-97.08.29 晴れ
「旅立ち」


am9時55分、いよいよ北海道に向けて走り出瞬間がやってきた。
昨日は気持ちが高揚してしまって寝付けず、やや寝不足だが、
走り出してしまえばそんな事は関係ない。
磁石の針が北に振れるように、私も北へ向かえばよいのだ。
天気は上々、エンジンもすこぶる機嫌がいい。
「こりゃいくしかない!!!」

甲子峠R289甲子峠にて


都会の喧騒から逃げるようにたんたんと北上を続ける。
宇都宮を過ぎる頃から山々が広がりだし、ようやくスロットルを捻る力を緩めた。
今日は山形東根温泉に住む、先輩の家まで行く予定だが、どうやって行こう?
と広げた地図には、南会津のところに「塔のへつり」という興味をそそる地名が翻っていた。
「へつり」って何だ???
私の中の好奇心の虫がうずうずと騒ぎ出す。
ならば行くべきとそちらの方向にむかって、バイクを走らせだすも・・・この時R289は開通されておらず。
↑の記念写真を撮って折り返すハメになった・・・(涙)
ふみ〜ん遠回りだよぉ、おまけに塔のへつり見たかったよぉ、と折り返しの道を延々つぶやいていたのです。

喜多方ラーメン喜多方ラーメン(大盛り) ¥500


pm5時20分 喜多方着。
何も考えないで、走る喜びに浸るのもこれが限界らしい。
昼飯も取らずに走りつづけていたら、もう夕暮れ時になってしまった。
喜多方はいわずと知れた「喜多方ラーメン」の産地。
外食ばっかりしてたら、手持ちの10万円なんぞすぐに無くなってしまう・・・が、
ここまで走ってきた自分への御褒美として一挙、奮発することにした。

いろいろ悩んだ挙句にのれんをくぐった、この店。
決め手は・・・他の店よりも100円安かったからである(笑)
喜多方ラーメン 大盛り ¥500


お店を出る頃にはすっかり日も暮れ、夕焼けが磐梯山を赤く染め上げている。
「急がなくては!」
バンディットのスロットルを捻るも、闇夜のワインディングは視界が利かないので、非常に神経が疲れる。
おまけに山形県へと突入すれば、この地域独特の現象「フェーン現象」による蒸し暑さが体力を奪い去る。
とにかく飛ばさなきゃ、息苦しくってやってられない。走るも地獄、止まるも地獄・・・だ。

pm8時47分 先輩(仁さん)の住んでいる東根温泉に着いた。
千葉ナンバーのバイクでやってきたことを仁さんはとても喜んでくれた。
私は私でたった一日で山形まで下道で走りぬいたという事実に酔いしれ、ビールの苦い味とともに、
すぐに記憶が遠のいていったのである。
8.29 仁さん家 泊



-97.08.30 晴れ
「あの感動もう一度」

金華山「金華山前にて」
鹿で有名なこのこの島へはフェリーで渡る事ができるのです


今日は仁さんの仕事がお休みなので、私をどこかに連れていってくれるとの事。
仁さんと一緒に遊ぶのも、これから先、そうそうにはないだろうから、
喜んで申し出を受け入れる。
「んで、どこに行こうか?」の質問に私は迷う事なく
「コバルトラインに行きませんか?」と言った。

去年、東北をツーリングした際、最後に訪れたここは、仙台の東およそ50kmに位置し、
牡鹿半島の峰沿いに気持ちのいいワインディングが約11km続く道だ。
その時、夕暮れ時にここにたどり着き、東の紫色に染まった海を見たかと思うと、
すぐに道は西側へと向かい、反対側の海に溶け入りそうな眩しさを失った太陽を眺める。
そして、道の終焉にある「御番所公園」にテントを張ると、どこからともなく
ライダーが集結し始め、とめどないまでの宴会がここで繰り広げられたのが、
去年の事なのにとても懐かしい。

御番所公園入り口御番所公園 入り口にて
遠くに浮かんでいる島々が奥松島にあたる。


宮城県女川町こちらは遠くに見える町が宮城県女川町。
名前の持つイメージに2人してどきどきしたのは
言うまでにもあらず・・・(笑)


明日へと続く道
待望の夕闇が迫った。
2人して息を思わず潜めた。
一日の輝きを失った太陽が、ゆっくりと海の中へと消えていく。

去年ここで見て、言葉を失った、あの太陽と同じだった。
ここで終わったはずの旅が、実はまだ続いている事に、
改めて気付いた。
旅に終わりなんかない。
ずっと続いているものなんだ・・・。

コバルトライン

そして私は今、去年、バンディットと共に誇らしげに撮った写真の場所に
再び立っている。

心の中から「もう一度!」と願っていたあの風景に酔いしれた。

これから先の旅に、どんな出会いがあるのだろうかと、
家を飛び出した瞬間よりも大きく、胸が高鳴るのを感じた。

そう、旅はまだ、始まったばかりなのである・・・。

8.30 仁さん家 連泊