『フランス10日間徒然日記』 2000年5月22日(月)記

  
第14号
 
3日目の1――路線バスでお気楽車窓観光/............
      フォーブール・サンタントワーヌ通りとリヴォリ通り の巻
  
2000.10.12 発行
  
 リュ・ド・フォーブール・サンタントワーヌからリュ・ド・リヴォリへ

 明け方、目が覚める。
 カーテンをめくって外を見たら、日の出前なのに空が真っ青だった。今日は晴れそうだ。

 もう一度寝なおし、6時半起床。洗面後、昨日の残りの日記書き。
 7時には銀を起こして朝食。昨日と同じサンドウィッチにりんご。他に材料がないから同じメニューになっちゃうのは仕方ないんだけど、もっと色々なものを買っておけばよかったな。

 さて、今日の午前中は特に予定はない。お昼頃に、ちはるの知り合いの知り合い(日本人)がパリで働いているので、その人に会いに行く約束をしてあるだけだ。

 とりあえず、手持ちのフランが残り少ないので両替しに行くことにする。
 銀は成田で両替してきたTC(トラベラーズ・チェック)を持っていたのだが、CCFという銀行で現金化すると、ほとんど手数料がかからないという。
 そのCCFがルーヴル・リヴォリ[Louvre Rivoli]にあると銀が言うので、じゃあルーヴル・リヴォリに行ってみるか、ということになる。

 というわけで8時40分、ホテル出発。
 ルーヴル・リヴォリへは地下鉄でなく、バスで向かう。
 昨日、凱旋門からバスティーユ[Bastille]までバスに乗って、街の風景を見ながら移動したのがけっこうよかったので、できるだけ地下鉄ではなくバスで動きたかったのだ。昨日の成功でバスに乗る自信もついていたし。

 リュ・ド・フォーブール・サンタントワーヌ[Rue du Faubourg St-Antoine]をバスティーユに向かって歩きながらバス停を探す。人の流れにのって歩いていたので、最初はうっかり見過ごしてしまったが、バス停はマクドナルドがある交差点の近くにあった。ふとふり返ってバスが停まっているのを見て、あそこにバス停があるんだっ! と気づいてあわてて引き返す。

 路線図を確認したら、ちょうどこのバス停からはルーヴル・リヴォリが終点の76という路線のバスが出ていた。こりゃ便利。
 さっき76番のバスが行ってしまったばかりだったので、バス停でおとなしく次の便を待つ。

 この時、時刻はちょうど通勤ラッシュ。リュ・ド・フォーブール・サンタントワーヌも車でけっこう混んでいたが、その車列のわきをローラー・ブレードをはいた若者たちが、けっこうなスピードでがんがん通り過ぎていく。

 昨日シャンゼリゼに行った時、ローラー・ブレードで遊んでいる人たちがいたが、遊びだけでなく立派な実用品としてもローラー・ブレードはパリで活躍しているようだった。

 15分ほど待って、バス到着。9時15分、乗車。けっこう空いてて座れてラッキー。

 バスはまずバスティーユ広場に向かう。
 しかし、バスティーユ広場のロータリーは、おととい見た時と同じようにめちゃ混み。バスもじり、じり、としか前に進まない。この時間帯にバスを使うのは無謀だったか?

 それでもバスはどうにかバスティーユ広場を抜け、角に銀行がある道へと入っていく(もっとも、バスティーユ近辺は銀行が多かったです)。
 実際にバスに乗っていた時はよくわからなかったが、いま地図で路線を確認すると、バスはリュ・ド・フォーブール・サンタントワーヌからリュ・ド・リヴォリへと走っていたようだ。このふたつの通りはサン・ポール[St.Paul]のあたりで名を変えるので、ほぼ道を一直線に東から西へ移動していたことになる。

 道はけっこう混んでいる。
 駐車違反なのかスピード違反なのか、朝からおまわりさんに違反切符を切られている人がいた。
 道路をよく見ると、自転車の専用道が整備されている。ふうん、中国みたい。
 途中、1度だけバス停でも何でもないところでドアが開いたけど、あれはいったいなんだったんだろう? 田舎じゃないんだから、手を挙げたら乗れるってもんじゃないよな。

 バスの前を見ると、ゴシック風のかなり大きな塔が見えた。おおー、こんな街中に。

 何気なく車窓を眺めていると、今度は左側に噴水が美しく水を躍らせている広場が見えた。きれい。
 何の建物だろう、と外を見ていたら、「Ho^tel de Ville(オテル・ド・ヴィル)」という文字が見えた。

 ホテルぅ? とその時わたしは思ったが、これは間違い(笑)。
 フランス語の「ho^tel」には「公共の建物」という意味があるそうで、この時わたしが見たのはパリ市庁舎のことだった。

 噴水も華麗な造りだけど、建物のほうも、これでもかーっ! というほどコテコテにゴージャス。まるで劇場みたい。日本でいうと、歌舞伎座がそのまま市役所になっているようなもんだろか?
 むかしからある建物をそのまま使っているからいいようなものの、いまどき新しくこんなものを日本で建てたりしたら、絶対税金のむだ使いって非難をあびそうなくらい、贅沢な造りの市役所だった。

 このパリ市庁舎の道の反対側にはデパートのような建物があり、入り口付近で大勢の人が開店を待っていた。
 建物の外壁を見ると「BHV」と書いてある。

 地図で確認したら、これは「ベー・アッシュ・ヴェー」(※BHVのフランス語読み)というDIY(Do It Yourself.)の店だった。千葉で言うとジョイフル本田やトステムVIVAみたいなもんか(ローカルですみません)。
 ガイドブックには9時半開店と書いてあった。わたしたちが通りかかったのはちょうど開店10分くらい前だったから、あんなに人が待ってたんだな。

 バスがさらに先へ進むと、さっき見えたゴシックの塔がどんどん近づいてきた。そしてバスはこのあたりでちょっと区画をぐるりとまわり、この塔のすぐ足元までやってきた。おかげで塔がよく見える。

 でも、何か変だな、この塔。まるでフロリダのディズニー・ワールドにあるタワー・オブ・テラー(Tour of terror)みたいに建物が独立している。ふつう、こういう塔って近くに教会があるものなんじゃなかったっけ?

 枝葉もなく、地面からにょっきり茎だけが生えてる植物みたいで変な塔、と思ったところで気が付いた。
 あ、これサン・ジャック塔[Tour St-Jacques:トゥール・サン・ジャック]だ。

 旅行前に読んだ本に載っていたのだが、このサン・ジャック塔はもともとはサン・ジャック・ラ・ブシュリという教会に付属していたんだけど、教会のほうはフランス革命の時に壊されてしまったそうなのだ。
 しかし、その時たまたま居合わせた教会の管理人が、教会だけでなく塔も壊そうとしていた革命軍に対して、「この塔は壊すよりも、敵軍を見張る望楼にしたほうがいい」と説得。そのおかげで、教会が壊されたいまも、この塔だけは残っているそうな。

 はあー、これがあのサン・ジャック塔か。

 サン・ジャック・ラ・ブシュリ教会は16世紀初頭に建てられたというから、この塔ももうすでに400年くらいの歴史があるわけだ。
 昔は昇れたのだけど今はだめとのこと。残念。

 街のど真ん中にあるせいか、だいぶ排ガスで黒くなっていたような記憶がある(逆光だったからかな?)。そのおかげで、ホラーな迫力が増していた。

 この後しばらく走って、9時40分、バスは細い道に入って止まった。
 ここが終点のルーヴル・リヴォリらしいけど・・・ええ、ここ、どこよ?

 両側に背の高い建物がそびえたち、太陽の光が届かない細い道は、建物が入り組んでいて見通しがきかず、わたしたちはいきなり方向を見失ってしまった。
 まいったね、こりゃ。

おわり

  
 ● 今回のフランス語 
 
Bastille ・・・「il」、「ill」、「ille」の発音

 今回取り上げるのは、わたしと銀がパリで初めて泊まったホテルがある地区の名前、「Bastille:バスティーユ」です。

                          

 日本人としては、「Bastille」の「バスティ」まではその読み方をうなずけると思いませんか? でも、その後の「ユ」は何なんだよ、「ユ」はって感じですよね。バスティーユ滞在中、わたしは不思議でなりませんでした。

 ここでまず「Bastille」を後ろから見ていくと、第6号でやった、

___________________
単語末尾の「e」は発音しない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
が出てきていますので、「Bastille」の「e」は発音しないことになります。

 んじゃあ、「Bastille」は「e」を抜かして「バスティール」と読むのか、ということになりますが、ここでさらに、

__________________________________
1).母音の後の単語末尾の「il」……「ィユ」と読む
 2).母音の後の語中の「ill」 ……「ィユ」と読む

  ※ただし1)は、「ail」、「eil」、「euil」のみ
  ※ただし2)は、「aill」、「eill」、「euill」、「ouill」のみ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
という決まりがあるのです。

 おおー、なるほど?とわたしはうっかりうなずいてしまったのですが、よく見ると今回の「Bastille」の「ill」は「t」という子音の後なので、母音の後ではないのです。

 えー、じゃあどうなっているんだよ? と思ってこの部分の解説が載っている一生懸命本を探しました。そうしたら、

__________________________
「ille」は「ィユ」と読む

 ※ただし、「mille」と「ville」の「ille」は「ィル」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ことが判明しました。

 いやー、今回に関しては、「単語末尾の[e]は発音しない」ってのは関係なかったんですね(笑)。「ille」で1音あつかいだったのです。
※Attention! 本によって解釈が違うみたいなので、必ずしも関係ないとは言い切れないみたいです)

 よって、「Bastille」は「バスティーユ」と読めるようになるのでした。

                          

 これを応用すると次の駅名が読めます。

母音の後の単語末尾の[il]は[ィユ]と読む

を覚えておくと読めるのが、

 ・地下鉄4号線と6号線が乗り入れている駅「Raspail」=「ラスパイユ」。
 ・地下鉄9号線の「Porte Montreil」=「ポルト・モントレイユ」、
 ・同じく9号線の「Mairie Montreil」=「メリー・ド・モントレイユ」、
 

母音の後の語中の[ill]は[ィユ]と読む

を覚えておくと読めるのが、これに「単語末尾の子音は発音しない」をプラスして、

 ・地下鉄1号線の駅「Porte Maillot」=「ポルト・マイヨ」。
 (※「ill:ィユ]+[o:オ]=ィヨ)

[ille]は[ィユ]と読む

で読めるようになるのが、これに上と同様「単語末尾の子音は発音しない」をプラスして、

 地下鉄12号線の「Porte de Versailles」=「ポルト・ド・ヴェルサイユ」。

 ただし、今回出てきました、地下鉄1号線にある「Ho^tel de Ville」は、「ille」は「ille」でも例外の「ville」だから「ヴィル」です。

 同様に、7号線と11号線が乗り入れている「Belleville」も「ベルヴィル」になります。

                          

 あー、ようやくバスティーユの謎が解けてすっきりした(^ ^)。

※このコーナーは不定期です。

 

 ● 今回のおこづかい帳 
 
今回はなし

小計:0F
合計:298.39F(約4,685円)+16,360円

 

 ● 編集後記 
 
 サンタントワーヌとルーヴル・リヴォリの車窓リポートでした。

 やっぱりバスはいいですね。パリは特に停留所名だけでなく、路線を地図で示してくれているので本当に便利です。土地カンがなくても、地図で場所を確認して乗れますから。
 東京の都バスも、いちおう地図出てますが、めっちゃ見にくくてよくわからないんですよね。日本人が見にくいんだから、外国から来た人はもっと見にくいだろうな。

 それではまた次号でお会いしましょう。

 


3日目の1――路線バスでお気楽車窓観光/
         フォーブール・サンタントワーヌ通りとリヴォリ通り の巻
3日目の2――たかが両替、されど両替 の巻
3日目の3――お昼はフランス人と共に の巻
3日目の4――パリ右岸、練り歩きます の巻
3日目の5――バカと煙は高い所へのぼれっ!/その1 凱旋門 の巻
3日目の6――バカと煙は高い所へのぼれっ!/その2 エッフェル塔 の巻
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