-97.09.01 どしゃ降りの雨
「痛輪具?」

入道崎
「OUTRIDER」96年8月号の巻頭特集と同じ入道崎にやってきた。
「ばらばらばらばらばら・・・・・。」
テントの屋根を叩く音で目が覚めた。
昨日の願いむなしく、どうやら外は雨模様らしい。
私は雨の中のライディングが嫌いなので、
ふて寝を決め込み、雨が止んだら出発しようと、
再び床についた。

・・・・・ばらばらばらばら・・・・・。

寝ようと思うのだが、この音が気になって寝付けない。
仕方ないので、
テントの中で荷物のパッキングを済ませて、
メットを被り、雨合羽姿でテントの中から
這い出る私でした・・・(笑)

昨日の夜に男鹿半島に着いたので、観光すらまだしていない・・・。
だから、この半島の先端「入道崎」を目指した。
ここは雑誌「OUTRIDER」96年8月号の巻頭特集にて、斎藤純氏が訪れている。
氏が夕焼けに染まる入道崎を眺める写真に、ツーリングの醍醐味が凝縮されてるような気がして、
訪ねてみたい場所のひとつだったのだ。

なまはげ
男鹿半島は「なまはげ」の故郷なのです。
しかし、雑誌のように澄み切った空ではなく「雨模様」
雑誌の中では
「入道崎、眼前にに広がるのは、ただ水平線のみ」
と書かれているが・・・(涙)

その姿に呆然と立ち尽くしていると、
近くにいたみやげ物屋のおばちゃんに話し掛けられた。

「昨日みたいに晴れていればいい所なんだけれどもね」

・・・くぅ〜!昨日のトラブルさえなければ・・・。
「いや、でも一度はどうしても来てみたかった
 ところですから、いい所には変わりないですよ」
と、精一杯の強がりが心と裏腹に出てきた(笑)



八郎潟
前後左右全てにおいて水田が広がる
「八郎潟」にて
寒風山を過ぎて八郎潟にたどり着いた。
確か小学生の時の社会の授業で、ここの事を
「日本で2番目に大きな湖を埋め立てて水田を作った」
位の事を覚えている。

モニュメント
八郎潟の中心にあるモニュメント
北緯40度と東経140度の交会地点。
同緯度の世界の都市の名前が看板に記されていて
北京と同じ北緯に位置していることに気付く。
こんなに「北」まで来たんだなぁ・・・。
実際に目の当たりにする、この光景は想像を遙に
上回る大きさだった・・・。
頭の中では2番目に大きいと分かっていても、
想像と現実は、こんなにも違う。
果てしない程、遠くまで続く水田の姿を見入ると、
ふと思った。

こんなに大きな水田を作っておきながら、
政府の減反政策によって、無駄が露呈された事を。

目の前に広がる、とてつもなく大きな無駄遣いに、
ただただ呆然と眺めつづける私だった・・・。



雨は一際厳しく降ってくる。
R7は能代より東にスイッチ、そして「忠犬ハチ公」のふるさと大館を過ぎて「十和田大館樹海ライン」へ。
山を登るにつれて、降りしきる雨はどんどん体温を奪っていく。
そして標高を上げていくごとに廻りは霧が立ち込めていて、視界も奪われていった。

視界2mすらおぼつかなくなってくると、
自分が下っているのか、右に曲がっているのか、それとも左なのか・・・全ての感覚が麻痺してくる。
なにもかもわからなくなってきて、「ひょっとしてこれは夢の中なのか???」
とまで思えてくるのだ。
かろうじて見えるセンターラインのオレンジ色だけを頼りに、時速20kmの走行は続いていった。
ついでに自分のバイクの音以外になにも聞こえなくなってくると、いよいよ自分との戦いになる。

「なんでこんな辛い思いまでして、いったいどこに向かうの?」
「どっかの宿に飛び込んで、残りの金を裕福にゴージャスに全て使い切っちゃう?」
「このままUターンしてそのまま帰っちゃう?」

帰る事まで思いつめた頃、いきなり視界が広がりだして、目の前に十和田湖が姿を現した。
霧に囲まれた十和田湖はなんとも形容しがたい程、神秘的に見えた。
今まで思いつめていた事がウソのように晴れ渡って行き、ツーリングってこういう瞬間がいいよな。
とまで思う私って・・・相当単純に思える(笑)

奥入瀬渓谷
「奥入瀬渓谷」
まるで「もののけ姫」の森の木霊が
そこの岩の上にでも歩き出しそう・・・。


そして「十和田おいらせライン」を下る頃、ようやく太陽が顔を覗かせた。
この道は緑がとても濃く、光を浴びるとその色はいっそう緑を濃くし、輝いた・・・。

十和田湖から流れ出る「奥入瀬川」その緩やかな流れに沿ってこの道は流れていく・・・。
川の流れに沿って走るのは非常にここちいい。

その色鮮やかな小道をゆっくりじっくり走るつもりが、感極まって、つい、アクセルを捻りがちに・・・。

「あ”ら?」
気がつくとジャ○コ七戸店に辿り着いてしまった(汗)
ここでは友人の「榎戸」が新入社員として、この年の春から頑張っている。
今晩の宿のオーナーです(笑)


「ルンペンがやってきたのかと思ったよ!」
半年振りに再会したというのにつれない言葉だな、と思ったが鏡に映る自分の姿を見て、納得。
手はグラブの染料が雨で濡れて染み付き、真っ黒け・・・。
湿気を帯びてぺったんこの髪の毛・・・。
雨水が浸透してビチョ濡れの衣服・・・・・・・・。
まぁ、どしゃ降りの雨の中、山中を250kmあまり走り抜いてきたのだ、無理も無い。
「ナハハハハハ・・・・。」
力無く笑ってごまかす私だったのだ。

9・1 十和田市 榎戸邸 泊