8月19日 運河トンネル

予約してあったカナルボートを受け取るために、マンチェスターから電車で30分程南にあるアルベチャーチという小さな町に着いた。駅から電話をし、荷物をボートセンターまで運んでもらう。受け付けでコースを聞かれる。基本的にイギリスの全ての運河はなんらかの管理団体の管理下にあり、そこを航行する船はお金をその管理団体に支払わなければならない。我々が借りるようなチャーターボートでは、運河通行料はチャーター代に含まれているが、コースによって別途料金が必要な場合がある。結局、アルベチャーチからシェークスピアで有名なストラットフォード(Startford upon Avon)までの往復1週間コースにすることにした。

私達が借りたカナルボート "Merlin" 号(全長54フィート/約16メートル)。 写っているのは家内と10才になる娘。 後ろの建物はボートセンターの事務所兼ショップ。

ボートに引き渡しは午後2時からなので、それまでの間にボートセンターの売店で食料品を補充する。2時になって受付に行き、模型を使ってロック越えの説明を受ける。その後、ボートに案内され、荷物を積み込む。荷物の積み込みが終わると、エンジニアからボートに関する様々な説明がある。この説明はおよそ30分程だが、あまりに多くの説明があるため、覚えておくのが大変だった。一通りに説明が終わると、いよいよ出航。最初、ボートセンターの人間が10分程説明を兼ねて操船し、その後私の操船の実習となる。接岸の練習をすると、ボートセンターの人はさっさと船を降り、以後、我々一家3人だけの操船となる。

私は日本の小型船舶操縦免許を持ち、外洋ヨットにも乗っていた経験があり、船の操縦に全くの素人という訳ではなかったのだが、いきなりのカナルボートの操縦はなかなか難しい。まず船が異常に長く舵の効きが遅れるため、真直ぐに走らせるのが難しい。その上、運河はかなり曲がりくねっており、橋があるところは運河の幅が狭く、かなり神経を使う。カナルボートは鋼鉄製なので、多少ぶつけたくらいでは傷もつかないが、その分重く、一旦スピードが付くとギアを後進に入れてもなかなかスピードが落ちない。対向の船があるとすれ違いにはまたまた神経を使う。

恐怖のトンネルへの入り口。

ボートセンターを出航して1時間程するとトンネルだ。長さはなんと2、726ヤード(約2.5キロ)。トンネル内の照明は皆無で真っ暗闇、地下水がしたたり落ちている。ボートセンターで説明を受けた通り、船室内の全ての照明とボートのヘッドライトを付けるが、ボートの周囲がぼんやり明るくなるだけで、心細いことに変わりない。そもそも外の明るさに慣れた目にトンネルは余りに暗すぎる。このトンネルの幅は、ボートセンターでの説明によれば、口では「十分の幅がある」と言いながらも、片手の指を広げる程度の幅、つまり2台のボートがやっとすれ違うことができるだけの幅しかない。対向のボートが来ないことを祈りながらもボートを進めると、遂に対向のボートがやってきた。デッドスローでボートを進め、やっとの思いですれ違う。そうこうする内にトンネルを無事抜けることができた。トンネルを抜けてから1時間程進み、この日はキングスノートンで停泊することにした。3時頃にアルベチャーチを出航して3時間あまり。すでに停泊していた船の人に手伝ってもらいながらなんとかボートを接岸すると、どっと疲れが襲う。始めてのカナルボートの操縦と、トンネルを抜ける緊張から、脚ががくがくになっていることを認識する。

キングスノートンでの買出し

もやい綱を確認後、歩いて5分程の近くの町まで買い出しに出かける。今夜の夕食のメニューは、日本から持ち込んだウナギの蒲焼き。


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