The Tolkien Ensemble(トールキン・アンサンブル)

デンマーク出身の、「指輪物語」の世界を奏でるアンサンブルです。トールキン・エステイトの認定を受けており、「指輪物語」に出てくる詩や歌に曲をつけ、その世界観を表現しています。ジャケットやライナーノーツには、指輪物語ファンでもあるマルグレーテ女王のイラストが採用されています。ちなみにトールキン教授も、女王のイラストをいたく気に入っていたとのこと。

このアンサンブルは、1995年にカスパー・レイフ氏によって結成されました。作曲は彼と、彼の恩師であり良き友人でもあるというピーター・ホール氏が担当していますが、素朴で静かな音楽がとても魅力的です。楽団のメンバーのほとんどは、The Royal Danish Academy of Music出身とのこと。

公式サイトによると、「彼らの探求は、『指輪物語』の詩と歌を、世界で初めて音楽で完全に表現すること」だそうです。つまり「指輪物語」の中の詩をすべて曲にしようというわけですね。素晴らしいプロジェクトだと思います。

彼らのアルバムをより一層楽しむには、英語版LOTRの巻末についている、詩歌の索引が大いに役に立ちます。詩歌のタイトルでも、最初のラインのどちらからでも調べられるようになっていて、とても便利です。

なお、2005年8月には本国デンマークで4枚目のアルバム「Leaving Rivendell」がリリースされました。無事購入できたら、感想をアップしたいと思います。

◆アルバムリスト◆


◆An Evening in Rivendell◆

記念すべきファーストアルバム。ライナーノーツの歌詞に、それぞれの歌に関連する物語の本文が抜粋されているので、情景を思い浮かべやすいです。また、「このCDをクリストファー・トールキン氏に捧げます」とも書かれています。

以下、特に気に入った曲の感想です。

♪The Old Walking Song, The Road...

ビルボが袋小路の家をフロドに委ね、一人裂け谷へ出発する時の歌。「道はつづくよ、先へ先へと・・・」の日本語訳で親しまれている歌です。優しいメロディがとっても素敵です。

♪Tom Bombadil's Song, Hey dol! Merry dol!

前半はとにかく陽気なトムの歌。後半はゴールドベリの可憐な歌声が聴けます。

♪There is an inn, a merry old inn...

「躍る小馬亭」でフロドがテーブルに乗って歌う歌です。陽気な楽しい曲。原作の「躍る小馬亭」のイメージに近いので嬉しいです。PJ版の「躍る小馬亭」は薄暗くてジメジメしてて陰気くさいので、実はあまり好きではなくて・・・。いろいろな楽器が効果的に使われています。

♪Song of Beren and Luthien

この曲を聴いて私は玉砕されました。本当に素晴らしい曲です!この一曲前(フロドの歌)はテンションの高い明るい曲ですが、この曲は一転して美しいバラードです。静かに始まるピアノのイントロで「おっ?」と思わせておいて、次いでアラゴルン担当のMorten Ernst Lassen氏の見事なバリトンが、聴く人をたちまち虜にします。彼のサイトによると(リンクはこのページ上部)、クラシックから現代音楽まで幅広くこなせる彼は、主にヨーロッパ各地やオーストラリアでオペラの舞台やコンサートで活躍していたそうです。

アラゴルンが歌う、この「べレンとルシエンの歌」は私の大好きな詩の一つなのですが、こうして素晴らしい曲がつくと、さらに味わいがあって良いです!もしトールキン教授がこの曲を聴いたら、きっと大喜びするんじゃないかなあ・・・。なんと言っても、べレンとルシエンは彼とエディス夫人のことですから。

♪Galadriel's Song of Eldamar, I sang of leaves...

ガラドリエルがロスロリエンで旅の一行を見送るため、白鳥型ボート(なんか、公園の池にでもありそう・・・(^^;)に乗って現れる時に歌う歌です。ガラドリエルの望郷の念が、悲し気なメロディで見事に表現されています。美しい歌声に思わずうっとり聞き惚れてしまいます。この歌をそばで聴いていたケレボルンは、自分の奥さんの心の痛みをどう受け止めたのでしょうか・・・。

♪Elven Hymn To Elbereth Gilthoniel

フロド達が旅に出て、初めて出会うエルフ達(ギルドール御一行様)が歌う歌です。エルフ達が最も愛するというヴァラ、エルベレスを讃える歌で、何となく哀愁の漂うメロディが印象的です。

♪The Ent and the Ent-wife

二人(?)が一緒に歌うパートが、ちゃんとデュエットになっているのが良いですね。どことなく憂いを帯びたメロディなのは、木の鬚がエント女がいなくなって寂しく思っている表れでしょうか。ちなみにエント女のパートを担当の方は、ガラドリエルも担当しています。

♪Galadriel's Song of Eldamar, Ai! laurie lantar...

ロスロリエンでガラドリエルがフロド達を見送る時に歌う歌。とてもきれいな曲で、もちろん原作通り、すべてクウェンヤ語です。澄んだ歌声や、曲全体が持つ独特の雰囲気が本当に素晴らしいです。

↑アルバムリストへ戻る


◆A Night in Rivendell◆

2000年発表のセカンドアルバムです。私は「An Evening in Rivendell」とセットになった「24 Songs from The Lord of the Rings」という2枚組みCDを買いました。

以下、特に気に入った曲の感想です。

♪Gandalf's Song of Lorien

メロディもさることながら、ガンダルフ担当の方の声がとても良いです!途中からガラドリエル担当の女性ヴォーカルも導入されるのですが、それにガンダルフ担当の男性ヴォーカルが重なるのが素敵。

♪Lament of the Rohirrim

アラゴルンがレゴラスとギムリに共通語に訳して聞かせたロヒアリムの歌です。そんなに長くない曲ですが、展開が起伏に富んでいて面白いです。ちなみに原作では、最初アラゴルンはローハン語で歌っています。彼はいくつの言語を解することができるのでしょうか。

♪Bilbo's Song

裂け谷で、出発前のフロドと言葉を交わした後に、ビルボが口ずさむ歌です。ホビットらしい素朴なメロディが可愛らしいです。ビルボ、いい声してますねえ。

♪Gollum's Song/Riddle

ゴクリ作詞の「汁気たっぷりの、さかな」の歌です。非常にいかがわしい(笑)雰囲気で、ゴクリ特有のsssss音も見事に(歌いながら)再現!本当に上手ですよ。

♪Lament for Boromir

ボロミアの水葬の際に、アラゴルンとレゴラスが歌った歌です。ピアノの伴奏もとても良いです。この曲は「アラゴルン−レゴラス−アラゴルン」と3つの部分に分かれていますが、それぞれの導入部分に共通の主題のメロディが使われています。アラゴルンのパートは全体的に勇ましく、対してレゴラスのパートは全体的に静かで、このコントラストが良いですね。同じ主題が用いられていても、レゴラスのパートの方が控え目になっています。それにしても、アラゴルン担当のMorten Ernst Lassen氏の声、素晴らしすぎる(惚)。

♪The Fall of Gil-galad

ホビット4人&馳夫さんの5人の旅の途中の野営で、サムが歌った歌。サムってばこんなに歌が上手なのねっと思わず感心してしまいます(ちなみにサム担当はピーター・ホール氏)。でも個人的には、BBCラジオドラマ版「指輪物語」で使われたギル=ガラドの歌のメロディの方が好きかも・・・。

♪Lament for Theoden
♪Song of the Mounds of Mundburg

どちらもローハンの歌です。この2曲は、楽器の伴奏は一切なくコーラスのみで構成されていて、このアルバムの中では異色の存在かもしれません。両方とも、戦場で命を落としたセオデン王を始めとする英雄達を讃えるにふさわしい、厳粛な雰囲気の曲です。何となく宗教音楽を彷彿とさせる曲ですが、実際これらは、コペンハーゲンのKastels Kirkenという教会で録音されたそうです(kirkenが『教会』の意味)。ちなみにコーラス担当は「The Chamber Choir Hymnia」の皆様です。

↑アルバムリストへ戻る


◆At Dawn in Rivendell◆

ジャクソン監督版LOTRの映画で、サルマンを演じるクリストファー・リーを超スペシャルゲストに迎えて作られた3枚目のアルバム。先の2枚のアルバムのジャケットにはマルグレーテ女王のイラストが採用されていますが、今回はリー様のお顔のドアップ写真が使われていて、初めて見たときはちょっと、いやかなりびっくりしました(^^;)。ライナーノーツのリー様の写真が、おヒゲがないせいか一瞬別人のように見えます。何となく、「小学校の校長先生のポートレイト」というような写真です(とっても優しそうなお顔なのですよ)。

アルバムのトップを飾るリー様の指輪の詩の朗読は、凄い迫力!本当に圧巻です。彼は他に何曲も朗読を手掛けています。9曲目の「Boromir's Riddle」も力強くて素晴らしい!朗読だけかと思いきや、16曲目の「Treebeard's Song」では自慢の喉を披露してくれています。

2003年3月14日付けの英国指輪雑記で、BBC Radio3でオンエアされたリー様とカスパーさんのインタビューの紹介や感想を書いたので、よろしかったら併せてお読み下さい。

以下、特に気に入った曲の感想です。

♪Song Of Gondor

「二つの塔」の序盤で、アラゴルンがローハンの平原でゴンドールのことを思って歌う歌です。アラゴルンのパートを担当するMorten Ernst Lassen氏のヴォーカルが実に素晴らしい!

♪Malbeth The Seer's Words

弦楽器のミステリアスな響きが、詩の内容と見事にマッチしています。リー様の朗読が、渋い、渋すぎる!

♪The Long List Of The Ents

わーいエントの長〜い「中つ国の生き物リスト」だ!エントになり切って「ホーンホム」してるリー様のお声が素晴らしすぎる。

♪Song Of Nimrodel

レゴラスがロスロリエンで皆に歌って聴かせた歌で、長調です。「ニムロデルの歌は悲しい内容だから、短調だろう」と思っていたので(レゴラスの説明が悲しそうだったし)、初めてこの曲を聴いた時は少し意外でした。でも、旅の一行の疲れを癒してくれるような優しい調べがとても心地良く、すぐ気に入りました。ニムロデル川の優しいせせらぎを思い起こさせます。

♪Treebeard's Song

何となく哀愁に満ちているのだけれど、力強さを感じさせるメロディがとても良いです。さらにリー様が勇ましく歌っていらっしゃる!エルフ語の「r」音の発音の良いお手本にもなりそうです。

♪A Walking Song (II)

灰色港へ向かう途中でフロドが口ずさんだ歌です。この曲の最後は、次の曲「Elven Hymn To Elbereth Gilthoniel」とつながっています。原作の様に、フロドの歌にエルフ達が応えるような感じになっていて、何だかとても感慨深いものがあります。

♪Elven Hymn To Elbereth Gilthoniel

そしてこの曲が、このアルバムの最後の曲です。唯一の女性ヴォーカルの曲。幻想的で優しく、そして憂いに満ちたエルフ達の歌声とメロディに聴き惚れてしまいます。しかもこの曲、最後に「The Road Goes Ever On (道はつづくよ)」が挿入されていて静かに終わるのです。最後にこの歌ですかー!やられた!という感じ。何と言うか、本当に素晴らしい構成だと思います!

↑アルバムリストへ戻る


マルチメディアの目次へ戻る

トップページへ戻る

(C)Since 2002 緑の葉の森