有、流通、解析、公開、加工等の事務事業を検討し、県の施策として将来実行されるであろう全庁型GIS計画を前提とした調査及び研究を行う。     この調査研究は第一義的に「GIS整備の推進」であるが、それにまつわる「情報やデータの重要性」、「職員の情報リテラシー及びスキルの向上」を感じていただけたら・・・っと思います。

GIS:Geographic Information Systemの略で、地理情報システムや地図情報システムと訳されている。(ジーアイエスと呼称されている。)
 

研究にあたって コメント
   県の施策として、全庁型GISを整備するには、多大な時間、費用、労力を要するものであり、本格的に施策として実行するにはかなりの調査、探求、調整、開発計画、財政支援、人的配慮及び職員自らがGISを形成しようとする意識等が不可欠と考える。

 また、現在展開されている高度情報化の時代を生きぬくためには、情報の活用は不可欠であり、避けて通れないものである。ことさら、県行政においては膨大な情報が日夜発生しており、この情報をコントロールすることが、これからの○○県に課せられた重要な課題であると考える。
 もし、この情報化の波に乗り遅れたときは、「情報の過疎化」が広がり、県民の生活や財産、産業等に大きな打撃を与えることとなるであろう。

 よって、当グループでは、全庁型GISを導入する前段階の「ファーストステップ」として、現在における県庁の情報化(主に問題点や課題)とGISワーキングの諸問題を調査・研究し、全庁型GISの整備に向けての考えをまとめることとした。

 なお、GISはとりわけハード系要素(コンピュータ、ネットワーク、プログラム等)を活用したものであるため、GISの導入計画にあたっては十分考慮しなければならないが、当グループの調査、研究ではハード要素は最低限に留め、ソフト系要素(ワーキング、データ等)を主眼として検討することとした。

  本研究の成果(本レポートであるが)にあたっては、沢山の方に分かりやすく読んでいただけるよう複雑なコンピュータ技術や用語等による表現を可能な限り簡素化し表現した。
 また、GISにかかる費用(計画、開発、導入、維持、管理等)については、コスト変動、計画規模、技術進歩等が未知数であるため、調査、研究しないこととした。
 

GISとは・・・ コメント
   まずは、GIS(地理情報システム)とは何なのかを説明したい。
 GISを簡単に言うと、「デジタル地図とデータベースを合わせたコンピュータシステム」である。
 人を管理する場合は住所、公共施設等を管理する場合は設置個所、事業計画等であれば計画区域など、不動産はもちろん動産にも何らか地理的な情報が含まれている。これらの位置情報をキーとして、各種の情報をデータベース化し、デジタル化した地図にはめ込むシステムがGISなのである。

 各種情報をデジタル化し、GIS化することにより、基本的に次のようなことが可能になる。

表示された地図中の情報から、データベース上にある必要な情報をすみやかに取り出すことが可能。
データベース内にある単体又は複数の情報を、地図上に(重ね合わせて)表現することが可能。

 上記1,2を組み合わせることにより、一例をあげると行政では次のような業務を支援することが可能となる。


施設管理業務 公共土木施設(道路、河川、上下水道等)、ライフライン(電気、通信、ガス等) etc
防災業務 被害・被災想定、復旧・復興計画、被害報告、避難施設情報管理 etc
各種窓口業務 サービス向上、対応時間の迅速化 etc
財産管理・固定資産管理業務 事務処理の効率化・高度化・迅速化 etc
各種事業計画シミュレーション 都市計画・道路整備・環境保全・農林水産事業等の情報検索、分析、経年変化把握 etc
福祉等サービス業務 対象者把握・検索、履歴管理 etc
マーケティング 店舗・施設・工場等の立地計画、各種分布地図作製 etc
観光業務 観光地・宿泊施設等の位置情報、ルート検索、交通情報 etc
許認可業務支援 各種許認可情報の管理、支援
住民情報 固定資産情報、家屋毎の世帯人数や構成、福祉情報、住民サービス適用状況 etc

 これらを応用すれば、例えば、 道路整備、工場立地などの予定区域に、文化財位置図、土質状況図、希少動物生息位置図、公図混乱地域、近隣の土地買収事例、土地評価などを重ね合わせることにより、容易に問題点の把握、代替案の構築やレイアウト変更などを検討することが可能となる。(できれば、ご自身の業務に応用できるか、一考願いたい。)
 GISをご理解いただくために、簡単なGISを模倣したページを作成しましたので、手始めに閲覧いただきたい。(県庁LANでのイントラネット上でのみ利用可)
  体験版GISはここをクリック。
 この体験版は、本来のGISと比べると玩具みたいなものです。ご了承のほどを。


今ある行政以外のGIS(一例)


カーナビ ルート検索、位置情報
マーケティングGIS 店舗立地、商圏の検討
販売促進用GIS 顧客管理
福祉GIS ボランティアによる在宅看護支援
公安施設管理 交通信号機の施設情報
消防GIS 緊急出動支援、被災状況把握
遺跡GIS 遺跡情報
地球環境 温暖化、環境問題
配車情報GIS タクシー等の位置情報把握
不動産鑑定GIS 土地評価情報
 

GISには何が必要なのか・・・
   GISに必要不可欠なものは・・・

ハードウェア類(機器等) パソコン、プリンター、ネットワーク、サーバー など
ソフトウェア類(アプリケーションソフトなど) GISソフト、データベースソフト など
データ類 データ(GISで処理しようとする情報)、基図(データを貼り付けるもととなるデジタル地図) など
ヒト GISを利用するヒトの情報リテラシー(情報活用能力)及び情報スキル(情報活用技術)、情報を有効利用しようとする気持ち など

  
 

国の取り組み状況 コメント
   政府ではGISを、省庁を横断する重要な問題と考え、様々な取り組みを展開している。

国による取り組み
 阪神・淡路大震災を一つの原因として、GIS整備の必要性が関係各方面で指摘されたため、政府は平成7年9月に内閣内政審議室の主催により国土庁国土情報整備室、建設省国土地理院を事務局として、「地理情報システム関係省庁連絡会議」※1を設置した。
 この連絡会議の目的は、各行政機関によるGISの効率的な整備及びその相互利用を関係省庁の密接な連携の下に促進し、地理情報システム(GIS)及び国土空間データ基盤の整備・普及のための検討を行うことである
GIS整備における国の役割
 GIS整備に不可欠な地図データの整備は、多大な費用を要するため、各データ整備主体が別々にデータを整備すると、重複投資を招く恐れがあるとともに、データの相互利用に支障がでることが考えられる。
 このため、多くの利用者が必要とする国土に関する基盤的なデータ等を国土空間データ基盤(NSDI)、すなわち社会基盤の一部と位置付け、国がデータの標準化及び先導的な整備に取り組むことが必要である。
平成8年6月
 整備についての基本的な考え方、当面の取組方針等を整理した「中間とりまとめ」を作成。(中間取りまとめには、自治体調査報告書(アンケート)も掲載)
平成8年12月
 「中間とりまとめ」にもとづき、おおむね21世紀当初までに実施すべき事項をとりまとめた「国土空間データ基盤の整備及びGISの普及の促進に関する長期計画」を決定。
平成10年3月
地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議は、作業部会報告として、「「長期計画」の推進状況に関する中間とりまとめ」をまとめられたのに伴い、その概要を公表。
平成8〜10年度の概ね3年間
 「基盤形成期」 国土空間データ基盤の標準化等
平成11〜13年度の概ね3年間
 「普及期」 国土空間データ基盤のひととおりの整備及び普及
平成11年1月
 高度情報化社会における情報インフラであるとしてGISの本格的普及、整備、利用方法について、民間企業と話し合う「GIS官民推進協議会」を設置。政府側からは、内閣内政審議室長、建設、国土、通産、運輸などの6省庁局長クラスが参加し、企業側は通信、自動車メーカー、電力、金融等の15社によって構成。
平成11年度 予定
 国土空間データ基盤関係に関する政府予算、全体で約120億円を予定。

※1 「地理情報システム関係省庁連絡会議」の構成省庁名
総理府、警察庁、総務庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖縄開発庁、国土庁、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省、自治省


参考:
入試にも出た GIS  センター入試 「地理B」 (1999年1月)
問 地図・地理情報に関する次の文章を読み、下の問いに答えよ。
 大航海時代以降,ヨーロッパの人々は世界各地へ出かけ,多くの地理情報をヨーロッパにもたらした。 ( 略) 近年,地域に関する情報と地図をコンピュータで結合さて,必要な事象を検索,解析,表示するGIS(地理情報システム)が注目を集めているが,このGISは自治体などでも日常の業務に導入されるようになった。 ( 略) 人間の視覚では直接とらえられない情報でも衛星画像などによって得られ,新しい地図として多方面での利用が期待される。自治体が GIS を積極的に導入している理由を述べた文章として適当でないものを,次の@〜Cのうちから一つ選べ。

@業務上必要な最新の地図の作成や表示がすぐにできるため,住民からの図面の閲覧や確認の問い合わせにも素早く対応できる。
A台帳,統計書など別々の形式で作成・保存されてきた地理情報をコンピュータで一括して管理できる。
B地図をコンピュータに入力すれば,縮尺や範囲の異なるさまざまな地図を目的に応じて自由に作成することができる。
C将来の予測が自動的に行えるので,道路の建設や宅地の造成などに関する都市計画の意思決定をコンピュータで行うことができる。
 入試の問題を解くことが自体が問題ではなく、大学の入試に出るほどGISは市民権を得てきたことが重要なのです。
 ちなみに、正解はCです。(意志決定をコンピュータで行うことができるのではなく、意志決定支援を行うことができるのです。)
 

○○県庁の取り組み状況 コメント
   ○○県庁におけるGISは、「○○のくにづくり宣言」のなかで、「県土総合空間データベースシステム(GIS)の構築」として、提言されている。

「○○のくにづくり宣言」からの抜粋
項   目 現 状 2010年度の目標
県土総合空間データベースシステム(GIS)の構築 全県的なシステムの概成
 行政事務の高度化、県民への情報提供の高度化、危機管理の対応などのため、都市計画情報、道路維持管理情報、下水道管理情報、森林管理情報、課税情報、ライフライン情報、危険個所情報など各種のデータを総合的に地図データベース化し、容易に取り出すことができる全県的なシステムの構築を、国、市町村、民間連携しながら進めます。

 県庁の取り組みで特筆すべき事例がある。それは、○○県科学技術振興センター水産技術センターの「漁海況速報(最新の海面水温分布:毎週金曜日更新)」と、「人工衛星海況速報(広域海況図と週間漁況情報:毎日更新(曇天日は除く))」である。
 これは人工衛星(NOAA)を使い、○○県沿岸の海水温等を、庁内内部及び一般の住民に対して「さわやかFAX○○」により情報提供する仕組みである。無償でほぼ毎日更新され、漁業関係者、マリンレジャー、観光釣り客に対し、年間約10,000件のニーズがある。このような情報があることにより、好漁場への容易なアクセスが期待され、船舶運航のムダを解消するなど大きなメリットが発生している。

参考:左記の事務事業に係る予算(情報政策課より)
 平成10年度: − 万円
 平成11年度: ー万円
 ただし、他の部課でも独自にGIS整備を進めている。これらの予算については、未調査。


参考:さわやかFAX○○(TEL ○○○-224-2888)
「漁海況速報:BoxNO.3802」
「人工衛星海況速報:BoxNO.3801」
 

他の自治体の取り組み状況 コメント
   現在多くの自治体がGISを導入している。先進自治体に電話ヒアリングをしたところGISの導入理由は次のとおり同様のものであった

内部事務の効率化(内部情報の共有、意思形成の迅速化、計画立案 等)
行政情報の住民公開サービス
 あるGISフォーラムに参加した際、某大学の教授が、「地域の現状把握→問題点の認識・分析→計画・改善案の策定→客観的分析・影響予測→評価を行う行政内の意思形成プロセスを確立し、住民に対して説明できる武器として、GISは有用な道具である。」と、述べていたのが印象的であった。
 

なぜGISなのか・・・ コメント
   代表的な理由は次のとおりである。
 
行政における情報化の推進
 GIS以外でも行政内部において情報化が進むことにより、次のようなメリットが発生すると考える。
 複雑・大量・高度化する情報の提供、調整、保管、整理、統合、処理等を円滑に行える。
 共通の文書、図面、資料等を利用することにより、マトリックス的な事務事業を進めることができる。
 豊富なビジュアル表現が可能であるため、確認、把握等職員相互の合意形成、意志疎通が容易となる。
 市町村、民間企業等の他の機関や組織に流通させた場合、事務共通性を促進することができる。
 企画、計画、戦略等の事業立案及びシミュレーション等が容易に行える。
 省資源、リサイクル等の環境問題に大きく配慮することができる。
 ペーパーレス及び図書類数量の削減による省資源化、省スペース化及び省労力化が可能となる。
 情報が一元化及び共有化されるため、検索を容易に行うことができ、情報の紛失や混乱の発生を抑えることができる。
 紙特有の損傷、老朽化などがないため管理が容易である。
 情報の重複投資を防ぐことができ、コスト縮減が促進できる。
 デジタル化された情報であるため、遠隔地でもリアルタイムに情報の取得、交換、加工等が行える。
 県民、企業などへシームレスな情報提供ができ、県民への情報提供、企業支援が期待される。
 データベース化することにより、過去の資料の検索や抽出に係る時間、労力、精神的疲労やストレスが低減できる。

 これらはほんの一例であり、情報テクノロジーの進化、利用者のニーズ等により更なる変化が予想される。
情報の一元化、共有化による事務事業の効率化
 今までできなかったことができたり、見えなかったものが見えたり、時間がかかったことを瞬時に検索することが可能となり、事務事業の効率化が図れる。
事務事業の迅速化
 都市計画、道路整備、施設管理、各種立案の事務業務を行うには、多くの人的労力や時間及び大量な情報(地形、人口、環境、施設など)を組み合せて行ってきた。
 GISがあれば基礎的な情報を有効的に使うことで、容易に計画や事業実施に関する分析、抽出、処理、意思形成等を行うことができる。これにより、事務事業の簡素合理化が図れるばかりでなく、より多くの施策方針、代替案提起、処理の迅速化が期待できる。
 また、図面、統計資料、写真、台帳、統計資料等をデータベース化できるため、職場や書庫スペースの有効的な活用及び職員の精神的ストレス(煩雑化、検索疲労疲)が図れる。

重複データ取得や地図作成費などによるコスト縮減
 共通利用できる情報やデータを共有化及び一元化することにより、費用、労力、時間を節約することが可能となる。
 また、各所属において作成される用途地図を共有化することにより、費用を縮減することができ、重複投資を防止できる。※2

住民や企業などのニーズである行政情報の公開
 GIS化されたビジュアルな情報を公開することにより、今までにない行政サービスを図ることができる。※3
国、他の自治体、企業、県民との情報交換、流通、提供
 県庁外部とGIS情報を流通させることにより、効率的な事務事業及びデータの有効利用を展開できる。
CALS、ISO、ECへの援用
 国、企業、諸外国等で活発に研究、導入されているCALS、ISO、ECへの基盤となることが予想されるため、これらの情報システムへのスムースな活用が期待される。

 冒頭で、「情報化の波に乗り遅れたときは、「情報の過疎化」が広がり、県民の生活や財産、産業等に大きな打撃を与えることとなるであろう。」と述べたが、インターネットやGISなどは、これらの情報を支える必要不可欠なツール(道具)となるため、行政における早急な整備が必要と考える。


※2 地図の重複投資の防止とは・・・
 
GISでは共通の地図を利用するため、見たい人の目的に合わせた背景、注記、地図記号、建物表示等の表示、非表示を行うことができ、用途やニーズに合わせた地図を簡単に作製することができる。

※3 今までにない行政サービスとは・・・

  
行政が昔から行っている情報発信手段はテレビ、ラジオ、新聞、広報紙、白書類、ポスター、リーフレットなどである。これらの手段は情報発信のPUSHタイプ(行政側からの一方的な情報発信型)であり、記憶には残るが記録に残りづらい特性があった。
 最近はFAXやインターネットによるPULLタイプ(県民側による能動的な情報受信型)が可能になったため、個々の住民が必要とするニーズに合う情報の取得がスムースになったと言えよう。
 また、インターネットによるデジタル情報は、流通や加工が容易であり、瞬時に提供できる特性があるため、これからの「外部との情報流通、交換」については、インターネットを媒体にしたデジタル情報を前提に検討する必要があると思われる。また、インターネットはインタラクティブ(双方向性)な特性を有しているため、工夫次第では今までにない色々なコミュニケーションが可能である。 
 

自治体GISには・・・ コメント
   自治体が整備しようとするGISは、現在、施設管理型のGISがそのほとんどを占めている。
 施設管理型とは、「道路」、「上下水道」、「河川」、「固定資産課税」など、自治体が維持、管理、メンテナンスする情報を取り扱うシステムであり、言い換えると、現有する「モノ」の情報を管理するタイプである。
 施設管理用以外で自治体が整備しようとするGISには、シミュレーション型がある。
 シミュレーション型とは、「災害被害想定」、「道路整備ルート想定」、「都市計画」、「環境評価」など、自治体がこれから事業、対策、計画等するための目的で利用するGISである。上記同様にシミュレーション型を言い換えると、見えないモノを見せてくれて、施策を支援するタイプと言えよう。
 シミュレーション型を整備するには、施設管理型の情報がなければ詳細な政策支援を行うことは出来ないと考える。
 

大量なる紙情報(その1) コメント
   自治体行政には日夜大量な情報が生成される。ほとんどが紙ベースの情報であるため、再利用、流通、検索、保存、耐久性に問題が生じている。
 これらの紙ベースの問題を簡単に表してみると・・・・

再利用問題  過去に作成された文書(テキスト、統計、図面等)を再利用しようとしても、コピー又は切り張り程度しか利用できない。
 再利用しようとした場合、「転記、複製であれば誤記入」、「追記であれば記載の時間的経過(今書いたものなのか、前から書いていたものなのか。)」、「新たにパソコンに入力する時間、労力、費用」などの問題が発生。
流  通  他の部署又は組織に提供しようにも、手渡し、郵便(宅配便も)、FAXでしか流通させることが出来ないため、すみやかな流通ができない。
 また、提供を受けた者についても、上記のとおり再利用についての問題が生じる。
検  索  目に見えなく、数値にも置き換えにくい無駄を生じているのが、この検索問題である。
 過去に作成された文書を再度閲覧、利用、提供する場合、どこに保管したか不明となることが多々あり、これに要する時間、労力、費用は明らかに無駄なものである。
保  存  執務環境内における保管(ロッカー、本棚、書庫等)は、執務スペースを大幅に浸食し続け、将来においても増加し続ける。
 上記、検索問題への助長、精神的苦痛(「狭い!」、「書類を置くところがない。」など)が懸念される。
耐久性  紙ベースの情報は、長期使用による劣化、風化、損傷等に弱いため、維持・管理が容易でない。

 文書管理を行うための、パソコン用ソフトも色々なメーカーから発売されてはいるが、なかなか自治体に受け入れられていないのが現状である。

 GISはデータベースであり、やはりデータ(文書、統計、図面、写真等)がないことには、骨組み(GISソフト、ハードウェア等)があるだけのただの書庫になってしまうのである。

Q:
 文書管理ソフト(様々な文書を保存、検索するためのアプリケーションソフト)は、なぜ自治体に受け入れられないのであろうか?

A:受け入れられないのではなく、受け入れる体制が次の事由により、整っていないと思う。
1,パソコンが一人に1台づつ配置されていない。
2,職員の情報リテラシーの欠如。
3,日夜、文書データが発生、更新、廃棄が大量にされすぎていてコントロールできない。
4,職員にソフトを操作する技術がない。また、徹底できない。

 

大量なる紙情報(その2) コメント
   大量なる紙ベースの情報をGISに取り込むのには、どうすべきであろうか?これは非常に大きな問題である。古い新しいの差はあるものの、必要、不必要の差はなく、すべて必要な情報なのである。
 和紙で書かれたもの、手書きのもの、精度の悪いもの、腐りかけたもの、信用できないもの、重複して疑義があるもの、欠落しているもの・・・・。どうすればいいのであろうか?

 整備計画を確立し短期間で取得する方法、必要なものから随時整備する手法、必要と判断できるもののみ取得する方法などが考えられるが、いずれも費用対効果の問題であろう。。
 この問題は、私達が悩む大きな問題の一つである。

 これら紙情報の問題点ではないが、埋設された上下水道などの情報などで、敷設時の図面がない場合、どのようにGIS用データとして再取得すべきなのか?延長が何百キロであった場合、どのくらい費用、時間、労力がかかるのであろう・・・?
 

大量なる紙情報(その3) コメント
   紙ベースの情報は大昔から発生しており、現在及び将来に向けても欠かすことのできない情報蓄積物であり、かつ情報伝達手段であり、有効かつ適正に使えば効果的であるが、一旦処理を誤ると再生できないものでもある。また、近年は資源的(特にISO14001)及び容量的な問題も多く取りざたされている。
 事務事業で利用されている紙ベースの情報には、文書管理規定があるものの、次のような問題点があると思われる。
   (1) 文書管理規定を遵守されず、廃棄となっている。
   (2) 容易に検索できない。
   (3) 主題毎に分別されていない。または、分別できない。
   (4) 書庫がない。保管能力に限界がある。
   (5) 文書管理規定自体が個々の業務にそぐわないことがある。
 (1)は「情報の紛失」、(2)は「情報の氾濫」又は「未共有化」、(3)は「多元的な情報」、(4)は「有限なスペース」、(5)は「分類できないものを無理に型にはめようとしている」、これらが問題の発生源と考えられるが、これらの問題を解決するには、制度的な改善、職員資質の向上、機器整備などの物理的な問題を解消しなければならないため、大きな労力を費やさなければならないであろう。
参考:紙地図のデメリット
閲覧や追記、切り張り程度しか利用できない。
縮尺や地図記号が固定されており、縮尺の変更や記載されている記号情報の削除はほぼ不可能である。
従前に追記作成した特製の地図も、追記以外再利用する術がない。
必要毎に地図を作成しなければならず、多くの費用、労力及び時間がかかる。
縮尺や掲載情報が特定されているため、部署を越えた利用が制限されている。
保管にスペースをとる。かさばる。
改訂されているかどうか更新情報が判別できないことが多々ある。

 

誰が使うのか・・・ コメント
   多額の予算や、多くの労力を使ってGISを整備しても一体誰が使うのか?また、GISを常に使うほど業務ニーズがあるものだろうか?などの質問が出ている。
 GISのユーザー数を次の図で表してみた。

・・・システム管理者
・・・地図整備担当者及びデータ整備担当者
・・・上記以外の職員
 GISのデータ整備、コンピュータ技術の進歩、情報通信網の拡大、情報公開のニーズなどが進むと、Cには県庁外の方々(県民、国、市町村、企業、教育機関等)が加わることになるであろう。いや、加えなければならないであろう。

 GISに掲載する空間情報のユーザーは直接業務担当者以外にも潜在的に多数存在している。本来GISには単独の課又は職員だけが利活用する情報以外に、あらゆる空間情報を掲載するべきである。潜在的なユーザーがいるからグローバルに利用できる全庁型GISの整備が必要なのである。
 よって、GISに取りいれるコンテンツ(情報の内容)や用途により上の図で言う三角形の底辺部分は拡大することとなる。
 実際に、県民や企業、教育機関など、社会はこれらの社会的価値のある行政情報を欲しているため、県庁内外を問わず、将来において誰でも使える
※4ことを意識したシステムやデータの整備をする必要があると考える。有用な情報を多くの方々が利用することにより、社会全般への公益性が増すのである。
※4 だれでも使えるとは・・・
 誰もが使えるようにするには、次の点に配慮または留意することが重要である。

 ウィンドウズ95のように使いやすいユーザーインターフェース化を図る。
 ミス操作を防止するようA、B、Cのユーザーにあわせ、操作機能を限定する。
 操作性、レイアウト等を共通化することにより、人事異動によるシステムの再研修、データの整備しやすさ、など目に見えないメリットを発生させる。
 FAQ(よくある質問と、その回答集)の作成、ヘルプデスクの創設等ユーザー重視の体制及びマニュアルを確立する。
 また、これらの柔軟な見直しを可能とさせる。


ヒント:
GISは行政における縦割りの弊害をも解消する道具になるのではなかろうか。

 

コスト問題 コメント
   県による全庁型GIS整備は他に事例がない。よって、投資コストがいくらかかるか、GISによりいくらコストを縮減できたかは、未知数である。

 しかし、あくまでも仮で、絶対的に必要な費用項目をあげてみると・・・。
ハードウェア導入費用、ソフトウェア導入費用、データ整備費用、人的な費用があげられる。
 ハードウェア、ソフトウェアは技術進歩や価格競争、規模、整備内容により変動するため、目標さえ確定していればどうにか試算することができると思うが、一番試算できないのがデータ整備である。(データ整備費用は整備すべきコンテンツ及び整備計画を明確にすれば、総量調査等が可能になると思われる。)
費用項目の説明
ハードウェア パソコン、ネットワーク、プリンター など
ソフトウェア アプリケーションソフト(GISエンジン)
データ整備 基図、各データ
人的費用 コンサルティング、ユーザー教育、入力、メンテナンス など
 

GISのたとえ
   GISを知らない方にGISを説明するのは難しい。
 カー・ナビゲーションなども一種のGISであるが、どうもルート案内のイメージが強すぎて、GISが持つ多くの機能や用途が想像されにくいようである。

 私がGISを説明するときにたとえ話をするのは・・・

透明ビニールシート  紙ベースでGISで実践しているケースがあります。既存の地図の上に透明なビニールシートを上乗せする手法です。(トレースみたいなもんです。)
 地図の上に載せたシートに必要な情報(点、線、面)を書き加えれば良いわけです。違う種類の情報を載せたければ新たに透明シートをその上に載せればいいわけです。

 応用するならば、書き加えた情報(点、線、面)にすでにある台帳などのページ番号を記載すれば、誰が見てもすぐに必要とする情報にたどり着けることが可能です。 
PIZZAのたとえ  PIZZAには、下地(パイ生地)があり、トマトソースを塗ったり、トッピングの具を乗せたり、チーズ等を乗せますよね。
 PIZZAを作る人、食べたい人によって色々と見た目が変わります。サラミを多く乗せたり、アンチョビは乗せなかったりっと・・・。

 GISも一緒なんですよね。PIZZAで言う下地が背景地図(例えば航空写真)の上に、その人が必要とする情報をその上に載せればいいわけです。都市計画情報だけを見たい人、道路網と道路工事箇所のミックスをしたものを見たい人など・・・

 見たい人なりに、色々とトッピングすればいいのです。
机のたとえ  GISには、データベース、基図(ベースマップ)、GISソフト(GISエンジンとも言います。)、ハードウェア(パソコンのことです。)が必要です。
 では、机にたとえてみましょう。データベースが引き出し、データ(情報)が引き出しの中のモノ、基図が机の上、GISソフトが机の骨格、ハードウェアが机の大きさ、とたとえることができます。
 また、机の引き出しには色々な種類の引き出しがあります。例えば、道路施設の情報が入ってる引き出し、都市計画の情報が入っている引き出し、避難施設情報が入っている引き出しなどです。仕事をする人がニーズに合わせて、必要な引き出しから情報を取り出し、机の上に乗せ、シミュレーション等するわけです。

 笑い話になるかもしれませんが、机の上も、机の骨格もキレイに作って、さぁ仕事をしようっと思っても、引き出しの中の情報がなければ何もなりません。
 GISで一番重要なのは、やはり引き出しの中の情報なのです。 

 全然知らない方にGISの魅力を知っていただくのはむずかしいですね。(GIS体験版を作ったのはこのためなのです。)

   
 

全庁型か?個別業務型か? コメント
   GISには、個別業務型と全庁型がある。個別業型とは、例えば道路施設管理用、災害対策用、都市計画用、財産管理用等がある。全庁型はこれらの個別業務型をすべて含んだタイプのモノである。
 言うまでもなく、県庁として目指すタイプは全庁型である。なぜならば、プログラム的な仕組みや情報の分類は難しいものの、個別業務型をそれぞれ整備するよりも、格段に費用が安く、同じ背景(基図)を利用できるため、より多くマトリックス的に事業を支援できるからである。
 先進市町村におけるGISは、各々の個別業務型を先行して立ち上げ、一定の成果が得られた段階で全庁的に移行する取り組みを行っている事例がある。
 既に○○県庁でも、いくつかのGISが立ち上げられているため、個別業務型から全庁型へシフトすることになるであろう。

参考:○○県庁に既に運用中の個別業務型GIS
道路保全課 舗装補修システム
橋梁管理システム
漁業振興課 漁港管理システム
消防防災課 被害想定システム
企業庁 管路管理システム
○○農業センター 土壌管理システム
水産技術センター 漁海況速報
人工衛星海況速報

 

基図について コメント
   GISで重要なのが基図(基礎となる地図のこと。ベースマップとも言われる。)である。GISの出来は基図の内容により左右される。っと言っても言い過ぎではない。

 当たり前の話であるが、縮尺が1/500の地図と、1/25,000の地図とでは、見た目が全く違う。では、なぜ違うのであろうか?例えば、建物の形を例にあげるとよく分かる、1/25,000の地図では建物はだいたい小さな四角形で表示される。でも、1/500の地図での建物は、もっと正確な建物の形や寸法が表示される。表示しないことには、その地図のリアリティがなくなるからである。
 っと言うことは、地図を作る際、1/25,000の地図ではファジーな表現、1/500の地図ではリアリティな表現が求められる。と言い換えることができるのではないでしょうか。リアリティは精度でもあり、その精度を要求すると言うことは、大縮尺の地図を求めれば求めるほど、それ相当の精度が要求されるため、その分測量などの整備費用が増加していく。っと言うことになるのです。

 また、土地の形状や利用目的は日夜変化するおそれがあるため、これらをいかに効率よく取り入れ、鮮度を保つかが大きな問題として挙げられています。

 よって、GISを誰が、何のために、どのように使うのか、を明確にしないことには、基図を管理するだけで大きな労力や、費用がかかることになるです。

 一般的に地図の記載内容を分解してみると、「道路、河川、鉄道などの線」、「池や沼の区域線」、「市町村名や字名」、「建物、施設、土地利用等を表す地図記号」、「建物などの外形枠」、「行政区域線」、「等高線」、「都市計画法等による土地規制区域線」などの線引きや記号、文字により構成されており、これらの構成要素が記載されているから、目的の箇所を容易に判読できるのである。
 例えば、等高線だけ書いてある地図だけでは、容易に探したい箇所が判読できないですよね。等高線と一緒に道路線や施設が表示されているとそれぞれの位置関係が分かり、容易に探したい箇所を見つけられるのです。地図を作る場合はそれぞれの構成要素が非常に重要となってくるのです。
 よって、必要とする構成要素に、精度を要求するのか、鮮度を要求するのか、整備計画を考える場合はかなりの検討が必要だと思います。
 

WebGISについて コメント
   今からGISを計画整備するのであれば、なんと言ってもWebタイプ(インターネット、LAN、WAN)のGISにすべきである。
 その理由は・・・


メンテナンス  情報が一元化できるため、更新がスタンドアローンの分散配置型に比べデータ更新が非常に楽である。
コスト  既存のPCを利用できるため、ハードの整備費用が縮減できる。
公開性  IE(インターネットエクスプローラー)やネコミ(ネットスケープコミュニケーター)を閲覧用とした場合、ネットワーク上にさえいれば、どこでもいつでもGISを利用できる。


 現在、GISベンダー各社のGISは、このWebGISにシフトされつつあるため、もうしばらくすると技術面、コスト面、セキュリティ面など、より充実した製品が発表されるであろう。
GISをインターネット上で使うことにより、情報公開サービス(計画告知、規制情報、道路交通情報、催事紹介等を含む)の拡大や、ワンストップサービス、遠隔地利用、モバイルコンピューティング等が可能となる。
 

GISデータの流通について コメント
   今まさに国や研究機関などで研究を頻繁に行っているのが、このGISデータの交換方法である。
 自治体や民間企業が独自で作ったGISデータを他のメーカーのGISに掲載させようとした場合、今までの仕組みでは互換性がなかったため、紙ベースの情報に出力してから再度入力し直す必要があった。これでは明らかに手戻りであるため、GISのデータならば、どのメーカーのGISでも変換が効くように、統一規格を作ろうとなったのである。
 ISO(国際標準化機構)のTC211として現在、検討中であるが、この規格が一般化すると、インターネットなどのネットワークを通じて、他の組織が整備したGISデータを自らのGISで見ることが可能となるのである。
 県は、国、市町村などから情報中継者としての多くの役割があるため、データ交換ができることにより、県は多くのメリットが発生すると思われる。
 

プラスα・・・
   GISとこれからの情報化システムなどについての関係を探ってみたい。

インターネット
 今やインターネットは、欠かすことができない情報システムになっていることは周知のことであろう。
 従来までのGISは設置された所属だけの単独利用(スタンドアローン型)であったが、近年インターネットやLAN等の技術革新がすすみネットワーク化されたGIS(ネットワーク型)を作ることが可能となった。これにより、遠隔地から情報を入手したり、利用ができたりして、世界中の情報を活用できることとなった。
 近い将来、インターネット上でGISを使った行政情報の公開が進むであろう。

 インターネットやGIS、以下で述べるCALS、ITSなどの重要な情報システムには情報通信網が必要不可欠である。郵政省や建設省及び民間通信企業で急速に整備が進んでいる情報通信網整備や、高容量無線技術
についても、蛇口を付けたあと、急いで水道管を引かないこととならないよう、県として強力に支援することが必要である。
PCの性能向上
 今までの電算システム(例えば、財務会計システムや土木積算システムなど)は、大型コンピュータや独自のプログラムを施した基幹コンピュータによって利用されてきていたが、技術の進歩及び低廉化が急速に進み、PC(パーソナルコンピュータ)で作動するソフトが普及している。
 GISもPCで利用できるソフトが普及しており、使い慣れたワープロや表計算ソフトとともにGISを利用することが可能となり、事務の合理化が期待されている。
GISソフトの高度化
 情報技術の高度化と比例して、GISソフトも高機能化が進んでいる。
 3次元表示、他のGISソフトとのデータ交換、Web対応など、より性能や表現力、操作性が強化され、ユーザーの多大な要望に応えてくれる。この技術革新は当分収まることがないであろう。

 しかし、GISソフト自体が進化しても、ユーザー側がデータを保有又は更新していかなければ、タダの道具である。開発にあたっては、この点は留意すべきである。

CALS(Commerce At Light Speed)
 CALSとは、公共工事や製品製造などの業務に関係する仕組みで、調査・計画・設計・施工・維持管理の各段階で発生する図面や書類、写真等の各種データをデジタル化し、業務関係者との連携、調整、調達、共有、交換等を促進することで、コスト縮減、品質確保、ペーパーレス化、事業のスピード化を促進する官民を問わない総合的情報化の仕組みである。
 CALSは単独のシステムではなく、多くのシステム(EC:電子商取引、EDI:電子データ交換、CAD:Computer Aided Design、電子認証など)や仕組みを取り入れており、将来、間違いなく組織の枠組みや職員の業務フローを変革することとなるであろう。
ITS(Intelligent Transport Systems)
 ITSとは、最先端の情報通信技術を用い、人と道路と車両とをネットワーク化することにより、交通事故、渋滞などといった道路交通問題の解決を目的に構築する新しい交通システムであり、建設省では「ナビゲーションの高度化」、「自動料金収受システム」、「交通管理の最適化」、「安全運転の支援」などの9つの分野の試験研究が活発化されている。
 ITSは、マルチメディア事業の中で有望性の高い事業と評価されており、その効果は全体で50兆円と試算されている。(VERTIS試算)
 GISはITSにおけるスマートウェイ(知能道路)の基幹システムとなりうるのである。
リモートセンシング
 リモートセンシングの一例を説明すると、航空機や衛星からの写真を元に、地域環境(水質、植生、大気、気象など)、土地開発などの情報を取得し、これらの経年における変化を、観測、監視、解析、推定等できる仕組みである。
 リモートセンシングは、環境重視が拡大されつつある現在や将来において、大変有用なツール(道具)であるとも言える。現段階では、技術の進歩により人口衛星を利用したもので、縮尺1/2,500程度の画像が取得可能となっている。(代表的なリモートセンシング:気象衛星などの気象観測、人工衛星海況速報(先述))
 GISと合わせて活用することにより、より大きな事象を業務に反映させることができる。
ワンストップサービス
 県庁や各市町村の各種の行政サービス窓口がインターネット上にあれば、住民はさまざまな行政での手続きや処理及び行政情報の入手が簡単にできることとなる。これがワンストップサービスである。
 県民側から見れば、距離、時間を問わない行政への手続きができるため、飛躍的に利便性が向上する。また、行政側から見れば、業務の効率化、合理化、サービスの均一性が望めることとなる。
 GISは、このワンストップサービスの基盤(位置情報の提供等)として利用されることが期待される。

 

どのように導入すればいいのか・・・ コメント
   GISを整備する手法としてあげられるのは、先進地を見てみると次のような手法がある。

1,GISに適応するあらゆる業務を全庁一斉にGIS化する。
2,特定の業務だけを全県一斉にGIS化する。
3,一部の地域機関(県民局)のあらゆる業務を一斉にGIS化する。
4,一部の地域部署の特定の業務だけをGIS化する。

 いずれの導入手法が最善かは、それぞれの自治体により議論が分かれるところであろう。

 行政事務を行いつつGISを整備するには、かなり職員に対して負担(情報リテラシーや情報スキルの徹底、事務量増加、予算調整、整備の長期間化など)が生じる。この負担はすべてGIS完成度を左右するため、非常に重要な問題となるであろう。
 また、庁内各課が、課内だけで活用できるGISを整備する場合、コスト、労力、時間はそれぞれの課が整備する分だけ増加するため、明らかに無駄であることは簡単に理解頂けるであろう。

 これらの問題を解消するには、やはり財務会計システムのような各部を横断的に統括し、かつ、より専門的なことができる仕組みが必要ではないかと考える。いわゆる「全庁型GISシステムの主務課の確立」である。
 主務課を確立し、整備やメンテナンス機能を集中させたほうが、単独の部署による特定業務目的で整備するより、より合理的なシステムになり、コスト縮減、情報の共有化が徹底できることは言うまでもない。

 また、日々更新が考えられるGISデータのメンテナンス
についても、主務課がチェック機能を有することにより、データ発生課とのチェックアンドバランスが保たれるのではなかろうか。
 一番効果的なGISの整備方法は、県とすべての市町村を含んだ全県的GISの整備であろう。
 整備範囲が広がることによるデメリットはあるものの、単独で整備するより費用対効果は格段に大きいと考えられる。

参考:
 ○○県諏訪地域では3市2町1村で広域市町村圏を構成し、基幹情報(税、福祉、住民票、保険、年金等の約30業務)を合同で諏訪広域総合情報センター(第三セクター方式)に委託し、事務の合理化を図っている。
 当該センターへメールヒアリングしたところ、メリットは、「市町村内部での電算要員不要」、「プログラム、システム整備、メンテナンスの費用が分散され安価になる」など、デメリットは、「個別団体の要望が実現しにくい」などであった。
 
 

今、何をすべきか・・・ コメント
   まず身近なこととして・・・
県庁職員の情報化に対する意識改革(情報リテラシーの向上)である。
 悪しき一例を挙げると・・・
 平成8年度より、県庁LANが順次整備されてはいるものの、ネットワークを使わない人(機器が無く使えない人ではなく、自ら使おうとしない方々)が未だ存在する。県庁LANは従来の情報伝達機器(電話、FAX、郵便等)と違い、高速かつ大量にデータやメッセージ等の情報を伝達する道具であり、今後、電子メールは県庁内外を問わず必要不可欠な道具になることは確実である。
 しかし、現在(平成11年2月)、県庁LANを行き来する情報は、「担当者から関係者への問いかけ及びその回答」、「行事又は催事の参加要請」が大部分を占めている。これでは、高額な予算を使って高速道路(県庁LAN)を作ったのに、固有地(担当者)から固有地(関係者)へ向かう車両と、街頭宣伝(行事主催者)の車両しか使わないことと変わらないのである。
 もっとも、今の県庁LANは閉ざされたネットワークであるため、全世界の情報を活用しようにも全くできない状態である。早くインターネット対応PCを一人一台に整備させるべきなのである。
 職員自らがPCをもっと使い、情報化に触れ、かつ、自分の武器として情報を有効利用する能力を付けることが重要である。そうすれば、これからの○○県の将来や県民に対して、何が必要かが見えてくるのではなかろうか。

次に・・・
全庁的にあらゆる電算システムを統括するシステム管理課(者)の設置である。今までは、特定の業務を電算化する場合、専用端末機を設置しなければならなかったが、情報機器の進歩により、ネットワークに接続していれば、多種多様な業務を1台のPCで行うことが可能になった。
 しかし、県庁の縦割りの弊害や一部の職員の情報化の認識不足により、旧態依然として上述した電算化を進めていることが多々見受けられる。プログラム上できないもの、その必要が無いものなど、ネットワーク上にシステムを構築することにそぐわないこともあろうが、システムの統一性を取っていないために、多くの無駄な費用が発生している。
 よって、全庁的にあらゆる電算化又はそれに関する整備、構築を指示や判断を支援する主務課(者)を明確にすべきであると考える。システムを整備又は開発しようとする各課と共に既存システムとの連携や将来における汎用性に留意することにより、より効果的で合理性のあるシステムを実現することができるであろう。また、重要なことであるが、メーカーサイドに立って開発するのではなく、よりユーザーサイドに立つことが重要であると考える。

もう一つは・・・
ドキュメント(文書、写真、図面、台帳等)の保存及び管理の徹底である。GISはあくまでも道具であり、完成させること自体が目的でもない。GISは情報を最大限活用して業務を支援してくれるものである。やはり蓄積する情報が一番重要なのである。今まで取得してきたドキュメントの情報がなければ、ただの道具箱になる可能性だってありうる。
 よって、スムースにGISに移行できるよう、(情報公開条例でもその必要性が生じているが)過去の情報の整理、整頓、分類、精度、鮮度などへの取り組みが今、臨むべき課題であると考える。

 県庁LANの利用状況を見渡してみると、悲惨な状況が多く見受けられる。それは、「ワープロ専用機の座布団に高価で高機能なPCが利用されていることである。」
 県庁LAN用PCを配布されたのにも関わらず、ワープロ専用機にしがみついている方が多数存在する。(適切ではないかもしれないが、たとえてみると財務端末があるのに手書き文書で、出納局へ文書を持っていくようなものである。)

 文書は情報であり、共有化や人事異動の引継などにより二次的に有効活用すべきであるのに、個人の都合(使ったことがないから、使えないから、分からないから、教えてくれないから・・など)で情報活用を阻害させているのである。

 これから発生する文書がまた活用できないまま消滅し、無駄なコストが発生しないよう、自らの情報リテラシー(情報活用能力)と、情報スキル(情報活用技能)を向上させていただきたい。
 

最後に・・・ コメント
   何度も言うようであるが、GISを整備するためにはかなりの時間、費用、労力が必要である。しかし、GISの根本的な仕組みを考えると、コンピュータを使わずともできることがある。それは紙地図を利用した情報の共通化及び共有化である。
 例えば、県庁各課が使う紙地図を縮尺毎に同じものを採用し、属性(表示する情報)を任意に変更できるようにすればいいのである。印刷を発注する際に必要な属性を掲載すればいいだけで、思いのほかコスト縮減が期待できるのではないであろうか。(ただし、法定地図は除くことになろう。)
 また、どこに行けばどの地図があるのか、組織的に明確にしておけば、重複投資の防止、容易な検索、業務連携が期待できるであろう。工夫すればより行政事務は効果的かつ合理的にできることは多いのではないか?

 様々な面で該当すると思うが、昔からの事務規定(仕組み)では一向に業務作業(仕方)は改善されない。そんなことを考えていると、ひいては自治体行政が変わらないのではなかろうか・・・。時代は流れているのである。
地図類の共有化調査(H11.1.12〜29:県庁LANのメールを利用)


ヒント:
 各課が保有する備品なども、県庁LANなどに掲載し、適切に貸出簿などを整備しておけば、時間、費用、労力のムダが低減されることは間違いない。