宮本武蔵

約束の時間はとっくに過ぎている。
何時間も遅れて宮元武蔵は巌流島にやって来た。

佐々木小次郎は大声で言った。
「武蔵、遅い。」

武蔵も大声で言った。
「小次郎、敗れたり!」

小次郎は冷たく言った。
「何が『小次郎、敗れたり!』ですか?
約束の時間はとっくに過ぎています。
何時間も遅れて来て、何を言っているのですか?
まったく非常識もほどがあります。
それとも何か遅刻の正当な理由があるのですか?」

しかし全く気にもかけず武蔵は大声で言った。
「小次郎、敗れたり!」

小次郎はあきれはてた。
「もう試合は行いません。
試合時間に遅れたことで、委員会で話し合って
試合放棄と判断しました
この試合は私の不戦勝と決定されました。
そうですよね。審査員の皆様。」

それでも武蔵は大声で言った。
「小次郎、敗れたり!」

小次郎はあきれはてて、後ろを向いた。
「審査員の皆様、話になりません。もう帰りましょう。」

武蔵は大声で言った。
「小次郎、敗れたり!」

そして、武蔵は木刀で小次郎の頭に一撃を加えた。
後ろから不意に撃たれたので逃げ様もない。
小次郎は頭が割れて、その場に倒れこんだ。
そして衝撃で背中にしょっていた刀が抜けた。

平然と武蔵は大声で言った。
「小次郎、敗れたり!」

武蔵の予想外の行動に、審査員はどうしたら良いか分からず、慌てていた。

平然と武蔵は大声で言った。
「小次郎、敗れたり!
文句がある人はいるか? いるのならば前に出るがよろしい。」

武蔵は木刀を構えたままだった。
剣豪の武蔵に文句を言える審査員はいなかった。
ましてや小次郎を後ろから不意打ちするような人物である。
文句を言えば、どうなるか分かった物ではない。

武蔵は大声で言った。
「小次郎、敗れたり! 誰も異存はないのだな。」

武蔵に文句を言える審査員はいなかった。

かくして武蔵は巌流島の決闘で勝利して、
天下一の剣豪と言われるようになった。


メニューへ戻る