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gMAの日記からミステリーの読書中&読書後の感想を抜粋したものです
読書中の感想も載せているので、管理人gMAが騙されているさまがリアルに見られます。


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↓ このページの内容: 猫丸先輩の推測 - 大密室 - 名探偵の掟 - 法月綸太郎 講演会 - 法月綸太郎の功績 - 五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し - タイムスリップ森鴎外 - 幻惑密室 - 夏の夜会 - アイルランドの薔薇 - 瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤 - 人魚とミノタウロス - 百器徒然袋―雨 - ワイヤレスハートチャイルド - 最後から二番めの真実 - 鬼流殺生祭 - 無謬邸は暁に消ゆ - キッドピストルズの慢心 - 上海香炉の謎 - アリア系銀河鉄道 - 双頭の悪魔 - 名探偵水乃サトルの大冒険 - 「Y」の悲劇 - 血食 系図屋奔走セリ - キラー・オン・ザ・ロード - 九五年の衝動 - 夏と花火と私の死体 - 月長石の魔犬 - 瑠璃荘事件 - 赤い部屋の殺意 - メルカトルと美袋のための殺人 - 十角館の殺人 - 動かぬ証拠 - 歪んだ創世記 - 真っ黒な夜明け - ユウ - カーニバル・デイ - 少年たちの密室 - 屍天使学院は水没せり - 月が射す夏 - カレイドスコープ島 - 殺竜事件 - ドッペルゲンガー宮 - UNKNOWN(アンノン) - 邪馬台国はどこですか? - 静寂の森の殺人 - 亜是流城館の殺人 - カーニバル - バラ迷宮 - 絡新婦の理 - 陀吉尼の紡ぐ糸 - ジョーカー - アリスミステリ傑作選 - コズミック - 頼子のために - 19ボックス - パズル崩壊 - 時鐘館の殺人 - 法月綸太郎の冒険 - 久生十蘭 - 五十円玉二十枚の謎 - 盤上の敵 - 匣の中の失楽 - 雪密室
↓2003.02

  • 朝日新聞のリレーミステリー「かえれないふたり」。図書館で探したのだけど、第3章の載ってる夕刊だけ見つかりません。なので1章「不安な旅立ち」(有栖川有栖)と2章「失われた記憶」(光原百合)しか読んでませんが…短い。ちゃんとひっくり返して落ちがつくんだとしたらすごいな。ここまででは、なんということもない話ですが。
    ↓2003.01

  • 倉知淳「猫丸先輩の推測」。収録作、「夜届く」読了。そこそこ面白い。オチはこんなもんか、というところ。タイトルで「推測」といってしまってるんだから、仕方がない。でもどこにでもありそうな謎と解決だと思うな。唐沢なをきのイラストは大きなプラスでした。関係ないが「おせん」を読んで今日知ったばかりの「しんねこ」という言葉がここにも出てきました。
     「桜の森の七分咲きの下」読了。なかなかいいかんじ。真相は凄く単純で、別に鮮やかでもないし驚きもしなかったけど。これはこれで。花見の気分が味わえました。
    ↓2002.12

  • アンソロジー「大密室」。2作読んだ現在、これはアタリじゃないかと。
     法月綸太郎「使用中」読了。講演会で、本格ではないが一番気に入っている、と法月さんが言っていた作品。おもしろかった。犯行のスリル、追い詰められた状況でのジレンマ。推理物が嫌いな人も楽しめそうなエンターテインメント。こういうのも書くのかー、と思った。
     有栖川有栖「壷中庵殺人事件」読了。これは絶叫城に入ってるやつかな?珍しいことにトリックも犯人も完璧に分かってしまった。それでも面白かった。奇妙なつくりの部屋とか出てくるとワクワクします。ていうか久しぶりに裏切られなかったかんじ。

  • 東野圭吾「名探偵の掟」。メタなテーマの短編集(トリック自体はメタではない多分)。
    「密室宣言」くだらなさがちょっと面白い。(以下、"ちょっと"を省略)
    「意外な犯人」納得できるってのが面白い。
    「屋敷を孤立させる理由」大げささが面白い。ここまで考えない。
    「最後の一言」DMのナンセンスさを照らし出す面白さ。わかるわけない。
    「アリバイ宣言」ジレンマの面白さ。
    「『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論」大人の事情の面白み。
    「切断の理由」Whyの面白さ。(偽は分かった)
    「トリックの正体」人には言えない…分類できない面白さ。(身体障害者系かと思った。)
    読んだのはひとまずここまで。非常に軽い内容で疲れているときに丁度良かった(実は作家にとっては笑ってる場合ではないのかもしれない)。まともなミステリ読書欲が発生しました。アペタイザにいいな。
     「殺すなら今」 声に出して笑ってしまった。童謡殺人ものは難しいだろうな、と思っていたけど、ここまでではコレがいちばん良かった。
     「アンフェアの掟」を半分。アンフェアと聞くと余計に気になります。「色に関する記述が多いのと、ペンが緑」ってことから「色盲」ねたか?「特徴のあるはずの緑のペンと、赤のペンを見間違えた」とか。でも犯人はわからない…。 そして読了。ああこれか。
     読了。最後のブラックさはちょっと面白かったです。初出を見て知ったのだけど、この短編を10年前に書いていたというのは凄い。
    ↓2002.11

  • 大谷大学ミス研「法月綸太郎 講演会」。開場五分前に着いて、それでも最前列に座れそうなくらいの空きっぷりでした。そして法月さん登場。講演会というか、募集した質問に順番に答えていくという形式でしたが、ちょっと司会の進行が不味いのではないかと思ったところもあり。これでは話したいことが話しにくいのではないかな…とか思ったのですが、シンプルな質問からも長く深い話題にもっていくあたりはさすが。僕も会場で質問しました(緊張した…)。ミステリ系のサイトを見る限り、この質問はそこそこ反応があったみたいで嬉しい。法月さんは、随分おとなしい人に見えました。話ながら足をブラブラされたり、その辺がちょっと普通の人っぽくて面白かった。内容を日記に書こうとしたらスゴイ量になったので、メフィストがらみの話のみまとめます。
  • 推薦文のこと
    佐藤友哉君の推薦文を書いたときに、凄く(読者に)怒られたんですけど、なんでそんなに怒るんでしょうね?たしかに欠点があるのはわかります、若い素人が粋がって書く文章って(自分もそうだったが)大体、自分が格好良いと思って書いているところは、全部格好悪いんですね。そういう罠に全部嵌っている。でも後半は気負いが取れたのか、良くなっている。
    (...もう少しこの話題が続いたように思うが、ユヤタンのことを考えたいたら話が先に進んでいました。)
  • 気になる新人は?メフィスト賞のような新しいスタイルのミステリをどう思うか?
    国内の本をほとんど読んでいない(2,3冊?)。メフィストでいうと舞城王太郎さんとか西尾維新さんとかがいますが、新しいミステリなのかどうかわからない。僕は作家のモデルを考えて読むほうなんですが、今まで無かったような、突然出てきたものだとは思わない。何年か前に考えていたことが、出てきたという感じ。こういうこと、昔はやろうとしても出来なかったよなー、と思うことは有る。あれから15年経ったので一回りして戻ってきたとしても全然おかしくない。

    ↓2002.09

  • 法月綸太郎「法月綸太郎の功績
    本年度推理作家協会賞受賞
    現代「本格推理小説」の到達点!
    収録作、「中国蝸牛の謎」。謎と言うか、伏線とシチュエーションはかなり好みで面白そうでした。解決部分はこんなもんなのか、というかんじ。あとがきを見る限り、本人もトリックにもシチュエーションにも満足していないらしいが。あと、タカツムリに関する話がとても面白かった。
     「都市伝説パズル」は、骨格は極めてシンプルでエレガント。というかこんなに単純でいいの?とも思った。短編にふさわしい作品。
     「イコールYの悲劇」については「『「Y」の悲劇』」のときに読んだので省略。


    ↓2002.08


    ↓2002.07

  • 鯨統一郎「タイムスリップ森鴎外
    誰も指摘すらしなかった歴史上の大疑問に かの文豪・鴎外が挑戦!
    タイムスリップものは、過去の人が文明や文化の違いに戸惑うところが面白くて好きなんですが、主人公が森鴎外なだけに、現代の小説や他の本全般に触れる描写が多い。謎も文学に関するもの。なので本好きにオススメです。僕は鯨さんの作品は今まで2冊読んでて、ストーリーや文体では楽しめなかったのだけど、この作品はミステリと関係ない部分がとても面白かった。たまに森鴎外にしては言葉がチープな部分があるのだけど、これは仕方がないか…音楽系アニメで言うと主人公バンドの歌が上手くないような感じ。鴎外が「流水大説」を読むシーンがあって、多分この作品から解決のヒントを得たという伏線だと思うのですが、鯨さん自身がアレを読んでこの作品を思いついたのではないかと考えました。


    ↓2002.06

  • 西澤保彦「幻惑密室
    半分。目次を見て、短編集かなと思って読み始めたので、第1章が終わったところで軽くショック。これだけで犯人がわかるのか?と一瞬思ってしまった。某名作のように設定を活かし切ったものというよりはパズルだな、と今のところ感じています。しかしちょっと面倒くさくてまだ犯人を考えていません。キャラクタ過剰気味だけど、いままで読んだ西澤作品では一番キャラがいいかも。
     この作品より、前に読んだ「夏の夜会」のほうがキャラを描けていたように思えるんですが、それでも登場人物たちに全く感情移入できなかったのは、興味が持てなかったからだと思う。それよりはこっちのベタなキャラクタのほうが面白くて好き。意外な犯人としては、「酒屋の人(途中で外に出ていったのも彼)」というのが思いつくけど、多分これではパズルが解けないだろうし、難しい。
     読了。ハイヒッパーが二人いるとかいう反則技も考えたのだけどそれは無かった。「羽原が大言壮語?なのはハイヒッパーだから」とかいう伏線も考えた。今回はあまり驚けなかったけど割と面白かったです。


    ↓2002.05

  • 西澤保彦「夏の夜会
    6割ほど。淡々と進んでいっていいかんじ。表紙の絵はウソだけど、このイラストじゃなければ多分手にとっていなかったし、これはこれで良しとする。最後にひっくりかえすようなこともなく、爽やかに(ORいやーな感じに)終わるのではないかと思う。
     もうすぐ読了。一晩だけのお話なのか。それにしてもいいタイトルだと思います。意外な真相は予想の範囲内、しかしあまり論理的ではないので、お見事とも思わず。まだ何かあるだろうか?
     読了。ううむ。あっさりと終わってしまった。こういう話を、考えて書いているのだとしたらソレはソレで凄いと思う。著者の言葉に書いてあるとおりの作品なんだけど、ミステリの根本的なところの危機を描いているように思える。
  • 石持浅海「アイルランドの薔薇
    いまここに鮮やかに咲きほこる"本格"という名の美しい薔薇 ― 西澤保彦
    偽の真相がしょぼすぎて、誰も間違うはずがないだろう、と白けてしまった。島田荘司の短編であった数字錠と同じくらいアホらしい。それ以外は、あまり鮮やかではないものの、なかなか面白かった。ダサくない文章にしようとがんばってるさまが分かってしまうレベルではあるけど、読みやすい。最後の方の回想シーンの繋ぎが唐突過ぎてちょっと困った。

    ↓2002.04

  • 京極夏彦「百器徒然袋―雨」収録、「瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤」
    やはりこっちのシリーズでは京極堂のお払いは見られないのですか。それに妖怪の薀蓄もあまり無い。そういった理屈要素が少ないのが残念だけど、これは作品の傾向が意図的に変えてあるのだから仕方が無い。しかし、さすがに榎木津が主役というだけのことは有る。榎木津ファンになりつつある僕なのです。怪刀乱麻なとことろより、実は人情味があるんじゃないか、などと。真相(瓶のこと)は、(本物の場所)とか(理由)は少し読めたのだけど、ここまでややこしく、というか捻られるともう分からない。それでも納得させる手腕は凄いな、と思いました。


    ↓2002.03

  • 氷川透「人魚とミノタウロス
    病院を焼く業火に凄絶な推理がスパークする!
    現在40%ほど。くどいほどの心理描写にも慣れてきました。この文体では、映像的なスピード感が(速い・遅いに関わらず)無いと思っていたのだけど、これはこれで、別の速度が味わえます。頭の回転を読んでいるみたいで心地よい。しかし、わかりにくい冗談はやはり分かりにくい。実は冗談で言っているわけじゃないのか?とか思ってしまう。本当のところは、分かりにくいという事をウリにしているんだろう(これはあえて言ってはいけないことなのか…)。森博嗣の意味無しジョークに通じるものが有ると思う。冒頭のちょっとした「性別」トリックは見抜けましたが、多分先に作品の情報を得ていたからでしょう。「トイレの個室に入っていたのは女性だろう」とか考える。今まで読んだ氷川さんの作品で一番面白い。
     読了。伏線を見ぬけませんでした。真相はいつも、あまり好みではないのだけど、小説として面白いと感じ始めています。正直、前作まではこんなに面白かっただろうか、とか思いながら。

  • 京極夏彦「百器徒然袋―雨
    榎木津 怪刀乱麻!
    収録作、「鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱」読了。憂鬱 - 鬱憤 - 憤慨 と尻取り?になってるんですね。京極堂が彼らにどんな呪をかけたのか知りませんが、万能なのかこの人は、とか思いました。読み始めた頃は事件の酷さに憤慨していたのですが、読み進むうちに主人公と同じように怒りが収まっていきました。憑物が落ちたみたいに。

    ↓2002.02

  • 三雲岳斗「ワイヤレスハートチャイルド
    最初からミステリとしては読んでいないので(ヒントには気付いたけど、これだけから真相は決定できないだろう)、なかなか好みの作風。感情の機微が描けている、というと誉め過ぎかもしれないが、書くところと書かないところの、ライトノベルらしいバランスが好み。あと、人口知能(オートマトンか)とかロボット三原則のジレンマみたいな話が面白かった。それがもうすこしストーリーに絡んでくると良かったかも。
     Last Theorem

  • 秋田禎信「閉鎖のシステム
    なにがなんだかわからないよ!
    表紙のイラストから、近未来かファンタジーか、と思っていたけどきわめて普通の設定で、ミステリといより微ホラーな感じ。ていうかイラスト食い違ってるし。いろいろな意味で。読み終わって結論として「だからどうした」と言いたくなるが、それでも面白かった。秋田さんの文章が好きなので。あとがきの、缶詰日記?が一番面白かったかもしれない。一番最後のオチが分からなかったので、ちゃんとオチがあるのに僕が気づいていないだけ、という可能性も。

  • 氷川透「最後から二番めの真実
    逆さ吊りの女子大生を巡り美しい推理が炸裂!
    読み始める。現在2割弱。SFのP.K.ディックに同じタイトルがあるみたいです。今読んでいる第2章では後期クイーン問題が核心になっていますが、この問題はなんとなくしか知らなかったので丁度良いです。ただ、ゲーデルの問題は数学者でも間違って使っている人が多いらしいので、気を付けて読まないと(大学で習ったことはあるのですが)。「読者への挑戦状」の話とか、面白く、納得です。僕の場合、目次を見て「読者へ」の文字があるとフェアな物だなと安心して読めます。ない場合は、雰囲気で想像するしかなく、オチを読むまでヒヤヒヤしながら読むことになり...それがまた楽しいのですけど、この本のように、登場人物が「推理小説とは」と語っている場合は割と安心でき、さらに、主人公が推理小説について悩んでいる(?)場合はさらに信頼できます。
     読書進行具合は三分の一ほど。頭の中を描いているシーンが多くて、東京大学物語の村上みたい。(0.1秒)とか書き込んみたくなる。それ以外でもやたらと描写が細かいのは(叙述トリックでないということも含め)フェアであろうとするためでしょうか。
     現時点ではまだ不可能状況がはっきりとしていませんが、それでもトリックを考えてみると、「ロープは2本あった」とか「最初に目撃された時はまだ死体ではなかった」とか...どっちもぱっとしないので、多分間違い。
     半分突破。まもなく大胆な仮説?が明かされようとしているらしい。もしや「被害者はドアを開けただけで、部屋には入っていない」なんてことはないでしょうね、と心配する。最初の描写から気になっていたのだが、誰でも最初に思いつきそうなことが中盤で出てくるのだろうか。偽の真相、というか軽い仮説の一つであることを祈りながら。
     それは置いておいて。(最初は鬱陶しいと思っていたが、)思考が事細かに書かれているというのはいいかも。事件が地味なので、登場人物たちが細かく推理を披露し合わないと、読者が何も考えてないうちに終わってしまうかもしれないし。逆にいえば、物理的、時間的な情景より多いと思われる、この大量の思考シーン、これを読んでいると読者も(普段そうでない読者もである)色々と推理してしまう。氷川くんの思考に「それは違うだろう」とつっこみを入れたり、のろのろと進む推理合戦に、「自分ならこう発言するのに」とか、そう思っているうちに読者自身も作家との推理合戦に、いやおうなしに参加させられる。自分が思っている突込みも、ミスディレクションかも知れないのだ、と思うとゾクゾクする?鮮やかな解決編やビッグサプライズがウリではない、そこに至る過程こそがこの作品の味だと思う。まだ最後まで読んでいないので、どれだけ唸らされるかはわからないが、きっとこの道程があってこそ「論理の冴え」が映えるのだ。
     保安上の問題って何だろうか。窓が開いてたとか。
     「読者へ」。これはなかなか良い感じのアレですね。ここで推理をもうちょっと進めてみる。保安上の問題っていうのが「記録装置の故障」とかだと随分楽になるのだけど、警察がつかんでいないはずはないし、フェアじゃないのでありえない。今まで「ロープの位置関係から、窓ごしの犯行はない」と思い込んでいたが、まずそこから突き崩してみると...最初に思いついたのが「A:ロープを垂らしておき、女を殺害後ぶら下げ、ロープを登って屋上に脱出、結び直す」というもの。なんか笑えてきますが。そんな目立つ行動をするはずはなし、ドアの回数も合わないし、ハズレ。それよりも「窓に鍵がかかっていたか」ということに触れられていないので、多分アンフェアになってしまう。で、A:の前半部分だけを実行し、あとは「ドアから出る」のが現時点でベスト解答。犯人は「アリバイがなく、近くにいた丸子」。シンプルすぎるかな。
     読了。「美しい真相」のまま終わって欲しかった。そうすると論理的に矛盾してしまうけど、それなら問題設定自体を変えてでも...。そうすると推理小説として簡単過ぎるかもしれないけど。枝葉を増やして難しくして、偽の「美しい解答」と真の「ちょっと劣る解答」を用意するのはどうなんでしょう。ありなんですかね。細かいWhyの部分が良かっただけに残念でした。本当のWhyの方も魅力的なのだけど、印象に残らない。それは「会ったばかりの人の顔くらいわかるだろう」と言う部分に不満が残るためかも(十分注意して読んだのに、まさかそこでだまされるとは)。そのせいか最終的な答はご都合主義みたいでパワーダウンしてしまっている感じ。
     それにしても感想が長くなってしまった。
    ↓2002.01

  • 貫井徳郎「鬼流殺生祭
    「本格ミステリのハットトリック」山口雅也
    「傑作である」京極夏彦
    現在二割程。架空の時代「明詞」が舞台。そういうのはサクラ大戦が初体験だったのですが、歴史ものではよくあるのかも? 実に自然な文体。今まで読んできた明治ものが全部セピア色の懐古趣味だと思えるほど。いままで明治のいかがわしい感じが好きだったのだけど、これはこれで、文明開化が感じられて良いです。濃い家系図が「木製の王子」とカブってしまうが...同じようなネタが続きませぬよう(祈)。
     1/3程。屋敷の見取り図は襖なのか壁なのか分からない。つまり扉が明記されていないのだけど、部屋が接してるところは全部襖だと思っていいのだろうか。それにしても読みやすい文章です。
     現在半分程。もしかしてアリバイトリックものなのかと思い始める。プロバビリティの犯罪の香りも。
     ようやく読了。Howdunitでは悪い予感が当たってしまいました。いや、WhodunitもWhydunitも、Howと一体になっているのですが。Whyの部分は、結構いいかげんだと思う。 (「閉ざされた」家系の「隠れ」キリシタンだからこそ、自殺を隠す必要はない、外部から見ればクリスチャンの自殺ではなく、ただの自殺だ)と思うのだけど。読み終わってみると、「だから何?」という感じ。ある意味一発ネタであるし、細かいところはどうとでも書ける(架空の時代)設定で、ズルい。そのために架空の時代にしたのかとまで思える。ヒントや伏線も頭の方に固まっていて、バランスが悪いように思う。それから源内さんは平賀源内をイメージさせるけど、これは「ミスディレクション」?いや、平賀源内は江戸時代の人だから、この源内さんが別人なのは分かるけれど。最期の最期に明かされるお蝶の真相も取って付けたようで、伏線や設定が全然活きてこないし。しかも参考文献を、ネタばらしになるから挙げないとは...一番驚いたのはそのことかも。文章は好きなのだが... 
    ↓2001.12

  • 新城カズマ「浪漫探偵・朱月宵三郎2 無謬邸は暁に消ゆ
  • 推理するとは、疑うこと。
    探偵するとは、信じること。
    浪漫探偵術、推理合戦、密室講義、論理、毒薬、怪人! 豪邸、一族の家計図、双子、 執事、メイド、美少年、美少女、眼鏡少女、鞭、前口上、演劇部、女学院、 アリアザーン、少女人形、変態猟奇趣味、六連発銃、騎兵少尉、絶体絶命! 西澤保彦的な設定トリックと、ドグラマグラ的脳髄ケレンが好みなら、是非とも楽しまれよ!Parva leves capiunt animos
    …でも前作よりマトモなのがすこし肩透かしでしたが。大崩壊レベルも劣るし。 乙一さんの本(の著者の言葉)に「かきあげ丼」のことが書かれていた気がするが、もしや...

  • 山口雅也「キッドピストルズの慢心 パンク=マザーグースの事件簿」
    不思議の英国で起きた五つの怪事件!
    一編読了。キッドピストルズというのは、なんとか少年探偵団みたいなものだと思っていた。その間違いを正せただけでもこの本を手にとった価値がある。しかもパラレル英国という楽しげな舞台が用意されているのなら読まない手は無いというもの。...なんだけど、この1つめの話は一体?解決が無いのは番外編的扱いだから、ということを祈りながら読み進める事に決定。
    靴の中の死体 ―クリスマスの密室―」読了。マトモでした。雪密室のトリックとしてはあまりにも単純で、ありきたりでは?死体の状態の理由も、わかりやすい。初心者でも安心して挑める作品かも。しかし文体は一つ目の話のほうが読んでいて面白かった。

  • 太田忠司「上海香炉の謎
    現在2/3ほど。文体は非常に読みやすい。売れない文筆家?という探偵役も、妹で同人マンガ家のワトスン役も面白い。でも特に魅力的な謎のシチュエーションでもない、というか、どうもリボンを使った物理トリックの方向に頭が行ってしまう...。(ドアが外開き)というのがあるだけに、他の部分に推理が進まない自分がいます。
     読了。最初から条件がユルいので「いろいろありうるな」という感じが残る。これしかない、というような美しい論理を見せて欲しかったのだけど、どうやらそういう作風では無いみたい。解説にあるような「エヴァ」のようなテーマの深さというのは全く読みとれませんでした。

  • 柄刀一「アリア系銀河鉄道 三月宇佐見のお茶の会」
    噂の新鋭が放つロマン本格の精華。
    「言語と密室のコンポジション」...さっぱり分かりません。本当にこれが評判の良い作品なのか、と思ってしまった。ちょっとした蘊蓄の部分は好きだけど、メインの言葉遊びがどうにも。解説を読まなければあれには気付かなかったです。
    「ノアの隣」(キリンの首の)進化の謎は面白い。方舟トリックは大体想像がついてしまったし、あんまり美しくないような。文章や世界観は読んでいて気持ち良いのですが。
    イラストは森博嗣夫人のささきすばるさんだったのか。「探偵の匣」...前の二編と比べてあまりにも普通な事件、しかしどこか感じる違和感...なるほどこういうことか。これは凄い。予想していた結末を更に上回るこのアレさ。
     「アリア系銀河鉄道」...これは良いなあ。身近な物から壮大なロマンへ展開し、しかもSF的ロマンと、ミステリ、ファンタジー的なそれが絶妙にマッチしています。好奇心を刺激し、あるいはそれを実現するものはすぐ側に転がっている、かもしれないと思わせてくれる。
     「アリスのドア」最高のパズルでした。一歩手前まではたどり着いたのですが、薬の効果がどうしても分かりませんでした。閉ざされた空間でこういった問題を考えると自分で思考に枷をはめてしまうようです。本の素晴らしさを教えてくれると同時に、外の世界にも目を向けてあなたのなせることをセよ、と言われているようにも感じる。


    ↓2001.11

  • 鯨統一郎「九つの殺人メルヘン
    有栖川有栖氏推薦!「これは一大事だ」
    9パターンのアリバイトリックを童話と結びつけて解いてゆく短編集。第一話「ヘンゼルとグレーテル」はミステリ部分はとくになんということもなく読みました。
     第二話「赤ずきん」のメルヘン部分は文学の授業で習ったこともあって、うまくまとめられているのが分かるのと同時に、著者のオリジナリティも分かる。トリックのほうはかなり疑問が残る。主に二つの要素があるうちの片方(死亡推定時刻)は考えたとおりだったのだけど、「視覚失認症」については納得できない。(死体を認識できない人が、医大生をやっていられる)のだろうか?(死体はともかく、届けられた商品が分からないほどなら、日常生活もできないぞ)、ト思う。無理やりという感じがします。
     第三話「ブレーメンの音楽隊」童話の解釈の方は聞いた事が無くて面白く読めました。トリックは...ギミック系と勝手に僕が分類しているタイプのもので、なるほど、と思った。しかし、だれか使っていそうなトリックでもある。ここまでの話、毎回同じセリフで落ちるんですか、元ネタがわからない。
     第四話「シンデレラ」ヒントが目立つので、糸口はつかみやすいと思う。メルヘン部分は、どこかで聞いたらしく、記憶に微かに残っていました。僕の聞いた話ではシンデレラの味方の鳥たちは、最期に継母や姉達をつついたり、えぐったりしてました。
     この短編集はバーの会話のみで推理が進行する、安楽椅子探偵ものであります。会話はミステリ部分とメルヘン部分の他に、舞台が日本酒バーなので酒の話、それともうひとつ毎回変わるネタの話があります。しかし、CMとかバンドのネタが古過ぎてわからない…。学生が読むには辛いものがあるかも。
     第五話「白雪姫」。僕の聞いた話では父親のことがもっとダイレクトでした。童話の真相というと性(セックス)の暗喩が多いですが、子供に教えなくては行けない事で、しかもあまり 直接的な表現はできないような事なので、実際童話にはそのような教えが託されているのでしょうか。昔は物語に力があったからこそできた事なのかもしれないが、比べると最近の童話,昔話というのは全く含みが無くて面白くないです。ここまでは本編と関係無く、勝手に想像した事です。ミステリ部分は、(「見えない人」は、見えるだろ…不自然だし少なくとも救急車の運転手は気付く)はず。
     「長靴をはいた猫」は、メルヘン部分もミステリ部分もとくに感動は無し。「いばら姫」「狼と七匹の子ヤギ」は、メルヘン部分は面白かった。でもミステリになっているのか疑問なほどで、探偵役がいなくても時間と人手が解決してくれそうな程度のオチと思う。
     第九話「小人の靴屋」。ある程度予想していた落ちで、第九話が始まった瞬間に全て見えてしまったのだけど、それでも意外に爽やかな読後感が味わえました。
     ジャケットや本文のイラストは好み。カッパノベルスの装丁は嫌いで手にとるのも嫌だが、こういうデザインもできるなら、他の作品も頑張って欲しいと思った。

  • 二階堂黎人「名探偵水乃サトルの大冒険
    誰が?なぜ?どうやって?本当?
    名探偵水乃サトルが挑む、四つの怪事件!
    収録作「ビールの家の冒険」は西沢保彦の「麦酒の家の冒険」のオマージュ、というか「私ならこう解く」という作品みたい。同じ謎に取り組むアンソロジーもいいけど、別々の本にさりげなく載っているのも楽しみがあります。西沢さんのはちょっとダルかったけど、短編ならちょうど良いネタ。真相は大体解りました(本当はもう少ししょぼい真相として「安いビールをヱビスに偽装」というのを考えたのですが...これだと割に合わない)。ヱビスビールを片手に読む事をお薦めします。
     「ヘルマフロディトス」はどいういう意味かと思って調べたら、アンドロギュヌスの典型らしい。暗号ものだけど、解く気になれなかった。お話としては、文体も含めけっこう好き。
     「『本陣殺人事件』の殺人」僕は元ネタを読んでいない(OR覚えていない)ので、残念だが読む事はできません。
     「空より来たる怪物」UFOの正体は予想していた通りだったのだけど、それでも「答えはこれしかない!」というスッキリした感じがしない。他の推理の部分もそうで、いくつか考えられる真相の一つ、という程度のインパクト。サトルが言った事が答えになる、つまり真相が真相足り得るのは名探偵がそうだと言ったから…という感じか。しかし実はこの作品群は皮肉っぽいスタンスで書かれていて、しかもパロディ作品なので、狙っているのだろう。
    今まで二階堂黎人といえば二階堂蘭子と思ってました。でも水乃サトルのほうが好みかも知れない。サトルの何でもあり的なマニア加減と、ネタが面白い。

  • 「Y」の悲劇
    E・Qに捧げる文庫書き下ろしアンソロジー
    収録、有栖川有栖「あるYの悲劇」。 思いつきの、軽い一発ネタにも思えるが実は、DMそのものはなかなか面白い。(寝惚けている時とかにノートを取っていると)こんな風になりますね。つい先日「壁に書かれた矢印の向きのこと(一般論)」について話し合っていただけに、気付かなくて悔しい。いや、「DMの場所が不自然」だという事には気付いたのだけど、発展できなかった。「Y」がフライングVみたいだというのも面白い。
     二階堂黎人『「Y」の悲劇−「Y」がふえる』。 簡単に気付いた、殺害方法?は面白いとも言えるが、フーダニットやメタの部分は何かが不愉快。何か勘違いしてないでしょうか?(部屋の見取図とかを書いたのが全く無駄になりました)。「隣の部屋だけ、壁が岩のまま」なのは絶対に変だと思っていたとおりで、やはりご都合主義という印象を残しました。「内」の書き順も間違ってるはず。もう一つ気になる点、(中性子爆弾って、人間がフッ飛んで頭を打つほどの衝撃があるんでしょうか?)うまく書けば森博嗣のある作品みたいに、綺麗な話になったかもしれないな…と思ったり。
     篠田真由美「ダイイングメッセージ《Y》」この作家にはマイナスの先入観を持っていたのですが、楽しめました。雰囲気とか小道具も小説としてなかなか好みです。ただミステリとしてどうか…というと辛いものがあります。普通なら僕も、面白ければ別にかまわないと思うのですが、『「Y」の悲劇』という名前のアンソロジーに期待されるものとは違うような。二階堂黎人はネタとしてあんなこと(「XYの染色体記号だとか、そんなありふれたものではあるまい…」という部分)を書いているのでしょうか。未読の方々に警告です:作品は収録ページ順に読まないとひどい目にあいます。篠田さんの作品にも手を出してみようかな。
     法月綸太郎「イコールYの悲劇」。偽の真相は、タイトルを見た時に思いつきましたが、真相はちょっと難しいというか、これは解らないんではないでしょうか。「メモ書きが二枚に渡っていた、等あれ意外にメッセージがあった可能性」については思いついたのですが…。文章は一番読みやすかったみたい。


    ↓2001.10

  • 物集高音(もずめたかね)「血食 系図屋奔走セリ」
    この文体、この博識、この名探偵!
    読書中...タイトルとジャケットのセンスに魅かれ、巻末の著者紹介?を見て、完全に読みたくなった作品です。舞台は昭和初期、その雰囲気を良くあらわした文体。京極作品の妖怪蘊蓄を系図や家紋の蘊蓄に置き換えたような作風ですが、その知識と謎との融合はおそらく京極より高田崇史に近い形に落ち着くのではないか…と思いながら読んでいます。民族学や民俗学の本を読んでるみたいな気分。参考文献のリストだけで九頁もあるのだから凄い。
     読了セリ。解決の多くは注意力の問題に、姓と家紋が一致しないというパズル的の内容であるが、物集クンの筆にかかるなり途端衒学的になる。意外な事には、極めてマットウな探偵小説であった。 ただ最期に明かされるアレ(移植手術)は唐突過ぎるのではないかしらん。


    ↓2001.09

  • ジェイムズ・エルロイ「キラー・オン・ザ・ロード
    あんまり代表作でもなさそうなのから読んでしまったけど、なかなか面白かったです。シリアルキラーものなのに、ある意味共犯関係の人間がいて、そのへんが読んでいて楽しめた。完全に暴力とセックスの作品だなという印象。ほかにも、裁判のシーンとそれ以降が良かった。次は現実の事件を元にしたというブラックダリアでも読んでみるかも。


    ↓2001.08

  • 古処誠二「九五年の衝動
    自衛隊シリーズの短編で、話のメインは戦時中の毒マスクに関するもの。しかし歴史マニアの友人Hが言うには、ニューギニアは戦略的価値がなく終戦まで持ちこたえたはずらしいのです。ちょっと気になるので休みに資料を調べてみよう。
    追記:その後「戦争論」などで読んだところ、戦死者はあまりいなかったものの、餓死やマラリアが多く、悲惨だったようです。
    ↓2001.07

  • 乙一「夏と花火と私の死体
    せつなさの達人、乙一初挑戦です。 ミステリー要素が多いし、ホラーらしいので広義のミステリーととらえました。倒述ものといえなくもないし。読んですぐ気になったのは、「視点」のこと。若い人が書いた小説は大抵、視点のぶれが指摘されるんですが、この作品については、「ぶれ」ではないと思います。「わたし」は「死んでいる=幽霊?=人を超越してる」のだから、視点の問題も、第三者の心情も、ワザとだろう…と思う。まだ読了してないのだけど、いまのところ特に響いてくるものはないです。でも、17歳の時にこの文章を書いたのかと思うと、たしかに凄い才能なのかも。
    読了。表題作はなかなか独特の読後感。ただ、売りであるはずのサスペンステイストな部分には全然ドキドキさせられなかった。それよりも、「優子」のほうが好みの作品。実は少し読んだだけでラストが想像できてしまって、その通りになるのか、捻ると見せかけて捻らないのか、その辺が気になってしょうがなかったです。それは置いといて、押し付けがましくない、なのに文学的な香りが好ましい。この著者の魅力は小野不由美さんの解説が過不足なく表していて、これを見ると本当に、他に言うべきことは無いという感じ。自然体の著者なので、こちらも誉め方としてはただ「良いよね」という程度で済ましておきたいところです。

  • 秋月涼介「月長石の魔犬
    欲望と退屈、犬首死体と救い。
    究極の境界線ミステリ登場!
    現在四分の一。最初、キャラの名前にちょっと引きつつ、期待しないで読み出したのだけど、なかなか良い感じ。固定ファンがつきそうな作風で、すでに成りかけている自分がいます。特に文体がしっくりきて、人物の気持ちが伝わってくるので、感情移入しやすいです。多分このキャラの名前のせいで、設定などの些細な点は気にならなくなる、という魔法にかけられているのでしょう。現代の謎御伽衆・秋月涼介に、このまま魅了されてみましょうか。(死亡診断書の細かい描写・薀蓄はグッド)
    読了。首切り、手首切りはトリックというよりストーリィ。なかなか楽しめました。

  • 夏緑「理央の科学捜査ファイル2 赤い部屋の殺意
    「あの赤い部屋のせいだったんだ!」
    18年前、猟奇殺人が起こった山奥の洋館――
    二重の密室となった赤い部屋で、再び惨劇の幕が開く!
    設定はなかなか本格的なんですが、いわゆる神の視点というのか、主人公以外の人物の心情も描かれているのが本格ミステリらしくないです。これでは犯人を絞るのが簡単になってしまいます。つまり、恐がったり驚いたりという内面の描写がないのが犯人…であるはず。その先入観を活かした叙述トリックも絡めてあるならいいのですが、半分読んだ今のところ、かなり心配。前作はどうだったでしょう?ほとんど主人公と連れだけで話が進んでいたので、この問題が表れなかったのではないかと思いますが。あと、少しイラストが下手になっているような。
    「煙か土か食い物」以降、何を読んでも刺激が足りなくて困ってします。その逃げ道は、逆ベクトルで高田さんや白倉さんの短編、こういったジュブナイル風のものになるのですが、本当は早く「マトリョーシカ」を読まないと…。
    読了。先日買った珈琲豆を、今度は紙フィルターで淹れてみました。懐かしい香り、懐古的というよりちょっとノスタルジィな味がして、ちょうど今読んだこの本のようだなと思いました。今回は心情的に理解できないところがあったり(特に最期)、犯行方法にもちょっと不満があるのですが、主人公の理央に免じて黙っておくことにします。終わり良ければ全て良し、爽やかな読後感をありがとう、です。


    ↓2001.06

  • 蘇部健一「動かぬ証拠
    完全犯罪崩壊の決定的瞬間が最期の一頁で明らかに!
    最後に一目瞭然の証拠品イラストが示されて、謎が解けるという、クイズっぽい短篇集。最後のページの絵が微妙に透けて見えてしまうのが悩ましいので、なんとかして欲しいのですが…。一枚白紙のページを作るとか。 「しゃべりすぎの凶器」は、間違いなく「指紋」がらみだと思って、僕の出した答えは、犯人は「骨折でギプスをしていた」、というもの。これはほぼ当たってたけど、たしかに正解のほうが設定を活かしてる。 「逃亡者〜片腕の男」は「相棒という意味の片腕」だと思ったけど、それではイラストに出来ない…こういうメタな視点で謎を絞れてしまうのはちょっとアレですが。なんでもありになってしまうような、この正解はちょっと許せない…が直前の一ページだけから絞り混める。 「黒いフェラーリ」…今気付いた。だから黒いのか。このダイイングメッセージは絶対、犯人も気付くと思うのですが。形とか…。納得は出来ないが、あまりにも簡単な問題。
    ミステリーを書く人はなんらかのポリシーを持って欲しいと思っていたが、この人はそういうものはないんでしょうか。「頭の体操」レベルの推理クイズで、いまどき本が出せるなんて。それでも読み勧めているのだから「六とん」の時に比べて、随分自分は寛容になったことよ、と思う。著者近影はすごい。
    「天使の証言」。これは正解がわからなかった。 「禿げでもできたか」と思ったのですが。伏線も先入観もうまく活きていると思います。それでも「転校生は宇宙人」で読むのが辛くなってきたので、面白かったと思えるうちにこの本を読むのをやめることにします。

  • 積木鏡介「歪んだ創世記
    とびきりの奇想ととびきりの曲芸
    ミステリーというかファンタジーというか…コズミックよりよっぽど怪書。 ここまでおかしな構成の本は読んだ事が無いかも。(ゲームブックのようでもあるけど…。)本書くミステリのひとつの限界?読み手にここまで要求する小説も珍しいと思います。情景描写も癖があるので、ベッドで読んでいたら、頭がぐるぐるして夢を見ているのか本を読んでいるのか分からなくなってしまった。ところで(カバーを無くしたら完結しなくなるんじゃないか)、ということが気になる。


    ↓2001.05

  • 氷川透「真っ暗な夜明け
    本格の正面突破 ― 島田荘司
    10年前の作品だと言われたら多分信じられそうな、新本格なミステリィ。ただし、肝心の、凶器についての推考がとても甘い気がしました。島田氏は、人物が描けていると言う。仲間が死んだのに論理論理で犯人を推理する人物像はリアリティが無いように思えるが、実際親しい人が死んだときは、精神は落ち着こうとして頭脳に何らかの労働を強いるものだろう。そもそも、ミステリィで人物を描く必要などないのだが、それが気に入らないという人は、ミステリィとはSFかファンタジーだと思って読めば良い。現実世界と同じ物理法則が働いて、でも倫理や心は別の働きをするパラレルワールド。ところで「これは推理小説じゃない」という台詞は新本格以降の作品では(例外無くと言ってもいいくらい)必ず見られけど、他には「動機なんて本人以外にはわからない」というのが最近の流行みたいですね。

  • 清涼院流水「ユウ 日本国民全員参加テレビ新企画
    最高傑作出現!!テレビ画面の中にいた、自分とそっくりの赤の他人は誰だ!?
    大人気テレビ番組の高視聴率獲得システムを解き明かす、本格テイスト溢れる傑作新世紀ミステリ!
    特に何の感想も無い。二通りの読み方も、なんて事はないと思ったし…。最近気付いたのは、二度読みして伏線に気付いて貰いたくてあんなことを書いているのだろうか、ということ。それにしてもこの帯の売り文句は面白くなさげだ…。
     幻冬舎

  • 清涼院流水「カーニバル・デイ
    流水大説の読後感を爽やかと感じるならば、それはあとがきに依るものだと思っている。なんというか、使命感に燃えて自分を痛めつけながら書いているかのような雰囲気を、あとがきだけで醸し出していると思う。そして我々読者も1000ページに及ぶ苦行を終えたところなので、なんだか「同じ苦労を持つ者」な気分になり、作者とのシンクロ感が得られるというわけだ。そういう風に、流水大説の読者へのアプローチの仕方は非常に斬新で、話の内容それ自体とは関係無く、読者の(読み終えたという)経験/事実に頼っている。その作風?を活かし、ミステリィに組み込んだのがこの「カーニバル・デイ」だと思う。ある書評で「人は生まれつき獣人と神人にわけられる」というオチだ、と書いてあったが、見落としがある。このトリックは話の中でだけ完結したようなトンデモ系のものではない。この本を読む事で、読者自身が犯罪に関わり、そして裁かれる事になるのです。

  • 古処誠二「少年たちの密室
    へたくそな推理小説にうんざりしている人に ― 恩田陸
    本格推理として売るのはもったいない気がします。この作品で登場人物たちは「推理小説の登場人物の役割」を果たすために居るのではない。それぞれに訴えたい事や、復讐したい事があって行動している、生身の人間です。この人物描写、テーマ性、作者の底力を感じます。密室とは何か…?読み終わったらもう一度タイトルの意味を考えて欲しい。最後に少し出てきた名古屋の話は良かった。
     half wit life

  • 新城カズマ「浪漫探偵・朱月宵三郎 屍天使学院は水没せり
    怪人<夕闇男爵>が甦った!?
    本から甦る怪人たち。封印の鍵<アリアザーンの涙>を継承する少女・真夜を護るため、浪漫探偵、見参す!
    蓬莱学園を書いている人なんですかね?数ページ読んだ感じでは、探偵小説の浪漫が分かってる人っぽいので期待大。
    --- 本気がジョークか分からないが、新本格/本格以前、クイーンやクリスティ以前の実に懐かしいノリとネタ。具体的にはエドガー・アラン・ポー、江戸川乱歩の時代のネタ。新本格作家が本格古典のネタを持ってくるみたいな感じではなくて、もっとパロディというか笑えるというか…。この人は探偵小説の何たるかを分かっているなあ。 (新本格の登場人物が推理小説を揶揄するのは違和感があるが、この設定/キャラだと実にしっくりくる。)さらにホラーや怪奇小説の薀蓄もかなりのものらしく、実に豊富なネタからは作品への愛情が感じられる。そして独特の表現。何冊か読んだ富士見ミステリでは一番面白かったかも。
     散歩男爵 --- 公認ファンサイト

  • イタバシマサヒロ「月が射す夏
    月に帰ります
    ミステリィというより、普通の小説。謎があるだけで、特にトリックも探偵も無いですが、夏の空気、田舎の空気が伝わってきてなかなかいい感じではありました。一番よかったのはあとがきかのエピソードかも。読了後、「まんがひろば」にて50円で売却。


    ↓2001.04

  • 積木鏡介「魔物どもの聖餐
    数十ページで断念。ここまで受け付けない小説は久しぶりかも…。文体が駄目、ストーリィがダメ、描写がだめ、生理的に受け付けません。この作者に実力がないというつもりはないが、自分にとってこんなに読みにくい本があるとは驚きです。唯一気に入った点を挙げると、いきなり第3節から始まっているのがトリッキーでいい感じ。構成から魅せてくれる人は好きだ。幸い、読みたい本はまだまだ列をなしているので、今回は潔くあきらめよう。この小説とは縁がなかったのでしょう

  • 上遠野浩平「殺竜事件
    不死身の竜は、誰に、なぜ、いかにして刺殺された!?
    ファンタジーとミステリィの二重奏だそうだけど、ほとんどファンタジーだという印象。トリックとかも別にないし…。世界観というか、こっちの世界との繋がり方が面白い。ただ、ブギーポップに比べるとずいぶん分かりやすくて、その分物足りない感じでした。 ブギーポップはテーマ、文体、タイミング、イラスト等が奇跡的にマッチしたものだと思う。今のところ上遠野さんの本であれを越えるものは無いように見える。

  • 古処誠二「UNKNOWN(アンノン)」
    メフィスト賞に異変!?熱く端正な本格ミステリ。
    防衛部調査班・朝香二尉、密室の謎と対決!
    実に端正でストレート。マトモに本格的ですが、トンデモ要素やドンデン返しがないところがメフィスト賞っぽくないかも。(やけに薄いけど、ページ制限を変えてからの投稿作なのか)自衛隊の、しかもレーダー基地の内輪の話は楽しい。後で思い返してみると、意外にトリックがしょぼいことに気付く。それ以外の部分が良かったので気にならないのだろう(誉めてます)。
     half wit life

  • 殊納将之「黒い仏」(「このミス」6位)
    名探偵が世界を変える!
    騒然、驚倒。ミステリ新世紀の幕開け。
    またか ― あの方はどこにでも現れるのか? とgMAは呆れる。一々驚くことに疲れたかの様に。(彼の横には久しぶりに本棚から抜き出してきた短編集が置かれている) この作品を読んで「大いに笑った」という読者が多いようだが、gMAにはどこが面白いのか分からなかった。ただ冗談のような作品だが、その冗談の部分を除けば、まったく普通のミステリィとして楽しむことができる。そして除かないなら、名探偵の「真実はいつも一つ」というスタイルに対する何らかの警告として受け止められるだろう、と思う。しかしそれが解釈の限界であった。それはともかく、この人のスタイルは好きだ。例えば挑戦状の代わりに載っている文章である。
    ↓2001.03


    ↓2001.02


    ↓2001.01

  • 鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?
    九州?畿内?そんなところにあるもんか!!
    表題作の他に仏陀の悟り、聖徳太子の存在、明智光秀の謀反、明治維新、イエスの復活、についての短篇を収録。一番ミステリっぽいのはイエスの話で、なかなか面白い。仏陀や明智(と信長)の話は大した衝撃もなく「ふーん」と読み流し、明治維新は知識が足りないので良く分からなかったです。一番驚き、面白かったのはやはり邪馬台国の話。地名、語源の話に納得させられました。


    ↓2000.12

  • 夏緑「静寂の森の殺人」(富士見ミステリー文庫)
    「やっぱりこの人がファントムだったんだ!」
    山で見つけたピアス。それが事件の発端だった。理系トリックを駆使した本格ミステリー登場!
    ジュブナイルのような懐かしさと瑞々しさがある。病院のシーンでは清潔な空気が、 怪我をするシーンでは痛みが伝わってくる、この文体はかなり好み。作者にとって原点回帰の作品だそうですが、本読みとして僕も原点回帰させてもらいました。
    「小説が書かれることは、人生が一度しかないことへの抵抗である」(北村薫?)
    それと同時に、人生の可能性にも気づかせてくれるのでは?この作品では少し変わった見方を提案してくれます。
     夏緑のページ--- この人のプロフィール、なんかスゴすぎです
    ↓2000.11

  • 富士見ミステリー文庫、舞阪洸「亜是流城館の殺人
    やっぱ、温泉とビールよね
    気になっていた富士見ミステリーを買ってみる。後で良く考えたら、一番期待できそうなのは「静寂の森の殺人」だったのだが、この時は目に着かなかったので「亜是流城館」を買ったようだ。意外だったのは2話収録されていたこと。1話目を読んだ限りでは、かなり軽いです。まず魅力的な謎がないのが痛い。トリックも無い。伏線も無い。しかし探偵役が「殺人者の心理」について語る時、森博嗣や京極夏彦と同じようなことをいっているのが、非常につりあわない感じです。
    この本には「名犯人」は出てこないです。人を殺す人のことは誰にも分からない、というのはいいとして主人公以外のキャラクタがまったく描けていないので、犯人に全く感情移入できない。というか、登場シーンすらほとんどないんですが…第1話でもそうだったし。それと、1級建築士はいったい?(そういえば、ミステリ研メンバーが主人公なのに マンガネタの会話の方がが多かったなあ。)

  • 清涼院流水「カーニバル
    全然完結してないです。楽しみにしていた後書きもないです。カーニバル・デイは後日談だと思っていたけど、そっちが解決編のようで、カーニバルイヴ→カーニバル→カーニバルデイと、完全に続きものです。それは置いといて一応感想を書くと…。世界各地の観光名所で事件が起きるので、観光気分が味わえます。起こる事件は相変わらずでたらめで、しかも細かい解決は無視されそうな感じ。流水さんは、トリックは置いといてとりあえず思いついたネタ(謎)だけ書きまくっている見たいですが、その意図はおそらく、 「事件」を描き尽くして、他の人が書けないようにする→ミステリ・バブルの崩壊 を目指しているのでは?というか今回はSFかと思うほどわけの分からないハイテクが出てきます。宇宙人とかいう落ちのないことを祈ります。
    ↓2000.10

  • 二階堂黎人「バラ迷宮
    二階堂蘭子が暴く完全なる殺人
    人間の自然発火、降り注ぐバラバラ死体……難攻不落の6つの謎
    収録作、「サーカスの怪人」。乱歩作品のような雰囲気。語りと謎の呈示はかなりいいのだけど、解決編が急に科学的なのがガッカリ。二階堂黎人の小説を読むのはまだ2回目ですが、法月が殉職者として苦しんでいるのに対して、この人は素で書いている感じがします。
    喰顔鬼」やはりこれも、乱歩テイストだが解決が科学的。思い付いたトリックに、話をくっつけてる感じか?話は好きです。

  • 清涼院流水「カーニバル・イヴ
    人類絶滅へのプロローグ!そして、JDCのエピローグ!?
    まだ読んでいる途中ですが、読むのを止めるかも知れないので今のうちに感想を…。(今回は先にネタバレ批評を読んでしまったので、モチベーションの半分が失われてしまった)流水さんの作品がやたらに長い理由は二つあると思います。一つ目は、アナグラムや広大な見立てを揃えるための材料を増やし、また同時にめくらましをするため。もう一つは、状況説明がくどいこと。それから、前二作には「まだ誰も気付いていない謎」というべき大きな仕掛けはないのではないかと思いつつあります。彼がミステリのインフレを極限まで高めて破裂させるというのなら、そこに裏の意味は必要ないと思うからです。作品中で明かされていない仕掛けがあるとしても、それはすでに作中で探偵たちが述べた推理や、真相以上のものではなく、アナグラム等の上をいくものではない、、、これが現時点でのgMAの予測です。
    それでも何故今まで読んでいたかというと、流水さんは今まで誰もやらなかったような 本の書き方をしていて、それを見るのが楽しい、そして読んだ後にグチるのが楽しいというのもあったのかも知れません。僕が思うに流水さんは、サービス精神が旺盛で、けなされまくることも考えた上であの様な本を書いているのではないでしょうか?
    幻冬社から最近出た作品、あれを読めば清涼院流水のことが何かわかるかも知れないと思っています。みたところ構成も文体も普通なので、素の実力が見られるのではないかと。



    ↓2000.09

  • 高里椎奈「銀の檻を溶かして 薬屋探偵妖奇談」
    本格ミステリとヤングアダルトのアルペジオ − 大森望
    とりあえず、面白かったです。最近妖怪ミステリ、伝奇ミステリがはやってますが、 これは本当に妖怪が主人公です。ついでに言うと、西澤さんの作品が、犯罪自体に超能力が使われているのに対して、この作品はトリックには妖怪の能力は使われていません(多分。)。 howよりwhyの傾向が強いと思いますが、「挑戦状」を用意できるタイプのミステリではなくて、十分なヒントが足りてない気もします。ミステリィの要素以外の描写や会話はわりとほのぼのしているというか、言われているようにヤングアダルト系のキャラの乗りがあります。気に入ったので続きも読むつもり。

  • 京極夏彦「絡新婦の理
    かなりすごい作品であると思います。終わりは始まり。事件の終りはエピローグの前にあり、エピローグは終りと始まりの輪の外にあると思ったのだが、実際は、、、
     この作品は京極夏彦の過去の作品に深く関わり、今までの構図を書き換えてしまうような印象があります。森博嗣が「次はどうするのかと思っていたら、全部ひっくり返してしまった」と言っていたのはこの作品の事だったと思います。実は昔の作品の登場人物をよく覚えていないので読み返してみないと本当のところは分からないのですが、、、
    ↓2000.08

  • 藤木稟「陀吉尼の紡ぐ糸
    とてつもない異界への扉が開く!
    表紙には「新本格推理」と書いてありますが、いわゆる新本格のノリではなくて、伝奇ミステリというべきです。トリックは江戸川乱歩レベル?よくいわれるように京極夏彦の作品に雰囲気が似ています。それに、「狂骨の夢」に出てきた重要な要素と、この作品の重要要素がかぶっていますし、それに中心の謎ではないですが、さりげなく「鉄鼠の檻」とおなじ謎があります。そのへんは気になったけど、けっこう楽しめました。寝ているのか醒めているのか分からないような、曖昧モコとした描写はうまいと思います。独創的かも。
    ↓2000.07

  • 清涼院流水「ジョーカー
    『コズミック』をはるかに凌ぐ、華麗なる飛翔 ― 小森健太郎
    「コズミック」を読んだ後は、もう読まなくていいと思っていたのですが、なぜか気になって仕方がなく、結局2冊目をよむことにしました。流水小説にはまりつつあるのかも。 文庫で「コズミック」と「ジョーカー」が4冊出ていますが、今の所、順番を変えて読んでも新たな読み方が出来るとは思えません。(文庫版を読んでないし、その読み方もしてはいないのだが)「19BOX」も、どこから読んでも同じ結末になるような気が するのですが、、、漫画の「カメレオン」みたいに、流水はハッタリの人では?と思える。しかし、それでも楽しいから読んでいるのです。
    アナグラム&見立てをするために「」とか「キリギリス」 とか無理な名前(人名です)を使うのはひどいと思います。流水のミステリがいつも長くなるのは、アナグラム&見立の材料を増やすためなのでしょうか?しかし、それなりに楽しめたのが事実。というより、ミステリに対する考え方が私gMAと流水は似ているような気がするので責められません。そのせいか、作品より作者に興味が出てきました。僕は法月に対してもそうなんですが、作品が余り好きになれなくてもそれを書いている人のことが好きになる場合もあります。


    ↓2000.06

  • 河出文庫「不思議の国のアリス・ミステリ傑作選
    ミステリ傑作選となっているけど、ファンタジー風のものが多いです。
    干からびた犯罪」(中井英夫)これはなかなか良かったです。とくにアリスに持っていくまで(?)がうまい。
    不思議の国の殺人」(邦正彦)世界観が好み。古い作品なのに、地の分は京極夏彦、会話は森博嗣風、かも。アリスネタはどうしても「チェシャ猫」「帽子屋」など 登場人物?に偏りがちですが、この作品はシーン(場面)だけをうまくモチーフにしているのでは。
    今までに読んだアリスミステリでは、綾辻と北村薫のものが良かったです。ネタバレになるので、タイトルは明かせませんが、、、
    ↓2000.05

  • 清涼院流水「コズミック世紀末探偵神話」
    新本格ムーブメントが生み出した悪魔的大怪作
    あまりの結末に唖然。現実性の全く無い謎解き?ですが、そうであることは(作風のため、メタ的に)最初から分かっているので、フェアであると思います。ようするにクイズか何かだと思って読めばいいのでは。ミステリというよりは漫画的エンターテインメントなんでしょう。19という数字が強調されているのは、これを書いたとき作者が19歳だったから?

    清涼院流水「19ボックス 新みすてり創世記」
    森博嗣が各章ごとに引用されているのが、なんだか嬉しいです。4つの話から構成されていて、どこから読むかで内容(エンディング)が変わる、というのが売りですが、とてもそうは読めませんでした。話自体よりも、構成、アイデアは面白いと感じました。言葉遊びはレベルが低いような気もしますが、最近は「自分の読解力がないのだろう」と思えるようになりました。
    ↓2000.04

    法月綸太郎「頼子のために
    前半を呼んでいるときは退屈でしたが、読み終わる頃には評価が変わっていました。最後まで読まないと分からないものですね。最初はこう思いながら読んでいました。
    「また作中作か…(手記だけど)だいたい、作中作や手記とかを使わないといけないってのは、1冊の本として完成してないというか、叙述トリックの限界をあらわすというか…」
    しかし、後半間で読み進めてみると全体の評価が変わりました。これは、いいかもしれない。さらに、「あとがき」を読んで、法月綸太郎を見なおしました。今まで、彼の真意を理解していなかったと思います。
    「あとがき」はいらない、作者は作品だけで語るべきだ、という考えもあります。たしかに小説を読むとき、感じ方は人それぞれ、自由に読めばいいのですがミステリ小説を読むときはいつも、作者を意識せずにはいられません。自分は、作者の書きたいことが分かったのか?探偵が解き明かしてくれるのは事件の真相だけです。そして作者の意図を、たまに教えてくれる事があるのが「あとがき」だと思います。


    ↓2000.03

  • 法月綸太郎「パズル崩壊」
    先に進むにつれてにミステリの形式が崩壊していくという短篇集。後半はなかなか気に入りました。
    ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢をみるか?」アメリカ作家のパロディというか、オマージュなのか良く分からないですが、アメリカっぽい雰囲気が出ています。しかし、無理して下品な言葉を使おうとしているのが気になります。落ちはまさに衝撃?多分ネタかパロディなんでしょうけど、知らない人には絶対分からないと思います。でも、めちゃくちゃで好きです。
    カット・アウト」ミステリというか、小説なのでは。小説のジャンルわけが嫌いな人はけっこういると思いますが、それでも法月綸太郎の作品はあくまでミステリにこだわっているものが多いと思います。しかしこれは異色作。美術の話です。(ポロックとかいう画家のこと)その美術の話で、岡崎美術館が出てきます。じつはこの本を半分読んでから、たまたま倉敷に行ってきたのですが、美術館に入る時間はありませんでした。惜しいです。


  • 今邑彩「時鐘館の殺人
    短篇集。他作家の作品のパロディっぽいタイトルが並んでいます。綾辻と山口は分かるんですが、他は元ネタがあるのかどうかも良く知りません。それなりに楽しめました。
    白黒の反転」:落ちは読めてしまったけれど、好きな話。
    恋人よ」:井上夢人っぽい作品です。推理ものではなくて、サイコ系?
    時鐘館の殺人」:構成的には「時計館」みたいな、作中作ものです。どこまでが実話?と思ってしまう。


    ↓2000.02

  • 法月綸太郎「法月綸太郎の新冒険
    「現場から生中継」。ネタ(少年A)に意味が無い上に、解決に無理があり、しかもインパクトがない、と思います。パズラー向けの本だと思うのですが。(でも評価の高い作品です。再読してみようか)


    ↓2000.01

  • 法月綸太郎「法月綸太郎の冒険
    短篇集です。いわゆる「日常の謎」系のものもあり。「50円玉二十枚の謎」の解答編も収められています。「死刑囚パズル」は引っ張った割に大したことのないトリックでした。これは、ホワイダニットとして読めば面白いかも知れません。「黒衣の家」はちょっといいかげんな気がします。裏設定とか、ネタとしてはどうだか知らないですが。「カニバリズム小論」は、読み物として面白かったです。 図書館シリーズはふざけているようですが気に入りました。ただ、どっちにしても、あまり真面目に解くタイプのミステリではないようです。つまり、「読者への挑戦状」を叩き付けるタイプではありません。
    ↓1999.12



    ↓1999.11

  • 久生十蘭「ハムレット
    良いです。この作者、演劇には詳しいようです。そして謎を書くのがうまいです。シェイクスピアの「ハムレット」を先に読んでおくべきなのは言うまでもないでしょう。

  • 久生十蘭「湖畔
    ミステリというより、恋愛小説みたいな。谷崎の「痴人の愛」をホウフツとさせるシーンもあります。こういうのはとても好き。文学的です。

  • 競作「五十円玉二十枚の謎
    乱歩ファンなら惹かれるタイトルでしょう?若竹七海の実体験に基づく謎に法月、有栖川などが参加。一般公募からの作もあり。1個目の法月綸太郎の作品は内輪話的ノリで、新本格(作家)ファン、とくに北村薫ファンは必読。一般公募の作品もいろいろと楽しい。ちょっと作中作風、というか「主人公が出題編を読んで答を書く」、というシチュエーションのものが多過ぎるけども。黒崎緑は初めて読んだが、全編会話のみで成り立っているのはすごい。

  • 北村薫「盤上の敵
    極上の北村魔術。
    これはミステリよりサスペンス的なノリですね。トリックも用意してあるけど、謎の提示も特にないし、挑戦的なトリックでもないと思うので。しかしこの作品、不快に感じる人もいるようだが、これは実は「気持ち良く騙される」の新しい形かも?(北村薫に対する期待を裏切るかと思わせて、、、)
    追記:と思っていたのだけど、ノベルス版では最初に断りが入れてある。だから「今までの作風と違う」という驚きは薄れてしまいました。間違いなく、北村薫を代表する作品の一つです。
    ↓1999.10

  • 竹本健治「匣の中の失楽
    『匣の中の失楽』はまぎれもなくミステリ史上に残る傑作である。 ― 綾辻行人
    三大(メタ)ミステリの一つ、だったか。小栗虫太郎のものは十数ページで挫折したが、これは面白かった。「万華鏡のよう」とよくいわれるが確かに、読み進むごとにくるくると変化する、不思議な小説。えっと、終り方はわざとつまらなくしてあるんだろうか?綾辻に与えた影響は多きそう。そういえば、竹本さんは最近漫画を書きました。タイトルは「入神」だったか。アシスタントに綾辻行人を使ったそうです。碁を知らないと厳しいそうです。
    ↓1999.09

  • 法月綸太郎「雪密室
    探偵役はミステリ作家で、著者と同名、、、というのは本格好きの作者なら一度はやってみたいのだろう。その役が主人公の息子、というのは好感が持てた。ほかの本ではどうだか知らないが、このキャラは良い味を出していると思う。ただ、他のキャラクター、とくに犯人がいまいち。
    作中にヴァン・ダインかなにかのネタばれがあって、その個所の前にはちゃんと注意がついているんですが、そこだけ飛ばして読むわけにもいかないでしょう。新本格を読んでいると過去の作品のトリックをバラすので困ります。



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