ロックの操作

イギリス運河の最大の特徴は自分でロックを操作することです。ロックといっても運河によって様々なものがあります。最初にロックの基本操作について説明しましょう。ここでの説明は、ナローカナル、つまり、ボート1隻分の幅しかないことを想定して書きました。

  1. ロックが見えてきたら、ロックに既にボートが入っているかをまず最初に確認します。もし、こちらに向かって来るボートがロック内にいれば、ラッキー、そのボートが出るのを待って、そのままロックに進入することができます。そうでない場合、手前の船着き場(必ずあるので探すこと)に船を仮に停泊させ、ロック操作員を降ろします。ロック内のボート進む方向が自分と同じだった場合、かつ、ロックの向こう側にこちらに向かっているボートがあった時は、そのボートが次にロックを使用する権利がありますので、その船がロックを通過するまで待ちます。
  2. ロック内の水位が自分のボート側と同じであった場合、そのまま水門を開きます。そうでない場合は、パドルにハンドルを差し込み、ハンドルを回してパドルを開けます。(この時、進む方向にあるパドルがちゃんと閉まっているかいるか確認し、閉まっていなかった場合は閉めます。)パドルは必ず運河の両側にあるので、反対側のパドルも開けます。運河の反対側に行くには水門の上を歩いて渡ります。ちゃんと水門の上は歩けるようになっており、手すりもあります。水位が十分下がったら(上がったら)、水門を開きます。この時、水門を開ける前にパドルを閉めてはいけません。パドルを閉めると水門が重くなってしまうからです。
  3. 水門が開いたらボートをロックの中に入れます。ロックはボートの幅ぴったりに作られているため、慣れないうちはボートをロックの壁にぶつてしまいますが、頑丈なカナルボートはそれ位平気ですし、ロックの出入り口の特にぶつかり易い部分には木が張ってあります。ロックはデッドスロー(最微速)で出入りします。ロック内で、船の前後位置を調整するのもギアを前後に入れて行います(ただしアクセルは開けないように注意!)。ロープは使わないようにというボートセンターの説明でしたが、これはナローロックにのみ通用する方法です。ロックを下る場合は、ボートの最後尾の位置に気をつける必要があります。ロックの水位が下がると最後尾にある舵をロックの底にぶつけてしまうからです。ロックの地上部分に白線がありますので、それより前に船尾が来るようにエンジンで調整します。無事ボートがロック内に入ったら水門を閉め、パドルを閉めます。
  4. 今度は進む方のパドルを操作します。やはり運河の両側のパドルを開けます。パドルを開けると、最初の内はロック内の水流の影響でボートが前後しますので、ギアを前後に入れて位置を調整します。水位が上がり(下がり)切ったら、水門を開け、ボートを前進させロックから出します。この時、反対側からボートが来ていたら、そのままボートを進めてしまうことができます。そうでない場合は、ボートを仮停泊させ、ロック操作員が水門とパドルを閉め終わるのを待ちます。以上でロック越えは完了です。パドルの操作ハンドルとロック操作員を忘れないように!

以上のように、ひとつのロックを超えるのに、最大で、4回のパドルを開け閉めし、4回(観音開きの場合)の水門を開け閉めしなければなりません。ひとつのロックを超えるのに10〜15分掛かります。

グランドウニオン運河のように広い運河ではロックに2隻が一度に入ることができるます。この場合、ロックの水門は両開き(観音開き)になりますが、片方だけ開けばボートは出入り可能です。
 

ラチェット方式のパドル

パドルについて

パドルはロックの内側とロックの外側を結ぶ水の通り口の弁です。私達はいろいろなパドルを見ることができました。パドルが陸地にあるロックと、水門にあるロックがあります。またパドルが逆回転しないようにラチェットが付いているもの(回すとカリカリと音がする)と、ハンドルが回す鉄の棒が四角になっていて、回し終わったらその棒に「コ」の字型の金具を差し込んで弁が閉じてしまわないようにするものがありました。後者の場合、回すハンドルから不用意に手を放すとハンドルが勢いよく逆回転するので危険ですので気をつける必要があります。パドルを開け終わったらハンドルは必ず外します。外したハンドルを運河脇に置くと蹴飛ばして運河に落と危険がありますので気を付けましょう。閉じる時にはラチェットを持ち上げてから、あるいは逆回転防止の金具を外してから、ゆっくりとハンドルを回します。パドルのギアは錆びないようにグリースがたっぷり塗ってあるので、触らないよう、服を付けないよう注意しましょう。

水門についって

水門は観音開きのものと片開きのものがあります。

ロンドンのカムデンロックで見かけたのですが、ロックを登る場合、ロック内のボートを進めてボートの力で水門を開け、水門を開けたままで行ってしまったボートがいました。多分この方法はマナー違反と思います。ロックの水門は最終的には上流側、下流側両方の水門が閉まっているのが正しいのです。

連続ロック

連続ロックもロックの操作は全く同じです。難しいのはロックとロックの間隔が狭く、ボートのすれ違いにテクニックを要することです。運河にかかる橋をくぐる時や狭いロックに侵入する場合、基本はボートを橋やロックに真直ぐに方向を決めてからゆっくりと通過あるいは侵入します。しかしながら、連続ロックの途中ですれ違う場合、真直ぐにボートを向けるだけのスペースがありません。この場合は基本を無視して、とにかくボートの先端をロックに入れるように心掛け、ロックへの侵入にあわせて船尾を振って入ります。ボートの舵は船尾についているためこのような芸当が可能です。と、偉そうに書きましたが、連続ロックでの最初のすれ違う羽目になった時、私は、こんな長いボートでどうやってすれ違い、ロックに侵入するか途方に暮れるました。ロックの間隔ときたらすれ違うだけの余裕しかないのです。



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