97/9/9 曇りのち濃霧
「夢の続き」

開陽台
「開陽台展望台にて」
「地球が丸くみえる」というふれこみで、
全国からライダー達が集まる巡礼の土地なのだ。
満天の星空の下、サイトー隊員との劇的な再会を果たした夜から、
明けた朝は一転して、強風吹き荒れる曇天だった・・・。

ここで旅の資金が尽きた私は帰郷を決意。
明日、釧路発のフェリーに予約の電話を入れた。
サイトー隊員は資金は苦しいものの、もう少しブラブラして、
帰る予定なので、釧路まで見送りしてくれるとの事。
ありがたくその申し出を受けたのです。


「ト・キ・オ〜〜〜〜♪」
なぜイキナリ唄いだすのかって?
実はテントの撤収をする為に、ペグ(テントを押さえる釘)を
抜いた瞬間に強風が吹き荒れた。
風のあおりをくらった私のテントは、ものすごい力で引っ張る。
(例えるなら、ヨットの旗と言うべきか、
 思いっきり落下中のパラシュート状態
 と言うべきか・・・・・・笑)
ちょっとでも力を抜けば、たちまちテントは山の向こうに
ぴうううっ!と、飛んでいってしまいそうになる。
テントを上げるも下ろす事もできずに、そのままの姿勢で
格闘する事に・・・・(涙)

あっ!こら!サイトー!!!!!
ちょっとはこっち向いて、手ぇ貸せ〜!!!!
北19号線の直線道路
「北十九号線の直線道路」
開陽台からスグのここは、
あちこちのバイク雑誌に載っていて、
この地域を訪れるライダーはみな、
必ずここに引き寄せられるのだ。
どの位そのままの状態だったのだろう?
この状態って、昔流行った「ジュリーのTOKIO」状態?
などと意味不明の考えが、脳裏を横切ると妙に独りウケ。
風で暴れるテントを持ちながら、

「あははははははははははははははははっ!」

と笑い狂ってしまった・・・・・。
(傍から見ると、かなり「怪しい」人に見えただろうなぁ。)
結局、数分間そのままな状態だったので、
廻りの人が見るに見かねて手を貸してくれて一件落着した。
(ちったぁ!手ぇ貸せ!サイトー!!!

開陽台は山の頂上付近に位置するので、
天候が移り行きやすい。
ここでビバークしようと考えている人。
その事をよく考えてから、テントを張った方がいいですぞ(笑)
記念写真(笑)
地平線の彼方まで続くこの道は、北海道に憧れるライダー垂涎の道。
何度この景色の中を走ってみたいと思ったことやら・・・。
こうしてこの喜びを噛み締められるのも、
サイトー隊員のおかげなんだよなぁ♪
気を取り直して、釧路に向けて出発〜!
すぐに「シンガリ」を務めるサイトー隊員の姿がミラーの中で、
みるみるうちに小さくなって行く・・・???
「どうしたの?」
路肩に停車して話してみた。
実はサイトー隊員のエストレヤは欠陥車のようで、
よくは分からないけど、4ストのくせにオイルを排気ガスの中に散らせちゃう為、
40km以上は出したくないのだそうだ。

「えっ?廻りが100km以上で飛ばしてる中を
 その半分以下で走らなきゃいけないのかい?」

力なく彼は頷いたのです・・・おいおい(涙)


しかたなく弟子屈のバイク屋にて、エストレヤのドレン(エンジンオイル)
を開けてみると、距離の割には真っ黒で、
少量のオイルが出てきた。
どうやら排気ガスの中にオイルを散らせてしまう為、
そのまま走りつづけるなら、オイルを継ぎ足ししながら走るといいよ。
とのバイク屋の回答。
なので、サイトー隊員はこれから1Lのオイル缶を背負う事になった。
(カモネギならしも、ライダーがオイル缶背負うなんて・・・ぶぶぶっ♪)


まぁ、今日中に釧路まで辿り着ければ良いのだ、あせる必要なんかなんかないさ!
と自分に言い聞かせつつ、地獄の40km走行を続け、
トラックの運ちゃんの「あおり」を受けながら
(「受ける」のはシンガリのサイトー隊員なので、
 先頭の私は実は気が楽だったりする←悪魔)
R391をゆっくり南下していった。

標茶を過ぎると、全国の湿原面積の内1/6も占める「釧路湿原」がど〜〜〜〜んと見える予定
・・・・・なのですが、同時に霧も立ち込めだしてきた・・・(笑)
みるみるうちにその霧は、辺りを覆い尽くして視界も5m以下に落ちてきた。
まさしく五里霧中とはこの事だよなぁ・・・・。
釧路は霧の街としても有名で、一年間のうち130日前後は霧に包まれてしまうのです。

こんな何も見えない状況ではしょうがない・・・と釧路の民宿「銀鱗荘」にたまらず転がり込んだ(1泊¥1000)
ここは老夫婦が民宿を営んでいて、旅人や出稼ぎをしてる人が連泊をしているのだ。
民宿の「お母さん」を始め、泊まってる人にちゃっかり「ただ酒」を頂戴しながら、
ゆっくり語る、霧の釧路の夜は更けていった・・・。


いよいよ明日は「北海道」を去る日なのだ・・・。
複雑な思いがまた、脳裏をかすめてあまり寝付けなかったのを、よく覚えている。


9/9 釧路 民宿「銀鱗荘」泊