蔵の外壁のみ、とどめた家屋
日野館前
そのまま保存されている蔵
JR日野駅
第二十九回 街道をゆく(極私的東京編)

幡ヶ谷から京王線に乗り分倍河原、そして南武線に乗り換えて立川と来て、中央線にて日野にやってきました。立川市や国立市とは多摩川で区切られるようにして、そこを甲州街道がタスキがけするように横断しています。
駅の西には、日野自動車があります。地味な町ですが、古い建造物を意図的に保存するという、町のコンセンサスが出来上がっているんでしょうか? 蔵がそのまま現存していたりする結構面白い町なのです。
日野館入口
東京百景認定028
掛線
日野駅周辺
.
洋館風の建造物も
甲州街道も笹塚や八幡山あたりに較べると心無しか道幅が狭く、車がなかった時代、つまり江戸時代の街道を想像させてくれます。そのせいか、日野の駅舎は昔の茶屋を彷佛とさせた作りになっています。司馬遼太郎『街道をゆく』をさながら愉しむ、インタラクティブな方もいることでしょう。

しかし、駅前にあるめぼしい店がフレッシュネスバーガーだけというのが、南武線を引き込んでいる隣の立川駅とは決定的に違うウィークポイントです。

また、一見何もない町なので、本当に何もないと思って素通りしてしまうと古い家屋には気付かないままという結果になる可能性も大いに秘めています。

こうなってしまうと、駅前のパチンコ屋の屋上に大きなゴリラがしがみついてぶら下がっていることを発見するのは、もはや至難の技といっていいでしょう。

一方、このような江戸時代頃の雰囲気を匂わせる街並は、例えば青梅駅周辺の西分町あたりなどにも、そこかしこに感じ取ることができます。正直いって、谷中あたりのせいぜい戦前ころの建築物など、とても薄っぺらに感じられてしまうほどです。
学術的にも密かに注目を浴びており、国文学会の散策では「古き良き日本の街並を感じたいのなら青梅か日野へ」というのは、もはや常識となっています。

これら東京の西部に位置する郊外へ出かけるたびに、意外な文化的価値を見つけることは、新鮮な面白さがあり、昨今の下町フィールドワークブームにも一石を投じるかも知れません。
そのまま保存されている蔵2
電線にぶら下がるゴリラ
新旧の家屋が共存する町