8月20日 始めてのロック越え

まだ家族全員時差ぼけが直らないのか、午前5時頃には全員起床。朝御飯を済まし、7時に出航。出航して間もなく、バーミンガムとキングスウッドとの分岐点に到着。キングスウッドに向かう。ここからはストラットフォードアポンエイボン運河になる。イギリスの運河はバーミンガムを中心に網の目のように張り巡らされている。従い、ここのようにバーミンガム近辺は分岐が多く、地図(運河図?)と現在地を良く確認しておかないと迷子になってしまう。

キングスノートン・ジャンクションの標識。

間もなく最初のロックに遭遇する。ここの水門は左右に開閉するのではなく、ちょうどギロチンのように上下に開閉するのでギロチンロックと呼ばれている。運河毎に、全ての橋、ロックにはそれぞれ番号が振られている。このロックは今は使われていないが、ストラットフォードアポンエイボン運河におけるナンバー1のロックである。しばらく森の中を行く。運河が直進しているところで舵引きを妻と交代し、ボートの先端に行く。ディーゼルエンジンの音が小さくなり、鏡のような水面を滑るように進む。

今はもう使われていないギロチンロック。

しばらく行くと最初の跳ね橋に遭遇。幸運なことに先行するボートが橋を跳ね上げところに着いたため、我々のボートは彼等の好意に甘えて、そのまま通過することができた。しかし、次の跳ね橋では我々のボートが先に到着したため、家内が橋を跳ね上げる羽目になった。跳ね橋はロックのパドルを開け閉めするのと同じハンドルを回して跳ね上げる。橋を跳ね上げる時には、最初に道路のゲートを閉鎖し、人や自動車などの通行を遮断し、それから橋を跳ね上げる。跳ね橋の操作はボートを着岸するのと反対側の岸にあるため、跳ね上げ橋を通過するには橋の上げ下げとボートの操縦とにかならず2人必要になる。跳ね橋をなんとか通過し、昼食のため停泊する。昼食はバーミンガムで買ったイギリス人の好物キドニーアンドステーキパイを電子レンジで温めて食べた。

最初の跳ね橋。右に見えるボートの人達が橋を操作し、快く私達を先に行かせてくれた。

昼食を済ませ、再び出航するとまもなく本当に操作する最初のロックとなる。私は感激して写真を撮りまくるが、家内と娘はロック操作の要領が分からず四苦八苦する。ロックを越えてやれやれと思う間もなく、次のロックが現れた。しばらく数百メートル間隔にあるロックを越えていくと突然目の前にラップワースの連続ロックが現れた。なだらかな斜面に見えるだけでも連続6つのロック。

ひとつのロックを越えるには、10分から20分程度要する。その間はほとんど停止しているので、カナルボートは自然とこのラップワースのように連続するロックのある場所に集まってしまうのである。ロックのないところでは対向のボートとすれ違うのは1時間に1回程度なのだが、ここでは、後ろを見ても前を見てもカナルボートだらけ。こうなる別な理由としては、多くのチャーターボートが金曜日あるいは土曜日からの貸し出しであり、またストラットフォードが人気スポットであることが考えられる。

あっと思ったら連続ロックに入っていた。

我々のボートは親子3人で乗っているのだが、基本的に操船できるのは私だけなので、家内と10才になる娘がロックを操作することになる。すると後ろのボートの乗組員は見るに見兼ねてロック操作を手伝ってくれる。連続ロックでは、前のボートを追い抜くことはできない。従い、後ろのボートは連続ロックを通過する間、常に後ろにいることになる。我々は「サンキュー」を連発するのだが、同じ相手に何度もサンキューを言わなければならない羽目になってしまった。

連続ロックの途中では休むこともできない。無我夢中でロックを越え、最後のロックを下り終わったときには、本当にあっと言う間に下ったような気がした。実際には1時間以上かかっていた。ともあれ、ここで一時停泊し、ひと休みすることにした。ここまで、最初のロックを下ってから13ロックを越えたことになる。

休憩後、さらに4つのロックを下ると、キングスウッドの分岐がある。分岐を越えてさらに4つのロックを下った。この時、後ろのボートの人たちと仲良くなれた。というのも、家内と娘がロック操作を手伝ってもらい、ロックの水位が下がるのを待っている間に話しをしたのである。
 

ロックの水位が下がるのを待っている。家内が手伝ってくれた後ろの船の人達に、停泊場所を尋ねているところ。

今日はここまでとボートを停泊させると、後ろのボートも我々のボートのすぐ後ろに停泊した。手伝ってくれたお礼にと、娘が折り紙の鶴を折って、件のボートを訪れた。娘はジュース、妻はビール、私はジントニックを御馳走になり、30分ばかり話しをした。このボートは学校の先生4人組が共同で所有していて、毎年夏休みにはこうしてボートで運河の旅をするそうである。
 

先生方の船("Siesta" 号)にお礼を言いに訪れたところ。

ヨーロッパの夏の夕暮れは遅い。8月下旬のイギリスで、8時まで明るい。娘は先生達の船から帰った後、写生をした。やっと余裕が出てきた。


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