戦略と戦術

民需への転用

まず決して軍事教育を行うつもりはありません。
しかし教育界であまりにも戦争関連を敬遠するので、
軍需から民需に転用された技術はあまり教えられていません。
しかしコンピュータもインターネットも軍需から民需への転用です。

そして思考方法である戦略、戦術も民需へと転用されました。
現在では企業戦略などに広く使用されています。

分かりやすく解説する為に題材として軍事的なことも使用します。
が、これは、あくまでも分かりやすい教材の為であって、軍事教育の為ではありません。



戦略と戦術の違い

戦略と戦術と「戦」という文字がついていますが、
現在では戦争に限らず、企業の経営方針などに転用されています。
まず混同されやすいので、違いを書きます。

戦略(strategy:ストラテジー)
全体的な方針。
変更は困難。

戦術(tactics:タクティクス)
戦略に基づいて細かい個所を決める。
戦略に基づいていることが必須。
変更は可能。

このように物事を決定するときに戦略(全体的な方針)→戦術(細かい個所)と
考えや行動を進めるべきです。


例としてファイナル・ファンタジーを考えます。

ファイナル・ファンタジー
戦略目標:最高品質の美しい映像
必要な戦術:最高品質の映像の開発
      映像を効果的に見せるゲーム部分の制作
戦略に違反する戦術:ムービーが長くゲームを妨げるのでムービーを少なくする。

スクゥエア社のファイナル・ファンタジーの戦略目標が何であるかは知りませんが、
仮に「最高品質の美しい映像」とすれば上のように考えられます。
もっともファイナル・ファンタジーもファミコンの頃は別の方針であったと思います。
ゲーム機が進化するに従って戦略目標が変わってきたと思います。


今度はドラクエを考えてみましょう。

ドラゴン・クエスト
戦略目標:面白いゲーム
必要な戦術:ゲームとしても面白さを盛り込む
      綿密なバランス調整、仕上げ
      ゲーム性を妨げない範囲の映像
戦略に違反する戦術:ゲーム性を妨げるほどの長いムービー

同様に社の戦略目標が何であるかは知りませんが、
仮に「面白いゲーム」とすれば上のように考えられます。
3Dも流行を取り入れるだけに作った感じがあり、昔ながらのゲームの延長として
作成されたと思われます。



戦略目標の設定

戦略目標を何にするかは難しい問題です。

例として全盛期の西部ライオンズの森監督について書きます。

森監督
西部には多数の大打者や大投手はいない。
 ↓
エラーなどのミスを出さないようにして、
相手のミスに付けこんで勝つ、守りの野球を提唱した。
また戦力の調整の為に意図的に負ける試合を作った。
 ↓
フォアボール→盗塁→エラー→外野フライなどで勝利。
 ↓
連続優勝という栄冠に輝いた。
 ↓
しかし勝ちすぎて試合が面白くない、という理由で解任された。

監督や選手の目標は試合に勝つことです。
しかし、それで勝ちすぎて試合が面白くない、という発想は監督や選手には無いでしょう。
プロレスのような観客を煽動する要素があるスポーツならば、選手にそのような発想はあるでしょうが、
野球選手にそれを望むべきではありません。


長嶋監督
常に試合の勝利にチャレンジする積極的な作戦。
 ↓
勝つか負けるかわからずに、正にメイク・ドラマである。
 ↓
観客が楽しめて人気が上がる。

長嶋監督が意図的にこのようなことを行っているとは思えません。
彼は天性のエンターティナーなのです。


このように考えると野球の監督は何を戦略目標にするかが複雑な問題です。



制約の中での戦略目標

今からファイナル・ファンタジーのようなゲームを他社が作ろうとしても独力では出来ません。
なぜなら美しい映像を作る技術や会社ブランドが無いからです。
ならば現状で可能なことが何か、を冷静に分析して、
そこから可能な戦略目標を制定する必要があります。

例として日露戦争を考えて見ましょう。

現状
1 ロシアの国力は日本の7倍がある。
2 国が広いので各方面に兵力は分散し、極東に全兵力を向けられない。
3 大国ロシアを警戒し、各国は日本に同情的。
4 反体制勢力が暗躍し革命が起きそうな気配が有る。
5 シベリア鉄道はまだ完成していない。

現状から考えられる戦略
1 イギリスと日英同盟を締結する。
2 中国政府や軍閥に協力を依頼し、後方撹乱を行う。
3 シベリア鉄道が完成する前に極東のロシア軍を撃破する。
4 バルチック艦隊が回港される前に極東艦隊を撃破する。
5 謀略を行い革命分子を煽動する。
6 米国の仲介で講和する。

このような戦略を元にして、日本は劣勢ではあるが戦争に勝利し講和に持ちこめた。
(圧倒的な勝利ではなく、軍事的優勢の中での講和である。)
危うくは有るが事前に開戦から講和まで明確な戦略を立てたことが勝因である。



複数の方法

日露戦争の日本の戦略では複数の作戦を同時に実行しました。
身近な例では学校の受験があります。

1 第一志望校
2 すべり止め校1
3 すべり止め校2
4 受かる可能性の低い、高レベルの学校

受験するときは大抵は上のような複数の学校を受けます。
このように保険をかけておくことは大切です。

開発では余裕を持ったスケジュールを立てるべきです。
そうすると無理の無い開発が進められます。



ランチェスターの公式

兵力と効果の関係ではランチェスターの公式が最も有名です。
効果=兵力×兵力
つまり兵力の2乗に比例します。

兵力が1ならば効果は1
兵力が2ならば効果は4
兵力が3ならば効果は9
と兵力が増えるほど効果が相乗効果で上がります。

兵力が敵軍の2倍ある場合、敵軍を全滅させた時の損害は以下の式で求められます。
兵力を2乗して4対1
4から1を引き3
3のルートは約1.73
従って損害は0.27

従って1ケ所に兵力を集中させるほど効果的である、という理論です。

これは広報や予算配分にも流用されます。
期間集中的に行う宣伝などはランチェスターの公式に基づいています。

練習問題
兵力が敵軍の3倍ある場合、敵軍を全滅させた時の損害は?



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