お品書き
第一回『浅草』篇
第二回『聖蹟桜ヶ丘』篇
第三回『和田堀公園』篇
第四回『権田原』篇
第五回『参宮橋』篇
第六回『桜上水』篇
第七回『大蔵』篇
第八回『門前仲町』篇
第九回『西原』篇
第十回『お台場』篇
第十一回『高尾山』篇
第十二回『分倍河原(前編)』篇
第十三回『分倍河原(後編)』篇
第十四回『渋谷区本町』篇
第十五回『初台』篇
第十六回『善福寺川緑地』篇
第十七回『九品仏』篇
第十八回『等々力渓谷』篇
第十九回『笹塚』篇
第二十回『幡ヶ谷』篇
第二十一回『代々木』篇
第二十二回『谷中』篇
第二十三回『巣鴨』篇
第二十四回『雑司ヶ谷』篇
第二十五回『明治神宮外苑』篇
第二十六回『光が丘公園』篇
第二十七回『立会川(品川区)』篇
第二十八回『高井戸・浜田山』篇
第二十九回『日野』篇
第三十回『日野橋(前編)』篇
第三十一回『日野橋(後編)』篇
第三十三回『京王永山(前編)』篇
第三十四回『京王永山(後編)』篇
第三十五回『根津』篇
第三十六回『石神井公園』篇
第三十七回『表参道(同潤会アパート)』篇
第三十八回『京王多摩センター』篇
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第三十三回 夜明けの苦いコーヒー
東京から千葉へ行く時、僕は必ずといっていいほど経由する駅が新木場なのだが、今日は久しぶりに夢の島に出かけてみようと思った。
市ヶ谷から有楽町線に乗って19分、新木場へ到着。距離はあるのに、乗車時間は思いのほか短い。学生時代、この先にある郵便局で深夜アルバイトをした経験があった。深夜で給料が高く、まだ夜が明けきらないうちに帰れるこのバイトを僕は割と好んで選んでいた。
というわけで僕にとって新木場周辺というのは、結構「ゆかり」があった。だが、例の如く、ここにはちょっとした苦い思い出があった。仕事の上がった後、僕はこのマリーナで夜明けでも見て行こうなどとキザなことを思いつき、フラっと立ち寄った。青白んだ夜明け間近の空を見ながら、写真左下の、向こうの芝生あたりでコーヒーを、というシチュエーション。そこへ、右の方から(写真では向かって左から)40代手前とおぼしき怪しげな男性がしばらくこちらをジィっと見るや、黙々と歩み寄ってきたのだ。「わからないが・・・あれは・・・あれはヤベエもんだ」そう心で呟いた僕は一目散に新木場駅へと猛スプリントを開始した。そう。僕はホモに目をつけられたのだ。
心臓バクバクで冷や汗まで掻いてるのに、必死で走る僕の口元は引きつるほど笑ってた。特異な状況に置かれた時って、どうして笑っちゃうんでしょうね。
この日は日曜日ということだったが、さすがに昼間は、こんな埋立地でも人が意外と多い。葉山のハーバーには負けるが、それっぽい雰囲気を感じさせてくれる悪くない場所だ。