◆04.03.03(Wed)◆

いやー何と言うか、アカデミー賞、すごかったですね。まさかノミネートされていた11部門、全て受賞できるなんて。この映画のファンとしては勿論とても嬉しいのですが、ROTKとしてではなく、FOTRとTTTも考慮に入れてもらえちゃったような感じがするので、素直に喜べない気もします(別に私が受賞したわけでもないのに変かもしれませんが)。

今週分のテレビガイド「TV & Satellite」(表紙はヴィゴ扮するアラゴルンのどアップ)で、オスカー特集が組まれていました(先週発売のものです)。ノミネートされていた「ミスティック・リヴァー」の脚本家のコメントが載っていたのですが、「LOTR三作全てに投票しないといけないような感じがありますが、これでは不公平だと思います」という主旨でした。実際、ROTK(と言うよりLOTR)が賞を総なめしてしまって、面白く思わない人もいるのではないでしょうか。

イギリスでは、地上波のBBC1が生中継してくれましたが、時差の関係でちょうど真夜中でした。午前1時頃から午前5時過ぎまでの放送だったので、ビデオに録画して後で見ようかとも思ったのですが、やはり気になってしまい、結局頑張って最後まで見てしまいました。今もまだ寝不足の後遺症?が残っていますが、その甲斐はあったと思います。ROTK関連が受賞するたびに演奏された、オーケストラ・ピットの中の皆様によるミナス・ティリスのテーマもとても素敵でした。

最初にごちゃごちゃ書きましたが、ジャクソン監督達の功績がこうした形で認められたことは、やはり非常に嬉しいです。何だかんだ言っても、ROTKが受賞するたびに「やった!」と思いましたし、目頭が熱くなることも数回ありました。出席していた関係者の皆さんが大喜びしている姿を見るのは、やはりいいものですね。

昨日(2日・火)は、どの新聞もオスカー関連の話題を大きく取り上げていました。試しに4紙だけ買ってみましたが、取り上げ方がそれぞれで興味深かったです。下に簡単に比較と感想をまとめてみました。

◆デイリー・テレグラフ◆

事実の報道に徹した、無難な特集という印象を受けました。平凡と言えば平凡です。ジャクソン監督とアニー・レノックスの嬉しそうな写真も載っていました。ドレスやパーティの特集もありましたが、全然読んでいません。社説のようなコラムでも、オスカーについて取り上げていましたが、LOTR関連のことは触れていませんでした。

◆ザ・タイムズ◆

別紙の最初の数ページがオスカー特集で、表紙はゴラムがオスカーのトロフィーを手にしているという合成写真です。その下に「We wins it, my precious....(わしら取ったのよ、いとしいしと)」なんて書いてあります。

複数の批評家によるコメントが掲載されていましたが、そのうちの一人は、予想が簡単につく結果で意外性がなかった、授賞式そのものも、まるで他の映画賞の授賞式の様で非常に無難だった、という感じのコメントです。この批評はThe Timesのサイトのこのページでも読めます。

別の批評家は、今回ROTKが今回賞を総なめしたことについて、今年に備えて、過去2作に対して賞を与え惜しみしていたかのようだ、と書いています。ジャクソン監督はROTKだけでなく、FOTRとTTTで既に受賞に値する偉業を達成していたのに関わらず、アカデミーの審査員は過去2作を「礼儀正しく無視した」、とも書いています。私も似たような印象を受けました。ROTKは良い出来の映画だし、今回で最後なんだから、今までケチっていた分たくさん賞をあげちゃおう、というか・・・・。この批評は同紙のサイトのこのページでも読めます。

この他に、女優達のファッション特集や、授賞式後のパーティのレポートが掲載されていました。

本紙にも、オスカー絡みのコメントが掲載されていましたが、こちらも「ある意味で」読み応えがありました。一言で言うなら、ROTKとROTKが作品賞を取ったことに関するバッシングです。チクチク嫌味っぽく、審査員のセンスを疑っているような感じの文面に思えました。

この批評家は、三部作の中でROTKが最悪だと書いています。FOTRやTTTはトールキン教授のヴィジョンに適っていたが、ROTKはカットされたサルマン絡みの7分間を、崩壊したSFXで埋め尽くされた戦闘シーンや、ホビット間の野郎同士の絆 (buddy-bonding) の描写につぎ込んでしまったせいで、単なるアクション映画になってしまった、と思うのだそうです。この批評家はサルマンをいたく気に入っているようで、サルマンは一見して悪とは思えない魅力ある登場人物、というようにも書いています。

なるほどと思える部分もありましたが、全体的にどうにも嫌味ったらしい文面なのが気に障ります。イラク戦争にこじつけている部分もあるし・・・。最後の段落の始めの一文には、さすがに「はあ?」と思ってしまいました。大体次のような感じでした。「全体的に見て、戦争の余波にふさわしいオスカー作品かもしれない。アラソルンの息子アラゴルンは、ブッシュの息子ブッシュのように(国の)管理に戻ったのだ

どうして批評家という人たちは、こうやってすぐ現実の世界と映画を結び付けようとするんでしょうね。そうした方が、インパクトがあってもっともらしい批評をしている気分になれるのかもしれませんね。(と、嫌味で対抗)

最後は次のような文章で締めくくられているので、まあ多少は救われましたが・・・。「このこと(上記のアラゴルンとブッシュのコメント)をピーター・ジャクソンが意図していないのは確かだが、彼がガンダルフとサルマンに、トールキンの7分間を返してあげて欲しかったと祈らずにいられない

確かにサルマンの出番カットは非常に残念ですが、この批評家もSEEに希望をつないだ方がいいかもしれません(この人がそこまでするか分かりませんが)。

この批評家が、原作にそれなりに通じているのは分かるのですが(もしかして原作限定のファンだったりして)、だったら尚更、イラク戦争のことなど取り出してほしくなかったです。それに、映画の批評の割に原作と比較しすぎなのでは、という印象を受けました。このコメントもウェブ上で読めないか探したのですが、ちょっと見つかりませんでした。

◆デイリー・レコード◆(タブロイド)

昨日買った新聞の中では、一番異質かもしれません。これはスコットランドのタブロイド紙です。一面には、オスカーを手に微笑んでいるアニー・レノックスの写真が。そしてオスカー関連の記事のトップは、やはり彼女に関することです。スコットランド人のアニーをフィーチャーするとは、スコットランドの新聞らしいです。ちなみに彼女は、史上9番目のスコットランド人オスカー受賞者なのだそうです。Daily Recordのサイトのこのページでも記事が読めます。

彼女は授賞式で「Into the West」を披露してくれましたが、感情がたっぷり込められた歌い方で、陳腐な言い方ですが非常に感動しました。彼女のこのパフォーマンスが見られただけでも、寝ずに頑張って見ていた甲斐がありました。スピーチで「昨年亡くなった母に、この受賞を捧げます」と言っていました。彼女の晴れ姿を、お母様も天国から見守っていることでしょう。曲や歌そのものも素晴らしいと思いますが、アニーのベテランならではの貫録勝ち、という感じもしました。

◆デイリー・メール◆(タブロイド)

Laud of the Rings!(指輪の賞賛!)」という見出しで、リヴのとっても可愛い写真つきで、ROTKメインのオスカー特集を組んでいました。これといった皮肉や批判めいたコメントもなく、無難にまとめられているように思いました。デイリー・メールはLOTR贔屓なので、ファンとしては共感しつつ読めるように思います。

ショウビズ関連担当の方のオスカー総評に加え、デイリー・メールの映画評論家で、LOTRの映画の大ファンでもあるトゥーキーさんが、オスカーにおいてタイ記録を保持する「ベン・ハー」と「タイタニック」とLOTRの比較検証を行っていました。

共通点の一つは、「三作とも、男性的なセックス・アピールがある」ことだそうで、「ベン・ハー」のチャールトン・ヘストン、「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオを挙げていました。LOTRではオーランドとヴィゴの二人を挙げていましたが、イライジャではダメなのですか?(汗)

あとは制作費や興行成績や映画の長さなど比較していますが、確かに「ベン・ハー」も「タイタニック」も、LOTRと同様に3時間以上ある長編映画です(トゥーキーさんは、トリロジーとして三作合計の長さを書いていましたが)。こうやって比較したから何だという気もしますが、LOTRも映画史上に残る名作の仲間入りをした、ということでしょうか。個人的には、この映画がいくら稼ごうが賞をいくつ取ろうが、自分がこの映画を好きだという気持ちに何ら影響はないので、よく分かりません。

他のページでは、主演女優賞を受賞したシャーリーズ・セロンの身の上話や、例によって女優達のドレス特集に加え、日焼け特集(笑)まで組まれていました。

アニーが着ていたドレスは、デザイナーのステラ・マッカートニー(元ビートルズのポールの娘)によるものだそうです。カッコいいアニーは、女らしいドレスを着てもカッコ良く決まります。

蛇足ですが、シャーリーズ・セロンの彼氏って、どこかで見たことある人だなあと思っていたのですが、当初アラゴルン役に抜擢されていたスチュアート・タウンゼントなんですね。「二人ともよく焼けている。きっと日焼けの2for1のオファーを利用したんだろう」なんて、どうでもいいコメントもありました(笑)。2for1とは、一人分の料金で二人が利用できる(一人分が無料になる)という意味です。

・・・・と、大体こんなところでしょうか。

しかし、デイリー・テレグラフもデイリー・レコードも、「今回受賞した主なイギリス人はアニー・レノックスのみ」のように書いています。でも、どの部門も映画には不可欠な重要な分野なのだし、メイクアップ部門を受賞したピーター・キング(かつら製作)や、美術部門を受賞したアラン・リーのことも、今回の数少ないイギリス人受賞者として、きちんと言及してほしかったです。

私の読み落としがなければ、上記4紙すべて、アラン・リーのことは触れていませんし、ピーター・キングのことに言及していたのはデイリー・メールだけです。他の新聞ではどうだったか気になるところです。


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