粒状感の修正

画像を加工する時の素材は出来るだけ綺麗な物を使うのが基本です。
表示サイズが小さい物より大きいもの、JPG 形式なら圧縮率が低く保存されて居るもの、
印刷物ならばスキャナの設定を色々変えてみて、一番綺麗に取り込める様に工夫しましょう。
とは言え、素材が理想的な画像ではない場合も良くあることです。

この「粒状感の修正」は、画像全域に掛かったノイズやモアレなどの修正の他に、
肌を綺麗に見せる方法などにも応用できると思います。


素材はこれです
マスター画像 今回の素材は市販の素材集から使用しました。
詳細は不明ですが、最低でも 50 年以上は昔に
撮影されたとおぼしきモノクロ写真です。
ちなみに左の画像は素材集からコピーしたままで、
再圧縮もリサイズもしてません。
それなのにこの画質。泣きたくなります(苦笑)

粒状感は言うまでもありませんが、それに加えて
JPG の圧縮率が高いために、唇の周辺には
ブロックノイズも目立つ画像になっています。

この画像はマスターから画質が悪いのに加え、
印刷物ではないので大きいピクセルサイズで
取り込み直す事も出来ません。
おまけにマスターがすでに JPG 形式なので、
レタッチしてからまた JPG で保存する事になりますが
JPG 形式は保存時に画質が落ちてしまうと言う
かなり豪快な悪条件(笑) ですが
さてさて、どこまで綺麗になるでしょうか?


どう修正するか
もし、これが印刷物やプリントされた写真などであればスキャナで取り込むときに
高解像度で取り込んで、縮小するだけでもそこそこ綺麗に見えます。
上の画像と右の画像、どちらが綺麗に見えますか?

右の画像は小さいですが、肌を中心に粒状感が少なく綺麗に見えるでしょう?
スキャナで取り込める物なら取り込むときの解像度を2倍にして、
[ イメージ ] - [ 画像解像度 ] で、ピクセル寸法を半分に設定し、
[ 画像の再サンプル ] にチェックを入れ、バイキュービック法で縮小すれば
作業はそれで終了です。
しかし、今回はすでにマスターが小さな JPG 画像なので
縮小と言う手は使いません。・・・と言うより「使えない」が正しいですね (^^;
縮小しただけの画像
ぼかしただけの画像の一部 では、滑らかにしたいので今度はぼかしてみました。
左の画像はガウスぼかしを 2 ピクセル掛けた結果 ( の一部 ) です。

どうですか?粒状感は消えましたね。じゃあ、これで終わりって事d(バキッ

粒状感は消えてるけど、今度は輪郭がはっきりせずに単なるピンぼけ写真に
なってしまいましたね。ぼかすのはいい方法だと思ったんですけどねぇ・・・(^^;
だって、粒状感は見事に消えてるじゃないですか(笑)


全部ぼかさなければ?
さて、ここまで来ればカンの良い人なら輪郭以外をぼかせば綺麗に滑らかにさせられる事に気が付くでしょう。
Photoshop にはこういう効果が出せるフィルタが標準で装備されています。
[ フィルタ ] - [ ノイズ ] - [ 輪郭以外をぼかす ] です。これを適用してみましょう。
オリジナルの状態がさほど酷くなければこれだけで十分の場合が有ると思います。

オリジナル画像 (一部) 輪郭以外をぼかす2回適用 輪郭以外をぼかす4回適用
オリジナル 輪郭以外をぼかし2回 輪郭以外をぼかし4回

まずはこのフィルタを2回掛けてみましたが、今回の素材は元がかなり荒いために額や首の周辺にノイズ成分が
まだら模様に残っています。( 中央の写真 )

このまだら模様が完全に消える様にフィルタを4回掛けた物 ( 右の写真 ) は髪の毛などがボケきってしまい、
細部がはっきりしなくなっています。

これはこの [ 輪郭以外をぼかす ] フィルタではどこの範囲までを輪郭とするかの判断が Photoshop 任せで
手動では調節出来ず、さらにぼかす量の設定も調整出来ないので、思うように適用されない場合の方が多いのです。

どこを輪郭の範囲を変更したいなら選択範囲を作れば良いですし、ぼかす量は [ ぼかし ] フィルタならば
0.1 ピクセル単位で指定することができますから、手動で選択範囲を作って行けばこの問題は解決できそうです。



輪郭を探して選択範囲としよう ( ベースを作る )
前置きが長くなりましたが、画像に手を入れて行くことにしましょう。
選択範囲を作るには様々な方法がありますが、ここでは画像そのものをベースとして加工することで
輪郭とそれ以外の部分をモノクロの画像として作り、最後にその画像を選択範囲として読み出す方法を取ることにします。

レイヤーをコピー
画像そのものを選択範囲を作るためのベースにしますので、
まずは画像を別のレイヤーになるようにコピーします。
レイヤーパレットにある [ 背景 ] レイヤーを、レイヤーパレットのレイヤーをコピーへドロップします。

ドロップしてコピーが作られたら、混乱しないように名前を付けておきます。
[ 背景のコピー ] をWクリックしてオプションを呼び出し、[ 輪郭 ] と名前を変更しておきましょう。

今回は画像そのものをベースにしましたが、チャンネルの中でコントラストが高いチャンネルを
コピーして新規レイヤーにした物をベースにしても良いかもしれません。
今回のようにモノクロ画像ではチャンネルがグレーのみ、もしくは RGB 全て同じですし、
Photoshop LE ではチャンネルが使えませんので画像そのものをベースにするしかありません。


輪郭を探して選択範囲としよう ( 輪郭検出 )
輪郭レイヤーに輪郭検出フィルタを適用します。[ フィルタ ] - [ 表現手法 ] - [ 輪郭検出 ] です。
輪郭検出フィルタは画像内でエッジのはっきりした部分を識別し、白い背景に対して暗いラインでエッジを描画されます。
輪郭検出直後 輪郭検出フィルタ適用直後はこんな感じ。
「これが輪郭?」と言いたくなるような部分もペイントされています。
適用前にはさほど気にならなかった JPG の圧縮ノイズがくっきりと見えてます。
カラーの画像ですと、この時点ではモノクロになってない部分があるので
扱いやすい様に [ イメージ ] - [ 色調補正 ] - [ 彩度を下げる ] を実行します。

これをそのまま使えませんので、不要な部分を白で飛ばす様に補正します。
これはイラストを描こう ( 実践編 ) で使った主線の修正と同じですが、
全く同じ方法では面白くないので別の方法で修正します。
不要部分を大雑把に飛ばす では不要な部分を飛ばしていきましょう。
まずは [ フィルタ ] - [ 表現手法 ] - [ 明るさ・コントラスト ] を使い、
コントラスト、明るさを持ち上げて、不要な部分を大雑把に飛ばします。
ここではコントラストを +70 , 明るさは +40 にしました。
あまり細部が消えてしまわない様にしてください。

消しきれなかった部分はブラシツールか鉛筆ツールを使い、手作業で消していきます。
・・・簡単に言うけど、ここが一番大変なところです(^^;
タブレットがあるとマウスより楽に作業できますね。


輪郭を探して選択範囲としよう ( 輪郭の仕上げ )
輪郭レイヤーのチェックをします。輪郭検出の時にコントラストが高すぎると滑らかなエッジになりません。
この画像の白い部分がぼかしの対象になります。このエッジが鋭いと、ぼかした部分とぼかされない部分の境界が
くっきりしてしまい、違和感が出てしまいます。
こういう線は違和感が出ます
手作業で修正するときにブラシツールを使っていれば
左のようなかっちりした線にはならないはずですが、
不要な線を飛ばすときにコントラストを強めにして、
手作業での修正に鉛筆ツールを使うと
こういう線になります。

そう言う場合はコピーした輪郭レイヤーに軽くぼかしを
掛ければ左側の画像の様な線にすることが出来ます。
違和感が少ない滑らかな線

ただし、ぼかし量が不適当だとまた手作業での修正をしなくてはならなくなります。
そのための保険として、ぼかす前に [ 輪郭 ] レイヤーをコピーして [ 輪郭のコピー ] レイヤーを作っておきましょう。
そして、[ 輪郭のコピー ] レイヤーは非表示にして保存しておきましょう。
輪郭レイヤーが保存されていれば何時でもこの行程からやり直しが出来ますからね。


輪郭を探して選択範囲としよう ( 範囲として読み込む )
完成した輪郭画像 と、言うわけで輪郭レイヤーを修正していきましたが、
目は顔のパーツの中でも最も重要な部分ですので、必要で有れば
手作業で修正する方がベターです。
そのために敢えて完全な黒で塗りつぶしました。
この画像は小さく、髪の毛と口元はぼかすと質感が消えてしまい易いですから、
これも出来ればあまりぼかしたくない部分ですので、選択範囲から外すために
かなり黒めのグレーで塗りつぶしました。
( 左の画像ではちょっとわかりにくいのですが・・・ )

これで一応 [ 輪郭 ] レイヤーの完成です。

次にこの画像の白い部分を選択範囲になるように変換していきます。

まずは輪郭の線がよく見えるようにナビゲーターで画像を拡大表示させます。
Dキーを押して、描画色 / 背景色 を初期設定に戻し、Xキーで描画色を白にしたら
[ 選択範囲 ] - [ 色域指定 ] からダイアログを呼び出します。
[ 選択範囲のプレビュー ] は [ クイックマスク ] に設定します。
この時、選択範囲の基準となる色が変わってしまいますのでプレビュー画面はクリックしないように注意してください。

許容量を 0 にすると、消したように見えても残っていた消し忘れ部分がよく見えてきます。
少しずつ許容量を上げて行き、適当なところで決定します。
これで選択範囲を表す破線が表示され、 [ 輪郭 ] レイヤーの画像が選択範囲に変換されました。


ぼかしを適用する
背景レイヤーを範囲選択中 範囲を選択したままで、作業するレイヤーを [ 背景 ] のレイヤーに移します。
次に画像をぼかしていくのですが、選択範囲を表す破線がちょっと邪魔です。
[ CTRL ] + [ H ] キーで非表示にしてしまいましょう。
破線は見えなくなりますが、選択範囲は解除されている訳ではありません。

[ フィルタ ] - [ ぼかし ] - [ ぼかし ( ガウス ) ] でぼかしを掛けます。

ぼかしを適用する半径は滑らかに見える量の数分の一程度の、ごく僅かに留めます。
当然、僅かしか適用していないので、殆ど綺麗にはなりませんが、1回でぼかそうとするとボケ足が長すぎて
選択範囲外とのエッジ部分に違和感が出てしまうのです。

この様な時は、ぼかしの半径をごく僅かに抑えて、何度か重ねて掛けます。( ショートカット [ CTRL ] + [ F ] )
こうすると同じようにぼかしが掛かってもボケ足が狭い範囲で納まるので違和感無く仕上げることが出来ます。
ぼかしの半径は 0.4 pixels のぼかしを6回重ねて適用してあります。

ぼかし半径を小さく設定してあってもこの時点でエッジ部分に違和感が出るのは仕方がないことですが、
あまりに違和感が酷いのは [ 輪郭 ] レイヤーがうまく作れていない場合が多いでしょう。
画像の輪郭がボケてしまうのは [ 輪郭 ] レイヤーの線が細いのが原因、
輪郭周辺が粗いのは線が太い、もしくは線のボケ足が短いのが原因でしょう。
何が原因なのかを考えて [ 輪郭 ] レイヤーにもう少し手を入れてみましょう。


仕上げ

オリジナル / 完成品
最後に細かい部分の粗をスタンプツールやぼかしツール
などを使って手作業で修正して仕上げになります。
カラー画像の場合、肌の色が沈んで見える場合も
ありますので、その場合は肌の部分だけを範囲選択して
明るさなどの補正が必要になるかもしれません。

最後に全体の調子を整えたいと思います。
補正することでの画像の劣化を少しでも防ぐ為に、
一端コピーして新規画像として、画像を統合、
[ イメージ ] - [ モード ] - [ 16bit / チャンネル ] で
16bit モードにしてから色調補正をします。

[ イメージ ] - [ 色調補正 ] - [ レベル補正 ] で
入力レベルを 35 ,1.15 , 245 に設定して
黒にしまりを出し、中間域をやや明るめにしてみました。
8bit / チャンネル に戻して完成です。

どのくらい変わったかが分かり易いように
画面の右半分に修正した物を、
左半分はオリジナルのままにしてみました。
輪郭は殆どぼかさずに粒状感だけを大幅に消せたと思います。



戻る
戻る