◆04.02.12(Thu)◆

日本でも、ついに先週末にROTKの先行上映がありましたね!早く一般公開されてほしいものです。日本の指輪ファンサイト巡りが楽しい今日この頃ですが、十人十色の感想でとても興味深いです。とりあえずこのサイト内では、14日まではROTKのネタバレ防止処置(伏字)を採用したいと思います(ネタバレ防止処置14日を過ぎてから取り外します)。

さて、先日、ROTKの3回目の鑑賞に行ってきました。2回目からかなりインターバルがあったせいか、新鮮な気分で楽しめました。

◆アルウェンとアラゴルン◆

戴冠式で、アルウェンとアラゴルンがキスするシーンが不評のようですね。確かに原作のように、二人が結ばれる時の厳粛さ(エルロンドがアルウェンの手をアラゴルンの手に乗せる)が感じられないのは残念ですが、私はあのシーンは映画設定として、今の所は次のように解釈しています。

アルウェンが、始めは少々うつむき気味にアラゴルンの前に姿を現します。何も言わず、目に涙を浮かべながら控えめに笑顔を見せるアルウェンは、非常にしとやかだと思います。アラゴルンは、うつむいているアルウェンを気遣うような表情をしますが、もしかしたらアラゴルンはこの時、アルウェンがあまり嬉しそうに見えないので、心配になったのかも知れません。

しかし、アルウェンが顔を上げると、無事の再会と二人の未来を喜んでいることがアラゴルンにもはっきりと分かり、今までの辛苦などを一気に吹き飛ばすばかりの勢いで、思わずアルウェンにキスします。そして、アルウェンはそんなアラゴルンの少々唐突なキスに、「人間流のやり方」で応えた(抱きついたり、笑ったり)のではないかな、と思っています。

抱きついたり、声を立てて笑ったりという動作は、この映画に関しては、あまりエルフ的でないような気がします。TTTで、突然アラゴルンに抱きつかれたハルディアが一瞬固まっていましたが、映画設定では、エルフはあまり感情を表に出さないような印象を受けています。ハルディアとアラゴルンの場合、男同士だからと言ってしまえばそれまでかも知れませんが・・・。蛇足ですが、バクシ監督のアニメ版「指輪物語」では、アラゴルンとレゴラスが会った時、二人ともドドドと駆け寄り、嬉しそうにガシッと抱擁しています。

FOTRとTTTで、静かな愛の語らいを見せてくれたアラゴルンとアルウェンですが、その時はまだ正式に結ばれていませんでしたし、アルウェンも、(不本意ながらも)一度はアラゴルンのことをあきらめ、港へ向かうくらいですから、これらは「人間の男性とエルフの女性のラブシーン」だと言えると思います。

一方で、ROTKの戴冠式でのラブシーンは、アルウェンの運命が完全に定まった後です。アルウェンが「抱きつく・声を立てて笑う・思いっきりキスする」のは、ある意味で非常に人間的な振る舞いだと思います。限りある命を選んだ者としての初めの一歩と言えるかもしれません。それに彼女は人間の国の王妃になるわけですし。

確かに、どうせキスするのなら、もっと厳かな雰囲気(FOTRでのように)の方が、王と王妃の威厳が感じられたとは思います。しかし、長年の辛苦を乗り越えてついに結ばれる二人なわけですから、キスしたくなる二人の気持ちも分かります。しかも、アルウェンは死にかけていたわけで、二度とお互いに会えない覚悟は二人ともしていたと思います。そんな二人が無事結ばれることになって、嬉しさ倍増だったと思います。ついでに言えば、私は二人の結婚式もぜひ見せてほしかったと思うくらいの寛容派です(映画のあれは『戴冠式アンド結婚式』なのでしょうか・・・)。

ところで、アルウェンが「死にかける」というのが、まだ今ひとつ釈然としません。サウロンが指輪を取り戻すようなことになれば、当然中つ国の住人は皆殺しか、奴隷になったりすると思うのですが、だからアルウェンの体から生気が抜けていく、というような描かれ方はよく分かりません。

エルロンドがアルウェンの手を握りながら、「エルダールの生命がそなたから去っている」みたいなことを言っていたと思うのですが、この時点で既にアルウェンの人間化(?)が進行中ということなのでしょうか。「私を運んでくれる船はもうありません」とも言っているし、引き返した時点でアルウェンは、完全にエルフの不死の運命を放棄したのかもしれません。

だとすると、仮にサウロンの手に指輪が戻り、アラゴルンが人間の王になれなかったとしても、アルウェンは「人間として死ぬ」ことになるのでしょうね。アラゴルンと結ばれることなく、アルウェンの台詞にもあるように、「永遠に後悔」しながら西方で生きるより、今ここで、中つ国の運命と共に果てる覚悟をしたのかもしれません。

と書いているうちに、自分なりに何となく納得できた気分になってきました(笑)。またこれも、観る回数を重ねるたびに印象が変わるかもしれませんが・・・。それにしても、エルフの言う「永遠」には、非常に重みがあると思います。文字通り「永遠」ですからねえ・・・。肉体が死んでも魂はマンドスの館に留まるわけですし。

◆その他いろいろ◆

この映画で、初めて「映像として」ゴンドールとモルドールの距離感を感じることができたように思います。その近さに改めて驚愕しました。原作を読んで地図を見たりして何となく分かった気になっていましたが、ゴンドールが置かれている状況を改めて実感できたように思います。あんなおぞましい影の国を毎日見ながら、ゴンドール国民が士気を保ち続けるだけでも大変なことなのではないでしょうか。

しかし、ゴンドール国民の「声」が殆ど聞こえてこないのが残念です。彼らの表情以外に、台詞やこれと言った出番がないためか、ゴンドールに対して、何故だかローハンほど感情移入できません。TTTでは、エオサイン&フレダの兄妹と彼らの母親(モルウェン?)、更にハレス(ハマの息子)など、ローハンの一般市民にスポットを当てることによって、より感情移入できる演出になっていると思います。

エレド・ニムライスの山頂の烽火が次々と灯されていく光景が、何故だか非常に心に響きました。壮大なサウンドトラックの効果もあるのだと思いますが、援軍要請が上手く伝わりますように・・・!と、思わず一緒に願ってしまうような素晴らしいショットだと思います。

キリス・ウンゴルで本性を現したゴラムがフロドを襲った時、巴投げもどき(?)でゴラムを投げていましたね。あと確か、キリス・ウンゴルの塔で、フロドのミスリルを欲しがったオークが階下に落とされていましたが、その時も両足で飛び蹴りしていたオークがいたような・・・。やや格闘技モードですね(笑)。

ペレンノール野の合戦の後の戦略会議では、ギムリの「What are we waiting for !?(何を待っているのだ)」の言葉で全員が奮い立つ場面がありますが、この台詞はFOTRのエルロンドの会議で、斧で指輪を叩き割ろうとする直前にも言っていますよね。この時は失敗してしまいましたが、ROTKではギムリのお陰で迅速に軍を再編成し、黒門へ出発したという流れに見えるので、ギムリの名誉挽回といったところかもしれません。

黒門の前での合戦では、さすがにレゴラスもギムリを倒した敵の数を数えるような余裕はないようで(確か数えていませんよね)、ちょっと安心しました(笑)。サウロンの気を引くだけの無謀な出陣なわけで、この二人も、さすがにこの時は死を覚悟していたようですから、ようやくしおらしくなったかこの二人、と思いました(笑)。

同じく黒門前で、アラゴルンが「For Frodo!(フロドの為に!)」と叫ぶのが良いですね。そしてメリーとピピンが一番最初に駆け出して行くのも良いです。いかにこの二人が、フロドのことをいたわっているかが伝わってきます。その後、自分達より遅れて前進してきた兵に抜かされても、そのまま全速力で敵に立ち向かって行く二人の姿が、何だかとてもいじらしいです。

やっぱりあのラストシーンは良いですね。美しいシーンだと思います。悲壮感や喪失感が原作ほど感じられないのが、逆に良いと思います。仮に、原作に近い雰囲気や意味合いを含むシーンになっていたら、辛すぎて観ていられないかもしれません。それでも、フロドが微笑みながら振り返り、その後ふっと背を向け、そしてもう二度とこちらを振り返ってくれない(もう映らない)のは、いくら原作と少々異なるとは言え、やはり悲しいです・・・。

まだ書ききれていないので、続きは次回にします。


英国指輪雑記へ戻る

トップページへ戻る

(C)Since 2002 緑の葉の森