一、 緒言

 上海共同租界工部局はここに一九三九年十二月三十一日を以って終わる年度に関する公務報告書並びに同年度の収支一覧表、及び一九四〇年度収支予算を納税人の査閲に供する。

 本年度における参事会員はC・S・フランクリン(議長)、E・B・マックナフトン(服議長)、A・C・コーニッシュ、W・ゴックソン=郭順、奚玉書、W・J・ケスウィック、E・Y・B=江一平、R・G・マクドナルド、F・N・マシューズ、G・E・ミッチェル、岡本乙一、杉坂富之助、袁履英、虞哈卿の諸氏であった。

 年次選挙の立候補者は僅か九名に過ぎなかった。従って左記の九名の納税人が一九三九年度外国人参事会員として直ちにその当選を認められた。
 A・C・コーニッシュ、G・A・ハーリー、W・J・ケスウィック、R・G・マクドナルド、G・E・ミッチェル、岡本乙一、T・S・ボーウェル及び杉坂富之助。

 三月に行われた華人納税人代表大会において、下記の者が華人参事会員として再選された。虞哈卿、袁履英、江一平、W・ゴックソン=郭順及び奚玉書。

 新参事会員は四月二十日に就任し、C・S・フランクリンが議長、W・J・ケスウィックが副議長に選ばれた。

 年度中、A・C・コーニッシュ氏及び杉坂富之助氏が離滬の為、参事会員を辞任した。その後任としてJ・W・カーネイ及び塙雄太郎の両氏が参事会員の互選の結果選ばれた。十二月、カーネイ氏が参事会員を辞したが、その為の空席は年度末まで補充されなかった。年度末に至ってミッチェル氏が病気の為辞任し、J・H・リッデル氏が後任として互選された。

 一九三九年末、工部局各顧問委員会の構成は次の通りである。各委員会共最初に掲げたのが委員長である。

財務委員会(Finance Committee)
 C・S・フランクリン、陳済成、田誠、塙雄太郎、奚玉書、W・J・ケスウィック、V・J・キラリー、J・H・リッデル、李銘、T・S・ボーウェル。

警備委員会(Watch Committee)
 W・J・ケスウィック、塙雄太郎、F・ヘンケ、許暁初、江一平、李文杰、J・H・リッデル、R・G・マクドナルド、岡本乙一、虞哈卿。

工務委員会(Works Committee)
 岡本乙一、張徳欽、W・ゴックソン=郭順、G・A・ハーリー、奚玉書、墨田慶太郎、李文杰、G・E・マーデン、T・S・ボーウェル。

銓叙委員会(Staff Committee)
 T・S・ボーウェル、郭順、G・A・ハーリー、奚玉書、W・J・ケスウィック、江一平、J・H・リッデル、岡本乙一、袁履英。

衛生委員会(Health Committee)
G・A・ハーリー、E・G・ガントレット、原口富一、F・J・フックハム、許冠群、劉世芳、W・S・パーソンズ、施思明、脇本。

公用委員会(Public Utilities Committee)
 R・G・マクドナルド、G・A・ハーリー、W・J・ケスウィック、江一平、J・H・リッデル、劉世芳、堤孝、趙伝鼎、徐英豪。

音楽委員会(Orchestra & Band Committee)
 R・G・マクドナルド、シャルル・グロボア、A・ハルマン、E・F・ハリス、李惟寧、L・デ・ルカ、宮崎儀平、J・S・ボッター。

図書館委員会(Library Committee)
 奚玉書、銭慰宗、C・S・フランクリン夫人、P・C・マシューズ、T・R・スカンロン、A・W・シェリッフ夫人、周越然、E・S・ウィルキンソン。

学務委員会(Education Board)
 袁履英、ランスロット・ジャイルズ夫人、ヴィクター・ハンソン、W・J・ホーキングズ、奚玉書、林康候、墨田慶太郎、R・G・マクドナルド、孫暁楼博士。

房租估価委員会(課税委員会=Rate Assessment Committee)
 H・ベアレンツ、L・J・ファームブロウ、李伯函、水田進、A・P・ネイザー、袁履英。

電影検査委員会(映画検閲委員会=Board of Film Censors)
 周邦俊、W・J・ホーキングズ、C・T・ハッチソン夫人、?星五、李祖?、L・デ・ルカ、三好竜子夫人、T・ロバートソン、J・セレット、E・H・テイエル。

ヴィクトリア看護婦宿舎管理委員会(工部局代表委員)
 G・A・ハーリー、R・G・マクドナルド、ランスロット・ジャイルズ夫人。

神経病医院董事会工部局代表委員
 P・W・マッセイ、J・マックネイル。

地産委員会の委員は左の諸氏である。
 H・ベアレンツ、R・D・K・シルビー、励樹雄、E・クローン、金宗城、E・A・ロング(秘書)。

 H・ベアレンツ氏は工部局により任命されたものである。又、R・D・K・シルビー氏は共同租界内の登記土地所有者に依り推挙され、E・クローン氏は納税人大会により、又、励樹雄氏は上海華人地産業主公会により各々指名された。年度内において本委員会への諮問事項は皆無であった。

二、委員会業務

 本年度における工部局各委員会の主要業務は次の如きものであった。尚、かかる業務の大部分は、総務局報道部(Publicity Office of the Secretariat)のコミュニケの形式で、当地の新聞紙及び工部局広報に発表された。その中の重要なものは、本年報の「一九三九年の概観」の項及び各処別報告にその大略を再録してある。

財務委員会
 宏恩医院退職基金運用
 各処別予算
 一九三九年度予算
 一九三八年度財政報告
 捐税、課金並びに料金表
 ユダヤ避難民医療設備
 市政捐(工部局課金)免除申請
 年補助金
 労銀率、就業時間及び外支人生計費に関する統計
 養老金基金
 地税収入
 倫敦代理人報酬
 工部局財政状況
 会計検査費
 宏恩医院予算
 工務処―運輸
 市政総捐―家賃総額に公用事業を含む場合の減免
 工務処―岳州路より厦門路への工場移転

警備委員会
 営業用人力車―賃貸料
 人力車夫互助会
 人力車賃貸料委員会報告
 営業用人力車の減少案
 一九三九年度義勇団消防隊及び警察処予算
 義勇団―“C”(白露人)大隊顧問
 浴場及び按摩許可制度の提議
 爆竹使用制限
 許可証発給常年会議
 乞食―収容所設立提議
 乞食の乳児保護
 児童保護股―美国社交会堂(Community Church)からの社会事業奉仕者提供の申出
 蘇州河北部における自家用乗合自動車運転申請
 四川路海軍青年会付近における酒精飲料販売店営業許可
 安全第一運動
 清涼飲料水販売露店
 馬車廃止案
 南京路、浙江路交差点―電車及び乗合自動車停留場
 給水管敷設申請―西蘇州路
 交通状態改善案
 小料理屋許可申請
 舞踏場許可申請

工務委員会
 一九三九年度工務処予算
 蘇州路華人公園における碼頭施設
 一九三九年度道路計画
 公園定期入場券
 各種道路拡張及び延長申請
 規定高度超過建築物申請
 水害

銓叙委員会
 職員棒給及び服務条件の常例審査以外に、左記一般事項を処理した。
 男女教員の銓衡
 既婚婦人教員の地位
 帰省費、為替手当、物価手当―外支人職員
 衛生処外勤苦力賃銀
 警務処―週休日及び年休暇
 警務処―公務執行中の不具及び死亡に対する慰労金及び養老金
 義勇団、白露人隊―給与及び臨時手当
 長期休暇廃止
 華人巡捕及び排長の給与及び警備手当
 退職金基金の為替相場の保護
 警務処外警第一班―日本語賞与
 工務処―外勤苦力賃銀
 警務処―宿舎手当に代わる現金手当
 外国人看護婦の分類、当地の看護婦志望外国人候補者の訓練、華人看護婦の地位

公用委員会
 乗合自動車及び無軌道電車―哩計算運賃
 上海製造電気有限公司(Shanghai Electric Construction Co. Ltd)―電車料金
 英商上海自来水有限公司(Shanghai Waterworks Co. Ltd)―追加料金、料金表換算率及び個人計算器使用料
 大英自来火有限公司(Shanghai Gas Co., Ltd.)―追加料金
 上海電力公司(Shanghai Power Co.)―追加料金
 英商中国公共汽車有限公司(Chaina General Omnibus Co. Ltd)―料金
 上海電話公司(Shanghai Telephone Company)―米国対支貿易令による再設立登記

衛生委員会
 医療設備―上海公済医院への熱病患者収容
 衛生処一九三九年度予算
 独墺ユダヤ避難民医療設備
 私設豚置き場に工部局所有土地を貸与
 年補助金
 衛生処―看護人員
 虹口屋外水泳場の貸与
 日本人居留民の医療設備
 無料歯科治療所設立建議
 薬品材料の非常用貯蔵
 伝染病医療設備
 精神病院設備
 静安寺墓地地上納骨所設立建議
 虹橋地帯におけるマラリア病予防
 救護車によって送る病人を一時的に収容する病院
 結核病患者の収容
 薬種店営業許可制の建議
 工部局施設に対する牛乳配給の標準
 ユダヤ避難民精神病患者の保護

音楽委員会
 一九三九年度予算
 冬季交響楽音楽会
 夏季野外演奏会

図書館委員会
 一九三九年度予算
 図書館査閲
 華文図書借覧の特別料金
 英文新刊書の購入
 華文新刊書の購入
 古本の廃棄

学務委員会
 一九三七年度華人学校に対する補助金現在額
 一九三八年度華人学校に対する補助金現在額
 一九三九年度華人学校に対する補助金現在額
 一九三九年度予算
 授業料
 工部局?丞華童公学―校長人事
 一九三九年度外支人学校補助金
 華人児童の為の遊戯場及び図書室
 華人中学校―入学及び校内奨学金
 教科書不正出版
 華童小学兼夜学校の設立
 一九三八年度ホワイト氏奨学金授与
 
 

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