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業界の浮雲児こと鈴木慶
鈴木慶おおいに語る・・・

最大手のソフマップ。パソコンの売れ行き不振という業界事情もあって、昨年は噂に端を発した経営危機鋭に振り回された。10月に丸紅からの出資が決まり、12月に19%の出資を受けたことで、事態はようやく収拾へと向かった。経営危機鋭の真相と、丸紅を後ろ盾とした事後の経営について、鈴木慶社長に聞いた。

経営危機説が流れた経緯を教えて下さい
 96年夏頃から「ソフマップが危ない」と悪質な噂が流れ始めました。この時点では噂に何の根拠もなく、財務的にも健全でした。「噂なんて時間がたてばすぐに消える」と思い、放っておきました。年末にかけて噂はどんどん増幅していきましたが、取引銀行も「噂なんて相手にしない方がいい」と言ってくれていました。
 96年末になつて状況は一段と悪化しました。仕入れ数量を誤り、在庫が増えてしまつたからです。在庫増といっても普段通りなら何の問題もない量でした。でも時期が悪すぎました。一部の金融機関はこの状況を見て、
「噂はやはり本当だつたのか」
「火のないところに焼は立たない」
と疑うようになりました 「融資について再審査させてくれ」という申し出が相次ぎ、以前よりも融資が実行されるまで時間がかかるようになりました。その影響で昨年の初め頃、資金ショートに陥りそうなきわどい局面があったことは事実です。取引先の一部も「取引条件を見直したい」と追ってきました。

−悪い事が重なりました さらに、二月中旬のある日、会社に行くと、「和議を申請するって本当ですか」という電話が何本もかかってきました。「2月]日にソフマップが和議申請をする」という噂が、業界内でまことしやかに流れていたそうです。
 メーンバンクなどの協力を得て、この時は何とか乗り切りましたが、噂に端を発した経営危機が現実に追ってきたのですから、悪夢と言うほかありません。早急に手を打つ必要がありました。
 そこで4月に「ソフマップ設立15周年パーティー」を開き、出席した金融機関や主要取引先の幹部の方々に、「ソフマップを全力でバックアップする」との口添えをして頂きました。

−さらに、外部資本を導入しましたね
 そうです。最初は光通信の重田康光社長から話がありました。残念ながら、この話はある事情で潰れてしまいました。それによって、経営危機説が一層ひどくなる危険性があったので、ほぼ同時期にオファーがあった丸紅さんの出資話に、渡りに舟とばかりに飛びついたわけです。
 この出資話がマスコミで報じられると同時に、経営不安の噂はウソのように消え去りました。「これが大企業の暖簾の力なのか」と思い知った次第です。

−噂が出た原因はどこにあると思いますか
 どうしてこんな噂が出るのか、必死に考えました。そして、次の結論にたどり着いたのです。売上高1000億円にふさわしい経営ができていなかった…。
 当社の真骨項はスピード経営にあります。商品の仕入れについても、条件のいいところがあれば、次々と乗り換えていく。売上高が100億円の時は、それで何の問題もありませんでした。
 しかし、売上高が1000億円になると、問屋さん一社当たりの取引高も10億円以上に跳ね上がる。そこで急に取引をやめれば、その問屋さんにとっては死活問題です。そうした配慮があまりになさすぎた。
 当社に対する取引先の不満は、こんなところから大きくなったのではないか、と反省しています。今後は、取引先と「共存共栄」できる経営を目指します。

−再建に向けて、丸紅グループの力をどう活用していきますか
 丸紅グループには、コンピューターウェーブや関東電子など、パソコン関連の有力会社があり、その一部とは以前から取引しています。このほかにも約600の関連会社があるので、一緒に新しいビジネスはできないか、と検討しているところです。

−店舗戦略に何か変要点は?
 去年は防戦一方で、前向きな手を一つも打てませんでした。いわば仮死状態だったわけです。今年は攻めに転じたいと思います。そのための店舗戦略を一言で表現すると、「おたくが集まる店への回帰」です。 初心者層をターゲットに、大型店で全国展開を目指した結果、スーパーのパソコン売り場のように、店側のこだわりが感じられないつくりになってしまった。そこで新規出店は抑制し、既存店の大胆なリニューアルにカを注ぐつもりです。「この商品はソフマップにしか売っていない」という専門性が高い店にしていきたい。

出典:日経BP,日経ベンチャー98/02号

天下のソフマップに突入する