12 janvier 2001

1月6日:ガレット・デ・ロワ
Galette des rois:王様達のガレット

クリスマスから上がりっぱなしだったお祭り気分のテンションが抜ける年明け後数日目、お菓子屋さんの店頭にズラリと並ぶのが“ガレット・デ・ロワ”、和訳すると「王様達(複数)のガレット」
照りがあって美しい黄金色に輝いています

近年は日本のハッピーマンデー同様、この伝統行事を1月の第一週目の日曜日に移して祝う場合もありますが、本来のお祝いの日は1月6日、フランス全土に、ガレットを食べる習慣があります

ここで言うガレットはお菓子の一種、地方色豊かで、大きく分けると、フランジパン(frangipane)と呼ばれるアーモンド・クリームを挟み込んだ平たいパイ生地のもの、バターもしくはオリーヴオイルを練り込んだ卵たっぷりのブリオッシュ生地で王冠を象ったドーナッツ型の2種類あります

この日を祝う習慣自体はナポレオン時代から、由来はキリストの誕生にまで遡ります
その由来とは・・・

「エピファニ:Epiphanie」和訳はイエスの公現でしょうか、キリストの誕生を知った「Les trois Rois Mages:レ・トロワ・ロワ・マージュ」と呼ばれる3博士:ギャスパール、メルキオール、バルタザール(Gaspard, Melchior, Balthazar)が、星を追いながらベツレヘムへ、神の申し子の誕生を祝いに駆けつけたのが1月6日
デ・ロワ(王達)というのはこの3名を示すとされています

しかし極々少数派意見ながら、古代ギリシャ・ローマの冬至前の収穫祭に由来するという説もあるそうです
季節がズレていると思われるでしょうけれど、これは旧暦と現在のカレンダー及び気候の違いなのでしょう

2種類の違いはあれどいずれのお菓子にも共通するのは中に「フェーヴ:feve 」と呼ばれる陶器製の小さなお人形を1コ、中に忍ばせる事
右がそのフェーヴの一つです
フェーヴとは本来空豆の事で、かつては乾燥豆を使っていました
市販のものには大抵紙製の王冠が添えられていて、切り分けたガレットの中のフェーヴに当たった人が王冠をかぶり、その食卓の王になれるというお楽しみ付きです
キリスト、マリア、三博士、羊など宗教的な物をモチーフにします

家族で祝う際には、子供達の中の末っ子をテーブルの下にもぐり込ませ、その間にガレットを切り分けます
隠れていた末っ子に、どのパートを誰にあてがうかを決めてもらい、各々その美味しさを味わいつつフェーブの出現を楽しみつつ、もしくは恐れつつ美味しく頂きます

恐れつつ と言うのはやや極端ですが・・・
実は、王様になれる反面、フェーブを見事に当てた人は次なるガレットを皆に振る舞わなければならないからです
家族ならば2〜3度食べれば気がおさまるのでしょう、しかし、職場に持ち込んだ日には延々1ヶ月、店頭からガレットがすっかり姿を消すまで次々と食べ続ける事もあるのだとか
加えて大人達の間では、新しいガレットと共にシャンパーニュ1本も添えて振る舞うといういわれもあり、ちょっとばかり闇鍋的スリルも伴います


トゥール辺りはパイ生地にアーモンドクリームを挟んだものが主流で、パイ生地・クリームそれぞれの美味しさのみが競われる点で全て似通ったスタイルですが、先に触れたように南仏ではブリオッシュ生地製が伝統的なガレットとされています
このブリオッシュ生地のものは王冠と称して輪の形に作り、上にフルーツの砂糖漬けを飾るのがプロヴァンスが誇る伝統のスタイル
しかし今日では、生地の中にフルーツや、時にはチョコレートまで盛り込んで味わいの良さへ走る傾向にあるようです

何故ガレットを食べるのか、その理由の一説にはこんなものがあります
「エピファニを祝う習慣はキリスト教のものだが、太陽をあがむ新興宗教にこの時期、ガレットのようなお菓子を食べる習慣があり、それが派生して定着した」
更なる理由付けとして、「日照時間の短い冬のこの時期、黄金の焼き色美しいガレットは太陽の様で、ピッタリだったのだろう」


更に最近知ったのは、スペインにも同様の風習があるとのこと
南仏同様プレーンなブリオッシュ生地を王冠型にし、上に飾るのはドライフルーツというのが昔ながらのスタイルで、チョコラテと言われるこってりしたココアと共に食します
大きな違いは、中に仕込むフェーヴが沢山ある事
フランスの一部でも、王、王妃、小姓の3種類のフェーヴを隠し込む所があるそうですが、陶器製のフェーヴの他に1個だけ昔ながらの空豆を隠し、それに当たった人が次のガレットを皆にご馳走するのだそうです



<補足>
ガレットとは? 「ガレット」と名が付くものには様々な種類があります
ここで言うガレットとは、平たく丸いお菓子の事
他にも、ブルターニュ地方料理のそば粉のクレープや、じゃが芋をはじめお野菜や時にお肉、魚等を潰したり刻んだりしてハンバーグ状にして焼いたり揚げたものも同様に呼ばれる事もあります
フェーヴ この小さな小さな陶器製の人形は、現在コレクターが沢山居ます
昔ながらの宗教的なモティーフに加え、その年々人気のキャラクターを象ったものも登場し、これを目当てにガレットを購入する人、もしくはコレクターを惹き付けるために珍しいフェーヴを隠し込むお菓子屋さんも居ます

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