★ 子宝と豊穣の石達 ★


ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にはあらず。
よどみに浮かぶうたかたはかつ消え、 かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。


これは皆さんご存知の方丈記の冒頭の部分です。
時間という大きな流れの中で個人個人がその中に占める時間はせいぜい長くて100年といったところでしょうか。では時間という大きな流れの中で個人の存在はすぐに空しくなるものでしょうか。

答えは是でもあります。そして否でもあります。

確かに自分自身は時が移ろうにつれ空しくなるとしてもその存在があったことは子へと孫へと受け継がれていくからです。たとえその人本人のことは忘れ去られたとしても存在の証は残ります。
種の保存の本能というとそれまでですが、時という無常の流れに対して生物が対抗する唯一無二の手段。それが産むという力なのかもしれません。

天の陽の気と、地の陰の気による上昇と下降の流動が万物を生じる。
中国に伝わる陰陽道ではそう伝えられています。
相反する存在でありながらお互いに動いて交じり合い万物を生み出す。
なおこれを図であらわしたものが大極図です。黒と白の不思議な模様を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし残念ながら人間界の陰と陽、すなわち女と男が交わるとしても必ずしも子供が生まれるとは限りません。
医学が進んだ今でも悩まれているご夫婦は多いのです。まして医学がそれほど進んでいなかった時代、堂々と離縁理由になっていた頃にはさらに深刻なことだったに違いありません。
そんな中、自然が作り出した陰陽の形をした石が子宝、さらには産む力=豊穣のシンボルとして信仰を集めていったのは不思議でもなんでもありません。なお古事記における日本列島の創造主の伊耶那岐命と伊耶那美命のご神体として奉っているところもあるようです。

ここではそんな陰陽石についてご紹介していきます。

どのような目で見るかはご自由に。あなたの心の鏡に照らしてくださいませ。



宮崎県の小林市にある陰陽石です。
野口雨情はこれを見て「浜の瀬川には二つの奇石 人には云うなよ。語るなよ。」と詠んだそうです。
果たして感動したからなのか、それともせがまれてしぶしぶ詠んだかは私にはわかりません。真実はいったいどうなのでしょう。(^^)
私が初めて見たときにはあまりの大きさに圧倒されました。高さは17.5m、胴回りが12.7mあるそうです。
大は小を兼ねるとか言いますが、ウドの大木とも言います。
あなたはどちらの言葉が好きですか?私はもちろん…


松本の美ヶ原温泉の近くの里山辺にある陰陽石です。
このエリアは道祖神が色々あります。男女の神様が仲良く手をつないで立っているほほえましい双体像はどこかでご覧になったことがあることでしょう。
左側は新井の道祖神、右側は小松の八坂神社の境内にある陰陽石です。どちらも自然に出来た陰陽石で見事な姿をしています。
新井の道祖神の写真にカーソルを当てていただくと由緒書に変わりますが、子宝恵、夫婦和合、疫病火難水難除の神です。
残念ながら良縁の出会いはご利益に無いようです。(^^;;;

和歌山県の白浜の阪田神社のご神体です。(左側)
歓喜神社とも言うようですがどちらが正しいのかは判りません。なんでも1300年以上前にご神体として掘り込まれたそうです。それを昭和30年に発掘調査されて現在の神殿形式に祭祀したとのことです。
ちょっと見にくいですが男女の形が浮き彫りにされています。
伊耶那岐命と伊耶那美命がこの神社のご祭神です。 ここには白浜美術館が併設されており、インドの歓喜仏が展示されていますがこちらも見事です。
右側の立看板が何を意味するかはカーソルをあてればわかります。さて、あなたならどうします?(^^)


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